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前駆脂肪細胞由来の分化細胞及びその取得方法 新技術説明会 実績あり 外国出願あり

国内特許コード P130009109
掲載日 2013年4月18日
出願番号 特願2005-506883
登録番号 特許第5055613号
出願日 平成16年5月21日(2004.5.21)
登録日 平成24年8月10日(2012.8.10)
国際出願番号 JP2004007322
国際公開番号 WO2004111211
国際出願日 平成16年5月21日(2004.5.21)
国際公開日 平成16年12月23日(2004.12.23)
優先権データ
  • 特願2003-170011 (2003.6.13) JP
発明者
  • 加野 浩一郎
出願人
  • 学校法人日本大学
発明の名称 前駆脂肪細胞由来の分化細胞及びその取得方法 新技術説明会 実績あり 外国出願あり
発明の概要

ブタ及びマウスの成熟脂肪細胞由来の前駆脂肪細胞株を用い、分化転換誘導することにより、他の機能を有する細胞を取得する方法及び該方法により取得された他の機能を有する細胞に関する。本発明により、ブタ及びマウスの成熟脂肪細胞由来の前駆脂肪細胞株を分化転換誘導することにより、骨芽細胞、筋芽細胞、軟骨細胞、神経細胞を取得することができた。さらに、マウスの成熟脂肪細胞由来の前駆脂肪細胞株を分化転換誘導することにより、上皮細胞を取得することができた。

従来技術、競合技術の概要

人間の体の失われた部分や機能しなくなった部分を交換する方法として、義足、義歯などの人工物で補う方法や、他人の体の一部を用いた皮膚、角膜などの組織を移植する方法がある。腎臓、心臓、肺などの臓器の移植は19世紀から20世紀にかけて普及した。これらの代替物のうち、人工物を使用するものとして、1945年頃から人工腎臓(透析器)が発達し、現在広く使用されている。心臓、肺の機能の一部を代行する人工呼吸器、人工心臓なども作られたが、これらのほとんどは体外で使用する装置であるため、使用の制約が大きい。また複雑な機能を持つ肝臓においては、人工肝臓が開発される可能性は低い。従って、臓器を人工物と代替することによって生体の機能を完全に補うことは難しい。
腎臓、心臓、肝臓などの臓器は多様な機能を持っており、これらの臓器が本来の機能を果たさなければ、人間は死に至る。そこで、生体の本来の機能を完全に補うために、他の人間や動物の健康な臓器と機能しない臓器を交換する生体由来の臓器移植による治療が行われるようになっている。生体由来の臓器を移植することにより、人工物による代替が困難であった心臓や肺、またほぼ人工物の開発が不可能であった肝臓においても、生体の機能を補うことが可能となった。臓器移植の治療を受ける人は年々増加しており、日本においては年間700件以上の腎臓移植や、400件以上の肝臓移植が行われている。また心臓移植や肺移植において件数はまだ少ないが、確実に患者の生存率を高めており、臓器移植は効果的な治療方法として確立されている。
しかし、一方で生体由来の臓器を移植することは、免疫的な拒絶反応や感染症などを引き起こす可能性が高く、移植した後にこれらの影響で死亡する例も多い。また、ドナー不足により移植を望みながら待機している患者が多く、年間の移植実施数に対し、待機者の死亡数が上回っている。さらに臓器移植を受けた場合でも、移植や予後の治療に莫大な費用がかかるなど、生体由来の臓器移植における問題点は多い。このような臓器移植の問題点を克服するために、新しい治療方法として再生医療が注目され、大きな関心が寄せられている。
再生医療とは、人間の体の失われた部分や機能しなくなった部分に対し、多能性および自己複製能力を有する細胞を分化させ、組織や器官を再構築することを特徴とした治療方法である。この治療は患者本人の細胞を使用する自家移植が可能であり、免疫的な拒絶反応や感染をひきおこす可能性が低い。また、細胞を用いて組織や器官を形成するため、ドナー不足の解決につながる新しい治療方法として期待されている。再生医療に使用可能なドナー細胞としては、受精卵に由来する胚性幹細胞(ES細胞;Embryonic Stem Cell)と骨髄間質由来の体性幹細胞(MS細胞;Marrow Stem Cell)などが知られている。
ES細胞は受精卵由来の未分化な細胞で、多種多様な組織、器官への分化誘導が可能である。しかし、細胞の樹立にヒトの受精卵を用いる必要があり、倫理的な問題がある。一方、骨髄間質由来の幹細胞であるMS細胞は再生医療のうち、骨、筋および脂肪組織の再生に有用であると考えられている。また体細胞であるため倫理的な問題はなく、成人の体から比較的容易に採取することができる。しかし、骨髄間質には多種多様な細胞が含まれるので多能性を有するMS細胞のみを単離するのは困難であり、MS細胞が得られても他細胞の混入によって増殖培養中に損失する確率が高く、移植治療には解決されるべき問題が多くある。また、採取時に麻酔が必要であることからドナーの負担が大きいことも問題となっている。
移植にはまとまった数の細胞が必要とされるため、再生医療の進展には簡単かつ安価に大量供給可能なドナー細胞の開発が必要不可欠である。幹細胞が再生医療のドナー細胞として集中的に研究されているが、これらのES細胞あるいはMS細胞の供給、維持、培養には特殊な試薬、機器および技術が必要であり、莫大な費用がかかる。これらの問題の解決において、多能性および自己複製能力を有し、さらに簡単に採取可能であり、かつ安定して特性が維持される細胞を得ることが必要であり、それらの条件を満たす細胞を取得する方法の確立が望まれる。
そこで本発明者はこれらの問題点を解決するために、従来の再生医療用ドナー細胞に対する考え方から大きく離れて、生体の各部位の体表面に存在する成熟脂肪細胞に着目した。成熟細胞とは分化が終了した細胞であり、終末分化した細胞は脱分化しないと一般的に考えられている。しかし、本発明者は成熟脂肪細胞の脱分化を誘導し、前駆脂肪細胞株を樹立する新しい培養方法を確立することに成功した(特開2000-83656)。この培養方法により樹立された前駆脂肪細胞株は均一で、維持、培養が容易であり、かつ特別な技術あるいは施設等が不必要である。したがって幹細胞における問題点をほぼ解決する新規の再生医療用ドナー細胞として期待される。
本発明者らが開発した前駆脂肪細胞株は皮下などの体表近くに存在する成熟脂肪細胞を由来とする。成熟脂肪細胞は他細胞の混入がない単一な細胞群として簡単に採取ができ、ドナー側の負担が少ない状態で大量かつ容易に採取することができる。また、新生児から高齢者まで皮下脂肪は存在するため、年齢を問わずドナー細胞を得ることができ、自家移植も可能である。免疫的な問題をクリアーすれば、美容整形外科等において廃棄される脂肪細胞等を利用するなど、工業的に量産ができる可能性も高い。本発明者が開発した成熟脂肪細胞を前駆脂肪細胞に脱分化させる方法およびその前駆脂肪細胞株を用い分化転換誘導することにより、骨細胞、筋細胞、軟骨細胞、上皮細胞、神経細胞などの他の機能を有する細胞を取得する方法を確立し、組織や器官の形成を行うことが、再生医療の自家移植システムの構築において望まれる。

産業上の利用分野

本発明は動物およびヒトの脂肪組織由来の成熟脂肪細胞を脱分化させた前駆脂肪細胞株を用い分化転換を誘導することにより、他の機能を有する細胞を取得する方法および該方法により取得された細胞に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】 前駆脂肪細胞株を分化転換誘導することにより、他の機能を有する細胞を取得する方法であって、次の1)~4)の工程による方法、
1)脂肪組織から濾過により単胞性脂肪細胞の単一の画分を得て、これを遠心分離し、上層に分離される単胞性脂肪細胞を得る工程、
2)上記1)の単胞性脂肪細胞を天井培養して、脂肪滴をまったく持たない線維芽細胞の形態の細胞が多数観察された段階で、細胞接着面が底面になるようにしてさらに培養を続けることで、細胞質に脂肪滴を有さない線維芽細胞様脂肪細胞を得る工程、
3)上記2)の細胞質に脂肪滴を有さない線維芽細胞様脂肪細胞を継代培養して脱分化誘導することにより、骨、筋あるいは脂肪細胞の初期マーカーをすでに発現している細胞質に脂肪滴を有さない前駆脂肪細胞株を得る工程、
4)上記3)の前駆脂肪細胞株を分化誘導剤によって分化転換誘導することにより、他の機能を有する細胞を取得する工程。
【請求項2】 前駆脂肪細胞株がFERM BP-08645である請求項1に記載の他の機能を有する細胞を取得する方法。
【請求項3】 脂肪組織由来の成熟脂肪細胞が皮下脂肪組織由来の成熟脂肪細胞である請求項1に記載の他の機能を有する細胞を取得する方法。
【請求項4】 分化転換された他の機能を有する細胞が骨芽細胞である請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】 分化転換された他の機能を有する細胞が筋芽細胞である請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項6】 分化転換された他の機能を有する細胞が軟骨細胞である請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項7】 分化転換された他の機能を有する細胞が上皮細胞である請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項8】 分化転換された他の機能を有する細胞が神経細胞である請求項1~3のいずれかに記載の方法。
産業区分
  • 微生物工業
  • 治療衛生
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
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