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導電性セルロース系繊維材料の製造方法 コモンズ 新技術説明会

国内特許コード P130008626
整理番号 FU513
掲載日 2013年3月6日
出願番号 特願2013-039080
公開番号 特開2014-167187
登録番号 特許第6095159号
出願日 平成25年2月28日(2013.2.28)
公開日 平成26年9月11日(2014.9.11)
登録日 平成29年2月24日(2017.2.24)
発明者
  • 島田 直樹
  • 小形 信男
  • 中根 幸治
  • 山口 新司
出願人
  • 国立大学法人福井大学
発明の名称 導電性セルロース系繊維材料の製造方法 コモンズ 新技術説明会
発明の概要 【課題】本発明は、セルロース系繊維材料に導電性を付与して耐久性を有する導電性セルロース系繊維材料を製造することのできる製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る導電性セルロース系繊維材料の製造方法は、アルカリ金属水酸化物を含む水溶液によりセルロース系繊維材料を膨潤させる膨潤工程と、銅イオンを含む化合物を溶解させた水溶液によりセルロース系繊維材料の外周部及び内部に銅イオンを含浸させる含浸工程と、セルロース系繊維材料に含浸させた銅イオンを硫化物イオンを含む化合物を溶解させた水溶液により硫化還元させてセルロース系繊維材料の外周部及び内部に硫化銅からなる微粒子を生成させる硫化還元工程とを含む。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要



従来より、繊維に導電性を付与する方法として、アセチレンカーボンブラック等の導電性フィラーを繊維に練りこんで導電性繊維を製造する方法が提案されている。こうした導電性繊維の製造方法は、コストが比較的安く、しかも量産化にも適しているため、多くの産業分野で広く使用されている。例えば、静電複写機に用いられる帯電用、除電用ブラシとして、このような導電性繊維が広く実用化されている。





従来のブラシ式帯電装置のブラシに用いる原糸としては、導電性カーボンブラックを再生セルロースに均一分散した導電性再生セルロース系繊維(例えば、特許文献1及び2参照)が使用されている。こうした導電性再生セルロース系繊維は、導電性カーボン粒子の連鎖による電気導通性能に限界があり、帯電防止性能レベルの102Ω・cm以下の体積固有抵抗に至らない基本的な問題点があった。さらに、添加したカーボン微粒子はその粒子径をいかに小さくしても2次凝集を防ぐことは極めて困難であったので、繊維製糸性が悪く、凝集状態のカーボンが再生セルロースの環境による性能変化に対して敏感に影響を受ける欠点を有していた。また、紡糸練り込みの場合、カーボンブラックを高濃度に均一分散させる必要があるが、数μm~数十μmのカーボン等の導電性フィラー紡糸原液中でフィラーの凝集や沈降のため均一な分散は実質的に難しい。そのため、繊維が脆く、ブラシとしての機械的物性に劣ることなどの問題点があった。また、マトリックス高分子がナイロンやポリエステル、オレフィン等の合成高分子の熱可塑性樹脂材料の場合、複写機等では定着時の加熱によって内部の温度が高温になることから、これら用途に使用される導電性繊維には長時間にわたって熱を受けても変形しないことが要求されている。そのため、耐熱性を有するセルロースは重要な高分子材料であった。





また、近年、携帯電話や電子機器の飛躍的な普及に伴い、これらの機器から漏洩する電磁波の人体への影響や他の電子機器への誤動作等の問題が取り沙汰されている。こうした電磁波を遮蔽する遮蔽材として導電性布帛が用いられている。遮蔽材として用いる場合には、より高い導電性能が必要であり、体積固有抵抗が102Ω・cm以下とはならない導電性フィラーの練り込み繊維等は電磁波の遮蔽性能を発現させることはできない。





軽量で柔軟性のある合成繊維からなる布帛表面に金属被膜を形成させて導電性を付与することが広く知られており、真空蒸着法、スパッタリング法、無電解メッキ法等によって金属被膜を形成することが可能である。しかしながら、このような方法で作られた金属被膜は、耐摩耗性や耐候性、長期使用に伴う化学的変化による物性劣化といった問題があり、こうした問題に対する一層の改善が求められている。





アクリル系繊維の導電性付与方法として、塩化第二銅などの銅化合物を繊維表面に吸着させた後、これを硫化物で還元処理することにより、繊維表面に導電性を示す硫化銅薄膜層を形成させる技術が知られている(例えば特許文献3及び4参照)。こうした導電性付与方法では、繊維の表面に存在するシアノ基やメルカプトン基の銅イオン捕捉基を介して硫化銅が繊維に対して5~15質量%程度結合されており、繊維表面に導電性を有する薄膜層が形成されることで10-1Ω・cm以下の高い導電性能を示すようになる。しかしながら、得られた導電性繊維は100nm程度の極めて薄い表面の硫化銅層のみで、メッキ層や蒸着膜と同様に、耐摩耗性や耐候性、長期使用に伴う摩耗や化学的変化に対する耐久性に問題があった。さらに、繊維の表面に存在するシアノ基やメルカプトン基等は一価の銅イオン捕捉能に優れているため、処理工程中において二価の銅塩をわざわざ一価の銅イオンに還元する必要性があり、その分コストが高くなる問題もある。以上のように、アクリル系繊維に対する従来の導電性付与方法は、コスト負担が大きく実用化を図る上で制約が大きいという課題がある。





上述のカーボンフィラー練り込み繊維は、技術的には中程度の導電性(102Ω・cm~1010Ω・cm)のものしか得られず、化学メッキや金属メッキ繊維では高い導電性(10-2~10-6Ω・cm)を有するものしか得られない。そのため、面状発熱体、ストリーマ(火花放電)の発生しない電磁波遮蔽材、センサー類といった製品に要求されている約102Ω・cm~10-2Ω・cmの繊維材料を得ることは困難であった。





近年、CNT(カーボンナノチューブ)分散液をバインダー等に配合して糸条や布帛にコーティングする方法が提案されている。CNTは凝集力が非常に強く、高分子中に練り込み分散させることは、カーボン微粒子よりさらに困難であるため、分散液に配合する方法が採用されている(例えば、特許文献5参照)。性能的には、体積固有抵抗が1.0×10-2Ω・cm~1.0×102Ω・cmとなる。こうした体積固有抵抗の範囲の繊維材料は、金属電線代替発熱体、ストリーマの発生しない帯電防止用導電性繊維材料、非鉄金属製導電性繊維による電磁波遮蔽材、またはスマートテキスタイル等の電気信号回路用導電繊維材料といった用途に好適である。しかしながら、CNTを使用する場合、CNT等のナノ材料を使用する場合の安全性が十分確立されておらず、実用化には至っていないのが現状である。その点、上述した硫化銅を用いる導電性付与方法は、CNTを用いる導電性付与方法に比べて安全性に対するリスクは小さい。





最近では,硫化銅ナノ微粒子を繊維中に微細に分散させ,導電性に優れたPVA(ポリビニルアルコール)系繊維を作製する方法も提案されている(例えば、特許文献6から8参照)。この方法によれば、体積固有抵抗が1.0×10-3~1.0×108Ω・cmの値を示す導電性繊維を製造することが可能であるが、PVA系繊維内部で形成される硫化銅粒子は粒子径が認識できる形状であり、微粒子が析出できるのはPVAの重合度や結晶化度の低いものだけであるため、ほぼ形状の類似した微粒子しか形成することができなかった。そのため、結晶化度の低いPVA系繊維では、熱水中で溶解したり、縮んだりするといった問題がある。

産業上の利用分野



本発明は、セルロース系繊維材料に対して導電性を付与する導電性セルロース系繊維材料の製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
アルカリ金属水酸化物を含む水溶液によりセルロース系繊維材料を膨潤率20質量%~300質量%で膨潤させる膨潤工程と、銅イオンを含む化合物を濃度5g/リットル~70g/リットルで溶解させた水溶液によりセルロース系繊維材料の外周部及び内部に銅イオンを含浸させる含浸工程と、硫化物イオンを含む化合物を濃度5g/リットル~120g/リットルで溶解させた水溶液によりセルロース系繊維材料に含浸させた銅イオンを硫化還元させてセルロース系繊維材料の外周部に長さ200nm以下の棒状の硫化銅からなる微粒子及び内部に平均粒子径50nm以下の不定形の硫化銅からなる微粒子を生成させる硫化還元工程とを含む導電性セルロース系繊維材料の製造方法。

【請求項2】
前記膨潤工程は、前記含浸工程と並行して行われる請求項1に記載の導電性セルロース系繊維材料の製造方法。

【請求項3】
前記含浸工程は、水溶液に濃度0g/リットル~70g/リットルのカルボン酸が含まれている請求項1又は2に記載の導電性セルロース系繊維材料の製造方法。

【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の導電性セルロース系繊維材料の製造方法により得られた体積固有抵抗値が1.0×10-2~1.0×102Ω・cmである導電性セルロース系繊維材料。

【請求項5】
請求項4に記載の導電性セルロース系繊維材料を含む布帛。

【請求項6】
請求項5に記載の布帛を含む面状発熱体。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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