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ステンレス鋼の製造方法

国内特許コード P130008645
整理番号 S2012-0993-N0
掲載日 2013年3月11日
出願番号 特願2012-225346
公開番号 特開2014-077172
登録番号 特許第5836911号
出願日 平成24年10月10日(2012.10.10)
公開日 平成26年5月1日(2014.5.1)
登録日 平成27年11月13日(2015.11.13)
発明者
  • 佐藤 公法
出願人
  • 国立大学法人 東京学芸大学
発明の名称 ステンレス鋼の製造方法
発明の概要 【課題】希少資源元素を添加することなく、クロム炭化物析出による経時劣化が抑制され、硬度も維持又は高められたマルテンサイトステンレス鋼の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】ステンレス鋼の製造方法は、C:1.20重量%以下、Si:5.00重量%以下、Mn:10重量%以下、P:0.200重量%以下、S:0.060重量%以下又は0.10重量%以上、Ni:28.00重量%以下、Cr:11.00~32.00重量%、Mo:7.00重量%以下、Cu:1.00~5.00重量%以下、N:0.30重量%以下、残部:Fe及び不可避な不純物元素からなる組成を有する基材素材を混合するステップと、前記基材素材の混合物を溶融して基材を得るステップと、前記基材の溶体化処理を行うステップと、前記基材を、毎分135℃以上の速度で、面心立方相が安定となる相転移温度以上まで昇温するステップと、を備える。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要



ステンレス鋼は、FeにCrやNiなどの物質を添加してさびにくくした鉄鋼である。JIS規格で規定されるオーステナイト系ステンレス鋼(SUS201、SUS202、SUS301、SUS302、SUS303、SUS303Se、SUS303Cu、SUS304、SUS304L、SUS304N1、SUS304N2、SUS304LN、SUS304J3、SUS305、SUS309S、SUS310S、SUS316、SUS316L、SUS316N、SUS316LN、SUS316Ti、SUS316J1、SUS316J1L、SUS316F、SUS317、SUS317L、SUS317LN、SUS317J1、SUS836L,SUS890L、SUS321、SUS347、SUSXM7、SUSXM15J1)、フェライト系ステンレス鋼(SUS405、SUS410L、SUS430、SUS430F、SUS434、SUS447J1、SUSXM27)、マルテンサイト系ステンレス鋼(SUS403、SUS410、SUS410J1、SUS410F2、SUS416、SUS420J1、SUS420J2、SUS420F、SUS420F2、SUS431、SUS440A、SUS440B、SUS440C、SUS440F)の組成の範囲は、おおむね、C:1.20重量%以下、Si:5.00重量%以下、Mn:10重量%以下、P:0.200重量%以下、S:0.060重量%以下又は0.10重量%以上、Ni:28.00重量%以下、Cr:11.00~32.00重量%、Mo:7.00重量%以下、Cu:1.00~5.00重量%以下、N:0.30重量%以下、残部:Fe及び不可避な不純物元素である(非特許文献1)。





ステンレス鋼の製造においては、この組成の範囲で基材素材を混合し、その混合物を溶融して基材が得られる。そして、多くの場合、基材の組成を均質化させることを目的として、基材の溶体化処理が行われる。この溶体化処理は、基材の高温相が安定となる相転移温度以上の高温に一定時間保持し、常温まで降温する処理をいい、ステンレス素材の場合、例えば、基材を約1050℃で80分間程度加熱し、その後常温まで降温する処理がよく知られている(非特許文献2)。





溶体化処理が行われた基材の硬度をさらに上げるための加工方法の一つに、焼き入れがある。ステンレス鋼は、相転移温度よりも高温では面心立方相が安定であり、低温では体心立方相が安定である。通常使われているステンレス鋼(C:2.1重量%以下)の相転移温度は、727℃~910℃である(非特許文献3)。常温で安定な体心立方相はすべり系の転位が多いため、すべり変形が起きやすく、硬度が低い。一方、相転移温度以上に加熱した面心立方相の高温ステンレス鋼を、水や油に浸すことで常温まで急速に降温すると、多くの欠陥を含んだ体心立方相であるマルテンサイトステンレス鋼が得られる。





ここで「マルテンサイトステンレス鋼」とは、一般的には、多くの欠陥を含んだ体心立方相(マルテンサイト相)のステンレス鋼を言い、マルテンサイト系ステンレス鋼(マルテンサイト相を準安定相とする組成のステンレス鋼)とは異なるものである。





マルテンサイトステンレス鋼は、結晶が各所で歪んでいるために、すべり変形が起きにくく、硬度が高い特徴を持つ。このように、欠陥を結晶に導入して材料の硬度を上げる熱処理は、焼き入れと言われる。





マルテンサイトステンレス鋼は、高温・高圧の環境で使われることが多いが、高温環境下で使用されると、応力腐食割れ、クリープ、再熱割れなどの経時劣化が起こることが知られている。経時劣化の主な原因の一つに結晶粒界におけるクロム炭化物の生成がある(特許文献1)。クロム炭化物は、過飽和状態で含まれる炭素が、その歪を解消するために、材料中のクロムと化合物を形成し、ステンレスの結晶粒界に析出することで形成されることが知られている。クロム炭化物の生成により、隣接部分にクロム欠乏層が形成され、結晶粒界近傍の耐食性が低下して、経時劣化に進展する(特許文献1)。





マルテンサイトステンレス鋼の経時劣化を抑制する技術が求められ、経時劣化を抑制するために、Crよりも原子半径の大きい元素を添加物質として含有させる方法(特許文献1、特許文献2)が知られている。

産業上の利用分野



本発明は、所定の組成を有する基材素材からステンレス鋼を製造するステンレス鋼の製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
C:0.08重量%以下、Si:1.00重量%以下、Mn:2.00重量%以下、P:0.045重量%以下、S:0.030重量%以下、Ni:8.00~10.50重量%、Cr:18.00~20.00重量%、残部:Fe及び不可避な不純物元素からなる組成を有する基材素材を混合するステップと、
前記基材素材の混合物を溶融して基材を得るステップと、
前記基材を高温相が安定する相転移温度以上に保持し、その後前記基材を毎分35℃以下の速度で、相転移温度以下である常温まで降温する溶体化処理ステップと、
前記溶体化処理ステップ終了直後に前記基材を毎分135℃以上の速度で昇温することによって、体心立方の一部から面心立方相を生成するステップと、
前記昇温するステップ終了直後に前記基材を毎秒10℃以の速度で、常温まで降温するステップと、
を備えることを特徴とするステンレス鋼の製造方法。
産業区分
  • 合金
国際特許分類(IPC)
画像

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JP2012225346thum.jpg
出願権利状態 登録


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