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ペプチドおよびその自己集合方法、その集合体、これらを用いた細胞培養基材、並びに、細胞シートの製造方法

国内特許コード P130008608
掲載日 2013年3月5日
出願番号 特願2011-255269
公開番号 特開2012-126713
登録番号 特許第6004415号
出願日 平成23年11月22日(2011.11.22)
公開日 平成24年7月5日(2012.7.5)
登録日 平成28年9月16日(2016.9.16)
優先権データ
  • 特願2010-262497 (2010.11.25) JP
発明者
  • 前田 衣織
出願人
  • 国立大学法人九州工業大学
  • 株式会社E&Cヘルスケア
発明の名称 ペプチドおよびその自己集合方法、その集合体、これらを用いた細胞培養基材、並びに、細胞シートの製造方法
発明の概要 【課題】ペプチドにおいて、より低分子量でもコアセルベーション(自己集合)能を発現させうる手段を提供する。
【解決手段】
下記(a)または(b)のペプチドにより、上記課題は解決されうる:
(a)下記化学式1:



式中、nは、4~300の整数である、
で表されるペプチド;
(b)前記(a)のペプチドにおいて1または数個のアミノ酸が欠失、置換、および/または付加されてなるペプチドであって、温度依存性自己集合性を示すペプチド。
【選択図】図4
従来技術、競合技術の概要


人体をはじめとする動物組織を構成するタンパク質として、エラスチンが知られている。このエラスチンは、コラーゲンと同様に細胞外において機能する繊維状のタンパク質であり、ゴムのように伸縮する性質(弾性)を有していることから、組織への柔軟性の付与に関与している。このため、伸縮性が必要とされる組織・器官(ヒトでは例えば、皮膚の真皮、靱帯、腱、肺、血管壁など)に広く分布している。



このエラスチンは、生体内においてはまず、前駆体タンパク質であるトロポエラスチン(分子量約70,000)として血管平滑筋細胞や線維芽細胞で生合成される。トロポエラスチンは次いで、ミクロフィブリルと称される糖タンパク質の周囲や間隙に自己集合した後、分子間で適切に架橋されて不溶性のエラスチンとなる。生体内における正常なエラスチンの形成には、この第一段階であるトロポエラスチンの規則的な自己集合が重要であり、この自己集合の現象は「コアセルベーション」と称されている。つまり、正常なエラスチンの形成にはコアセルベーションが深く関与しているのである。



エラスチンのコアセルベーション特性は、試験管内において観察することができる(図1)。すなわち、トロポエラスチンやエラスチン由来ペプチドの水溶液は、低温(25℃以下)では透明で均一な溶液である。しかし、温度を体温(37℃)以上に上げていくと、分子が自己集合し、その結果溶液は白濁する。白濁した溶液を再度冷却すると透明な溶液へと戻るが、冷却せずにそのまま放置すると、溶液系は二層に分離する。具体的には、エラスチン分子をわずかしか含まない平衡溶液(上層)と、分子が濃縮されてなる粘性のコアセルベート層(下層)との二層に分離するのである。この層分離過程も可逆的であり、温度を25℃以下に下げると再び元の透明な均一溶液となる。この可逆的な自己集合・解離の特性が「コアセルベーション」であり、正常なエラスチンの線維形成や、さらには弾性機能の発現に重要な特性である。



エラスチンの前駆体であるトロポエラスチンの一次構造上の特徴は、疎水性アミノ酸を多く含む疎水性領域と、分子間の架橋に関わる架橋領域とが交互に繰り返されていることである。疎水性領域には様々な疎水性アミノ酸の繰り返し配列が存在し、その繰り返し配列の一つであるVal-Pro-Gly-Val-Gly(以下、「VPGVG」と略すこともある;また、本明細書において、アミノ酸配列は、N末端側からC末端側へと向かって、左から右へと記載する(以下同様))からなるペンタペプチド配列は、これまでに報告されているほとんど全ての動物種に存在する。また、この繰り返し配列を有する合成ポリペプチド(VPGVG)(n≧40)はコアセルベーション特性を示すことから、VPGVG繰り返し配列がエラスチンの弾性機能を担う配列であることが示唆されている。



このように、VPGVGの繰り返しアミノ酸配列を有するポリペプチドは、自己集合能を有することにより生体材料や薬物送達システム(DDS)用材料等の基盤素材としての利用価値が高い。しかしながら、当該ポリペプチドを工業的に利用するには高分子量のペプチドを合成する必要があり、時間およびコストがかかる。このため、これまでのところ工業的な利用はほとんどなされていない。なお、海外からの報告として、遺伝子的に合成されたIle-Pro-Gly-Val-Gly(以下、「IPGVG」と略すこともある)繰り返し配列を有するポリマーを生体材料に利用することが、Dan W. Urry教授によって提案されている(非特許文献1を参照)。ただし、その他の繰り返しアミノ酸配列を有するペプチドが工業的に有利であるとの報告はこれまでのところ存在しない。



また、各種細胞の培養に用いられる新規な細胞培養基材として、ポリN-イソプロピルアクリルアミド(PNIPAAm)等の高分子材料を用いることが広く行われている。しかしながら、この培養基材の製造過程において、微量の未重合のアクリルアミドモノマーがポリマー内に残留する可能性があることが厚生労働省より指摘され、生体に適用する際の材料の安全性が問題視されている。一方、上述したトロポエラスチンやエラスチン由来ペプチドを単独で細胞培養基材として用いることについては、従来、知られていない。

産業上の利用分野


本発明は、ペプチドおよびその自己集合方法、その集合体、これらを用いた細胞培養基材、並びに、細胞シートの製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
下記(a)または(b)のペプチド:
(a)下記化学式1:
【化1】


式中、nは、4~300の整数である、
で表されるペプチド;
(b)前記(a)のペプチドにおいて1~個のアミノ酸が欠失、置換、および/または付加されてなるペプチドであって、温度依存性自己集合性を示すペプチド。

【請求項2】
nが4~10の整数である、請求項1に記載のペプチド。

【請求項3】
配列番号2~配列番号6のいずれかのアミノ酸配列で表される、請求項2に記載のペプチド。

【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のペプチドを溶解した水溶液を加熱する工程を含む、ペプチドを自己集合させる方法。

【請求項5】
請求項1~3のいずれか1項に記載のペプチドが自己集合してなる、ペプチド集合体。

【請求項6】
請求項1~3のいずれか1項に記載のペプチドまたは請求項5に記載のペプチド集合体を含む、細胞培養基材。

【請求項7】
請求項6に記載の細胞培養基材を用いて細胞を培養する培養工程と、
培養された細胞を含む細胞シートを回収する回収工程と、
を含む、細胞シートの製造方法。

【請求項8】
前記回収工程が、培養物を冷却して前記細胞培養基材を液化させた後に、前記細胞シートを回収する工程を含む、請求項7に記載の製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2011255269thum.jpg
出願権利状態 登録
詳細は、下記「問合せ先」まで直接お問い合わせください。


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