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不斉脱水縮合剤 コモンズ

国内特許コード P130008949
掲載日 2013年4月3日
出願番号 特願2012-227249
公開番号 特開2014-080371
登録番号 特許第5963140号
出願日 平成24年10月12日(2012.10.12)
公開日 平成26年5月8日(2014.5.8)
登録日 平成28年7月8日(2016.7.8)
発明者
  • 國嶋 崇隆
  • 北村 正典
  • 山田 耕平
  • 正木 一将
出願人
  • 国立大学法人金沢大学
発明の名称 不斉脱水縮合剤 コモンズ
発明の概要 【課題】本発明は、多様な溶媒中で使用可能な新規な不斉脱水縮合剤、及びそれを用いるキラル有機酸の速度論的光学分割方法を提供する。
【解決手段】本発明は、式:



[式中、各記号は本明細書中で定義した通りである。]
で表される化合物及びその光学活性体に関し、また、該光学活性体を不斉脱水縮合剤として用いるキラル有機酸の速度論的光学分割方法に関する。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要



近年、光学活性化合物の需要は飛躍的に増大しており、特に製薬業界において医薬中間体としての需要が高まっている。このため、光学活性化合物を効率よく得る方法の開発研究が世界中で活発に行われている。光学活性化合物を得る方法の一つに光学分割法がある。光学分割法には優先結晶法、ジアステレオマー分割法、速度論的分割法などが知られている。優先結晶法は適用範囲が狭いため、得られる化合物に大きな制限がある。ジアステレオマー分割法は化学量論量の分割剤が必要な上、多段階を要し、操作が煩雑であるなどの問題点があった。一方、速度論的分割法は、光学活性触媒を用いて反応を行うことにより、ラセミ体とエナンチオマー間で反応速度差が生じることを利用して、特定のエナンチオマーだけを優先的に反応させて光学分割をする手法であり、主に酵素を用いた分割方法が実用化されており、光学活性なアミノ酸やアルコールなどを得る有効な手段となっている。しかしながら、一般に酵素を用いた速度論的分割は、反応に長時間を要する上、高い光学収率を得るためには、基質の濃度を希薄にする必要があり、大量の光学活性化合物を得るには問題が残されていた。





化学的手法による速度論的光学分割法の研究例はいくつか報告されている。α-アミノ酸などのキラルなカルボン酸誘導体のラセミ体を化学的に光学分割する方法として、シンコナアルカロイド誘導体を触媒として用いるウレタン保護アミノ酸-N-カルボキシ無水物のアルコリシスによる光学分割方法が報告された(非特許文献1)。この方法は、触媒の選択により高い効率で光学分割を行える場合があるが、シンコナアルカロイド誘導体の合成は概して難しく、価格が高く入手が困難な物質であるため、大量の光学分割を行うには不向きである。また、上記方法は、基質濃度を高めて光学分割を行うと、エナンチオマー選択性が低下する問題も有している。





キラルなアミンのラセミ体を化学的に光学分割する方法として、下記式(1)(非特許文献2)及び式(2)(非特許文献3)で表されるような触媒的不斉アシル化反応による光学分割方法が報告されている。





【化1】








【化2】








しかし、これらはいずれもアシル化剤としてカルボン酸そのものではなく、脂溶性の酸無水物やエステルを用いた上で、非プロトン性の有機溶媒中、極低温で行われなければならないため、不斉アミド化反応としては実用性に乏しい方法であった。





最近、Kaminskiらにより化学量論量の不斉脱水縮合剤及び0.1当量の塩基存在下、ラセミ体のN-保護アミノ酸とL体のC-保護アミノ酸との反応からなるエナンチオ選択的なペプチド合成反応(式(3))が報告された(非特許文献4)。しかし、当該反応には、光学活性なキラル3級アミンが化学量論量以上必要であり、且つ予め調製された不斉脱水縮合剤を使用する必要がある。また、プロトン性溶媒(THF-tert-BuOH)中では、高い選択性は得られていない。さらに、当該反応で用いられる光学活性なキラル3級アミンであるストリキニーネは有毒な化合物であるため、実用的な方法とはいえない。





【化3】




産業上の利用分野



本発明は、キラル光学活性第三級アミンとトリアジン誘導体から調製される新規なキラル光学活性第四級アンモニウム化合物、及び該化合物からなる不斉脱水縮合剤に関する。本発明はまた、上記不斉脱水縮合剤を用いるキラル有機酸のラセミ体の新規な速度論的光学分割方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
式(I):
【化1】


[式中、
は、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアラルキル基又は置換されていてもよい芳香環基を示し、
は、置換されていてもよいC1-6アルキル基を示し、
Yは、単結合、酸素原子、硫黄原子、NR(ここで、Rは、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアラルキル基または置換されていてもよい芳香環基を示す。)、PR(ここで、Rは、置換されていてもよいアルキル基または置換されていてもよい芳香環基を示す。)、Si(R)(R10)(ここで、R及びR10は、独立してそれぞれ、置換されていてもよいアルキル基又は置換されていてもよい芳香環基を示す。)又はC(R11)(R12)(ここで、R11及びR12は、独立してそれぞれ、置換されていてもよいアルキル基又は置換されていてもよい芳香環基を示すか、又はR11及びR12はそれらが結合する炭素原子と一緒になって置換されていてもよい環状炭化水素基を形成してもよい。)を示し、
は、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアルキニル基又は置換されていてもよい環状基を示し、
、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアルキニル基、置換されていてもよいアルキル-カルボニル基、置換されていてもよいアルコキシ-カルボニル基、カルバモイル基、モノ若しくはジC1-6アルキルアミノ-カルボニル基、ホルミル基、シアノ基、置換されていてもよいアルコキシ基又は置換されていてもよい環状基を示すか、或いはR-Y且つR、及び/又はR且つRはそれらが結合するベンゼン環と共に縮合環を形成してもよく、並びに
-は、求核性がないか、又は求核性が低い対アニオンを示す。]
で表される化合物。

【請求項2】
式(I)で表される化合物が、式(I’):
【化2】


[式中の各記号は、前記と同意義を示す。]で表される化合物、式(I’’):
【化3】


[式中の各記号は、前記と同意義を示す。]で表される化合物、又はそれらの混合物である、請求項1記載の化合物。

【請求項3】
が、置換されていてもよいC1-3アルキル基である、請求項1又は2記載の化合物。

【請求項4】
が、1乃至3個のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-3アルキル基である、請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物。

【請求項5】
Yが、単結合である、請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物。

【請求項6】
が、置換されていてもよいアルキニル基又は置換されていてもよいアリール基である、請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物。

【請求項7】
が、アリール基により置換されていてもよいC2-6アルキニル基又は1乃至3個のハロゲン原子により置換されていてもよいC6-10アリール基である、請求項6記載の化合物。

【請求項8】
且つRが、それらが結合するベンゼン環と共にナフタレン環を形成してなる、請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物。

【請求項9】
-が、フルオリド、クロリド、ブロミド、ヨージド、置換されていてもよいアルキルスルホナート、置換されていてもよいアリールスルホナート、ペルクロラート、テトラフルオロボラート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアンチモナート、テトラフェニルボラート及びアルセナートからなる群より選択される対アニオンである、請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物。

【請求項10】
-が、クロリド又はトリフルオロメタンスルホナートである、請求項9記載の化合物。

【請求項11】
が、置換されていてもよいC1-3アルキル基であり、
が、1乃至3個のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-3アルキル基であり、
Yは、単結合であり、
が、1乃至3個のハロゲン原子により置換されていてもよいC6-10アリール基であり、
が、水素原子であり、
且つRは、それらが結合するベンゼン環と共にナフタレン環を形成し、及び
-が、クロリド又はトリフルオロメタンスルホナートである、請求項1記載の化合物。

【請求項12】
が、置換されていてもよいC1-3アルキル基であり、
が、1乃至3個のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-3アルキル基であり、
Yは、単結合であり、
が、アリール基により置換されていてもよいエチニル基であり、
が、水素原子であり、
且つRは、それらが結合するベンゼン環と共にナフタレン環を形成し、及び
-が、クロリド又はトリフルオロメタンスルホナートである、請求項1記載の化合物。

【請求項13】
下記式:
【化4】


で表される化合物又はその光学異性体。

【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物からなる脱水縮合剤。

【請求項15】
請求項2~13のいずれか1項に記載の化合物又はその光学異性体からなる不斉脱水縮合剤。

【請求項16】
不斉脱水縮合剤が、不斉アミド化触媒である、請求項15記載の不斉脱水縮合剤。

【請求項17】
不斉脱水縮合剤が、不斉エステル化触媒である、請求項15記載の不斉脱水縮合剤。

【請求項18】
式(I):
【化5】


[式中、
は、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアラルキル基又は置換されていてもよい芳香環基を示し、
は、置換されていてもよいC1-6アルキル基を示し、
Yは、単結合、酸素原子、硫黄原子、NR(ここで、Rは、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアラルキル基又は置換されていてもよい芳香環基を示す。)、PR(ここで、Rは、置換されていてもよいアルキル基又は置換されていてもよい芳香環基を示す。)、Si(R)(R10)(ここで、R及びR10は、独立してそれぞれ、置換されていてもよいアルキル基又は置換されていてもよい芳香環基を示す。)又はC(R11)(R12)(ここで、R11及びR12は、独立してそれぞれ、置換されていてもよいアルキル基又は置換されていてもよい芳香環基を示すか、又はR11及びR12はそれらが結合する炭素原子と一緒になって置換されていてもよい環状炭化水素基を形成してもよい。)を示し、
は、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアルキニル基又は置換されていてもよい環状基を示し、
、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアルキニル基、置換されていてもよいアルキル-カルボニル基、置換されていてもよいアルコキシ-カルボニル基、カルバモイル基、モノ若しくはジC1-6アルキルアミノ-カルボニル基、ホルミル基、シアノ基、置換されていてもよいアルコキシ基又は置換されていてもよい環状基を示すか、或いはR-Y且つR、及び/又はR且つRはそれらが結合するベンゼン環と共に縮合環を形成してもよく、並びに
-は、求核性がないか、又は求核性が低い対アニオンを示す。]
で表される化合物の製造方法であって、
式(II):
【化6】


[式中の各記号は、上記と同意義である。]
で表される化合物と、式(III):
【化7】


[式中、Xは、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキルスルホニロキシ基又は置換されていてもよいアリールスルホニロキシ基であり、Rは、上記と同意義である。]
で表される化合物とを反応溶媒中で反応させる工程を含む、製造方法。

【請求項19】
式(I)で表される化合物が、式(I’):
【化8】


[式中の各記号は、前記と同意義を示す。]で表される化合物、式(I’’):
【化9】


[式中の各記号は、前記と同意義を示す。]で表される化合物、又はそれらの混合物であり、且つ式(II)で表される化合物が、式(II’):
【化10】


[式中の各記号は、上記と同意義である。]
で表される化合物、式(II’’):
【化11】


[式中の各記号は、上記と同意義である。]
で表される化合物、又はそれらの混合物である、請求項18記載の方法。

【請求項20】
が、1乃至3個のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-3アルキル基であり、
Yは、単結合であり、
が、1乃至3個のハロゲン原子により置換されていてもよいC6-10アリール基であり、
が、水素原子であり、及び
且つRは、それらが結合するベンゼン環と共にナフタレン環を形成するものである、請求項18又は19記載の方法。

【請求項21】
が、1乃至3個のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-3アルキル基であり、
Yは、単結合であり、
が、アリール基により置換されていてもよいエチニル基であり、
が、水素原子であり、及び
且つRは、それらが結合するベンゼン環と共にナフタレン環を形成するものである、請求項18又は19記載の方法。

【請求項22】
反応溶媒が、THF、水、アルコール、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、DME、ジグライム、tert-ブチルメチルエーテル、ジオキサン、酢酸エチル、ヘキサン、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、アセトニトリル、アセトン又はそれら2種以上の混合溶媒である、請求項18~21のいずれか1項に記載の方法。

【請求項23】
キラル有機酸のラセミ体を、不斉脱水縮合剤及び式(III):
【化12】


[式中、Xは、ハロゲン原子又は置換されていてもよいアルキルスルホニロキシ基であり、Rは、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアラルキル基又は置換されていてもよい芳香環基である。]で表される化合物の存在下に、反応溶媒中で、求核剤と反応させることにより、立体異性体的に富化されたキラル有機酸-求核剤縮合体を得る速度論的光学分割方法であって、該不斉脱水縮合剤として請求項2~13のいずれか1項に記載の化合物を用いることを特徴とする方法。

【請求項24】
キラル有機酸が、N-保護α-アミノ酸である、請求項23記載の方法。

【請求項25】
N-保護α-アミノ酸が、N-保護α-フェニルアラニンである、請求項24記載の方法。

【請求項26】
求核剤が、アルコール又はアミンであり、且つ対応するキラル有機酸-求核剤縮合体が、エステル又はアミドである、請求項23~25のいずれか1項に記載の方法。

【請求項27】
アミンが、第1級アミンである、請求項26記載の方法。

【請求項28】
第1級アミンが、C7-14アラルキルアミンである、請求項27記載の方法。

【請求項29】
反応溶媒が、低級アルコールを含む、請求項23~28のいずれか1項に記載の方法。

【請求項30】
求核剤兼反応溶媒として、低級アルコールを含む、請求項29記載の方法。

【請求項31】
不斉脱水縮合剤が、触媒量の式(II’):
【化13】


[式中の各記号は、上記と同意義である。]
で表される化合物、式(II’’):
【化14】


[式中の各記号は、上記と同意義である。]
で表される化合物、又はそれらの混合物と、式(III):
【化15】


[式中の各記号は、上記と同意義である。]
で表される化合物との反応により反応系内で形成されることを特徴とする、請求項23~30のいずれか1項に記載の方法。

【請求項32】
が、1乃至3個のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-3アルキル基であり、
Yは、単結合であり、
が、1乃至3個のハロゲン原子により置換されていてもよいC6-10アリール基であり、
が、水素原子であり、及び
且つRは、それらが結合するベンゼン環と共にナフタレン環を形成するものである、請求項31記載の方法。

【請求項33】
が、1乃至3個のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-3アルキル基であり、
Yは、単結合であり、
が、アリール基により置換されていてもよいエチニル基であり、
が、水素原子であり、及び
且つRは、それらが結合するベンゼン環と共にナフタレン環を形成するものである、請求項31記載の方法。

【請求項34】
触媒量が、キラル有機酸のラセミ体に対して、0.1モル%~50モル%である、請求項31~33のいずれか1項に記載の方法。

【請求項35】
下記式:
【化16】


で表される化合物又はその光学異性体。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
(有)金沢大学ティ・エル・オーは、金沢大学の研究者の出願特許を産業界へ技術移転することを主目的として、金沢大学の教官の出資により設立された技術移転機関です。
ご興味のある方は、下記「問合せ先」へ整理番号と共にご連絡願います。
なお、既に活用のお申し込み・お打合わせ等の段階に入っている場合もございますので、予めご承知おきください。


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