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足場依存性細胞の培養方法

国内特許コード P130009232
整理番号 S2012-1214-N0
掲載日 2013年5月8日
出願番号 特願2012-227132
公開番号 特開2014-079171
登録番号 特許第6195144号
出願日 平成24年10月12日(2012.10.12)
公開日 平成26年5月8日(2014.5.8)
登録日 平成29年8月25日(2017.8.25)
発明者
  • 中島 雄太
  • 南 和幸
出願人
  • 国立大学法人山口大学
発明の名称 足場依存性細胞の培養方法
発明の概要 【課題】三次元的に培養されている浮遊細胞を任意の時期に二次元的に培養されている細胞に転換して、培養を継続させるための方法や、細胞凝集体が基板に接着するメカニズムを観察するシステムを提供すること。
【解決手段】(a)培養用基板にアルギン酸カルシウム被膜を成膜する工程;(b)幹細胞等の足場依存性細胞を、培養液中の上記アルギン酸カルシウム金属被膜基板上に浮遊させて培養する工程;(c)培養液にEDTA等のアルギン酸多価金属被膜可溶化剤を添加し、培養用基板上のアルギン酸多価金属被膜を可溶化する工程;(d)浮遊培養した足場依存性細胞を基板上に接着させて培養を行う工程;を備えた足場依存性細胞の培養方法。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要



再生医療において、iPS細胞などの多分化能を有する未分化細胞の開発が進み、かかる未分化細胞を特定の機能を有する細胞へと分化誘導するためのメカニズムの解明が期待されている。





多細胞生物の個体は、細胞、組織、器官、個体と段階的に構成されており、細胞は細胞同士が接着し、細胞外の物質に接着することで組織となる。かかる接着性を有する細胞は、細胞外に存在する非細胞成分である細胞外マトリックスと接着することで自らの存在している周りの環境を感知し、分化、増殖、アポトーシス等のいかなる方向へ進むべきかを判断しながら、生命活動を維持している。





ディッシュやマルチウェルプレート等の一般的な培養容器を使用して細胞を二次元培養した場合、細胞は容器表面に接着・伸展しながら増殖するが、工業的に有用物質を生産するためにはスケールアップの点から細胞を浮遊させて培養するほうが有利であるため、足場依存性細胞を基材に接着させずに培養する三次元培養の研究が進んでいる。例えば、表面の接触角が60度以上である疎水性基材の表面に、リン脂質の疎水基が疎水結合や物理吸着し、基材表面が親水性の極性基でほぼ飽和している培養基材に、足場依存性細胞を播種することによって、該細胞を基材にほとんど接着させることなく経時的に凝集塊を形成させ、その機能を維持向上させながら培養することを特徴とする、足場依存性細胞の浮遊培養方法(例えば、特許文献1参照)や、細胞非接着性の底面から重力方向における最下位置へ連続する斜面を有する細胞非接着性の凹陥部を複数有する培養容器に、付着性細胞の懸濁液を注入する第1ステップと、上記懸濁液が注入された培養容器を静置して、当該培養容器の凹陥部においてスフェロイド(細胞凝集塊)を形成させる第2ステップとを含むスフェロイド培養方法(例えば、特許文献2参照)が提案されている。





また、表面が非接着性の容器内における無血清培地中で胚性幹細胞を培養する胚性幹細胞の維持方法においては、培養後数日で細胞が集合した球状体が認められる旨の記載があり、表面が非接着性の容器として、市販の非表面コートポリスチレン製の培養皿や、低接着性培養皿が例示されている(例えば、特許文献3参照)。また、間葉系幹細胞を細胞凝集塊として培養するのに好適な細胞培養担体として、上面に複数のウェルが形成されており、前記上面は、2乗平均粗さRqが100~280nm、かつ、長さ1μmあたりの線密度が1.6~3.0である担体、具体的には、セラミックス焼結体からなり、かつ、該セラミックス焼結体の平均細孔径が0.15~0.45μmである担体が提案されており、上面がこのような表面状態を有する担体を用いることにより、扁平化した間葉系幹細胞が上面に付着しないため、球状を維持することができる旨の記載がある(例えば、特許文献4参照)。





しかしながら、かかる三次元的な方法による培養により形成される凝集体は、そのサイズが不均一で、中心部の細胞が壊死を起こす場合もあり、また、足場に接着していないため分化誘導のステップに移行させても安定した結果を得ることが難しいという問題点があった。





一方、アルギン酸カルシウム等のアルギン酸塩は、生分解性を有するため、近年バイオマテリアル素材として注目されているが、動物細胞との親和性が低く、接着性細胞の基質としては用いることができないとされていた。例えば、アルギン酸ビーズ状ゲル中に培養細胞を包埋することを特徴とする細胞培養法においては、足場非依存性コロニー形成能を有する形質転換細胞が、ビーズ状ゲル内で増殖可能であり、アルギン酸ビーズ状ゲルをカルシウムイオンのキレート剤又はアルギン酸分解酵素によって分解することにより容易に細胞を回収できる旨が報告されている(例えば、特許文献5参照)。





また、アルギン酸のアルカリ金属塩に鉄イオンを加えることにより調製された鉄架橋アルギン酸ゲルは、薄膜状、スポンジ状、ゼリー状いずれにおいても細胞接着性を有し、増殖した細胞を、キレート剤を用いて回収できる旨が報告されている(例えば、特許文献6参照)。さらに、アルギン酸カルシウムゲルを含む細胞培養担体であって、その表面がコラーゲンにより被覆されており、かつ該コラーゲンがキトサンを介して含水ゲルの表面に結合した細胞培養担体は、キレート剤水溶液の使用により培養された細胞を細胞シートとして脱離させることもできる旨が報告されている(例えば、特許文献7参照)。

産業上の利用分野



本発明は、足場依存性細胞の培養方法に関し、より詳しくは、足場依存性細胞を、アルギン酸多価金属被膜基板上で浮遊培養後に、培養液にアルギン酸多価金属被膜の可溶化剤を添加し、基板上のアルギン酸多価金属被膜を可溶化させることにより、細胞を基板上に接着させて培養を行うことを特徴とする培養方法や、培養態様を浮遊培養から接着培養へと切換えるための細胞培養キットに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
以下の工程(a)~(d)を備えたことを特徴とする細胞の培養方法。
(a)ポリスチレン基板、又はガラス基板にアルギン酸カルシウム被膜を成膜することにより、アルギン酸カルシウム被膜基板を調製する、アルギン酸カルシウム被膜基板調製工程:
(b)筋芽細胞、間葉系幹細胞、神経幹細胞、造血幹細胞、骨髄幹細胞、胚性幹細胞(ES細胞)、又はiPS細胞を、培養液中の上記(a)工程において調製されたアルギン酸カルシウム被膜基板上に浮遊させて培養する、浮遊培養工程:
(c)培養液にキレート剤又はアルギン酸リアーゼを添加し、基板上のアルギン酸カルシウム被膜を可溶化する、アルギン酸カルシウム被膜可溶化工程:
(d)上記(b)工程において浮遊培養した細胞を基板上に接着させて培養を行う、接着培養工程:

【請求項2】
工程(a)で用いる基板がガラス基板であることを特徴とする請求項1記載の培養方法。

【請求項3】
工程(b)で培養する細胞が筋芽細胞であることを特徴とする請求項1又は2記載の培養方法。

【請求項4】
アルギン酸カルシウム被膜の膜厚が0.4~1.5μmであることを特徴とする請求項1~3のいずれか記載の培養方法。

【請求項5】
工程(c)で培養液にキレート剤を添加することを特徴とする請求項1~4のいずれか記載の培養方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録


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