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LC発振器

国内特許コード P130009045
整理番号 CHUO-206
掲載日 2013年4月15日
出願番号 特願2013-014684
公開番号 特開2014-146984
登録番号 特許第6052781号
出願日 平成25年1月29日(2013.1.29)
公開日 平成26年8月14日(2014.8.14)
登録日 平成28年12月9日(2016.12.9)
発明者
  • 杉本 泰博
  • 高橋 俊市
出願人
  • 学校法人 中央大学
発明の名称 LC発振器
発明の概要 【課題】LC発振器の出力信号の波形歪みの発生を抑制する。
【解決手段】LC発振器を、発振回路のインダクタ素子と帰還用増幅回路のインダクタ素子とを相互インダクタンスでインダクタ結合する回路構成とし、発振回路から帰還用増幅回路に入力する信号電圧を低下させることによって、帰還用増幅回路の差動構成による波形歪みを低減する。更に容量結合を利用する構成により発振回路と帰還用増幅回路のバイアス電圧を互いに独立に設定でき、帰還用増幅器としてその出力の電圧範囲を大きく取れるシングルエンド型回路、素子ばらつきや温度変動などに強い差動型回路のいずれも使用することができる。また、発振回路をコルピッツ発振回路とすることによって、発振回路の出力電圧の中心値を電源電圧とすることができ、発振出力を大として大きなQ値を実現することができる。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要



LC発振器に求められる特性として低位相雑音がある。発振器における発振周波数は、回路内に存在する雑音の影響を受けてランダムに変化する。位相雑音は、発振周波数がその中心周波数の近傍でどのように変化するかをエネルギー分布として捉えたものである。





(位相雑音の定義)

図36は発振器のスペクトル(周波数分布)を示す図である。図36(a)は、ωoで発振する理想的な正弦波発振器のスペクトルを示し、図36(b)は実際の発振器のスペクトルを示している。実際の発振器のスペクトルは、発振周波数の両側に周波数成分が広がるスカート特性を持つ。このとき位相雑音はωoの発振周波数からΔωだけ周波数がオフセットした点における単位帯域内の雑音電力と搬送波の電力の比によって、以下の式(1)で定義される。

位相雑音=(単位帯域内の雑音電力)/(搬送波の電力) ・・・(1)





(位相雑音抑制の必要性)

図37は、一般のRF送受信機によく用いられているヘテロダイン受信器のブロック図である。ヘテロダイン方式はアンテナからの高周波信号と局部発振器(Local Oscillator: LO)からの信号をミキサー(Mixer)で乗算することによって高周波信号(RF)を扱いやすい中間周波数(IF)へ変換した後、後段の回路へ送る方式である。





ヘテロダイン方式のRF受信機に対して、信号強度が微弱な所望信号と、この所望信号に隣接した周波数の妨害波が同時に入力した場合、局部発振器のスペクトラムが理想的であれば、所望信号と妨害波はそれぞれ異なる中間周波数へ変換されるため、変換後の信号をバンドパスフィルタに通すことによって所望信号のみを取り出すことができる。





図38(a),(b)は、局部発振器のスペクトラムが理想的な場合の周波数特性を示し、図38(a)は周波数変換前の局部発振器LOの周波数ωoと、所望信号の周波数ωsと、妨害波の周波数ωdの関係を示し、図38(b)は周波数変換後の所望信号の周波数(ωs-ωo)と、妨害波の周波数(ωd-ωo)、およびフィルタ特性の関係を示している。





しかし、局部発振器LOのスペクトラムが位相雑音によりスカート特性を持つ場合には、周波数変換された中間周波数信号もそれぞれ位相雑音特性を持つことになる。このため妨害波の位相雑音と所望信号が干渉して正しく受信できない。





図38(c),(d)は、局部発振器のスペクトラムが位相雑音によって広がりを有する周波数特性を示し、図38(c)は、周波数変換前の局部発振器LOの周波数ωoと、所望信号の周波数ωsと、妨害波の周波数ωdの関係を示し、図38(d)は周波数変換後の所望信号の周波数(ωs-ωo)と、妨害波の周波数(ωd-ωo)、およびフィルタ特性の関係を示している。所望信号の周波数帯域と妨害波の周波数帯域が重なるため、フィルタによって所望信号の周波数帯域を選出しても、妨害波の信号成分の一部が残留する。





上記から、高感度のRF受信器を実現するためには、局部発振器の位相雑音を小さくすることが重要である。





(位相雑音抑制の方法)

LC発振器を用いた電圧制御発振器(LC-VCO)において位相雑音を小さくするためには、共振回路のQ値を大きくすることが有効である。共振回路のQ値はインダクタのQ値と固定容量値のキャパシタおよびバラクタ(可変容量ダイオード)のQ値に依存しているが、オンチップVCOにおいては固定容量値のキャパシタおよびバラクタのQ値は充分高いので、共振回路のQ値は主にインダクタによって決まる。





インダクタのQ値は、

Q=ω・L/R ・・・(2)

で与えられる。ただしLはインダクタ(インダクションコイル)のインダクタンス[H]であり、Rはインダクタの直列抵抗[Ω]、ωは角周波数[rad/s]である。式(2)から、周波数が一定の場合、インダクタのQ値を大きくするには直列抵抗Rを小さくすれば良いということが分かる。





オンチップVCOに用いられるスパイラルインダクタは、通常アルミなどの配線層に作られるため一般に直列抵抗Rが大きくQ値は低い。





図39は、位相雑音の直列抵抗による変化例を示している。図39は、図15に示すコルピッツ発振器においてインダクタの寄生直列抵抗RをR=1Ω,3Ω,5Ωとした場合について発振器の位相雑音を回路シミュレータ(SPECTRE)によりシミュレーションした結果を示しており、コルピッツ発振器においてもインダクタの直列抵抗を下げQ値を上げることが位相雑音の低減に寄与することが確認される。図39の横軸は発振周波数からのオフセット周波数を対数目盛で表し、縦軸は位相雑音のレベルをdB値で表している。





(結合インダクタを用いたQ値の増大)

オンチップインダクタの直列抵抗を小さくする方法として、配線の厚みを増やしたり、配線材料をAlからAu等の導電性の高いものに変更する方法が知られている。しかし、これらの方法は標準のICプロセスが使用できないという問題がある。本願発明の発明者は、材料の変更等に代えて回路技術によってQ値を上げる方法として結合インダクタを用いた技術を提案している(特許文献1)。





図40は結合インダクタを説明するための図である。図40において、一次側のインダクタLに二次側のインダクタLを相互インダクタンスMで結合し、一次側のインダクタLに電流Iが流れている。図40においてR、RはL、Lの直列抵抗を表している。





二次側のインダクタLに電流Iに対して振幅がA倍で位相がθ進んだI=AIjθの電流を流した場合、一次側の電圧Vは以下の式(3)で表される。

【数1】








一次側から見たインピーダンスZは、

【数2】




となる。





式(4)より、θ=90度であれば、sinθ=1、cosθ=0となり虚部のリアクタンス分はそのままにして、実部の値を元のRから(R-ωMA)に低減することができる。さらに、ωMA=Rとなるように電流振幅比Aを設定すれば、実部が0になり理論上はQ値を無限大にすることができる。

産業上の利用分野



本発明は、LC発振器に関し、特にコルピッツ発振回路を備えたLC発振器に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
第1のインダクタ素子と第1の容量素子と第2の容量素子によりループを構成する共振回路、および前記共振回路の共振周波数を増幅する第1の増幅器を含むコルピッツ発振回路と、
前記コルピッツ発振回路の第1のインダクタ素子と相互インダクタンスで結合する第2のインダクタ素子、および前記コルピッツ発振回路の出力を電流に変換して増幅する第2の増幅器を含み、前記相互インダクタンスを介して前記コルピッツ発振回路に電圧を帰還する帰還用増幅回路とを備え、
前記コルピッツ発振回路の発振中心電圧は電源電圧であり、
前記帰還用増幅回路の第2の増幅器への入力は、前記コルピッツ発振回路の第2の容量素子の端子間電圧あるいは端子間電圧を分割した信号電圧であることを特徴とする、LC発振器。

【請求項2】
コルピッツ発振回路と帰還用増幅回路とから成るLC発振器であり、
前記コルピッツ発振回路は、
信号電圧が加わる入力端子、信号電圧に比例する同相の電流を出力する出力端子と、入出力に共通する共通端子を備える第1の増幅器の小信号等価回路において、
前記第1の増幅器の出力端子に第1のインダクタ素子および第1の容量素子を接続し、前記第1の容量素子の他端を前記共通端子に接続し、前記第1のインダクタ素子の他端に第2の容量素子を接続し、
前記第2の容量素子の他端を前記第1の増幅器の前記共通端子に接続し、
前記第1のインダクタ素子の他端と第2の容量素子との接続点を前記第1の増幅器の入力端子に接続し、
前記第1のインダクタ素子の他端と第2の容量素子との接続点を基準電圧点とし、
前記帰還用増幅回路は、
前記コルピッツ発振回路の前記第1のインダクタ素子の両端の電圧と同相あるいは逆相の信号電圧を入力する入力端子と、前記信号電圧に比例し当該信号電圧と同相あるいは逆相の電流を出力する出力端子を備える第2の増幅器の小信号等価回路において、
前記第2の増幅器の出力端子に第2のインダクタンス素子を接続し、
前記第2のインダクタ素子は前記第1のインダクタ素子と相互インダクタンスで結合し、
前記第2のインダクタ素子の他端を前記第1のインダクタ素子の他端と前記第2の容量素子との接続点である前記基準電圧点に接続し、
前記コルピッツ発振回路は、前記第2の容量素子の端子間電圧あるいは端子間電圧を分割した信号電圧を、前記帰還用増幅回路の入力端子に入力して成ることを特徴とするLC発振器。

【請求項3】
前記帰還用増幅回路は1つの第2の増幅器を有し、
小信号等価回路において
第2の増幅器は、前記コルピッツ発振回路の前記第1のインダクタ素子の両端の電圧と同相あるいは逆相の信号電圧を入力する入力端子と、前記信号電圧に比例し当該信号電圧と同相あるいは逆相の電流を出力する出力端子と、入出力に共通する共通端子を備え、
前記共通端子を前記第1のインダクタ素子の他端と前記第2の容量素子との接続点である基準電圧点に接続してシングルエンド回路を構成することを特徴とする、請求項1又は2に記載のLC発振器。

【請求項4】
前記帰還用増幅回路は2つの第2の増幅器を有し、
小信号等価回路において
一方の第2の増幅器は、前記コルピッツ発振回路の前記第1のインダクタ素子の両端の電圧と同相あるいは逆相の信号電圧を入力する入力端子と、差動出力を出力する第1の出力端子と、入出力に共通する共通端子とを備え、
他方の第2の増幅器は、前記バイアスが印加される入力端子と、差動出力を出力する第2の出力端子と、入出力に共通する共通端子とを備え、
前記両共通端子を接続して差動増幅回路を構成し、
前記第1の出力端子と前記第2の出力端子は、前記2つの入力端子に入力される信号電圧差に比例し、当該信号電圧差と同相あるいは逆相の電流を出力することを特徴とする、請求項1又は2に記載のLC発振器。

【請求項5】
2つの前記コルピッツ発振回路を備え、当該2つのコルピッツ発振回路を差動動作させるLC発振器であり、
前記2つのコルピッツ発振回路の内、第1のコルピッツ発振回路が備える第1の増幅器をオン・オフ制御する第1の制御手段、および第2のコルピッツ発振回路が備える第1の増幅器をオン・オフ制御する第2の制御手段とを備え、
前記第1の制御手段は、前記第2のコルピッツ発振回路における、第1の容量素子の他端と第1の増幅器の入出力に共通の共通端子と第2の容量素子との3つが接続する接続点の信号電圧によって、前記第1のコルピッツ発振回路の第1の増幅器をオン・オフ制御し、
前記第2の制御手段は、前記第1のコルピッツ発振回路における、第1の容量素子の他端と第1の増幅器の入出力に共通の共通端子と第2の容量素子との3つが接続する接続点の信号電圧によって、前記第2のコルピッツ発振回路の第1の増幅器をオン・オフ制御し、
前記第1のコルピッツ発振回路および第2のコルピッツ発振回路の出力を差動信号として出力する差動コルピッツ発振回路を構成することを特徴とする請求項1から4の何れか一つに記載のLC発振器。

【請求項6】
第1の増幅器の出力端子、入出力に共通の共通端子あるいは前記第2の容量素子を分割した端子に、印加電圧によって発振出力の周波数を可変とする可変容量素子を接続することによって、発振器周波数を電圧で可変とすることを特徴とする、請求項1から5の何れか一つに記載のLC発振器。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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