TOP > 国内特許検索 > 哺乳動物細胞内で目的遺伝子を増幅し高発現させる方法、および当該方法を実施するために用いられるキット

哺乳動物細胞内で目的遺伝子を増幅し高発現させる方法、および当該方法を実施するために用いられるキット 外国出願あり

国内特許コード P130009381
整理番号 F08153-JP
掲載日 2013年6月14日
出願番号 特願2011-506100
登録番号 特許第5688771号
出願日 平成22年3月24日(2010.3.24)
登録日 平成27年2月6日(2015.2.6)
国際出願番号 JP2010055123
国際公開番号 WO2010110340
国際出願日 平成22年3月24日(2010.3.24)
国際公開日 平成22年9月30日(2010.9.30)
優先権データ
  • 特願2009-080153 (2009.3.27) JP
発明者
  • 清水 典明
出願人
  • 国立大学法人広島大学
発明の名称 哺乳動物細胞内で目的遺伝子を増幅し高発現させる方法、および当該方法を実施するために用いられるキット 外国出願あり
発明の概要 本発明は、高度遺伝子増幅系をさらに改良すべく、IR/MARプラスミドを用いて目的遺伝子を増幅させる際に、高い確率をもって目的遺伝子を哺乳動物細胞の染色体外で増幅させる新規手段を提供する。本発明は哺乳動物細胞の染色体外で目的遺伝子を増幅する方法であって、哺乳動物細胞内で機能する哺乳動物複製開始領域と哺乳動物細胞内で機能する核マトリックス結合領域とを具備するベクター、目的遺伝子、およびテロメア反復配列を含むポリヌクレオチドを、哺乳動物細胞へ同時に導入する遺伝子導入工程を含むことを特徴としている。
従来技術、競合技術の概要


本発明者は、哺乳動物の複製開始領域(IR;Initiation Region)と核マトリックス結合領域(MAR; Matrix Attachment Region)とを持つプラスミドベクター(「IR/MARベクター」または「IR/MARプラスミド」という)をヒト由来がん細胞(COLO 320 大腸がん細胞株、およびHeLa細胞株)にリポフェクション法で導入し、プラスミド上に存在する薬剤耐性遺伝子(ブラスティサイジン(Blasticidin)あるいはネオマイシン(Neomycine))を利用して選択するだけで、
(1)発現させるべきタンパク質をコードする遺伝子(以下、適宜「目的遺伝子」という)の細胞内コピー数を1万コピー程度にまで増幅できること、および、
(2)目的遺伝子はIR/MARベクターに対して同一の遺伝子構築物(シス)として導入した場合であっても、別の遺伝子構築物(トランス)として導入した場合であっても、高度に増幅することができるということを発見した(例えば、特許文献1および非特許文献1参照)。



そして、本発明者は上記知見に基づいて、IR/MARベクターと目的遺伝子とを、哺乳動物細胞(例えば、ヒト由来がん細胞(COLO320 大腸がん細胞株、およびHeLa細胞株)、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)等)にリポフェクション法で導入し、プラスミド上に存在する薬剤耐性遺伝子(BlasticidinあるいはNeomycine)を利用して選択するだけで、目的遺伝子を1万コピー程度に増幅できる系(以下、「高度遺伝子増幅系」という)を完成させるに至った。本発明者は、上記高度遺伝子増幅系に関してさらに研究を進め、種々の知見を公開している(例えば特許文献2-8を参照のこと)。



上記高度遺伝子増幅系を用いて増幅した遺伝子は宿主細胞核内において、染色体外の巨大な環状DNAであるDM(ダブルマイニュート染色体)、または宿主細胞の染色体に組み込まれた巨大な構造であるHSR(均一染色領域)の形態で存在する。ただし、哺乳動物細胞内においては、ほとんどの場合目的遺伝子はHSRとして増幅する。しかし、HSRは宿主細胞の染色体に組み込まれた構造であることに加え、目的遺伝子が高度に反復した構造であるため、反復配列依存的な遺伝子の転写抑制を受ける。そのため、目的遺伝子からのタンパク質の発現量が遺伝子増幅数に比例して増加しないという問題があった。



現在、タンパク質の大量生産系として広範に用いられている、CHO細胞内でDHFR遺伝子と目的遺伝子とを共に増幅する方法においても増幅構造の形態はHSRであるため、遺伝子の増幅コピー数と目的遺伝子からのタンパク質発現量とが比例しないという問題が発生している。



一方、目的遺伝子がDM、すなわち宿主細胞の染色体外にて増幅する、あるいはDMに組み込まれた上で増幅すると、目的遺伝子からのタンパク質発現量は遺伝子増幅コピー数に比例して増加することが、本発明者の研究によって明らかにされた(特許文献2参照)。



そこで本発明者は、DMまたはHSRという遺伝子の増幅形態をコントロールする方法を独自に見出し、これまでに明らかにした(特許文献6を参照のこと)。特許文献6に記載された方法は、高度遺伝子増幅系を用いて遺伝子増幅を行う際に、(a)目的遺伝子をダブルマイニュート染色体上または均一染色体領域で小型増幅領域として増幅させる場合には、転写活性調節型プロモーターの転写活性が活性化された状態で導入工程および選抜工程を行う、または(b)目的遺伝子を染色体の均一染色領域で大型増幅領域として増幅させる場合には、転写活性調節型プロモーターの転写活性が不活性化された状態で導入工程および選抜工程を行うことを特徴としている。



また本発明者は、IR/MARベクターの形態を、直鎖状、かつ少なくとも片側の末端の形状がヘアピン構造とすることで、目的遺伝子をDMの形態、すなわち染色体外で高度に増幅させることが可能となるということを明らかにし、国際特許出願を行った(特許文献9参照)。

産業上の利用分野


本発明は、哺乳動物細胞内で目的遺伝子を高度に増幅し、高発現させる方法、および当該方法を実施するために用いられるキットに関する。より具体的には、本発明者が開発した「高度遺伝子増幅系」を用いて所望の遺伝子を増幅する際に、宿主細胞の染色体に組み込まれることなく目的遺伝子を増幅させることができる手段に関する。本発明によれば、哺乳動物細胞内において目的とする遺伝子を宿主細胞の染色体外にて高度に増幅させることができる。

特許請求の範囲 【請求項1】
生体外で実施される、哺乳動物細胞の染色体外で目的遺伝子を増幅するための方法であって、
哺乳動物細胞内で機能する哺乳動物複製開始領域と哺乳動物細胞内で機能する核マトリックス結合領域と目的遺伝子とを具備するベクター
および
500bp以上10,000bp以下の範囲内のテロメア反復配列を含むポリヌクレオチドを、哺乳動物細胞へ同時に導入する遺伝子導入工程を含み、
上記哺乳動物細胞は培養細胞であることを特徴とする方法。

【請求項2】
上記テロメア反復配列が、TTAGGGまたはTTAGGCからなる塩基配列が複数回反復してなる塩基配列である、請求項1に記載の方法。

【請求項3】
上記哺乳動物複製開始領域が、c-myc遺伝子座、ジヒドロ葉酸リダクターゼ遺伝子座、およびβ-グロビン遺伝子座の複製開始領域のいずれか1つに由来する、請求項1または2に記載の方法。

【請求項4】
上記核マトリックス結合領域が、Igκ遺伝子座、SV40初期領域、およびジヒドロ葉酸リダクターゼ遺伝子座の核マトリックス結合領域のいずれか1つに由来する、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。

【請求項5】
上記遺伝子導入工程の後に形質転換細胞を選択する選択工程を含む、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。

【請求項6】
哺乳動物細胞内で機能する哺乳動物複製開始領域と哺乳動物細胞内で機能する核マトリックス結合領域と目的遺伝子とを具備するベクター
および、
500bp以上10,000bp以下の範囲内のテロメア反復配列からなるポリヌクレオチドが同時に導入されてなる哺乳動物細胞であり、当該哺乳動物細胞の染色体外で目的遺伝子を増幅している形質転換細胞。

【請求項7】
上記テロメア反復配列が、TTAGGGまたはTTAGGCからなる塩基配列が複数回反復してなる塩基配列である、請求項6に記載の形質転換細胞。

【請求項8】
上記哺乳動物複製開始領域が、c-myc遺伝子座、ジヒドロ葉酸リダクターゼ遺伝子座、およびβ-グロビン遺伝子座の複製開始領域のいずれか1つに由来する、請求項6または7に記載の形質転換細胞。

【請求項9】
上記核マトリックス結合領域が、Igκ遺伝子座、SV40初期領域、およびジヒドロ葉酸リダクターゼ遺伝子座の核マトリックス結合領域のいずれか1つに由来する、請求項6ないし8のいずれか1項に記載の形質転換細胞。

【請求項10】
請求項6ないし9のいずれか1項に記載の形質転換細胞を培養する工程を含むことを特徴とする目的遺伝子の発現方法。

【請求項11】
哺乳動物細胞の染色体外で目的遺伝子を増幅するためのキットであって、
哺乳動物細胞内で機能する哺乳動物複製開始領域と哺乳動物細胞内で機能する核マトリックス結合領域とを具備し、目的遺伝子が挿入されるベクター、および、
500bp以上10,000bp以下の範囲内のテロメア反復配列を含むポリヌクレオチドを含むことを特徴とするキット。

【請求項12】
上記テロメア反復配列が、TTAGGGまたはTTAGGCからなる塩基配列が複数回反復してなる塩基配列である、請求項11に記載のキット。

【請求項13】
上記哺乳動物複製開始領域が、c-myc遺伝子座、ジヒドロ葉酸リダクターゼ遺伝子座、およびβ-グロビン遺伝子座の複製開始領域のいずれか1つに由来する、請求項11または12に記載のキット。

【請求項14】
上記核マトリックス結合領域が、Igκ遺伝子座、SV40初期領域、およびジヒドロ葉酸リダクターゼ遺伝子座の核マトリックス結合領域のいずれか1つに由来する、請求項11ないし13のいずれか1項に記載のキット。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close