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ポリイオンデンドリマー、及びそれよりなるハイドロゲル

国内特許コード P120008418
整理番号 BE063P16
掲載日 2012年12月19日
出願番号 特願2011-520779
登録番号 特許第5376543号
出願日 平成22年6月28日(2010.6.28)
登録日 平成25年10月4日(2013.10.4)
国際出願番号 JP2010004267
国際公開番号 WO2011001657
国際出願日 平成22年6月28日(2010.6.28)
国際公開日 平成23年1月6日(2011.1.6)
優先権データ
  • 特願2009-156670 (2009.7.1) JP
発明者
  • ジャスティン マイナー
  • 相田 卓三
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 ポリイオンデンドリマー、及びそれよりなるハイドロゲル
発明の概要 本発明は、水を主成分とし含水量が大きく、実用的な機械的強度を有するハイドロゲルであって、高い透明度を有し、自己修復性があり、形状維持性のあるハイドロゲル、及びその材料を提供する。さらに、本発明は、新規なポリイオンデンドリマーを提供する。
本発明は、コア部に親水性の線状ポリマーを有し、該線状ポリマーの両末端をポリエステルでデンドロン化し、デンドロン表面にグアニジン基、チオ尿素基、及びイソチオ尿素基からなる群から選ばれるカチオン性の基が結合してなるポリイオンデンドリマー、並びにそれと粘土鉱物を含有してなるハイドロゲル材料、及び当該ハイドロゲル材料を用いてなるハイドロゲルに関する。
従来技術、競合技術の概要


水は地球上の生命にとって必要不可欠なものであり、清浄さの象徴と見なされてきた。地球の表面の71%は水で覆われ、また、我々の体の65%はこの単純でありながら活力に満ちた分子から成り立っている。自然界とりわけ生物界で水は大変重要な役割を担っているので、高含水率の含水材料を作り出すことができれば、環境にも優しい、用途の広い、重要な材料となりうる。しかしながら、これまで高含水率の含水材料を作り出す試みは、容易に予想されるように、機械的強度が劣るために見るべき成果がなかったが、近年、水を主成分とする材料のドラッグデリバリーや人工軟骨などへの潜在的な可能性に注目して、いくつかの研究グループがその機械的強度を向上させることに取り組んでいる(非特許文献1~3)。



含水材料として、従来から知られているポリマーハイドロゲルは、基本的には共有結合による架橋により作られている。これらの通常の有機化学的方法により架橋されたポリマーハイドロゲルは、強度が低くもろい不透明な材料であり自己修復性もなかった。
ハイドロゲルの強度を改善するために、粘土鉱物の共存下に(メタ)アクリルアミド誘導体を重合させてなる方法により、引張破断強度が改善された有機無機複合ハイドロゲルが提案されている(特許文献1)。さらに、カルボン酸基又はスルホン酸基を有する重合性モノマーとの共重合体とすることにより強度が改善されることも報告されている(特許文献2)。
また、最近、ポリマーと水膨潤性粘土鉱物とを複合させたポリマー/無機複合ナノ複合体ハイドロゲルが、比較的優れた機械的強度を持つことから注目されているが、これらのゲルの含水率はたかだか90%であり、機械的強度は含水率の増加に伴い減少し、実用的に意味のある強度を発現させるためには含水率を80%程度にまで減少させる必要があった(非特許文献4)。



また、従来から知られているポリマーハイドロゲルを製造するためには、重合反応や架橋反応によるため、加熱や冷却のサイクルを繰り返す等、複雑な工程を経る必要があった。例えば、ケン化度90%以上のポリビニルアルコールを水蒸気の存在下に1.2~5.0気圧で105~150℃に維持したときの凝集物を脱水して、再膨潤させてなるハイドロゲルが報告されている(特許文献3)。
このようなハイドロゲルは、医薬、食品、化粧品、衛生用品、農業資材、電子材料など広範囲な産業分野で利用されており、例えば、ポリ乳酸などからなるハイドロゲルにGM-CSFを含有させてなる医薬品(特許文献4)、オリゴ(ポリ(エチレングリコール)フマレート)を用いた光架橋性生分解性ハイドロゲルを含有してなる関節補填材料(特許文献5)、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマーのポリマー結晶系ヒドロゲルによるモルフォロジー発現性を有する生体材料(特許文献6)、ポリビニルアルコールとアニオン性架橋重合体と水酸化アルカリを含有してなるアルカリ電池用高分子ハイドロゲル電解質(特許文献7)、ピリジン等の複素環式化合物から形成される第4級アンモニウムカチオンを含むイオン性有機化合物からなるハイドロゲル(特許文献8)などが知られている。
また、医薬や食品などに適用する場合には、人体に対する安全性が要求され、環境保護の観点からは生分解性であることが望まれている。したがって、ハイドロゲルを構成する材料がこれらの要望を満たす物であることが望まれている。例えば、ポリエチレングリコールやある種のポリエステルは人体から容易に排出されるか又は生物学的に易分解性であることが知られており(非特許文献5~6)、また、クレイナノシートは自然界に存在する無機鉱物を原料とするもので、ローション等の化粧品や歯磨き粉、シャンプー及びシャワーゲル等に広く使われている安全な材料であることが知られており(非特許文献7)、このような材料を用いたハイドロゲルの開発が望まれている。



一方、「デンドリマー (dendrimer) は、中心から規則的に分岐した構造を持つ樹状高分子。ギリシャ語で木を意味する用語から命名された。デンドリマーは、コア (core) と呼ばれる中心分子と、デンドロン (dendron) と呼ばれる側鎖部分から構成される。また、デンドロン部分の分岐回数を世代 (generation) と言い表す。一般に高分子はある程度の分子量分布を持つが、高世代のデンドリマーは、分子量数万に達するもののほとんど単一分子量であるという、際立った特徴を持つ。また、コアはデンドロンによって覆われており、外界と遮断された環境にあるために、特異な発光挙動や反応性を示すことが見出され、新しい機能物質として期待されている。ただし、他の高分子と比べて合成が極めて困難であるため、実用化には至っていない。また、現在最もよく用いられているポリアミドアミン構造を持つPAMAMデンドリマーなどは、試薬会社から市販されている。」(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
現在までに、デンドリマーをハイドロゲルに応用したものは見い出せないが、DDSなどへの応用が期待されている。また、PAMAMデンドリマーなどのデンドリマーの表面にアンモニウムイオンやカルボキシレートイオンなどの陽イオンや陰イオンを結合させたイオン性デンドリマーが抗寄生虫組成物として有用であることが報告されている(特許文献9)。

産業上の利用分野


本発明は、新規なポリイオンデンドリマーに関する。また、本発明は、当該ポリイオンデンドリマー及び粘土鉱物(クレイ)を含有してなるハイドロゲル材料、並びに当該ハイドロゲル材料に多量の水を含有させてなるハイドロゲルに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
コア部に親水性の線状ポリマーを有し、該線状ポリマーの両末端をデンドロン化し、デンドロン表面にグアニジン基、チオ尿素基、及びイソチオ尿素基からなる群から選ばれるカチオン性の基が結合してなるポリイオンデンドリマー。

【請求項2】
線状ポリマーの両末端のデンドロン化が、ポリエステルによるものである請求項1に記載のポリイオンデンドリマー。

【請求項3】
ポリエステルが、分岐が対称的になるようにするために2個以上の水酸基が対称的に置換した炭素数3~10の脂肪族飽和カルボン酸からなるポリエステルである請求項2に記載のポリイオンデンドリマー。

【請求項4】
コア部の親水性の線状ポリマーが、ポリアルキレングリコールである請求項1から3のいずれかに記載のポリイオンデンドリマー。

【請求項5】
デンドロン表面に、ポリエーテル基によりグアニジン基、チオ尿素基、及びイソチオ尿素基からなる群から選ばれるカチオン性の基が結合させられている請求項1から4のいずれかに記載のポリイオンデンドリマー。

【請求項6】
ポリイオンデンドリマーが、次の一般式1
【化11】


(式中、nはコア部のポリエチレングリコールの繰り返し数を示し、20~100000であり、mは表面にカチオン性の基を導入するためのリンカー基の繰り返し数であり1~6であり、gはデンドロンの世代を示し1~5であり、Rはグアニジン基、チオ尿素基、及びイソチオ尿素基からなる群から選ばれるカチオン性の基を示し、Xは水素原子又はC-Cのアルキル基を示す。)
で表されるポリイオンデンドリマーである請求項1~4のいずれかに記載のポリイオンデンドリマー。

【請求項7】
一般式1におけるXを含むポリハイドロオキシカルボン酸が、分岐が対称的になるようにするために2個以上の水酸基が対称的に置換した炭素数3~10の脂肪族飽和カルボン酸である請求項6に記載のポリイオンデンドリマー。

【請求項8】
一般式1におけるXが、メチル基である請求項6又は7に記載のポリイオンデンドリマー。

【請求項9】
グアニジン基、チオ尿素基、及びイソチオ尿素基からなる群から選ばれるカチオン性の基が、次の式2、式3、又は式4、
【化12】


で表されるカチオン性の基である請求項1~8のいずれかに記載のポリイオンデンドリマー。

【請求項10】
ポリイオンデンドリマーが、次の式5
【化13】


(式中、nは20~100000である。)
で表されるポリイオンデンドリマーである請求項1~9のいずれかに記載のポリイオンデンドリマー。

【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載のポリイオンデンドリマー、及び粘土鉱物を含有してなるハイドロゲル材料。

【請求項12】
ハイドロゲル材料が、さらにイオン性の側鎖を有する線状のポリマーを含有してなる請求項11に記載のハイドロゲル材料。

【請求項13】
イオン性の側鎖を有する線状のポリマーが、ポリアクリル酸又はポリメタクリル酸のアルカリ金属塩である請求項12に記載のハイドロゲル材料。

【請求項14】
粘土鉱物が、水膨潤性のスメクタイト、及び層状珪酸塩からなる群から選ばれる粘土鉱物である請求項11~13のいずれかに記載のハイドロゲル材料。

【請求項15】
粘土鉱物が、ナノシート構造を有する粘土鉱物である請求項11~14のいずれかに記載のハイドロゲル材料。

【請求項16】
粘土鉱物が、モンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイト、バイデライト、雲母、及び合成雲母からなる群から選ばれる1種又は2種以上である請求項11~15のいずれかに記載のハイドロゲル材料。

【請求項17】
粘土鉱物が、ヘクトライトである請求項16に記載のハイドロゲル材料。

【請求項18】
請求項11~17のいずれかに記載のハイドロゲル材料に水を含有させてなるハイドロゲル。

【請求項19】
水の含有量が、ハイドロゲル材料に対して80%以上である請求項18に記載のハイドロゲル。

【請求項20】
請求項18又は19に記載のハイドロゲルが、生理活性のあるタンパク質を含有してなるタンパク質含有ハイドロゲル。

【請求項21】
生理活性のあるタンパク質が、ミオグロビン又はアルブミンである請求項20に記載のタンパク質含有ハイドロゲル。
産業区分
  • その他無機化学
  • 液体燃料・油脂
  • 高分子化合物
  • 薬品
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2011520779thum.jpg
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) ERATO/SORST 分子プログラミングによる電子ナノ空間の創成と応用 領域
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