TOP > 国内特許検索 > 一酸化炭素の選択的メタン化触媒、その製造方法及びそれを用いた装置

一酸化炭素の選択的メタン化触媒、その製造方法及びそれを用いた装置 UPDATE 外国出願あり

国内特許コード P130009390
整理番号 P09-016R
掲載日 2013年6月18日
出願番号 特願2011-510261
登録番号 特許第5691098号
出願日 平成22年3月9日(2010.3.9)
登録日 平成27年2月13日(2015.2.13)
国際出願番号 JP2010054279
国際公開番号 WO2010122855
国際出願日 平成22年3月9日(2010.3.9)
国際公開日 平成22年10月28日(2010.10.28)
優先権データ
  • 特願2009-106938 (2009.4.24) JP
発明者
  • 渡辺 政廣
  • 山下 壽生
  • 東山 和寿
  • 宮尾 敏広
  • 陳 愛華
出願人
  • 国立大学法人山梨大学
発明の名称 一酸化炭素の選択的メタン化触媒、その製造方法及びそれを用いた装置 UPDATE 外国出願あり
発明の概要 一酸化炭素を特別な反応ガスを外部から加えることなく経済的に除去できる新規触媒、その製造方法及びそれを用いた装置を提供する。噴霧プラズマ法により作製した非化学量論組成のNi-Al複合酸化物前駆体にルテニウム塩を含浸担持し、還元処理を行うことで、従来触媒ではCOメタン化反応よりCOメタン化反応と逆水性シフト反応が支配的に進行する高温度領域においても選択的にCOメタン化反応が進行することを見出した。さらに、その他のNi-Al複合酸化物前駆体や添加金属種においてもCO選択メタン化反応が再現性よく発現することを見出した。また、これら触媒材料の製作工程において、従来の触媒製造法とは異なる工程を経ることでCOメタン化反応の低温活性が向上し、得られた触媒材料が持つ温度ウィンドウを最大限有効に利用できることを見出した。
従来技術、競合技術の概要



固体高分子形燃料電池は80℃程度の低温で運転するため燃料である水素リッチガス中に一酸化炭素(以下、COと云う)があるレベル以上含まれていると、アノード白金触媒のCO被毒により、発電性能が低下したり遂には全く発電ができなくなったりするという問題が生じる。





このCO被毒を回避するため、都市ガス、LPガス又は灯油などを燃料改質器で水素リッチガスに転換して使用する家庭用固体高分子形燃料電池発電システムでは、燃料電池アノード入口ガスのCO濃度を常に 10ppm以下に抑えることが望まれる。実システムの多くは、燃料改質プロセスの最終段階で生成ガスに空気を混合しガス中に含まれるCOを CO2に酸化するCO選択酸化触媒を採用している。





CO + 1/2 O2 = CO2 (反応式1)





CO選択酸化触媒入口でのCO濃度は0.5~1.0%に設計されることが多いが、現状のCO選択酸化触媒の性能ではシステムの耐用期間を通じてCO 10ppm以下を保証することは難しい。加えて、現状の触媒のCO選択率は 100%ではなく供給した空気(酸素)の一部は水素の酸化にも消費されるため、CO濃度が十分下がらず、しかも水素が無駄に浪費されるという問題を本質的に抱えている。





H2 + 1/2 O2 = H2O (反応式2)





実際のシステムでは、特許第 2869525号や特開2001-240402に開示される様にCO選択酸化触媒層を多段に設け、全COを酸化するために必要な化学量論空気量の1.5~3倍の空気を各段の触媒層に分配供給することで上記問題に対処するものが多い。このCO選択酸化触媒を多段(通常は二段)にする方法は、貴金属を含むCO選択酸化触媒が 2倍必要になるというだけではなく、空気供給ポンプとその制御システム、更には供給した空気を反応ガスと均一に混合するための混合構造もそれぞれ各段に必要となるため、補機や材料、加工費用の大幅アップにつながっている。また燃料改質器のサイズと容量の増加も招いている。





前述のCO選択酸化触媒以外に特開平3-93602、特開2007-252988、Applied Catalysis A, 326(2007)213-218(Robert A. Dagle et al)等に開示されるCOの選択メタン化触媒を用いる方式もある。更に特許第 3865479号ではCO選択酸化触媒にCO選択メタン化触媒を組み合わせた方式も提案されている。また、特開2007-203129号は、大気圧プラズマを使用した高活性・高耐久の各種水素製造用触媒を製造する方法を開示しているが、CO選択メタン化触媒については言及がない。このCO選択メタン化触媒はCOをH2と反応させ白金電極触媒には無害な CH4にするものであるため、外部から空気を供給するポンプが必要なく、改質器の構造も簡略化・小型化できるというコスト上のメリットが大きい。





CO + 3H2 = CH4 + H2O (反応式3)





しかし、COのメタン化反応には、CO2のメタン化反応が副反応として存在する。





CO2はCOに比べ水素リッチガス中に高濃度で存在するため、CO2メタン化反応が起こるとH2を大量に消費することになり好ましくない。





CO2 + 4H2 = CH4 + 2H2O (反応式4)





このため、CO選択メタン化触媒ではCOのメタン化活性が高く、かつ CO2のメタン化活性が低い(CO選択性が高い)ことが要求される。またCO2が H2と反応してCOを生成する逆水性シフト反応も高温では無視できなくなりその抑制が必要である。





CO2 + 2H2 = CO + 2H2O (反応式5)





これまで報告されているCO選択メタン化触媒は、高いCO活性と高いCO選択性を同時に満足する温度域がせいぜい30℃程度、広くても50℃を越えないものがほとんどである。そのため、システム上の突発的な条件変動に対して必ずしも安定ではなく、出口CO濃度が増加したり、発熱反応である CO2のメタン化反応により触媒層の温度が急激に上昇し制御不能に陥ったりする可能性がある。CO選択メタン化触媒は、このようなシステムの信頼性に関わる重要な問題をいまだ解決できていないため、発電システムのコストを大幅に低減できる可能性を持っているにもかかわらず、これまで実用的なシステムに採用されたという報告はほとんどない。





現状のCO選択メタン化触媒を用いた場合にシステムの信頼性が必ずしも十分確保できない理由について更に詳述する。CO選択メタン化触媒に流入する濃度1%のCOを浄化し出口CO濃度10ppm以下を実現するには、触媒は常に99.9%以上の浄化率が必要である。入口CO濃度が半分の 0.5%に削減されても99.8%以上の高い浄化率が必要である。触媒自体が本来高い活性を有していても、このような極限の浄化率で運転される状況下では、実際の反応プロセスでは当然起こり得る運転条件の変動、つまり、わずかな温度の低下やわずかな入口CO濃度の上昇でも出口CO濃度の増加に大きく影響する。特に触媒の温度ウィンドウの下限付近で運転する場合には致命的な結果を招いてしまうことになる。





一方、COメタン化反応は温度が高くなる程進みやすくなるため、温度ウィンドウの高温側では前述のような温度の低下や入り口CO濃度の上昇だけでは出口CO濃度の急激な上昇は生じにくい。それよりも高温側ではむしろ CO2メタン化反応や逆水性シフト反応の影響が大きい。何らかの原因で触媒層の温度が上がった場合、これら二つの副反応によりH2を大量に消費してしまうという問題が生じる。またCOメタン化反応に CO2メタン化反応の反応熱も加わると、触媒層の温度が急激に上昇し、遂には温度暴走による反応器の制御不能を招いてしまう。この現象が生じると触媒性能に回復不能なダメージや反応器の損傷を引き起こすことがある。





これらの実用上の問題を解決するためには、低温域におけるCOメタン化反応の活性を大きく改善するとともに、高温側における副反応である CO2メタン化反応と逆水性シフト反応が起こり始める温度をさらに高温側まで押し上げ、安定に運転できる温度ウィンドウの飛躍的な拡大を実現するCO選択メタン化触媒が望まれる。

産業上の利用分野



本発明は、天然ガス、 LPG、灯油など各種の炭化水素燃料から水素ガスを製造する際、副生ガスとして生成する一酸化炭素COを選択的にメタン CH4に転換する触媒、その触媒の製造方法及びそれを用いた装置に関する。本発明が開示する技術を用いれば、CO含有濃度が 10ppm以下の水素リッチガスを安定に生成でき、使用する触媒も安価に製造できるため、例えば、固体高分子形燃料電池を用いた家庭用発電システムの燃料改質器に好適に適用できる。

特許請求の範囲 【請求項1】
一酸化炭素と二酸化炭素を含有する水素リッチガスから一酸化炭素をメタンとして除去する触媒において,少なくともニッケルとアルミニウムとを含む金属塩水溶液の微細液滴を常圧プラズマ又は減圧高周波プラズマ中で加熱処理して得られる,ニッケル/アルミニウムモル比が 0.5未満の複合酸化物前駆体を担体とし,該前駆体の担体表面上に金属ニッケル粒子が析出しており,かつ析出している前記ニッケル粒子に,ルテニウム,白金,パラジウム,ロジウム,イリジウム及びオスミウムのいずれか一つ又は二つ以上の金属が含まれていることを特徴とする一酸化炭素の選択的メタン化触媒。

【請求項2】
一酸化炭素と二酸化炭素を含有する水素リッチガスから一酸化炭素をメタンとして除去する触媒において,少なくともニッケルとアルミニウムを含み,アルミニウムアルコキシド,ニッケル塩および界面活性剤の溶液からゾル-ゲル法により形成されるメソポーラス体であってニッケル/アルミニウムモル比が 0.5未満の複合酸化物前駆体を担体とし,該前駆体の担体表面上に金属ニッケル粒子が析出しており,かつ析出している前記ニッケル粒子に,ルテニウム,白金,パラジウム,ロジウム,イリジウム及びオスミウムのいずれか一つ又は二つ以上の金属が含まれていることを特徴とする一酸化炭素の選択的メタン化触媒。

【請求項3】
前記複合酸化物前駆体が非晶質であることを特徴とする請求項1または2に記載の一酸化炭素の選択的メタン化触媒。

【請求項4】
前記ニッケルとアルミニウムとを含む複合酸化物前駆体が直径が3から12nmの球状粒子ないしは0.1から5μmの中空の球状粒子であることを特徴とする請求項1に記載の一酸化炭素の選択的メタン化触媒。

【請求項5】
CO2 の化学吸着量が触媒粉末単位重量(g-cat)あたり60μmol以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の一酸化炭素の選択的メタン化触媒。

【請求項6】
一酸化炭素の選択的メタン化率が99.9%以上となる温度ウィンドウが50℃以上 120℃未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の一酸化炭素の選択的メタン化触媒。

【請求項7】
セラミックス又は金属のハニカム基材上にコーティングされていることを特徴とする請求項1または2に記載の一酸化炭素の選択的メタン化触媒。

【請求項8】
少なくともニッケルとアルミニウムを含む金属塩水溶液の微細液滴を常圧プラズマ又は減圧高周波プラズマ中で加熱処理し,ニッケル/アルミニウムモル比が 0.5未満の複合酸化物前駆体を作製する第1の工程と,該前駆体に,ルテニウム,白金,パラジウム,ロジウム,イリジウム及びオスミウムのいずれか一つ又は二つ以上の金属を担持させる第2の工程と,前記第2の工程を経た前駆体を還元ガス雰囲気中200℃から700℃で加熱し該前駆体表面に金属ニッケル粒子を析出させる工程とを含むことを特徴とする一酸化炭素の選択的メタン化触媒の製造方法。

【請求項9】
少なくともニッケルとアルミニウムを含み,ニッケル/アルミニウムモル比が 0.5未満のメソポーラス体である複合酸化物前駆体を作製する第1の工程と,該前駆体に,ルテニウム,白金,パラジウム,ロジウム,イリジウム及びオスミウムのいずれか一つ又は二つ以上の金属を担持させる第2の工程と,前記第2の工程を経た前駆体を還元ガス雰囲気中200℃から700℃で加熱し該前駆体表面に金属ニッケル粒子を析出させる工程とを含み,前記第1の工程がアルミニウムアルコキシド,ニッケル塩および界面活性剤の溶液からゾル-ゲル法により前記メソポーラス体を形成するものであることを特徴とする一酸化炭素の選択的メタン化触媒の製造方法。

【請求項10】
金属ニッケル粒子を析出させた前記触媒粉末を粒状,板状に成型又はハニカム基板上にコーティングする工程を更に含むことを特徴とする請求項8または9に記載の一酸化炭素の選択的メタン化触媒の製造方法。

【請求項11】
請求項1から7のいずれかに記載の一酸化炭素の選択的メタン化触媒を搭載したことを特徴とする固体高分子形燃料電池用の水素製造・精製装置。

【請求項12】
請求項7に記載の一酸化炭素の選択的メタン化触媒をコーティングしたハニカムを搭載した固体高分子形燃料電池用の水素製造・精製装置において,前記ハニカムを多段に分割し,かつ分割したハニカム間にガス混合のための空間を設置することを特徴とする固体高分子形燃料電池用の水素製造・精製装置。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2011510261thum.jpg
出願権利状態 登録
上記の特許・技術に関心のある方は、下記問合せ先にご相談下さい。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close