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認知症の治療及び予防用の医薬組成物

国内特許コード P130009435
整理番号 S2013-0161-N0
掲載日 2013年6月26日
出願番号 特願2012-260046
公開番号 特開2014-105196
出願日 平成24年11月28日(2012.11.28)
公開日 平成26年6月9日(2014.6.9)
発明者
  • 遠山 育夫
  • 田口 弘康
  • 柳沢 大治郎
出願人
  • 国立大学法人滋賀医科大学
発明の名称 認知症の治療及び予防用の医薬組成物
発明の概要 【課題】認知症の根本的な治療を可能とする医薬組成物を提供する。
【解決手段】ケト型とエノール型が存在する1,3-ジカルボニル構造を有する化合物を含有する認知症の治療及び/又は予防用の医薬組成物であって、該化合物は脳内に移行可能であり且つケト型とエノール型でアミロイドβタンパク質の凝集体に対する親和性が異なり、1,3-ジカルボニル構造の2位が置換基を有する1つのアルキル基で置換されている、医薬組成物。
【選択図】図4
従来技術、競合技術の概要



認知症は、大脳の障害によって一度正常に発達した知的機能が低下し、社会生活や日常生活に障害をきたす状態で意識障害がない疾患を言う。初老期から老年期に起こることが多く、進行性の認知症を特徴とする。現在、我が国には、300万人以上の認知症患者が存在するが、今後人口の高齢化に伴いその数は確実に増加すると予想される。認知症患者の約半数がアルツハイマー病を原因疾患としており、現在、国内の患者数は150万人以上と言われている。





アルツハイマー病の臨床症状は、記憶障害、高次脳機能障害(失語、失行、失認、構成失行)等である。一方、アルツハイマー病の特徴的な病理組織所見としては、老人斑と神経原線維変化がある。前者の主構成成分はβシート構造をとったアミロイドβタンパク質(以下、Aβと略記することもある)であり、後者のそれは過剰リン酸化されたタウ蛋白である。分子遺伝学的研究や神経病理学的研究によって、最初にアミロイドβが凝集してオリゴマーを形成し、さらにβシート構造をとったアミロイドβタンパク質となって沈着して老人斑を形成する。ついで過剰リン酸化されたタウ蛋白が凝集した神経原線維変化ができて、神経細胞死がおこり、認知症を発症するというアミロイド仮説(アミロイドカスケード仮説とも言う)が有力である(非特許文献1)。アルツハイマー病においては臨床症状が発症するかなり前から、脳内では凝集したアミロイドβタンパク質の蓄積等の上記病理的組織変化が始まっていることが知られている。





アルツハイマー病の治療法としては、2012年4月1日現在で、我が国で認可及び販売されている薬剤は、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬であるドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン、及びグルタミン酸のNMDA受容体拮抗薬であるメマンチンの4種類である(非特許文献2)。これらはいずれも、神経伝達物質やその受容体を標的にした治療薬で、アミロイドβタンパク質凝集体やタウ蛋白凝集体等の病理変化を治療する治療薬ではないので、認知症状の改善効果や進行を遅らせる効果はあるものの、根本的な治療薬ではない(非特許文献2)。したがって、アミロイド仮説に基づく新たな認知症治療薬の開発が臨まれている。





現在、研究が進められているアルツハイマー病の治療薬としては、アミロイドワクチン療法、ガンマセクレターゼ阻害薬、ガンマセクレターゼ修飾薬、ベータセクレターゼ阻害薬、アミロイドβタンパク質などの異常蛋白の凝集抑制剤などがある(非特許文献3、4、5)。このうち、アミロイドβタンパク質などの異常蛋白の凝集抑制剤としてIn vitro実験系で効果が報告されているものとして、ワイン関連ポリフェノール、エピガロカテキンガレート(EGCG)、クルクミン、ロスマリン酸、ニコチン、リファンピシン、メラトニン、ポリ硫酸化合物、クリオキノールなどが挙げられる(非特許文献5)。こうした化合物の中で、これまでに臨床試験が行われている化合物としては、EGCG、ポリ硫酸化合物、クリオキノール、そしてクルクミンが挙げられる(非特許文献5)。





クルクミンは、アルツハイマー病の遺伝子改変モデルマウスで治療効果が報告されており(非特許文献6、7)、アルツハイマー患者を対象にした臨床試験も行われている(非特許文献8)。しかしながら、臨床試験の結果は、認知機能の有意な改善効果は認められず(非特許文献8)、クルクミンよりもより効果のある化合物の開発が望まれている。





また、特許文献1には、クルクミン誘導体及びケト・エノール互変異性を有するある種の化合物をアルツハイマー病の画像診断薬として使用することが開示されている。しかしながら、画像診断薬、対外診断薬及び染色薬以外の用途については記載されていない。

産業上の利用分野



本発明は、認知症、特にアルツハイマー病の治療及び予防に有用な医薬組成物及び食品組成物に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
ケト型とエノール型が存在する1,3-ジカルボニル構造を有する化合物を含有する認知症の治療及び/又は予防用の医薬組成物であって、該化合物は脳内に移行可能であり且つケト型とエノール型でアミロイドβタンパク質の凝集体に対する親和性が異なり、1,3-ジカルボニル構造の2位が置換基を有する1つのアルキル基で置換されている、医薬組成物。

【請求項2】
前記化合物はケト型に比べてエノール型の方がアミロイドβペプチドの凝集体に対する親和性が高い、請求項1に記載の医薬組成物。

【請求項3】
前記化合物が式(I):
【化1】


(式中、R1a及びR1bはそれぞれ独立に置換されていてもよいアリール基又はヘテロアリール基であり、Aはアルコキシ置換アルキル、アルコキシカルボニル置換アルキル又はジメチルアミノカルボニル置換アルキルである)で表される化合物又はその塩である、請求項1又は2に記載の医薬組成物。

【請求項4】
前記化合物が式(II):
【化2】


(式中、R2a及びR2bはそれぞれ独立に水素原子、アルキル、アセチル又はメトキシカルボニルであり、R3a及びR3bはそれぞれ独立にフッ素原子、CHF2-、CF3-、CHF2O-又はCF3O-であり、R4a及びR4bはそれぞれ独立に水素原子又はフッ素原子であり、A1はR5-(CH2)m-であり、R5はアルコキシ、アルコキシカルボニル又はジメチルアミノカルボニルであり、mは1~5の整数である)で表されるクルクミン誘導体又はその塩である、請求項1~3のいずれかに記載の医薬組成物。

【請求項5】
前記認知症がアルツハイマー病である、請求項1~4のいずれかに記載の医薬組成物。

【請求項6】
ケト型とエノール型が存在する1,3-ジカルボニル構造を有する化合物を含有する食品組成物であって、該化合物は脳内に移行可能であり且つケト型とエノール型でアミロイドβタンパク質の凝集体に対する親和性が異なり、1,3-ジカルボニル構造の2位が置換基を有する1つのアルキル基で置換されている、食品組成物。

【請求項7】
前記化合物はケト型に比べてエノール型の方がアミロイドβペプチドの凝集体に対する親和性が高い、請求項6に記載の食品組成物。

【請求項8】
前記化合物が式(I):
【化3】


(式中、R1a及びR1bはそれぞれ独立に置換されていてもよいアリール基又はヘテロアリール基であり、Aはアルコキシ置換アルキル、アルコキシカルボニル置換アルキル又はジメチルアミノカルボニル置換アルキルである)で表される化合物又はその塩である、請求項6又は7に記載の食品組成物。

【請求項9】
前記化合物が式(II):
【化4】


(式中、R2a及びR2bはそれぞれ独立に水素原子、アルキル、アセチル又はメトキシカルボニルであり、R3a及びR3bはそれぞれ独立にフッ素原子、CHF2-、CF3-、CHF2O-又はCF3O-であり、R4a及びR4bはそれぞれ独立に水素原子又はフッ素原子であり、A1はR5-(CH2)m-であり、R5はアルコキシ、アルコキシカルボニル又はジメチルアミノカルボニルであり、mは1~5の整数である)で表されるクルクミン誘導体又はその塩である、請求項6~8のいずれかに記載の食品組成物。

【請求項10】
前記認知症がアルツハイマー病である、請求項6~9のいずれかに記載の食品組成物。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2012260046thum.jpg
出願権利状態 公開


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