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燃料電池用金属セパレータ、製造方法及び燃料電池 UPDATE 外国出願あり

国内特許コード P130009387
整理番号 P05-018R-D1
掲載日 2013年6月18日
出願番号 特願2012-143373
公開番号 特開2012-209265
登録番号 特許第5504413号
出願日 平成24年6月26日(2012.6.26)
公開日 平成24年10月25日(2012.10.25)
登録日 平成26年3月28日(2014.3.28)
優先権データ
  • 特願2005-178036 (2005.6.17) JP
発明者
  • 渡辺 政廣
  • 内田 裕之
  • 山下 壽生
  • 宮武 健治
出願人
  • 国立大学法人山梨大学
発明の名称 燃料電池用金属セパレータ、製造方法及び燃料電池 UPDATE 外国出願あり
発明の概要 【課題】応力腐食割れ感受性が少なく、耐食性に優れた燃料電池用金属セパレータ、製造方法及び燃料電池を提供する。
【解決手段】金属平板と、金属平板の表裏面のうち少なくとも原料及び/又は反応生成物と接する面を被覆する導電性の被覆層と、被覆層の表面に配され、原料及び/又は反応生成物の流路、及び/又は冷却用の冷媒の流路を形成する導電性の流路形成部材と、を備え、金属平板の表層が、応力腐食割れを生じない範囲の引張残留応力を有する。
【選択図】図1(a)
従来技術、競合技術の概要



固体高分子電解質形燃料電池(PolymerElectrolyteFuelCell:PEFC)は、燃料の水素ガスと酸化剤の酸素とを反応させて、電気エネルギーを得るものである。この燃料電池は、高分子電解質膜を介して対向させた一対の多孔質電極(多孔質支持層+触媒層)からなるMEA(MembraneElectrodeAssembly:電極/膜接合体)が、燃料又は酸化剤を供給する流路が形成された一対のセパレータに挟持されて単電池を構成し、さらに積層されて積層電池として用いられている。このような燃料電池は、通常、作動温度が80℃付近で車載用、定置用、又は携帯・移動用の電源として多くの用途が見込まれている。電極反応を以下に示す。





(式1)

アノード:H→2H+2e

カソード:2H+1/2O+2e→H

アノード(燃料極)では、水素やアルコールなどの燃料が酸化されて水素イオン(プロトン)が生成する。生成したプロトンは電解質膜中をカソード(酸素極または空気極)に向かって水と共に移動し、電子は外部回路を通ってカソードに到達する。一方、カソードでは上述のプロトン、電子と酸素との還元反応により水が生成する。このとき、アノードで生成したプロトンは、水分子を伴って電解質膜中を移動するため、電解質膜は湿潤状態に保たれる。セパレータは、MEAを構成する多孔質支持層(カーボンペーパ等)に接しているため、室温から100℃の温度で強酸性溶液雰囲気に曝される。





セパレータは、積層する際の機械強度部材としての機能の他に、集電機能、燃料又は酸化剤の分離供給と反応生成物の排出を行う機能を有する。さらに、セパレータは、発電反応により生じる熱を放熱させる又は熱を均一化させる機能も有している。





セパレータ材料は、炭素系と金属系に大別される。炭素系は、黒鉛ブロックを機械加工したもの、カーボン樹脂モールド品及び膨張黒鉛モールド成形物などがある。しかし、黒鉛ブロックは高価で切削加工工数を多く必要とし、カーボン樹脂モールド品は割れやすいといった問題がある。また、膨張黒鉛モールド成形物は、ガスの透過性が高いなどの難点がある。





一方、金属セパレータは、高い電導性、熱伝導性、機械強度、及び水素ガスの不透過性を有している。さらに、原料流体の流路を成形する機械加工が容易であるため製造コストを低減でき、かつ、薄型化できる有望な材料として、主に、オーステナイト系ステンレス鋼を用いた金属セパレータを中心に開発されている。しかし、金属セパレータは、耐食性が低いことが問題である。すなわち、電解質膜が超酸性である上、上述のように、100℃付近でアノード側は酸化性雰囲気に、カソード側は還元性雰囲気に置かれる。また、金属セパレータ付近では、反応物や生成物が接触し、また面内で不均一な温度分布が生じる。





これにより、金属セパレータに局部電池が形成されやすく、極めて腐食の危険性が高い。また、連続運転などで金属セパレータを長時間使用した際、電解質膜の劣化・分解により生じる酸は、さらに腐食の可能性を増加させる。この酸は、金属セパレータを腐食、損傷させるばかりでなく、溶出した金属イオンによって電解質膜の導電性を低下させてしまう。さらに、溶出した金属イオンが析出することにより、白金などの貴金属触媒の性能を低下させてしまうといった問題があり、実用化が困難であった。





これらを解決する手段として、従来は、金属セパレータの表面に、導電性の高分子被膜を形成する方法、又は金、白金メッキ等の耐食性の金属被覆層を形成する方法がとられている。例えば、特許文献1では、連続的な流路をプレス成形した金属基材を、密着性の高い被覆層で被覆した金属セパレータが開示されている。これによれば、被覆層の剥離が起こりにくく、金属基材の腐食が防止できるとされている。





また、特許文献2では、流路溝をプレス加工成形が容易な中間金属層の外表面に耐食性の金属層を設け、この金属層の表面に導電剤と樹脂結着剤とからなる被覆層を形成した金属セパレータが開示されている。これによれば、金属セパレータの耐食性を保持できるとされている。





また、特許文献3は、本発明の優先権の基礎出願後に公開された先願発明であるが、導電性流路板と金属製平板とを重ね合わせたセパレータ構造が開示されている。また、特許文献3には、セパレータの腐食防止と接触抵抗の低減を図るため、金属製平板の表面の全部或いは少なくとも蛇行状貫通溝と接する部位に防食或いは不働態皮膜の成長を抑える被覆層を設けることが提案されている。

産業上の利用分野



本発明は、燃料電池用金属セパレータ、製造方法及び燃料電池に係り、特に、固体高分子電解質膜を用いた積層型燃料電池に適した燃料電池用金属セパレータ、製造方法及び燃料電池に関する。本出願は、日本国特許法に基づく特願2005-178036号にかかる特許出願を基礎とするパリ優先権主張を伴う出願である。

特許請求の範囲 【請求項1】
オーステナイト系ステンレス鋼の金属平板と、
該金属平板の表裏面のうち少なくとも原料及び/又は反応生成物と接する面である接触面を被覆するとともに、炭素系導電材及び高分子樹脂を含有する耐食性の被覆層と、
該被覆層の表面に配された桟状に配されたリブであり、前記原料及び/又は反応生成物の流路、及び/又は冷却用の冷媒の流路を形成する炭素系導電材を含んだ高分子樹脂で構成される流路形成部材と、を備え、
前記被覆層は、前記金属平板に直接被覆し、前記炭素系導電材を含んだ前記高分子樹脂を熱圧着により緻密化された層に形成され、
前記被覆層は、前記高分子樹脂の割合が40~60質量%で、かつ、膜厚が10μm~50μmであり、
前記流路形成部材は、熱圧着により緻密化された前記被覆層の上に形成される
ことを特徴とする燃料電池用金属セパレータ。

【請求項2】
前記金属平板の表面の引張残留応力が、15kg/mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用金属セパレータ。

【請求項3】
前記金属平板の表面は、ニッケル、金、銀、白金のうち一以上からなる金属がめっきされたことを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池用金属セパレータ。

【請求項4】
前記被覆層及び前記流路形成部材に含まれる前記炭素系導電材が、黒鉛、カーボンブラック、ダイヤモンド被覆カーボンブラック、炭化ケイ素、炭化チタン、カーボン繊維、カーボンナノチューブのうち一以上であることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の燃料電池用金属セパレータ。

【請求項5】
前記被覆層及び前記流路形成部材に含まれる高分子樹脂が、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ゴム系樹脂、フラン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂のうち一以上であることを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の燃料電池用金属セパレータ。

【請求項6】
前記被覆層における前記炭素系導電材が、粒状カーボン及び繊維状カーボンを含み、前記粒状カーボンと繊維状カーボンとの質量比が、1:0.5~1:1.5の範囲であることを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載の燃料電池用金属セパレータ。

【請求項7】
前記被覆層が、前記炭素系導電材を40~60質量%含有し、前記被覆層の体積固有抵抗が50mΩ‐cm以下であることを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載の燃料電池用金属セパレータ。

【請求項8】
前記流路形成部材が、前記炭素系導電材を40~80質量%含有することを特徴とする請求項1~7の何れか1項に記載の燃料電池用金属セパレータ。

【請求項9】
前記流路形成部材が、前記被覆層上に射出成型法又は金型成型法又は液圧成形法により形成されることを特徴とする請求項1~8の何れか1項に記載の燃料電池用金属セパレータ。

【請求項10】
前記流路が、気孔率50%以上の前記流路形成部材と、気孔率10~50%の前記流路形成部材と、気孔率10%以下の前記流路形成部材と、の一以上を組み合わせて構成されたことを特徴とする請求項1~9の何れか1項に記載の燃料電池用金属セパレータ。

【請求項11】
請求項1~10の何れか1項に記載の燃料電池用金属セパレータの製造方法であって、
オーステナイト系ステンレス鋼の金属平板の表裏面のうち少なくとも原料及び/又は反応生成物と接する面である接触面に、炭素系導電材及び高分子樹脂を含有する耐食性の被覆層を熱圧着で緻密な層に形成する被覆層形成ステップと、
前記被覆層形成ステップの後、該被覆層の表面に炭素系導電材を含んだ高分子樹脂で構成される流路形成部材を一以上、桟状に配置して、前記原料及び/又は反応生成物の流路、及び/又は冷却用の冷媒の流路を構成するリブを形成する流路形成ステップと、
を備え、
前記被覆層形成ステップでは、前記被覆層の膜厚が10μm~50μmになり、前記被覆層中の前記高分子樹脂の割合が40~60質量%になるように前記被覆層が形成されることを特徴とする燃料電池用金属セパレータの製造方法。

【請求項12】
前記流路形成ステップでは、前記流路形成部材は、炭素系導電材及び高分子樹脂を含む流路形成液又は流路形成粉体を、前記被覆層上に射出成型法又は金型成型法又は液圧成形法により形成して、前記原料及び/又は反応生成物の流路、及び/又は冷却用の冷媒の流路を構成するリブを設けることを特徴とする請求項11に記載の燃料電池用金属セパレータの製造方法。

【請求項13】
高分子電解質膜の一方の面にカソード触媒層、他方の面にアノード触媒層が配されたセルを、前記アノード触媒層に燃料を流通させる流路が形成された第一のセパレータと、前記カソード触媒層に酸化剤を流通させる流路が形成された第二のセパレータとで挟持した構成であって、
前記第一のセパレータ及び第二のセパレータに、請求項1~10の何れか1項に記載の燃料電池用金属セパレータを用いたことを特徴とする燃料電池。
国際特許分類(IPC)
Fターム
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出願権利状態 登録
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