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膵臓癌バイオマーカー

国内特許コード P130009431
掲載日 2013年6月25日
出願番号 特願2012-129844
公開番号 特開2013-027387
出願日 平成24年6月7日(2012.6.7)
公開日 平成25年2月7日(2013.2.7)
優先権データ
  • 特願2011-137320 (2011.6.21) JP
発明者
  • 小野川 徹
  • 海野 倫明
  • 元井 冬彦
  • 高舘 達之
出願人
  • 国立大学法人東北大学
発明の名称 膵臓癌バイオマーカー
発明の概要

【課題】膵臓癌の特異的検出及び予後の予測の方法等の膵臓癌及び予後マーカー、及び使用方法を提供すること。
【解決手段】予後良好及び予後不良の膵臓癌組織、並びに対照となる正常膵管組織のFFPE標本からタンパク質を抽出して可溶化し、LC/MS/MSにより、それぞれの組織において発現するタンパク質を計1229種同定した。次に、統計解析やスペクトラム・カウンティング解析、遺伝子オントロジー解析により、計170種類のタンパク質を膵臓癌マーカータンパク質候補として選択しMRM法で解析した。MRM法の解析結果を精査し、最終的に、A群~C群の膵臓癌マーカータンパク質を同定した。これらの膵臓癌マーカータンパク質を用いることによって、膵臓癌を特異的に検出し、予後を予測することができる。
【選択図】なし

従来技術、競合技術の概要


膵臓は、膵液と呼ばれる消化酵素を含む液体を分泌し、それを膵管により消化管に送り込む外分泌腺であるとともに、膵臓組織に無数に散らばるランゲルハンス島と呼ばれる球状に小さな細胞の集塊がインスリン、グルカゴンなどのホルモンを血液中に分泌する内分泌腺としての機能も有する。独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センターによれば、2009年の日本国内における癌の部位別死亡者数の統計では膵臓癌は第5位であるが、膵臓癌の罹患数は死亡数とほぼ等しく、1993~1996年の部位別がん患者の5年相対生存率は最も低い。すなわち、膵臓癌は、診断、治療ともに困難で、消化器系悪性腫瘍の中で最も予後不良な癌である。長期生存を得るための唯一の治療法は根治的外科切除であるが、膵臓癌は、早期には自覚症状がなく進行が非常に早いため進行がんで発見されることが多く切除率は約30%にとどまる。また、根治切除後の再発率も極めて高く、切除例の5年生存率は10%程度にすぎない。膵臓癌の予後を改善するためには、早期診断のみならず、手術や化学療法などの有効性を評価した上での的確な治療方針の確立が重要である。



現在のところ、膵臓癌の診断用マーカーとして、癌胎児性抗原CEAや糖鎖抗原CA19-9、DUPAN-2、SPan-1等が知られているが、これらはいずれも膵臓癌に特異的なマーカーではなく擬陽性が多い、またその一部は膵臓癌と膵炎とを区別できないものがあるなどにより、膵臓癌の早期診断には有効でないと考えられている(非特許文献1)。実際、CEAは膵臓癌だけでなく、結腸直腸癌、胃癌、胆道癌、乳癌、肺癌、頭部癌、頸部癌を有する患者の血清中でも増加することや(非特許文献2)、初期の癌患者の血清中では増加しないことも報告されている(非特許文献3~5)。CEAと同様に、CA19-9は、消化系の癌、特に膵臓がんに特異性の高い腫瘍マーカーであり、膵臓癌を特異的に検出するために適当なマーカーとは言えない。膵臓癌発癌過程における詳細な癌関連分子の発現変動に関する検討も行われているが、検体量が少ない場合にmRNAの定量解析がうまくいかないこと、膵臓癌の種類によっては検出できない、あるいは膵臓癌だけでなく膵炎でも検出されるなど、問題があり実用化には至っておらず(非特許文献6、特許文献1~3)、特許文献4及び5には癌の予後予測のマーカーが記載されているが、特定の癌を判別することはできず、膵臓癌における予後は、生死の結果からの判定を待つのが現状である。以上のように、膵臓癌を特異的に検出するためのマーカーや、膵臓癌の予後を予測するためのマーカーや、まして膵臓癌の検出及び予後予測のためのマーカーは未だ存在しておらず、その開発が急がれている。



他方、ホルマリン固定パラフィン包埋(formalin-fixed paraffin embedded)は、手術等で摘出された組織を保存するための最も一般的な方法であり、多くの病院や研究機関では、病理診断等を行った後のホルマリン固定パラフィン包埋組織(以下、「FFPE組織」という場合がある)が大量に保存されている。これらのFFPE組織は、患者の治療成績・予後等臨床情報が明らかであることから、バイオマーカー検索や創薬ターゲット探索のために非常に有効であると考えられている。しかし、FFPE組織では、ホルマリン固定よって組織内のタンパク質が架橋されているため、タンパク質を抽出することは困難であり、さらに、ホルマリン固定によって高分子が断片化されていることから、FFPE組織を、プロテオーム解析に用いることは不可能であると考えられていた。しかし、ごく最近になり、FFPE組織からのタンパク抽出法が開発され(特許文献6及び7)、FFPE組織を用いたプロテオーム解析が可能になりつつある。

産業上の利用分野


本発明は、膵臓組織における膵臓癌の有無及び膵臓癌の予後を判定する方法や、該方法に用いるための膵臓癌及び予後の予測マーカー等に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
膵臓組織における、膵臓癌の有無を判定し、かつ予後を予測する方法であって、以下の(a)~(c)の工程を備えたことを特徴とする方法。
(a)被験者より採取された判定用試料における、膵臓癌マーカーの発現量を定量する定量工程であって、前記膵臓癌マーカーが以下の各群のマーカータンパク質から選択される1若しくは2以上のタンパク質、又はそれらタンパク質をコードするmRNAである定量工程;
[A群マーカータンパク質]
FINC_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P02751)、FRIL_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P02792)、K1C10_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P13645)、K2C1_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P04264)、LYSC_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P61626)、PERM_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P05164)、PLBL1_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号Q6P4A8)、S10A8_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P05109)、S10A9_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P06702)、STML2_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号Q9UJZ1)、TERA_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P55072)、TLN1_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号Q9Y490)、TSP1_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P07996)、ANX10_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号Q9UJ72)、ECH1_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号Q13011)、OLFM4_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号Q6UX06)、EFTU_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P49411)、SERPH_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P50454)
[B群マーカータンパク質]
ALDH2_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P05091)、GTR1_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P11166)、PLEC1_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号Q15149)、PUR9_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P31939)
[C群マーカータンパク質]
CH10_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P61604)、CISY_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号O75390)、ERO1A_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号Q96HE7)、LG3BP_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号Q08380)、SH3L3_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号Q9H299)、SSBP_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号Q04837)、TAGL_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号Q01995)、VDAC1_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P21796)
(b)前記判定用試料における前記膵臓癌マーカーの発現量と、対照となる健常試料における前記膵臓癌マーカーの発現量とを比較する比較工程;
(c)発現量の比較結果に基づいて、以下の[i]~[iii]のいずれかの基準により評価をする評価工程;
[i]判定用試料におけるA群マーカータンパク質から選択される1若しくは2以上のタンパク質又はそれらのタンパク質をコードするmRNAの発現量が、健常試料における発現量と比較して増加している場合、被験者の膵臓組織中に予後不良の膵臓癌組織が存在すると評価する;
[ii]判定用試料におけるB群マーカータンパク質から選択される1若しくは2以上のタンパク質又はそれらのタンパク質をコードするmRNAの発現量が、健常試料における発現量と比較して増加している場合、被験者の膵臓組織中に予後良好の膵臓癌組織が存在すると評価する;
[iii]判定用試料におけるC群マーカータンパク質から選択される1若しくは2以上のタンパク質又はそれらのタンパク質をコードするmRNAの発現量が、健常試料における発現量と比較して、増加している場合に被験者の膵臓組織中に予後不良又は予後良好の膵臓癌組織が存在すると評価する;

【請求項2】
[A群マーカータンパク質]に含まれる以下の[A’群マーカータンパク質]から選択されることを特徴とする請求項1記載の方法。
[A’群マーカータンパク質]
STML2_HUMAN、ECH1_HUMAN、OLFM4_HUMAN

【請求項3】
判定用試料が、組織、体液、又は組織の浸漬液であることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。

【請求項4】
体液が、血液、膵液、リンパ液、胆汁、尿、唾液、汗、精液であることを特徴とする請求項3記載の方法。

【請求項5】
定量工程が、液体クロマトグラフィー質量分析法又は免疫学的測定法により、膵臓癌マーカータンパク質の発現量を定量する工程であることを特徴とする請求項1~4のいずれか記載の方法。

【請求項6】
以下の各群のマーカータンパク質から選択される1若しくは2以上のタンパク質、又はそれらタンパク質をコードするmRNAを膵臓癌マーカーとして使用する方法。
[A群マーカータンパク質]
FINC_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P02751)、FRIL_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P02792)、K1C10_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P13645)、K2C1_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P04264)、LYSC_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P61626)、PERM_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P05164)、PLBL1_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号Q6P4A8)、S10A8_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P05109)、S10A9_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P06702)、STML2_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号Q9UJZ1)、TERA_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P55072)、TLN1_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号Q9Y490)、TSP1_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P07996)、ANX10_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号Q9UJ72)、ECH1_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号Q13011)、OLFM4_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号Q6UX06)、EFTU_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P49411)、SERPH_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P50454)
[B群マーカータンパク質]
ALDH2_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P05091)、GTR1_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P11166)、PLEC1_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号Q15149)、PUR9_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P31939
[C群マーカータンパク質]
CH10_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P61604)、CISY_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号O75390)、ERO1A_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号Q96HE7)、LG3BP_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号Q08380)、SH3L3_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号Q9H299)、SSBP_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号Q04837)、TAGL_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号Q01995)、VDAC1_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P21796)

【請求項7】
[A群マーカータンパク質]に含まれる以下の[A’群マーカータンパク質]から選択されることを特徴とする請求項6記載の方法。
[A’群マーカータンパク質]
STML2_HUMAN、ECH1_HUMAN、OLFM4_HUMAN

【請求項8】
膵臓癌マーカーとして使用するための、以下の各群のマーカータンパク質から選択される1若しくは2以上のタンパク質、又はそれらタンパク質をコードするmRNA。
[A群マーカータンパク質]
FINC_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P02751)、FRIL_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P02792)、K1C10_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P13645)、K2C1_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P04264)、LYSC_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P61626)、PERM_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P05164)、PLBL1_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号Q6P4A8)、S10A8_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P05109)、S10A9_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P06702)、STML2_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号Q9UJZ1)、TERA_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P55072)、TLN1_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号Q9Y490)、TSP1_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P07996)、ANX10_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号Q9UJ72)、ECH1_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号Q13011)、OLFM4_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号Q6UX06)、EFTU_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P49411)、SERPH_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P50454)
[B群マーカータンパク質]
ALDH2_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P05091)、GTR1_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P11166)、PLEC1_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号Q15149)、PUR9_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P31939)
[C群マーカータンパク質]
CH10_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P61604)、CISY_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号O75390)、ERO1A_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号Q96HE7)、LG3BP_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号Q08380)、SH3L3_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号Q9H299)、SSBP_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号Q04837)、TAGL_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号Q01995)、VDAC1_HUMAN(UniProtKBアクセッション番号P21796)

【請求項9】
[A群マーカータンパク質]に含まれる以下の[A’群マーカータンパク質]から選択されることを特徴とする請求項8記載の1若しくは2以上のタンパク質、又はそれらタンパク質をコードするmRNA。
[A’群マーカータンパク質]
STML2_HUMAN、ECH1_HUMAN、OLFM4_HUMAN
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 審査請求前
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