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アミロイドβペプチドをコードする遺伝子を含有したイネ

国内特許コード P130008524
掲載日 2013年2月7日
出願番号 特願2006-225403
公開番号 特開2008-048622
登録番号 特許第5105272号
出願日 平成18年8月22日(2006.8.22)
公開日 平成20年3月6日(2008.3.6)
登録日 平成24年10月12日(2012.10.12)
発明者
  • 吉田 泰二
  • 石浦 章一
  • 渡邊 雄一郎
出願人
  • 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
  • 石浦 章一
  • 渡邊 雄一郎
発明の名称 アミロイドβペプチドをコードする遺伝子を含有したイネ
発明の概要

【課題】アミロイドβペプチド(以下Aβという。)を産生するイネを遺伝子組換えにより作出することを課題とする。
【解決手段】Aβをコードする遺伝子が発現可能に導入されていることを特徴とするイネであり、前記AβはAβ40、又はAβ42、又は前記Aβ40又はAβ42のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列からなり体内において抗アミロイドβペプチド抗体を産生するタンパク質であることが好ましい。更に前記Aβをコードする遺伝子がアジュバント効果を持つタンパク質をコードする遺伝子との融合遺伝子であることが好ましく、前記アジュバント効果を持つタンパク質が蛍光タンパク質であることが好ましい。更に本発明は前記イネから生産されるAβ、及び該Aβを含有する食品、医薬品、または栄養補助剤である。
【選択図】図4

従来技術、競合技術の概要


アルツハイマー病は、脳血管性障害の後遺症と同様に認知症の原因として、介護問題、社会保険料問題等、様々の方面に影響を与えている。今後は、ますます高齢化社会となると予想され、痴呆の防止は、社会的にも経済的にも大きな課題となっている。アルツハイマー病は、大脳皮質にアミロイドβペプチド(以下、Aβということがある。)が沈着することにより発症すると考えられている(非特許文献1を参照。)。



アルツハイマー病の治療法の一つとして、ワクチンを用いる方法が考えられた。Aβワクチン療法は、Aβを投与して体内で抗Aβ抗体をつくらせる、又は、抗Aβ抗体を直接投与することにより、抗原抗体反応を介して脳内の老人斑を消失させるという免疫療法である。病態マウスを用いた動物試験では、凝集Aβを抗原として免疫させると、脳内のAβ沈着レベルの著しい低下とともに、記憶障害の低減、行動異常の改善が認められた(非特許文献2、及び3を参照。)。ヒトに対するワクチン療法の試験も既に行われ、Aβを筋肉注射する第一相臨床治験は問題なく終了した。ヒトに対しAβをサポニンアジュバントとともに筋肉注射する第二相臨床治験は、患者に髄膜脳炎症状の副作用が現れ、中断した(非特許文献4を参照。)。



そこで、より穏やかで副作用の少ない方法の開発が、緊急に求められている。例えば、遺伝子組換え植物にタンパク質を発現させて、食物ワクチンとする方法が考えられる。Aβ遺伝子を導入しペプチドを発現させた遺伝子組換えジャガイモを、アルツハイマー病モデルマウスに摂食させたところ、抗体の形成、Aβ沈着の抑制効果が確認された(非特許文献5を参照。)。



Aβを遺伝子組換え植物に蓄積させる実験は、ジャガイモで行われているが(非特許文献5、及び6を参照。)、Aβの蓄積量は、ジャガイモの可溶性タンパク質1gあたり18~50μg(非特許文献6を参照。)、及び77μg(非特許文献5を参照。)と微量である。



また、ウイルスベクターをピーマンで発現させAβを蓄積させることも可能であるが(非特許文献7を参照。)、ウイルス増殖、接種等の手間を考えると、遺伝子組換え作物が優れており、ピーマンの葉1gあたりの蓄積量は92~116μgと微量である。




【非特許文献1】Carlson G.A.: A welcoming environment for amyloid plaques. NatNeurosci. 6: 328-330 (2003)

【非特許文献2】Janus C., Pearson J., Mclaurin J.,Mathews P.M., Jiang Y., Schmidt S.D., Chishti M.A., Horne P., Heslin D., FrenchJ., Mount F.T., Nixon R.A., Mercken M., Bergeron C., Fraser P.E., StGeorge-Hyslop P., Westaway D.: Aβ peptide immunization reduces behavioral impairment and plaques in amodel of Alzheimer’s disease. Nature 408: 979-982 (2000)

【非特許文献3】Morgan D., Diamond D.M., Gottschall P.E., Ugen K.E., Dickey C.,Hardy J., Duff K., Jantzen P., DiCarlo G., Wilcock D., Connor K., Hatcher J.,Hope C., Gordon M., Arendash G.W.: Aβ peptidevaccination prevents memory loss in an animal model of Alzheimer’s disease.Nature 408: 982-985 (2000)

【非特許文献4】Check E.: Nerve inflammation halts trial for Alzheimer’s drug.Nature 415: 462 (2002)

【非特許文献5】Youm J.W., Kim H., Han J.H.L., Jang C.H., Ha H.J., Mook-Jung I, JeonJ.H. Choi C.Y., Kim Y.H., Kim H.S., Joung H.: Transgenic potato expressing Aβreduce Aβ burden in Alzheimer’s disease mouse model. FEBS Letters 579:6737-6744 (2005)

【非特許文献6】Kim H.-S., Euym J.-W., Kim M.-S., Lee B.-C., Mook-Jung I., JeonJ.-H., Joung H.: Expression of human amyloid-β peptide in transgenic potato.Plant Sci. 165: 1445-1451 (2003)

【非特許文献7】Szabo B., Hori K., Nakajima A., Sasagawa N., Watanabe Y., IshiuraS.: Expression of amyloid- β1-40 and 1-42 peptides in Capsicum annum var.angulosum for oral immunization. Assay and Drug Dev. Technol. 2: 383-388 (2004)

産業上の利用分野


本発明は、アミロイドβペプチドをコードする遺伝子を含有した遺伝子組換えイネに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
アミロイドβペプチドをコードする遺伝子とアジュバント効果を持つタンパク質をコードする遺伝子とが融合されて発現可能に導入され、イネ玄米1g当たりに130μg~390μgのアミロイドβペプチドが蓄積されているアルツハイマー病に対し食物ワクチン効果を有することを特徴とするイネ。

【請求項2】
前記アミロイドβペプチドが、アミロイドβペプチド40、又はアミロイドβペプチド42、又は前記アミロイドβペプチド40又はアミロイドβペプチド42のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列からなり体内において抗アミロイドβペプチド抗体を産生するタンパク質である請求項1に記載のイネ。

【請求項3】
前記アジュバント効果を持つタンパク質が蛍光タンパク質である請求項1又は請求項2に記載のイネ。

【請求項4】
前記蛍光タンパク質が緑色蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、青色蛍光タンパク質、又はこれらの誘導体のいずれかである請求項3に記載のイネ。

【請求項5】
前記イネが極早生稲品種である請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のイネ。

【請求項6】
請求項1乃至請求項5に記載のイネに由来し、アミロイドβペプチドとアジュバント効果を持つタンパク質との融合タンパク質を含有する植物個体、組織、カルス、及び細胞。

【請求項7】
請求項1乃至請求項5に記載のイネ、及び請求項6に記載の植物個体、組織、カルス、及び細胞から融合タンパク質を分離、精製するアミロイドβペプチドとアジュバント効果を持つタンパク質との融合タンパク質の生産方法。

【請求項8】
請求項1乃至請求項5に記載のイネ、及び請求項6に記載の植物個体、組織、カルス、及び細胞を用いた、アミロイドβペプチドとアジュバント効果を持つタンパク質との融合タンパク質を含有する食品、医薬品、または栄養補助剤。
産業区分
  • 農林
  • 食品
  • 有機化合物
  • 薬品
  • 微生物工業
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2006225403thum.jpg
出願権利状態 権利存続中


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