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スピン依存伝達特性を有する電界効果トランジスタ及びそれを用いた不揮発性メモリ

国内特許コード P130008502
整理番号 K020P33-3
掲載日 2013年1月30日
出願番号 特願2012-209700
公開番号 特開2013-016854
登録番号 特許第5451840号
出願日 平成24年9月24日(2012.9.24)
公開日 平成25年1月24日(2013.1.24)
登録日 平成26年1月10日(2014.1.10)
優先権データ
  • 特願2003-062453 (2003.3.7) JP
  • 特願2003-164398 (2003.6.9) JP
発明者
  • 菅原 聡
  • 田中 雅明
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 スピン依存伝達特性を有する電界効果トランジスタ及びそれを用いた不揮発性メモリ
発明の概要 【課題】ソース及びドレインにハーフメタルを用いたトランジスタを提供する。
【解決手段】一方のスピンに対し金属的スピンバンド構造を、他方のスピンに対し半導体的スピンバンド構造をとるハーフメタルからなり、スピン偏極した伝導キャリアを注入する強磁性ソースと、注入されたスピン偏極した伝導キャリアを受けるハーフメタルからなる強磁性ドレインと、強磁性ソースと強磁性ドレインとの間に設けられた半導体層と、強磁性ソースと半導体層との間及び強磁性ドレインと半導体層との間に設けられた金属層と、半導体層に対して形成されるゲート電極と、ソース及びドレインに対して形成された非磁性コンタクトと、を有し、金属層は、半導体層との界面において、ショットキー接合を形成し、非磁性コンタクトのフェルミエネルギーは、それぞれ強磁性ソース及び強磁性ドレインの半導体的スピンバンドのバンドギャップ中を横切るトランジスタ。
【選択図】図12
従来技術、競合技術の概要



近年の高度情報化社会の発展は目覚しく、特に最近では“モバイル機器”を媒介として急速に民間に広がってきている。“モバイル機器”という大きな需要は今後の半導体産業の要になりうると認識されているが、この対応には半導体集積回路の高速化・低消費電力化・大容量化といった従来通りの高性能化に加え、情報の不揮発といった新たな要求に応じる必要が生じる。このような要求に対して、不揮発高密度記録として優れた強磁性体ストレージ技術と半導体集積エレクトロニクス技術とを融合させた新しいメモリデバイスが注目を集めている。このデバイスは磁気ランダムアクセスメモリ(magnetoresistive random access memory;以下、「MRAM」と称する。)と呼ばれ、薄い絶縁性のトンネル障壁を強磁性電極で挟み込んだ構造を持つ強磁性トンネル接合(magnetic tunnel junction;以下「MTJ」と称する)をその記憶素子として用いる(例えば、K.Inomata,“Present and future of magnetic RAM technology”,IEICE Trans.Electron.Vol.E84-C,pp740-746,2001.参照)。





MTJでは強磁性電極間の相対的な磁化の方向によってトンネル抵抗が異なる。これをトンネル磁気抵抗(tunneling magnetoresistance;以下「TMR」と称する)効果と呼ぶ。TMRを用いれば、強磁性体の磁化状態を電気的に検出することが可能となる。従って、MTJの存在によって強磁性体による情報の不揮発ストレージ技術を半導体集積エレクトロニクスに理想的に取り込むことが可能となる。





以下、図10を参照して従来技術の一例について説明する。図10に示すように、MRAMのメモリセル100では、1ビットのメモリセルを、1つのMTJ101と1つの金属-酸化物-半導体電界効果トランジスタ(以下「MOSFET」と称する。)103とにより構成する方法が主に用いられる。MTJ101は、第1の強磁性電極105と、第2の強磁性電極107と、両者の間に設けられた絶縁体により形成されたトンネル障壁(絶縁体)108とからなるトンネル接合である。





MOSFET103のソース(S)を接地(GND)し、ドレイン(D)をMTJ101の一方の強磁性電極107にプラグPLなどを用いて接続する。MTJ101の他方の強磁性電極105はビット線BLに接続し、書き換え用ワード線111は、MTJ101の直上または直下でMTJ101及び他の配線と、絶縁膜115により電気的に絶縁した状態でビット線BLと交差するように配置する。読み出し用ワード線WLはMOSFET103のゲート電極Gに接続する。





強磁性体では、磁化の方向を不揮発に保持することができるので、MTJでは強磁性電極間の相対的な磁化状態を平行磁化または反平行磁化にすることによって、2値の情報を不揮発に記憶することができる。また、MTJではTMR効果によって2つの強磁性電極間における相対的な磁化状態でトンネル抵抗が異なる。よって、平行磁化、反平行磁化といった磁化状態に対応したトンネル抵抗を用いればMTJ内の磁化状態を電気的に検出することができる。





情報の書き換えは、MTJ101における2つの強磁性電極105、107の保持力を変えておくか、一方の強磁性電極の磁化方向を固定しておき、保持力の小さな強磁性電極または磁化方向の固定されていない強磁性電極を磁化反転させることによって行う。以下、磁化反転を行う強磁性電極をフリー層、磁化反転を行わない強磁性電極をピン層と呼ぶ。具体的には、選択セル上で交差するビット線BLと書き換え用ワード線111とのそれぞれに電流を流し、それぞれの電流によって誘起される磁界の合成磁界によって選択されたメモリセル100内のMTJ101の磁化状態を平行磁化または反平行磁化に変化させる。この際、選択したセルと同一のビット線BLまたは書き換え用ワード線111を有する非選択セルが磁化反転しないように、一方の配線のみからの磁界では非選択セルのMTJ101が磁化反転をしないようにそれぞれの配線に流す電流値を設定しておく。情報の読出しは、選択セルに接続された読み出し用のワード線WLに電圧を印加してMOSFET103を導通させてから、ビット線BLを介して読み出し用の駆動電流をMTJ101に流す。MTJ101では、TMR効果によって平行磁化または反平行磁化の磁化状態に依存してトンネル抵抗が異なるため、読出し用の駆動電流によるMTJ101における電圧降下(以下、「出力電圧」と呼ぶ)を検出すれば磁化状態を判定することができる(K.Inomata,“Present and future of magnetic RAM technology”,IEICE Trans.Electron.Vol.E84-C,pp740-746,2001.参照)。

産業上の利用分野



本発明は、新規なトランジスタに関し、より詳細には、スピン依存伝達特性を有する電界効果トランジスタ及びそれを用いた不揮発性メモリに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
強磁性体であって、一方のスピンに対しては金属的なバンド構造(以下、「金属的スピンバンド」と称する。)を、他方のスピンに対しては半導体的又は絶縁体的なバンド構造(以下、「半導体的スピンバンド」と称する。)をとるハーフメタルからなり、スピン偏極した伝導キャリアを注入する強磁性ソースと、
該強磁性ソースから注入されたスピン偏極した前記伝導キャリアを受けるハーフメタルからなる強磁性ドレインと、
前記強磁性ソースと前記強磁性ドレインとの間に設けられた半導体層と、
前記半導体層に対して形成されるゲート電極と、
前記強磁性ソース及び前記強磁性ドレインに対して形成され、それぞれ非磁性金属または非磁性伝導体からなるコンタクト(以下、「非磁性コンタクト」と称する。)と、
を有し、
前記金属的スピンバンドと前記半導体層との間にショットキー障壁が形成され、
前記非磁性コンタクトのフェルミエネルギーは、それぞれ前記強磁性ソース及び前記強磁性ドレインの前記半導体的スピンバンドのバンドギャップ中を横切ることを特徴とするトランジスタ。

【請求項2】
前記強磁性ソースと前記半導体層との間、および、前記強磁性ドレインと前記半導体層との間に、金属層または別の半導体層を具備することを特徴とする請求項1に記載のトランジスタ。

【請求項3】
前記強磁性ソース及び前記強磁性ドレインにおいて、前記半導体層がnチャネルの場合、前記金属的スピンバンドと前記半導体層との間に形成された前記ショットキー障壁の高さより、前記フェルミエネルギーと前記半導体的スピンバンドの伝導バンド底のエネルギーとの差が大きく、前記半導体層がpチャネルの場合、前記金属的スピンバンドと前記半導体層との間に形成された前記ショットキー障壁の高さより、前記フェルミエネルギーと前記半導体的スピンバンドの価電子バンド頂上のエネルギーとの差が大きいことを特徴とする請求項1または2に記載のトランジスタ。

【請求項4】
前記強磁性ソースと前記強磁性ドレインとの相対的な磁化状態が平行磁化である場合に、前記強磁性ソースの前記金属的スピンバンドから前記半導体層へ注入された前記伝導キャリアが前記強磁性ドレインの前記金属的スピンバンドを伝導することができ、
前記強磁性ソースと前記強磁性ドレインとの相対的な磁化状態が反平行磁化である場合に、前記強磁性ソースの前記金属的スピンバンドから前記半導体層へ注入された前記伝導キャリアが前記強磁性ドレインにおける前記半導体的スピンバンドによるエネルギー障壁によって伝導が抑制されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のトランジスタ。

【請求項5】
前記強磁性ドレインと前記強磁性ソースとの間にバイアスが印加され、かつ前記ゲート電極と前記強磁性ソースとの間に、前記半導体層がnチャネルの場合にはしきい値電圧以下前記半導体層がpチャネルの場合にはしきい値電圧以上の電圧が印加された場合、前記一方のスピンに対しては前記金属的スピンバンドと前記半導体層との間に形成された前記ショットキー障壁によって前記伝導キャリアの前記半導体層への注入が抑制され、前記他方のスピンに対しては前記半導体的スピンバンドの障壁によって前記伝導キャリアの前記半導体層への注入が抑制され、
前記強磁性ドレインと前記強磁性ソースとの間にバイアスが印加され、かつ前記ゲート電極と前記強磁性ソースとの間に、前記半導体層がnチャネルの場合にはしきい値電圧より大きく前記半導体層がpチャネルの場合にはしきい値電圧より小さい電圧が印加された場合、前記一方のスピンに対しては前記伝導キャリアが前記金属的スピンバンドと前記半導体層との間に形成された前記ショットキー障壁をトンネルおよび熱放出の少なくとも一方により越えて前記半導体層に注入され、前記他方のスピンに対しては前記半導体的スピンバンドの障壁によって前記半導体層への注入が抑制されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のトランジスタ。

【請求項6】
前記伝導キャリアの伝導型が前記半導体層と同じ場合(以下、「蓄積チャネル型」と称する。)において、前記伝導キャリアが電子の場合では前記金属的スピンバンドによる前記金属的スピンバンドと前記半導体層との間に形成された前記ショットキー障壁は伝導バンド側に生じ、前記伝導キャリアが正孔の場合では前記金属的スピンバンドによる前記金属的スピンバンドと前記半導体層との間に形成された前記ショットキー障壁は価電子バンド側に生じることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のトランジスタ。

【請求項7】
前記伝導キャリアの伝導型が前記半導体層と異なる場合(以下、「反転チャネル型」と称する。)における、前記半導体層に反転層が形成されていない場合において、前記伝導キャリアが電子の場合では前記金属的スピンバンドと前記半導体層との間に形成された前記ショットキー障壁は価電子バンド側に生じ、前記伝導キャリアが正孔の場合では前記金属的スピンバンドと前記半導体層との間に形成された前記ショットキー障壁は伝導バンド側に生じることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のトランジスタ。

【請求項8】
前記ハーフメタルの前記半導体的スピンバンドのバンドギャップは前記半導体層のバンドギャップより大きいことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のトランジスタ。

【請求項9】
前記ハーフメタルにおける前記半導体的スピンバンドは前記半導体層に対してエネルギー障壁を形成し、前記伝導キャリアが電子の場合には、少なくとも伝導バンド側にエネルギー障壁を生じ、前記伝導キャリアが正孔の場合には、少なくとも価電子バンド側にエネルギー障壁を生じさせることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のトランジスタ。

【請求項10】
前記強磁性ソース及び前記強磁性ドレインは、前記半導体層に成長又は堆積により形成されることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のトランジスタ。

【請求項11】
前記半導体層におけるキャリアの伝導方向の長さ又は前記強磁性ソースと前記強磁性ドレインとの間の間隔として定義されるチャネル長として前記半導体層をキャリアがバリスティックに伝導できる長さを有するか、又は、前記チャネル長がキャリアのエネルギー緩和に対する平均自由行程以下であることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載のトランジスタ。

【請求項12】
請求項1から11までのいずれか1項に記載の1つのトランジスタを用いて、前記強磁性ソースに対する前記強磁性ドレインの相対的な磁化の方向によって情報を記憶し、前記強磁性ソースと前記強磁性ドレインとの相対的な磁化の方向に依存するトランジスタの伝達コンダクタンスに基づいて前記トランジスタ内に記憶された情報を検出することを特徴とする記憶素子。
産業区分
  • 半導体
  • 固体素子
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2012209700thum.jpg
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) さきがけ ナノと物性 領域
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