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新規微生物およびその利用

国内特許コード P130008921
整理番号 PG08S01JP
掲載日 2013年4月2日
出願番号 特願2008-183702
公開番号 特開2010-022214
登録番号 特許第5339339号
出願日 平成20年7月15日(2008.7.15)
公開日 平成22年2月4日(2010.2.4)
登録日 平成25年8月16日(2013.8.16)
発明者
  • 中村 省吾
  • 田中 大祐
  • 近藤 武志
  • 安井 幸平
  • 久志本 眞夫
出願人
  • 国立大学法人富山大学
発明の名称 新規微生物およびその利用
発明の概要

【課題】炭化水素、脂肪酸エステルおよびアルカノールアミンの分解活性を有する微生物および該微生物を用いた環境浄化技術を提供する。
【解決手段】炭化水素、脂肪酸エステルおよびアルカノールアミンの分解能を有しアシネトバクター属(Acinetobacter sp.)に属する微生物。該微生物を用いた炭化水素類などを含有する土壌、海水環境などの汚染物質の処理方法。
【選択図】図8

従来技術、競合技術の概要


近年、各種油類による海洋や土壌等の汚染が非常に深刻な環境問題となっているが、このような汚染は大型タンカーの海難事故や油田事故、各種工業プラントの事故等により引き起こされることが多く、いずれの場合も莫大な量の油が流出することになり、大規模な環境被害をもたらしている。このような流出油の除去処理は困難を要し、その有効な処理技術の確立は緊急の課題として研究開発が行われてきた。



石油汚染を微生物により分解除去しようとする試みがなされてきたが、実用化のためには、解決しなければならない問題が多く残されている。例えば、石油類でも軽質油分は微生物が比較的容易に分解するが、石油汚染において特に問題となる重油等の重質油は難分解性であり、これらによる海洋汚染や、油田、ガソリンスタンド等の石油供給設備や石油精製所等からの石油漏出による土壌汚染などもまた自然環境を歪め、海上及び陸上の生態系に著しい悪影響を及ぼすことが知られている。これらの汚染油類は自然環境下に存在する微生物によって分解除去され、無害化されると考えられているが、それには長い年月を要するため、効率的に分解できる新しい微生物を見出す努力がなされてきた。
また、一般家庭、商店、事業所ならびに工場などから排出された油脂類や油以外の廃棄物がもたらす環境破壊もまた問題視され、近年では、焼却や化学的処理に代わる方法として、環境に優しい処理法として自然環境に生育している微生物を利用するバイオレメディエーションによる環境浄化法が検討されている。



従来の微生物を利用した炭化水素の分解処理方法としては、例えば、効率よく芳香族炭化水素を含む環状炭化水素を分解することができるロドコッカス属(Rhodococcus sp.)に属するグラム陽性桿菌により廃油などの芳香族炭化水素を分解する技術が提案されている(特許文献1)。また、海水の塩濃度までの幅広い塩濃度において石油類の分解活性に優れた微生物であるハヘラ属(Hahella sp.)に属する微生物により海洋を汚染した石油類を処理する方法が提案されている(特許文献2)。こうした炭化水素類を含有する処理対象である、水(海水を含む)、土壌、または生ゴミなどの各種の汚泥や動植物性残渣中には炭化水素と油脂類が混在していることがしばしばあるが、油脂を含む廃棄物をそのまま微生物によって生物学的処理することは難しく、食品工場、外食産業並びにホテルなどに設けられている微生物による排水または廃棄物処理設備にみられるように、例えば、油脂を含む排水処理に際しては事前に排水中に含まれる油脂分の除去が必要とされることがあった。



こうした油脂による汚染問題点を解決する技術として、油脂類の分解活性を示す微生物であるシュードモナス属(Pseudomonas sp.)に属する微生物により油脂含有排水を処理する方法(特許文献3)が提案され、また、アシネトバクター属(Acinetobacter sp.)に属し、油脂分解能を有する微生物により、飲食品店や食品工場から排出される廃棄物や排水を処理する技術(特許文献4)が提案されている。
さらに、鉱物油や動植物油などの各種油類を分解できる新規なハロモナス属(Halomonas sp.)に属する微生物が提案され(特許文献5)、また、エンジンオイルなどの油や油脂類を炭素源が存在しなくても分解することが可能なアシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumanni)により、好気性条件下で油と接触させる油の分解方法(特許文献6)が提案されている。このように、炭化水素と油脂類を共に分解することができる微生物が提案されてきた。




【特許文献1】特開2004-113197号公報

【特許文献2】特開2005-261310号公報

【特許文献3】特開2001-178451号公報

【特許文献4】特開2004-166533号公報

【特許文献5】特開2001-544304号公報

【特許文献6】特開2006-296382号公報

産業上の利用分野


本発明は、炭化水素、脂肪酸エステルおよびアルカノールアミンの分解能を有する新規微生物ならびにその利用に関するものであり、さらに詳しくは、重油などの炭化水素、食用油などの高級脂肪酸エステルおよびエタノールアミンなどのアルカノールアミンの分解能を有しアシネトバクター属(Acinetobacter sp.)に属する微生物、この微生物を使用した炭化水素、高級脂肪酸エステルまたはアルカノールアミンの処理剤および処理方法に関するものである。本発明は、石油、食用油や工業油などによる汚染をバイオレメディエーションにより浄化する新規な技術を提供するものであり、例えば、食品工場、大型厨房、家庭などからの排水処理、工業油による土壌汚染、石油による海洋汚染に至るまで広範囲な応用を可能とする有用な環境浄化技術である。

特許請求の範囲 【請求項1】
炭化水素、脂肪酸エステルおよびアルカノールアミンの分解能を有するアシネトバクター Ud-4(受託番号 NITE P-604)からなるアシネトバクター サイクロトレーランスに属する微生物。

【請求項2】
下記の菌学的性質を有する請求項1に記載のアシネトバクター サイクロトレーランスに属する微生物。
(1)形態的、培地上の特徴
細胞の形態:短桿状(短径0.5-0.8μm、長径1.0-2.0μm)
運動性:陰性
菌体系状:短桿菌
コロニーの色調:白色
コロニーの形態:円形
コロニーの透明度:不透明
コロニーの表面:滑らか
(2)生理学的性質
グラム染色:陰性
硝酸塩還元:陰性
インドール産生:陰性
グルコース(酸):陰性
アルギニンジヒドロラーゼ:陰性
ウレアーゼ:陰性
エスクリン:陰性
ゼラチン液化:陽性
p-ニトロフェニル-β-D-ガラクトピラノシド:陰性
オキシダーゼ:陰性
(3)同化・吸収特性
グルコース:陰性
L-アラビノース:陰性
D-マンノース:陰性
D-マンニトール:陰性
N-アセチル-D-グルコサミン:陰性
マルトース:陰性
グルコン酸カリウム:陰性
n-カプリン酸:陽性
アジピン酸:陰性
dL-マレイン酸:陽性
クエン酸ナトリウム:陰性
酢酸フェニル:陰性

【請求項3】
16SrDNAが、配列表に記載の部分塩基配列を有する請求項1または2に記載のアシネトバクター サイクロトレーランスに属する微生物。

【請求項4】
請求項1からのいずれかに記載のアシネトバクター サイクロトレーランスに属する微生物を含有することを特徴とする炭化水素、脂肪酸エステルまたはアルカノールアミンの処理剤。

【請求項5】
請求項に記載の処理剤を、炭化水素、脂肪酸エステルまたはアルカノールアミン含有物質と接触させることを特徴とする該物質中に存在する炭化水素、脂肪酸またはアルカノールアミンの処理方法。

【請求項6】
炭化水素、脂肪酸エステルまたはアルカノールアミン含有物質が土壌、廃棄物、海洋流出重油、排水、または動植物残渣である請求項に記載の処理方法。

【請求項7】
食塩の存在下に炭化水素、脂肪酸エステルまたはアルカノールアミン含有物質の処理が行われる請求項またはに記載の処理方法。
産業区分
  • 微生物工業
  • 処理操作
  • 衛生設備
  • 廃水処理
  • 廃棄物処理
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2008183702thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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