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グアイアコール認識性を指標に選抜した微生物と微生物増殖促進活性を有するグアイアコール含有組成物 UPDATE

国内特許コード P120008437
掲載日 2012年12月27日
出願番号 特願2012-084340
公開番号 特開2012-213396
登録番号 特許第6124275号
出願日 平成24年4月2日(2012.4.2)
公開日 平成24年11月8日(2012.11.8)
登録日 平成29年4月14日(2017.4.14)
優先権データ
  • 特願2011-079264 (2011.3.31) JP
発明者
  • 遠野 雅徳
出願人
  • 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 グアイアコール認識性を指標に選抜した微生物と微生物増殖促進活性を有するグアイアコール含有組成物 UPDATE
発明の概要 【課題】本発明は、動物・植物生体内にも存在するフェルラ酸等のグアイアコール骨格を有する化合物および/または4-メトキシフェノール骨格を有する化合物を認識し増殖促進する微生物の選抜方法およびプロバイオティック乳酸菌の増殖促進作用を有するグアイアコール骨格を有する化合物および/または4-メトキシフェノール骨格を有する化合物を含む含有組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、グアイアコール骨格を有する化合物および/または4-メトキシフェノール骨格を有する化合物を認識し増殖促進する微生物の選抜方法を鋭意開発したことにより見出し、これにより、フェルラ酸等のグアイアコール骨格を有する化合物および/または4-メトキシフェノール骨格を有する化合物を認識し増殖促進する微生物を見出したことによって上記課題を解決した。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


フェルラ酸とは植物細胞壁由来成分の物質であり、豊富な天然由来バイオマス素材である。



フェルラ酸は、主に米(非特許文献1および2)、小麦(非特許文献3および4)、野菜類(非特許文献5)、柑橘類(非特許文献6および7)などの植物や種子の細胞壁に存在する成分であり、フェニルアラニンおよびチロシンの代謝によって生成される(非特許文献8)。フェルラ酸は安全性が確認された物質であり、急性毒性試験や変異原性試験において担保されており(非特許文献8)、大量精製技術も既に確立されている(非特許文献8)。



乳酸菌は、食品・飼料産業上の極めて重要な有益微生物である。また、ヒトおよび家畜の健康増進作用の観点から、乳酸菌増殖促進成分自体の市場価値も高い。乳酸菌の応用例としては、難消化性糖質(フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、ラクチュロース等)に代表されるプレバイオティクスが挙げられる(非特許文献9)。



近年、家畜用抗生剤の使用量増大による多剤耐性菌出現や環境汚染への懸念が社会問題化し、低減技術の確立が急務の課題である。使用量増大の理由として、家畜の成長促進のみならず、消化管内における有害微生物の増殖阻害を目的とした微生物叢改善への期待が挙げられる(非特許文献10)。



一方、ヒトにおいては、精神的ストレスなどの各種ストレスにより、消化管内の微生物叢は悪化し、有害微生物が多く検出されるようになる(非特許文献11および12)。



しかしながら、フェルラ酸のプロバイオティクス増殖促進作用を期待した共生細菌叢バランスを改善する技術は存在しない。



家畜飼料の場合、消化管微生物叢を制御するために様々な抗生物質およびその投与方法が開発されている(非特許文献10)。また、飼料・食品にかかわらず、プロバイオティック微生物とりわけ乳酸菌による消化管微生物改善技術が数多く提唱されている。また、乳酸菌増殖促進作用を有する機能性成分として、これまで難消化性糖質が報告されており、いわゆるプレバイオティクスとして数多く商品化されている。

産業上の利用分野


本発明は、植物生体内に存在するフェルラ酸等のグアイアコール骨格および/または4-メトキシフェノール骨格を有する化合物を認識し増殖促進する微生物の選抜方法およびプロバイオティック乳酸菌の増殖促進活性を有するフェルラ酸等のグアイアコール骨格および/または4-メトキシフェノール骨格を有する化合物を含む組成物と、フェルラ酸等のグアイアコール骨格および/または4-メトキシフェノール骨格を有する化合物を認識する微生物を含有する微生物添加剤および当該添加剤を用いる食品副産物の発酵飼料、飼料作物・牧草サイレージ、TMR発酵粗飼料調製方法並びに食品調製方法を含む、当該微生物および化合物の産業有効利用方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
Lactobacillus属乳酸菌株であって、
該菌株の増殖活性が、1.45mM MgSO、8.92mM NHNO、4.79 mM KCl、3.96mM C12、2.62mM KHPOおよび30% ウシ血清を含む培地(pH6.5)において、
フェルラ酸の非存在下に比べて500μMのフェルラ酸の存在下で、少なくとも5.5倍上昇する、との特徴を有する、菌株であって、該菌株は、Lactobacillus plantarum、Lactobacillus paraplantarum、およびLactobacillus sakeiからなる群より選択される種に属する、菌株

【請求項2】
請求項1に記載のLactobacillus属乳酸菌株であって、該菌株が、 1.45mM MgSO、8.92mM NHNO、4.79 mM KCl、3.96mM C12、2.62mM KHPOおよび30% ウシ血清を含む培地(pH6.5)において、
バニリンの非存在下に比べて500μMのバニリンの存在下で、少なくとも4.4倍上昇する、
ヒドロキシフェルラ酸の非存在下に比べて500μMのヒドロキシフェルラ酸の存在下で、少なくとも8.2倍上昇する、
カプサイシンの非存在下に比べて500μMのカプサイシンの存在下で、少なくとも5.0倍上昇する、
4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニルグリコールヘミピペラジニウム塩(MHPG)の非存在下に比べて500μMの4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニルグリコールヘミピペラジニウム塩(MHPG)の存在下で、少なくとも2.8倍上昇する、
DL-ノルメタネフリン(Normetanephrine)塩酸塩の非存在下に比べて500μMのDL-ノルメタネフリン(Normetanephrine)塩酸塩の存在下で、少なくとも5.4倍上昇する、
DL-4-ヒドロキシ-3メトキシマンデル酸(VMA)の非存在下に比べて500μMのDL-4-ヒドロキシ-3-メトキシマンデル酸(VMA)の存在下で、少なくとも5.1倍上昇する、
3-メトキシチラミン(3MT)塩酸塩の非存在下に比べて500μMの3-メトキシチラミン(3MT)塩酸塩の存在下で、少なくとも5.8倍上昇する、
ホモバニリン酸(HVA)の非存在下に比べて500μMのホモバニリン酸(HVA)の存在下で、少なくとも5.5倍上昇する、
バニリン酸(VA)の非存在下に比べて500μMのバニリン酸(VA)の存在下で、少なくとも6.3倍上昇する、
ホモバニリルアルコール(MOPET)の非存在下に比べて500μMのホモバニリルアルコール(MOPET)の存在下で、少なくとも3.9倍上昇する、
メタネフリン(Metanephrine)塩酸塩の非存在下に比べて500μMのメタネフリン(Metanephrine)塩酸塩の存在下で、少なくとも4.8倍上昇する、
グアイアコールの非存在下に比べて500μMのグアイアコールの存在下で、少なくとも7.9倍上昇する、
4-メトキシフェノールの非存在下に比べて500μMの4-メトキシフェノールの存在下で、少なくとも8.5倍上昇する、
ギンゲロールの非存在下に比べて1.5mMのギンゲロールの存在下で、少なくとも6.1倍上昇する、
ショウガオールの非存在下に比べて0.25mMのショウガオールの存在下で、少なくとも2.3倍上昇する、
バニリン酸ジエチルアミドの非存在下に比べて500μMのバニリン酸ジエチルアミドの存在下で、少なくとも3.7倍上昇する、
イソオイゲノールの非存在下に比べて500μMのイソオイゲノールの存在下で、少なくとも4.6倍上昇する、
イソバニリン酸の非存在下に比べて500μMのイソバニリン酸の存在下で、少なくとも5.7倍上昇する、
o-バニリンの非存在下に比べて500μMのo-バニリンの存在下で、少なくとも6.1倍上昇する、
トランスフェルラ酸の非存在下に比べて500μMのトランスフェルラ酸の存在下で、少なくとも4.3倍上昇する、
イソフェルラ酸の非存在下に比べて500μMのイソフェルラ酸の存在下で、少なくとも4.4倍上昇する、
イソクレオソールの非存在下に比べて500μMのイソクレオソールの存在下で、少なくとも12.6倍上昇する、
4-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-3-ブテン-2-オンの非存在下に比べて500μMの4-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-3-ブテン-2-オンの存在下で、少なくとも9.8倍上昇する、
ヘスペレチンの非存在下に比べて500μMのヘスペレチンの存在下で、少なくとも6.6倍上昇する、
3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)プロピオン酸の非存在下に比べて500μMの3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)プロピオン酸の存在下で、少なくとも5.9倍上昇する、
イソバニリルアルコールの非存在下に比べて500μMのイソバニリルアルコールの存在下で、少なくとも4.4倍上昇する、
クレオソールの非存在下に比べて500μMのクレオソールの存在下で、少なくとも9.7倍上昇する、
o-バニリン酸の非存在下に比べて500μMのo-バニリン酸の存在下で、少なくとも7.2倍上昇する、
バニリン酸メチルの非存在下に比べて500μMのバニリン酸メチルの存在下で、少なくとも7.4倍上昇する、
メチル-3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)プロピオン酸塩の非存在下に比べて500μMのメチル-3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)プロピオン酸塩の存在下で、少なくとも6.6倍上昇する、
5-ニトログアイアコールの非存在下に比べて500μMの5-ニトログアイアコールの存在下で、少なくとも3.6倍上昇する、
スコポレチンの非存在下に比べて500μMのスコポレチンの存在下で、少なくとも8.8倍上昇する、
シリビンの非存在下に比べて500μMのシリビンの存在下で、少なくとも3.4倍上昇する、
バニリルアルコールの非存在下に比べて500μMのバニリルアルコールの存在下で、少なくとも6.5倍上昇する、
バニリン酸エチルの非存在下に比べて500μMのバニリン酸エチルの存在下で、少なくとも1.5倍上昇する、
コニフェリルアルコールの非存在下に比べて500μMのコニフェリルアルコールの存在下で、少なくとも1.8倍上昇する、および
オイゲノールの非存在下に比べて500μMのオイゲノールの存在下で、少なくとも7.8倍上昇する
からなる群より選択される特徴の少なくとも1つの増殖活性の特徴をさらに有する、菌株。

【請求項3】
actobacillus plantarum TO1000(受託番号NITE P-958)、Lactobacillus plantarum TO1001(受託番号NITE P-959)、Lactobacillus plantarum TO1002(受託番号NITE P-960)、Lactobacillus plantarum TO1003(受託番号NITE P-961)、Lactobacillus paraplantarum LOOC 2020(受領番号:NITE AP-1308)、Lactobacillus sakei SG171(受領番号:NITE AP-1309)、またはLactobacillus casei LOOC82(受領番号:NITE AP-1310)であるLactobacillus属乳酸菌株。

【請求項4】
フェルラ酸、バニリン、ヒドロキシフェルラ酸、カプサイシン、4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニルグリコールヘミピペラジニウム塩(MHPG)、DL-ノルメタネフリン(Normetanephrine)塩酸塩、DL-4-ヒドロキシ-3-メトキシマンデル酸(VMA)、3-メトキシチラミン(3MT)塩酸塩、ホモバニリン酸(HVA)、バニリン酸(VA)、ホモバニリルアルコール(MOPET)、メタネフリン(Metanephrine)塩酸塩、グアイアコール、4-メトキシフェノール、ギンゲロール、ショウガオール、バニリン酸ジエチルアミド、イソオイゲノール、イソバニリン酸、o-バニリン、トランスフェルラ酸、イソフェルラ酸、イソクレオソール、4-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-3-ブテン-2-オン、ヘスペレチン、3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)プロピオン酸、イソバニリルアルコール、クレオソール、o-バニリン酸、バニリン酸メチル、メチル-3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)プロピオン酸塩、5-ニトログアイアコール、スコポレチン、シリビン、バニリルアルコール、バニリン酸エチル、コニフェリルアルコール、およびオイゲノールからなる群より選択される少なくとも1つの化合物またはそれらの塩もしくは溶媒和物を含む、請求項1~のいずれか1項に記載のLactobacillus属乳酸菌株の増殖のための組成物。

【請求項5】
前記菌株は請求項に記載の菌株である請求項4に記載の組成物。

【請求項6】
前記化合物がフェルラ酸である、請求項4に記載の組成物。

【請求項7】
前記菌株はLactobacillus plantarum TO1002(受託番号NITE P-960)である、請求項4に記載の組成物。

【請求項8】
請求項1~3のいずれか1項に記載の菌株を含むプロバイオティクス組成物。

【請求項9】
請求項1~3のいずれか1項に記載の菌株と請求項4に示される化合物またはそれらの塩もしくは溶媒和物とを組み合わせたシンバイオティクス組成物。

【請求項10】
前記化合物は、体内で存在する場合に前記菌株の1×10コロニー形成単位(cfu)あたり少なくとも10μMで含まれる請求項9に記載の組成物。

【請求項11】
請求項1~3のいずれか1項に記載の菌株と組み合わせて使用するための、請求項4に示される化合物またはそれらの塩もしくは溶媒和物を含むプレバイオティクス組成物。

【請求項12】
グアイアコール骨格を有する化合物および/または4-メトキシフェノールによって増殖活性が上昇する乳酸菌を選択する方法であって、該方法は、
A)乳酸菌を含む試料を提供する提供工程;
B)硫酸マグネシウム(MgSO)、硝酸アンモニウム(NHNO)、塩化カリウム(KCl)、D-(+)-グルコース、リン酸二水素カリウム(KHPO)およびウシ血清を含む培地中で、グアイアコール骨格を有する化合物および/または4-メトキシフェノールの存在下または不存在下で該試料を培養する培養工程;および
C)該化合物の不存在下で増殖せず、かつ、存在下において増殖したか、または該化合物の存在下において不存在下よりも増殖が促進された菌株を分離する分離工程
を包含する、方法。

【請求項13】
前記硫酸マグネシウムは、1.16~1.74mM、前記硝酸アンモニウムは、8.02~9.81mM、前記塩化カリウムは、3.83~5.74mM、前記D-(+)-グルコースは3.96~39.64mM、前記リン酸二水素カリウムは、2.09~3.14mM、および前記ウシ血清は15~30%で前記培地中に存在し、前記培地はpHが6.0~7.0である、請求項12に記載の方法。

【請求項14】
前記培養工程は、32~48時間実施される、請求項12に記載の方法。

【請求項15】
前記培養工程は、25~40℃で実施される、請求項12に記載の方法。

【請求項16】
前記培養工程は、0~5%CO、および1~20%Oの条件下で実施される、請求項12に記載の方法。

【請求項17】
前記乳酸菌は、Lactobacillus plantarum、Lactobacillus paraplantarum、Lactobacillus sakeiおよびLactobacillus caseiからなる群より選択される種に属する、請求項12に記載の方法。

【請求項18】
前記試料は、5×10~5×10コロニー形成単位/wellの間で前記乳酸菌を含む、請求項17に記載の方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録


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