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新規ジャカリン誘導体 新技術説明会

国内特許コード P130008960
掲載日 2013年4月4日
出願番号 特願2007-162177
公開番号 特開2009-001512
登録番号 特許第5326231号
出願日 平成19年6月20日(2007.6.20)
公開日 平成21年1月8日(2009.1.8)
登録日 平成25年8月2日(2013.8.2)
発明者
  • 宮本 啓一
  • ▲の▼村 信介
  • 堀内 孝
出願人
  • 国立大学法人三重大学
発明の名称 新規ジャカリン誘導体 新技術説明会
発明の概要

【課題】 本発明の課題は、IgA腎症患者の血液中の糖鎖異常型IgAを測定するために用いるIgA1ヒンジ部のO結合型糖鎖を検出する物質を提供することにある。
【解決手段】本発明は、IgA1ヒンジ部のO結合型糖鎖を特異的に認識するジャカリン及び/又はその誘導体によって構成され、IgA1の糖鎖全般を認識できるジャカリン及び/又はその誘導体を改質することにより得られる。
【選択図】なし

従来技術、競合技術の概要


IgA腎症とは腎糸球体メサンギウム領域へのIgA(主としてIgA1)と補体C3の顆粒状沈着の病理学的所見を特徴とする疾患であり、発症患者の約50%に血清IgA濃度の高値が認められ、血流中にはIgA型免疫複合体が存在することが報告されている。この状態が長年に渡り続くことでIgAが腎糸球体に沈着し、そのため腎臓機能が消失するとされる(非特許文献1)。



IgA腎症は1969年Bergerらにより提唱された疾患概念であるが、その後40年近くを経た現在でも本疾患の成因は不明な点が多い。臨床的にも蛋白尿、血尿以外には臨床症状に乏しく、病気の進行に気づきにくい疾患でもあり、診断方法も腎生検による方法以外は一般的な方法が無いため、その発見が遅れる場合が多い。
IgA腎症の発症機序については十分に解明されていないが、報告されている機序としては体内に進入した外来抗原が契機となり主に上気道、消化管系の粘膜下リンパ球や形質細胞で粘膜免疫に関与するIgAが産生され、メサンギウム細胞表面のIgA結合関連レセプターへIgAが選択的に会合し(非特許文献2)、それに伴う炎症の惹起が提案されている。病理学的には、IgA沈着後の糸球体傷害の主要なメカニズムとして、メサンギウム細胞の増殖およびそれに引き続く細胞外基質蛋白の糸球体内蓄積に起因する硬化性病変であると考えられており、この過程では血小板由来成長因子(PDGF)と形質転換成長因子(TGF-β)の関与も重要と考えられているが詳細は不明である。



IgAはIgA1とIgA2と呼ばれる2つのサブタイプに分類され、IgA1はヒンジ部と呼ばれる領域に5つの酸素(O)結合型糖鎖が結合しており、一方、IgA2のヒンジ部には、このO結合型糖鎖は存在しないことが知られている。
IgA腎症患者の糸球体メサンギウム細胞に沈着しているIgAは、主にIgA1であることが知られている。このIgA1の由来が上気道、消化管系の粘膜下リンパ球あるいは形質細胞で産生されたものか、骨髄で産生されたものなのかに関しては未だ明確な結論がない。しかしながら体内で生産されるIgAのほとんどは粘膜組織のIgA型形質細胞で作られる実態から、IgA腎症患者のIgA1も粘膜下での産生の可能性が高いと考えられている。



また正常型のIgA1には、通常ヒンジ部にO結合型のシアル酸-ガラクトースβ1-3結合Nアセチルガラクトサミンの糖鎖が存在するが、IgA腎症患者血液中のIgA1は、その糖鎖末端分子であるシアル酸が存在しないアシアロ型の割合が高いとされる(非特許文献3)。特にこうした糖鎖異常型のIgA1同士は凝集しやすい性質を有していることも報告され、更にはメサンギウム細胞表面レセプターへの高い結合性と、それにより生じる細胞周期への影響も指摘され始めている(非特許文献4)。また、IgA腎症患者の抗体産生細胞であるB細胞では、IgA1ヒンジ部O結合型糖鎖の産生においてN-アセチルガラクトサミンへのガラクトースの結合を担う酵素の活性が、健常者に比較して低下しているとの報告もある。



こうしたIgA1の糖鎖異常に関する知見を利用したIgA腎症の診断方法が公開されている。例えば田中、錦戸、比企らによるIgA腎症患者血漿中のIgA1のヒンジ部の糖鎖結合数が非IgA腎症患者血漿中のIgA1より多いことを利用したIgA腎症の診断方法(特許文献1)の発明、比企、田中、錦戸らによるIgA1分子間の結合能の差を検出することによるIgA腎症の診断方法(特許文献2)の発明がある。また該公報等における発明の実施例として血清・血液および組織液中からIgA1を分離する材料として、レクチンの一種であるジャカリンをアガロースに固定したジャカリン-アガロースを用いており、その分離方法は、Roque-Barreriaらのジャカリンを用いる方法(非特許文献5)に基づいている。しかしながら以上の方法は、糖鎖のタイプを直接的に検出する方法ではない。




【特許文献1】特開平10-111291号公報

【特許文献2】特開平9-311132号公報

【非特許文献1】Conley, M.E.ら、Journal of Clinical Investigation、66巻、1432頁、1980年

【非特許文献2】Y.Wangら、 Clin Exp Immunol、 136巻、168-175頁、2004年

【非特許文献3】Iwase, Hitooら、Journal of Biochemistry、120巻、 92頁、1996年

【非特許文献4】Y.Wangら、 Clin Exp Immunol、 136巻,168-175頁、2004年

【非特許文献5】Journal ofImmunology、134巻、1740-1743頁、1985年



また、鳥居、太田らによるIgA腎症関連抗体を検出する方法(特許文献3)の発明や、小久保、新井、戸潤らによるIgA1のヒンジ部コアペプチドを認識する抗体を検出する診断法の発明(特許文献4)、芝、井上、吉田らの尿中のアルブミン分解物を検出することでIgAを診断する方法の発明(特許文献5)など、多くの方法が考案されているが、何れもIgA1自体の糖鎖タイプを検出する方法ではない。




【特許文献3】特開2007-10540号公報

【特許文献4】WO99/50663公報

【特許文献5】特開2002-296276号公報



IgA腎症に対するIgAの関与については、上述したようにIgAあるいは糖鎖異常型IgA1が、IgA腎症患者血液・組織液中に高濃度で存在することで、腎糸球体に沈着し、それが直接または間接原因となり糸球体腎炎を引き起こすと考えられる。



また本発明者らは、血液中のIgA濃度を調節することで、病気の進行を制御することを目的とする血液浄化用吸着材として、ジャカリン及び/又はその誘導体が水不溶性担体に固定化された材料が好適であることを見いだしている(特許文献6)。また、血液中のIgA濃度調節によりIgA腎症の予防あるいは治療法に、ジャックフルーツ種子抽出物あるいはその中に含まれるジャカリン及び/又はその誘導体を含有する食品添加剤が好適であることを見いだしている(特許文献7)しかしながら、これらの方法はIgA1全体を対象にした方法であり、糖鎖不全IgA1のみを対象にした方法ではなかった。




【特許文献6】特願2003-124036

【特許文献7】特願2004-270140



IgA腎症の成因が今なお明確に解明されていない現状では、IgA腎症の予防または治療に関しては特に効果的な方法はないが、抗炎症作用と免疫抑制作用を期する点から主に副腎皮質ステロイド療法が有望と考えられている。しかしながら、上述したようにIgA腎症は自覚症状に乏しく、病気の進行に気づきにくい疾患でもあり、尿検査や腎生検による方法以外は一般的な方法が無いため、その発見が遅れ治療効果が失われる場合が多い。従って、病態を正確に把握し、適切な治療方法を選択するためにも、また早期に発見し予防するためにも、簡便迅速で正確な診断方法が切望されている。

産業上の利用分野


本発明は、血液・組織液中の免疫グロブリンA(IgA)中の糖鎖の種類を認識して結合するジャカリン及び/又はその誘導体に関するものである。本発明は、認識させる糖鎖を利用した蛋白質変性法を用いることで製造することができ、IgA腎症患者の血液又は組織液中の糖鎖不全IgA1に特異的に結合することで、糖鎖不全IgA1の検出を可能にし、IgA腎症の発症または予後を診断する用途に好適に用いられる。

特許請求の範囲 【請求項1】
IgA1ヒンジ部のO結合型糖鎖を認識する熱変性処理されたジャカリンであって、前記熱変性処理されたジャカリンが、ジャカリンと、ドデシル硫酸ナトリウムに加え、ガラクトースと、N-アセチルガラクトサミンの何れか一方又は両方を水中で混合し、50℃~90℃、30分~90分で熱変性させることによって得られ、
前記熱変性処理されたジャカリンの平均分子量が20~800kDaであることを特徴とする熱変性処理されたジャカリン。

【請求項2】
前記O結合型糖鎖を構成する単糖に少なくとも、シアル酸、ガラクトース、N-アセチルガラクトサミンの何れかが含まれることを特徴とする請求項1に記載の熱変性処理されたジャカリン。

【請求項3】
請求項1,2の何れか1項に記載の前記熱変性処理されたジャカリンを含むIgA1の糖鎖検出用腎症診断用器材。

【請求項4】
請求項1、2の何れか1項に記載の前記熱変性処理されたジャカリンを含むIgA腎症改善用食品。

【請求項5】
請求項1、2の何れか1項に記載の前記熱変性処理されたジャカリンを含むアレルギー症改善用薬剤。

【請求項6】
請求項1、2の何れか1項に記載の前記熱変性処理されたジャカリンを含むアレルギー症改善用食品。
産業区分
  • 有機化合物
  • 食品
  • 薬品
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
さらに詳しい情報をご要望の方は、下記「問合せ先」までお問い合わせください。未公開情報等の交換をおこなう場合は秘密保持契約を締結しての面談等にて対応しております。


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