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ペプチド提示微粒子の製造方法 新技術説明会

国内特許コード P120008413
整理番号 S2011-0738-N0
掲載日 2012年12月19日
出願番号 特願2011-110679
公開番号 特開2012-240940
登録番号 特許第5899548号
出願日 平成23年5月17日(2011.5.17)
公開日 平成24年12月10日(2012.12.10)
登録日 平成28年3月18日(2016.3.18)
発明者
  • 奥 浩之
  • 岩崎 綾乃
  • 狩野 繁之
  • 矢野 和彦
出願人
  • 国立大学法人群馬大学
発明の名称 ペプチド提示微粒子の製造方法 新技術説明会
発明の概要 【課題】ペプチド結合物質の検出に使用可能なペプチドを表面に提示した微粒子を効率よく製造できる技術を提供すること。
【解決手段】下記化合物(I)と化合物(II)を重合反応に供する工程、得られた重合体にペプチドを導入する工程を含む、ペプチド提示微粒子の製造方法。



Xはハロゲンまたは-OYを示し、ここでYは、アルキル基、芳香族基、などを示し、これらの基における水素原子は、ハロゲンで置換されていても良い。
【選択図】図12
従来技術、競合技術の概要


マラリアは地球上に於いて最も重大な原虫感染症の一つである。熱帯地域と亜熱帯地域の流行地域を中心に、毎年3億人の感染者と200万人以上の死亡者が報告されている。また近年は、地球規模での経済活動の拡大により人や物資の移動が盛んになってきている。これに伴い、日本人渡航者が流行地で感染する例や、流行地から日本への入国者が国内で発症する輸入マラリアの症例が、1980年代より急激に増えている。このためマラリア対策は、流行地のみならず日本に於いても緊急の課題となっている。



ヒトにマラリアを引き起こすPlasmodium属の寄生原虫は、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)、四日熱マラリア原虫(Plasmodium malariae)、卵形マラリア原虫(Plasmodium ovale)、および一部のサルマラリア(Plasmodium knowlesiなど)の5種類である。原虫を媒介する蚊の刺咬により体内に入ったマラリア原虫は血中から速やかに肝細胞に侵入し(一次肝臓内ステージ)、肝細胞内で分裂・増殖してから血中に放出され、赤血球内に侵入して分裂増殖を繰り返し(赤血球内サイクル)、増殖した原虫は他の蚊によってさらに伝搬されてゆく。マラリアによる発熱の症状は赤血球内サイクルによって引き起こされる。特に熱帯熱マラリアは他の4種に比較して治療が遅れると重症化と死亡の危険をもたらす。



またマラリアは健康問題のみならず、アフリカ諸国での経済活動の停滞と社会不安の一因ともなっている。流行地に於ける近年の感染者の増加は、熱帯雨林開発や温暖化との関連も指摘され、International Panel on Climate Change報告(1996 & 1998)によると地球温暖化の場合2℃の温度上昇で5000-8000万人の増加が予測されている。そのため、第二次大戦後にDDT散布と衛生対策によって根絶したはずの日本を含む温帯地域においても、マラリア再流行が懸念されている。
したがって、マラリア感染を検出したりマラリアワクチンの効果を確かめたりするための血清抗体価を簡便に測定できる試薬の開発が求められている。



血液中の抗マラリア原虫抗体を検出する方法として、マラリア原虫破砕物を抗原として吸着させた微粒子を用いる方法がある。
従来のヒト血清中やヒト血漿中の抗体検出を行うための免疫検査を指向した抗原吸着微粒子の作製には、Poplanichら(非特許文献1)の報告にあるようにsoap-free polymerizationによって作製されたpoly(stylene-co-acrylic acid)微粒子への病原微生物の破砕溶液を物理吸着させる方法が用いられてきた。
そして、この方法を利用した抗体検出キットの市販例としては栄研化学のトキソプラズマ感染検査キット(ポリスチレン微粒子への吸着;非特許文献2~4)が知られている。



soap-free polymerizationによって重合した有機高分子微粒子ではなく、無機微粒子への病原微生物の破砕溶液を物理吸着させる方法もある。マラリアの感染検査ではないが、HOYAのデング熱感染検査キット(リン酸カルシウム微粒子への吸着;非特許文献5,6)が知られている。



しかし、従来の免疫検査を指向して抗原を物理吸着させた微粒子には、抗原に病原体そのものが必要であり低温保管の必要性や限られた感染症にしか適応できないこと、病原体破砕物という混合物を用いるため非特異反応(擬陽性反応)が起きやすいこと、微粒子と抗原の結合に物理吸着を用いているためpHの最適化を必要としpH変化や常温保管に弱く安定性が悪いこと、ソープフリー重合で作製したポリスチレンラテックスのため実際にはpoly(styrene-co-acrylic acid)と官能基を有しながら不安定な物理吸着のみ用いて化学結合を行っていないこと、リン酸カルシウム微粒子の場合はリン酸カルシウムの溶解しにくいpHや溶液組成においてのみ抗原を物理吸着することが可能であること、の点で問題があった。



一方、物理吸着ではなく化学結合によるペプチドや酵素を結合した微粒子の作製法が報告されている。一つは非特許文献7にあるよう抗原モノマー(抗原ペプチドのN端をmethacryloyl化)と微粒子形成モノマー(例えばDiethylene Glycol Dimethacrylate, 2G)を直接共重合する方法がある。しかし、従来の化学結合によってペプチドや酵素を結合させた微粒子は、抗原モノマーが重合反応時の溶媒(ethylpropionateやethylacetateなど疎水性有機溶媒が最適)に溶解できない場合は均質な球状微粒子が得られない、実際の免疫反応も患者と正常血清の判別する凝集像が得られないという問題があった。すなわち抗原ペプチドに一般的な、水溶性の高い側鎖を有するアミノ酸残基が多く含まれるペプチド配列を用いて直接抗原微粒子を重合させるのは困難であった。



これまでに、本発明者は、マラリア原虫由来の抗原を用いたマラリア感染診断材やマラリアワクチン(特許文献1)、マラリア抗原ペプチドの製造法(特許文献2)、マラリア抗原を内包させた微粒子の製造法(特許文献3)を報告している。
しかしながら、マラリア抗原を表面に化学的に結合した微粒子を用いてマラリア抗原に対する抗体を検出する技術については報告がない。

産業上の利用分野


本発明は、ペプチド提示微粒子の製造方法、特に、試料中の抗体価を測定するためのペプチド抗原を提示した微粒子の製造方法に関する。より詳しくは、ヒトおよび他の動物の血液試料中のマラリア原虫に対する抗体に結合することができるペプチドを含んだ微粒子の製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
下記化合物(I)と化合物(II)を重合反応に供する工程、得られた重合体に配列番号
4又は5のアミノ酸配列で示される熱帯熱マラリア原虫のエノラーゼ由来ペプチドを導入する工程を含む、ペプチド提示微粒子の製造方法。
【化1】


Xは-OYを示し、ここでYはクシンイミド基

【請求項2】
微粒子がヒトに感染する熱帯熱マラリア診断薬である、請求項に記載のペプチド提示微粒子の製造方法。

【請求項3】
微粒子がヒトに感染する熱帯熱マラリア原虫由来する抗原の抗体価検査材料である、請求項に記載のペプチド提示微粒子の製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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