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操舵可能な駆動機構および全方向移動車 新技術説明会

国内特許コード P130008578
掲載日 2013年2月26日
出願番号 特願2011-519782
登録番号 特許第5376347号
出願日 平成22年6月15日(2010.6.15)
登録日 平成25年10月4日(2013.10.4)
国際出願番号 JP2010060078
国際公開番号 WO2010147100
国際出願日 平成22年6月15日(2010.6.15)
国際公開日 平成22年12月23日(2010.12.23)
優先権データ
  • 特願2009-146050 (2009.6.19) JP
発明者
  • 寺嶋 一彦
  • 大野 貴
  • 上野 祐樹
出願人
  • 国立大学法人豊橋技術科学大学
発明の名称 操舵可能な駆動機構および全方向移動車 新技術説明会
発明の概要 安定した操舵環境と、動力源の運用率を向上させ得る駆動機構およびこの駆動機構を利用した全方向移動車を提供する。
全方向移動車は、車体6と複数の車輪4a~4dを備え、複数の車輪のうち、2以上の車輪について、操舵可能な駆動機構を搭載する。駆動機構は、回転自在な操舵部1と、操舵部に支持される車輪4と、操舵部の中心線上の軸回りに回転する駆動体2と、操舵部の中心軸から偏心した位置で駆動体の回転力を車輪に伝達する出力軸3とを備える。駆動体は、正転方向に駆動される第一の駆動部22および逆転方向に駆動される第二の駆動部23が同軸上に配置される。出力軸は、第一の駆動部から駆動力の伝達を受ける第一の出力部71と、第二の駆動部の回転を変換して駆動力の伝達を受ける第二の出力部72とを備え、両出力部に拘束され、かつ出力部から得られる回転力を車輪に伝達する。
従来技術、競合技術の概要


わが国は、高齢化社会の到来とともに被介護者が増加する傾向となり、運動機能が低下した高齢者、特に、下半身の機能不全等の症状を有する高齢者にとっては、車椅子による移動が必要となっている。また、先天的に障害のある者や、事故等による中途障害者などにおいても、運動機能不全に伴って歩行が困難な状態の場合には車椅子が生活必需品となっている。通常の車椅子は、利用者自らが操作することもあるが、運動機能の低下が著しい利用者の多くは介護者に操作を委ねており、上記高齢者または障害者を介護する者の負担を軽減するために、電動の車椅子が開発されている。しかし、一般的な電動の車椅子は、旋回等に広いスペースが必要となり、十分な広さが確保されない場所(例えば、一般家屋や賃貸住宅など)での利用に不便を来すという問題点が指摘されていた。



他方、加工工場などの生産現場においては、工作機械の設置スペースおよび原材料の保存スペースなどを確保するために、フロアを広く使用することができず、作業者の移動は可能であるものの、運搬車が余裕をもって移動できない環境下にある場合も少なくない。そのため、生産現場では、コンベア等の搬送装置を多用するが、コンベア等による搬送に馴染まない部材(例えば、小型部品や切削粉など)については、床上移動が可能な運搬車によって搬送しており、狭いスペースでの搬送に適した移動車が切望されていた。



そこで、狭いスペースでも方向転換等が行えるように、全方向に移動することのできる車両の開発がなされている。この種の車両構造を大別すると、車輪を特殊な構造とするものと、車輪を操舵するものとが挙げられる。前者の車両構造としては、車輪本体を構成する外周リング(リムに相当する部分)に、当該外周リングを軸として回転自在な回転体が複数装着されたもの(特許文献1参照)、および、ホイールの外側接線方向に設けられたローラ軸に樽形分割ローラを配設したもの(特許文献2参照)があった。



上記構成の技術は、本来的な車輪のほかに、この車輪の外周に直交方向に回転可能な補助的な車輪(回転体または樽形ローラ)を備えたものであるため、前後方向のほかに左右方向に移動可能である。しかし、斜め方向に移動するときには、補助的な車輪が斜め方向に回転するものではなく、接地面との間で摩擦抵抗を受けることとなっていた。また、このような複雑な構造の車輪をモータにより駆動させるためには、装置全体が複雑になるという問題を内在するものであった。



他方、後者の車両構造としては、略平板状の旋回軸に設けられる歯車に噛合する旋回駆動モータの出力歯車によって車輪の向きを変更するもの(特許文献3参照)、および、車輪を支持する車輪支持部を旋回モータで回転させるもの(特許文献4参照)があった。



特許文献3は、旋回時のみ旋回駆動モータの出力歯車を旋回軸の歯車に噛合させる構成であり、通常走行時は、上記噛合を解除して旋回駆動モータの駆動力を車輪駆動に利用するものであった。しかし、上記構成によれば、旋回軸の歯車と駆動側の歯車とを噛合させる状態と、両者を切り離す状態とを交互に繰り返すこととなり、歯車を噛合させるときには、両歯が接触することとなっていた。その結果、歯欠け等を防止するためにモータ速度の変更等が要求されるものとなっていた(引用文献3の段落0010参照)。また、特許文献4は、旋回時と非旋回時との切り替えについて詳細が開示されていないものの、モー
タの入切を行うことによるのであれば、旋回用のモータについては使用頻度が少なく、モータの運用率が低くならざるを得なかった。



そこで、本発明者は、二つの動力源の出力を、複数の歯車機構を用いて合成・再分配することにより、車輪を駆動・操舵する機構を開発した(特許文献5参照)。この技術は、遊星歯車機構を用いた差動駆動操舵機構であり、サンギアとリングギアに挟まれたプラネタリギアが回転することにより、走行駆動を車輪に出力できるとともに、上記プラネタリギアがサンギアの回りを移動することにより、操舵を可能にするものであった。



従って、二種類のモータによりサンギアとリングギアを同時に回転させ、その回転数を制御することにより、プラネタリギアの回転および公転を実現化するものであって、全方向移動機構としては好適であった。しかし、サンギアとリングギアでは歯数が大きく異なるため、差動駆動における公転の状態に安定性を欠く可能性があった。すなわち、差動駆動を行う時には、歯数の多いリングギアの回転数を調整し、サンギアを基準にリングギアの回転数を増減させることが考えられるが、両ギアが高速で回転するときには、いずれか一方のギアの回転数を減じて操舵しなければならず、リングギアの回転数を減ずる場合は、歯数に応じた繊細な回転数の調整が可能であるが、サンギアの回転数を減ずる場合には、少しの変化により差動状態が大きく変化するということが考えられるのである。また、異なる回転数で回転するサンギアとリングギアを駆動するモータの消耗度も安定しない可能性があった。



なお、並列に配置した二つの車輪により一対の差動キャスタを形成し、両輪の回転数を制御することにより、当該キャスタが向きを変える構成とした技術もあり(特許文献6参照)、動力源としての一対のモータはキャスタ内にそれぞれ設けられ、一つのモータが同じ回転数の場合に直進し、回転数に差を設けるときに方向転換を可能にするものがあった。しかし、並列する二輪で構成されたものであるから、両輪に作用する摩擦抵抗の違いや走行面(床面または路面など)の状態の相違によって、制御回転数に従った推進力を得られるかどうかに問題があり、単一の車輪により構成される必要があった。

産業上の利用分野


本発明は、電動車椅子または自動運搬機等を全方向に移動させるための車両およびそのための操舵可能な駆動機構に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
回転自在な操舵部と、この操舵部に支持される車輪と、上記操舵部の中心
線上の軸回りに回転する駆動体と、上記操舵部の中心軸から偏心した位置に設けられ、上記駆動体から得られる回転力を上記車輪に伝達する出力軸とを備え、
上記駆動体は、正転方向に駆動される第一の駆動部および逆転方向に駆動される第二の駆動部が同軸上に配置されてなる駆動体であり、
上記出力軸は、上記第一の駆動部から駆動力の伝達を受ける第一の出力部と、上記第二の駆動部の回転を正転方向に変換する変換部から駆動力の伝達を受ける第二の出力部とを備え、上記第一および第二の出力部に拘束され、かつ出力部から得られる回転力を車輪に伝達する出力軸である
ことを特徴とする操舵可能な駆動機構。

【請求項2】
前記第一および第二の駆動部は、個別に回転数を制御してなる異なる動力源により個別に駆動力を得ることができる第一および第二の駆動部である請求項1記載の操舵可能な駆動機構。

【請求項3】
前記第一および第二の出力部は、前記第一および第二の駆動部の回転数が一致するとき、同じ回転数で回転する第一および第二の出力部である請求項1または2に記載の操舵可能な駆動機構。

【請求項4】
前記第一および第二の駆動部、前記変換部、並びに、前記第一および第二の出力部は、いずれも平歯車である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の操舵可能な駆動機構。

【請求項5】
前記第一の出力部の歯数に対する前記第一の駆動部の歯数の割合が、前記変換部の歯数に対する前記第二の駆動部の歯数の割合に一致し、前記変換部と前記第二の出力部の歯数が同数である請求項4に記載の操舵可能な駆動機構。

【請求項6】
前記車輪は、前記操舵部の回転軸からオフセット位置に接地点を有する車輪である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の操舵可能な駆動機構。

【請求項7】
前記車輪は、前記操舵部の回転軸からオフセット位置に接地点を有し、該オフセット量が、前記第一の出力部の歯数に対する前記第一の駆動部の歯数の割合を前記車輪の半径に乗じた長さである請求項5に記載の操舵可能な駆動機構。

【請求項8】
前記出力軸は、車輪側先端に傘歯車を備え、上記傘歯車に噛合する傘歯車を介して前記車輪に回転力を付与してなる出力軸である請求項1ないし7のいずれか1項に記載の操舵可能な駆動機構。

【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の操舵可能な駆動機構を搭載した全方向移動車であって、車体と複数の車輪を備え、複数の車輪のうち、2以上の車輪について前記駆動機構を搭載してなることを特徴とする全方向移動車。

【請求項10】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の操舵可能な駆動機構を搭載した車輪を有する全方向移動車であって、
車体と、4個の車輪と、車輪のそれぞれについて前記第一および第二の駆動部に対し個別に駆動力を付与する2個ずつのモータと、各モータの回転数を検出する回転数検出手段と、前記操舵軸の操舵角度を検出する角度検出手段と、各モータの回転数を制御する制御手段と、前記制御手段に指令を与える操作部とを備えたことを特徴とする全方向移動車。

【請求項11】
前記制御手段は、前記操作部の指令により、前記4個の車輪を個別に制御する制御部である請求項10に記載の全方向移動車。

【請求項12】
前記車体は、座席部を有する車椅子用の車体である請求項9ないし11のいずれかに記載の全方向移動車。

【請求項13】
前記車体は、所定容量の収容部を有する運搬用の車体である請求項9ないし11のいずれかに記載の全方向移動車。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 登録
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