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デジタルホログラフィ装置 新技術説明会

国内特許コード P130008469
整理番号 S2012-0732-N0
掲載日 2013年1月11日
出願番号 特願2012-122460
公開番号 特開2013-246424
登録番号 特許第6040469号
出願日 平成24年5月29日(2012.5.29)
公開日 平成25年12月9日(2013.12.9)
登録日 平成28年11月18日(2016.11.18)
発明者
  • 粟辻 安浩
  • 田原 樹
  • 下里 祐輝
  • 夏 鵬
出願人
  • 国立大学法人京都工芸繊維大学
発明の名称 デジタルホログラフィ装置 新技術説明会
発明の概要 【課題】広範囲で高精度の計測が可能なデジタルホログラフィ装置を提供する。
【解決手段】デジタルホログラフィ装置1Aは、被写体の参照光の位相シフト量が異なるホログラム情報を含む並列位相シフトホログラムから参照光の強度分布を減算した参照光減算ホログラムを生成する参照光減算器2と、演算器3と、フーリエ変換器4と、再生器5とを備える。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


本明細書において、位相の単位はラジアンで表すこととする。



(デジタルホログラフィの背景)
医療進歩を実現する有力な手段の一つである顕微鏡での細胞観察、及び、各種精密機器・加工機などの高精度化・高精密化・多様化に伴う物体の3次元形状・歪等の高度な計測や解析と、各種燃料を使用する燃焼装置の高効率化を実現するための燃焼室の観測と、地震や津波などの自然災害を考慮した各種建築物の耐負荷特性など物体の3次元変位・応力計測や解析等は、ますますその重要性を増し、様々な測定・解析法が開発されている。



上記測定法のうち、光の干渉を利用した干渉計測技術、特にデジタルホログラフィは、非接触かつ非破壊で物体の3次元変位や応力などの情報を得ることができるため、近年、注目を集めている測定法の一つとなっている。



(デジタルホログラフィの原理)
図12は、非特許文献1に開示された従来のデジタルホログラフィ装置の構成を示す模式図である。デジタルホログラフィは、3次元物体への光照射によって得られる干渉パターン(干渉縞)から、コンピュータを用いて3次元物体の像を再生する技術である。具体的には、図12に示すように、3次元物体(被写体)への光照射によって得られる物体光と、上記物体光に対して可干渉である参照光とが作る干渉パターンを、CCD(charge coupled device)等の撮像素子を用いて記録し、この記録された干渉パターンに基づいて、コンピュータで回折積分し、3次元物体の像を再生する(非特許文献1)。



(逐次位相シフトデジタルホログラフィ)
図13は、従来の他のデジタルホログラフィ装置の構成を示す模式図である。デジタルホログラフィ装置では、干渉パターンを記録する撮像素子は画素密度が低く(画素間隔が長く)、また、参照光のCCDカメラの撮像面に対して入射角が垂直から斜めになればなるほど干渉パターンの明暗の干渉パターンの間隔が狭くなるので、干渉パターンを正確に撮像するために、干渉パターンの明暗の間隔ができるだけ広くなるようにCCDカメラの撮像面に対して参照光をほぼ垂直に入射させる。すなわち、CCDカメラの撮像面には、参照光と物体光とがほぼ同じ方向から入射する。



そのため、干渉パターンをフレネル変換して得られる再生像は、0次回折像および±1次回折像が重なったものとなり、被写体の鮮明な再生像を得る、つまり+1次回折像のみあるいは-1次項のみを得ることが困難となっている。



そこで、0次回折像および±1次回折像を分離し、高精度な再生像を得るために、図13に示すように、参照光の位相を複数段階にシフトさせ、それぞれの位相の参照光から得られた複数の干渉パターンから所望の再生像を得る位相シフト法(「逐次位相シフトデジタルホログラフィ」と呼ぶ)という技術が提案された(非特許文献2)。



しかし、この逐次位相シフトデジタルホログラフィでは、上記複数位相の参照光に対する干渉パターンを複数回に分けて逐次に撮像した後に計算処理しなければならない。このため、少しでも動きを伴う物体の観測を行うことは極めて困難で、ましてや動体観測を瞬時にリアルタイムで行うことはできないという問題を有していた。



(従来法1)
図14は、従来のさらに他のデジタルホログラフィ装置の機能を示す模式図である。図14のデジタルホログラフィ装置は物体光と参照光の干渉像を撮像するのは同様であるが、上記図13に示した逐次位相シフトデジタルホログラフィに対し、図14に示すように、本発明者らにより、物体光と複数位相の参照光に対するホログラムの情報(干渉パターンI、I、I、I)を同図中に示すように例えばモザイク状に1回の撮像で取得し、リアルタイムで、しかも不要な像成分を除去した鮮明な被写体の3次元情報を得るための並列位相シフトデジタルホログラフィ(従来法1)が考案された(非特許文献3)。ここで、3次元情報は、被写体の3次元の形状、位置または分布の情報を含む。



本発明者らは、光源から出射された光をその進行方向に垂直な平面上において互いに位相が異なる複数種類の参照光に分割する位相シフトアレイ素子を有し、上記複数種類の参照光と物体光との複数種類の干渉パターンを、CCDカメラなどの撮像面にモザイク状に1回で結像させ、記録したホログラムから同位相の参照光に対する複数種類の干渉パターンを抽出して、それぞれの干渉パターンの情報が抜けた箇所を補間処理により充填して、各位相の参照光に対する干渉パターンを完成させ、完成させた干渉パターンから位相シフト法で物体光の複素振幅分布を求めることにより、リアルタイムで、しかも不要な像成分を除去した鮮明な被写体の再生画像を得られるデジタルホログラフィ装置を提案している(特許文献1)。



図15は、従来法1に係る像再生アルゴリズムを示す模式図である。また、本発明者らは、上記のデジタルホログラフィ装置において撮像される4種類の干渉パターンの一つは原理上、4分の1の画素に対する情報しかないので、若干、再生画像の鮮明さに欠点があることを解決するために、光源から出射された光をその進行方向に垂直な平面上において互いに位相が異なる2種類の参照光に分割する位相シフトアレイ素子を有し、上記2種類の参照光と物体光の2種類の干渉パターンのみと、計測前に取得した参照光の強度分布とにより、被写体の再生画像の画質を更に向上させたデジタルホログラフィ装置を提案している(特許文献2)。



本明細書においては、このように参照光の位相シフト量を変えた複数のホログラム情報を1回の撮像で取得し、補間によって各ホログラムを完成することにより、リアルタイムで動体の3次元像を再生する技術を「従来法1」という。



しかし、この従来法1では、(1)0次回折光の残存、(2)残留共役像の残存がかなり少なくなったが十分ではなく、また、(3)補間処理に伴う計測範囲(視野)の狭窄という問題があり、これらの3点により再生画像の劣化が依然として問題として残存した。これら(1)(2)(3)の問題を解決するために(4)処理時間を考慮しながら研究を進めた。



(従来法2)
図16は、従来法2に係る像再生アルゴリズムを示す模式図である。本明細書においては、前述した(3)補間処理に伴う計測範囲(視野)の狭窄を小さくすることと、(4)処理時間をできるだけ短くするという課題の解決に対応して、複数位相のモザイク状のホログラムから、情報の欠落している画素の補間処理なしで位相シフト法にて計算することによって1種類の複素振幅分布を得る技術を「従来法2」という。



本発明者らは、補間処理を施さなくとも、位相シフト量の異なる近傍画素を用いた位相シフト法計算処理により1枚の複素振幅分布を得ることができることに着目し、補間処理なしで近接する2画素で位相シフト法計算を行い、1種類の物体光の複素振幅分布を求めた(例えば図16において左図の破線部内の2画素で右図の破線部の画素の複素振幅を求めた)。これにより、従来法1の方法で起こる補間誤差がないため補間処理に伴う計測範囲(視野)の狭窄の問題を緩和することができるリアルタイムで被写体の再生画像を得られるデジタルホログラフィ装置を本発明者らは提案した(非特許文献4)。

産業上の利用分野


本発明は、被写体の参照光の位相シフト量が異なる複数のホログラム情報を含む並列位相シフトホログラムから参照光の位相シフト量が異なる第1ホログラム及び第2ホログラムを抽出し、参照光の強度分布と第1ホログラムと第2ホログラムとに基づく複素振幅をフーリエ変換し、フーリエ変換された複素振幅を逆フーリエ変換し、回折積分して被写体の3次元像を再生するデジタルホログラフィ装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
被写体の参照光の位相シフト量が異なるホログラム情報を含む並列位相シフトホログラムから前記参照光の強度分布を減算した参照光減算ホログラムを生成する参照光減算手段と、
前記参照光減算ホログラムから前記参照光の位相シフト量が異なる第1ホログラム及び第2ホログラムを抽出し、前記参照光の強度分布と前記第1ホログラムと前記第2ホログラムとに基づき複素振幅を求める演算手段と、
前記複素振幅をフーリエ変換するフーリエ変換手段と、
前記フーリエ変換手段によりフーリエ変換された複素振幅を逆フーリエ変換し、回折積分して前記被写体の3次元像を再生する再生手段とを備えたことを特徴とするデジタルホログラフィ装置。

【請求項2】
前記並列位相シフトホログラム及び前記参照光の強度分布はメモリに記録されており、
前記参照光減算手段は、前記メモリに記録された並列位相シフトホログラムから前記メモリに記録された参照光の強度分布を減算する請求項1に記載のデジタルホログラフィ装置。

【請求項3】
前記フーリエ変換手段によりフーリエ変換された複素振幅の所定の空間周波数領域の空間スペクトルを透過させる空間フィルタリング手段をさらに備え、
前記再生手段は、空間フィルタリング手段を透過した空間スペクトルを逆フーリエ変換し、回折積分して前記被写体の3次元像を再生する請求項1に記載のデジタルホログラフィ装置。

【請求項4】
前記参照光減算ホログラムから前記参照光の位相シフト量が異なる第1ホログラム及び第2ホログラムを抽出し、前記第1ホログラム及び第2ホログラムをそれぞれN種類の方向(Nは1以上の整数)の近傍画素を用いた位相シフト法計算処理によりN種類の複素振幅を生成するN種類複素振幅生成手段をさらに備え、
前記フーリエ変換手段は、前記N種類複素振幅生成手段により生成された前記N種類の複素振幅をフーリエ変換し、
前記フーリエ変換手段によりフーリエ変換されたN種類の複素振幅から空間周波数帯域幅の広い複素振幅を選択するか、又は、前記空間周波数帯域幅に従って前記N種類の複素振幅を重み付けをすることにより、空間スペクトル成分を抽出して空間スペクトル分布を生成する空間スペクトル分布生成手段をさらに備え、
前記再生手段は、前記空間スペクトル分布生成手段により生成された空間スペクトル分布を逆フーリエ変換し、回折積分して前記被写体の3次元像を再生する請求項1に記載のデジタルホログラフィ装置。

【請求項5】
被写体の参照光の位相シフト量が異なるホログラム情報を含む並列位相シフトホログラムから前記参照光の位相シフト量が異なる第1ホログラム及び第2ホログラムを抽出し、前記参照光の強度分布と前記第1ホログラムと前記第2ホログラムとに基づき複素振幅を求める演算手段と、
前記複素振幅をフーリエ変換するフーリエ変換手段と、
前記フーリエ変換手段によりフーリエ変換された複素振幅の所定の空間周波数領域の空間スペクトルを透過させる空間フィルタリング手段と、
前記空間フィルタリング手段を透過した複素振幅を逆フーリエ変換し、回折積分して前記被写体の3次元像を再生する再生手段とを備えたことを特徴とするデジタルホログラフィ装置。

【請求項6】
被写体の参照光の位相シフト量が異なるホログラム情報を含む並列位相シフトホログラムから前記参照光の強度分布を減算した参照光減算ホログラムを生成する参照光減算手段をさらに備え、
前記演算手段は、前記参照光減算ホログラムから前記参照光の位相シフト量が異なる第1ホログラム及び第2ホログラムを抽出し、前記参照光の強度分布と前記第1ホログラムと前記第2ホログラムとに基づき複素振幅を求める演算する請求項5に記載のデジタルホログラフィ装置。

【請求項7】
前記並列位相シフトホログラムから前記参照光の位相シフト量が異なる第1ホログラム及び第2ホログラムを抽出し、前記第1ホログラム及び第2ホログラムをそれぞれN種類の方向(Nは1以上の整数)の近傍画素を用いた位相シフト法計算処理によりN種類の複素振幅を生成するN種類複素振幅生成手段をさらに備え、
前記フーリエ変換手段は、前記N種類複素振幅生成手段により生成された前記N種類の複素振幅をフーリエ変換し、
前記フーリエ変換手段によりフーリエ変換されたN種類の複素振幅から空間周波数帯域幅の広い複素振幅を選択するか、又は、前記空間周波数帯域幅に従って前記N種類の複素振幅を重み付けをすることにより、空間スペクトル成分を抽出して空間スペクトル分布を生成する空間スペクトル分布生成手段をさらに備え、
前記再生手段は、前記空間スペクトル分布生成手段により生成された空間スペクトル分布を逆フーリエ変換し、回折積分して前記被写体の3次元像を再生する請求項5に記載のデジタルホログラフィ装置。

【請求項8】
被写体の参照光の位相シフト量が異なるホログラム情報を含む並列位相シフトホログラムから前記参照光の位相シフト量が異なる第1ホログラム及び第2ホログラムを抽出し、前記第1ホログラム及び第2ホログラムをそれぞれN種類の方向(Nは2以上の整数)の近傍画素を用いた位相シフト法計算処理によりN種類の複素振幅を生成するN種類複素振幅生成手段と、
前記N種類複素振幅生成手段により生成された前記N種類の複素振幅をフーリエ変換するフーリエ変換手段と、
前記フーリエ変換手段によりフーリエ変換されたN種類の複素振幅から空間周波数帯域幅の広い複素振幅を選択するか、又は、前記空間周波数帯域幅に従って前記N種類の複素振幅を重み付けをすることにより、空間スペクトル成分を抽出して空間スペクトル分布を生成する空間スペクトル分布生成手段と、
前記空間スペクトル分布生成手段により生成された空間スペクトル分布を逆フーリエ変換し、回折積分して前記被写体の3次元像を再生する再生手段とを備えたことを特徴とするデジタルホログラフィ装置。

【請求項9】
前記空間スペクトル分布生成手段は、前記N種類の方向のうち、前記複素振幅の中心をとおって前記方向に垂直な直線に対する距離が最小の方向に対応する複素振幅の空間スペクトル成分を抽出する請求項8に記載のデジタルホログラフィ装置。

【請求項10】
被写体の参照光の位相シフト量が異なるホログラム情報を含む並列位相シフトホログラムから前記参照光の強度分布を減算した参照光減算ホログラムを生成する参照光減算手段をさらに備え、
前記N種類複素振幅生成手段は、前記参照光減算ホログラムから前記参照光の位相シフト量が異なる第1ホログラム及び第2ホログラムを抽出し、前記第1ホログラム及び第2ホログラムをそれぞれN種類の方向(Nは2以上の整数)の近傍画素を用いた位相シフト法計算処理によりN種類の複素振幅を生成する請求項8に記載のデジタルホログラフィ装置。

【請求項11】
前記フーリエ変換手段によりフーリエ変換されたN種類の複素振幅の所定の空間周波数領域の空間スペクトルを透過させる空間フィルタリング手段をさらに備え、
前記空間スペクトル分布生成手段は、前記空間フィルタリング手段を透過したN種類の複素振幅空間周波数帯域幅の広い複素振幅を選択するか、又は、前記空間周波数帯域幅に従って前記N種類の複素振幅を重み付けをすることにより、空間スペクトル成分を抽出して空間スペクトル分布を生成する請求項8に記載のデジタルホログラフィ装置。
国際特許分類(IPC)
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