TOP > 国内特許検索 > 高分子グラフト微粒子によるコロイド結晶の製造方法

高分子グラフト微粒子によるコロイド結晶の製造方法

国内特許コード P130009530
整理番号 368
掲載日 2013年7月10日
出願番号 特願2006-512988
登録番号 特許第4982748号
出願日 平成17年4月28日(2005.4.28)
登録日 平成24年5月11日(2012.5.11)
国際出願番号 JP2005008249
国際公開番号 WO2005108451
国際出願日 平成17年4月28日(2005.4.28)
国際公開日 平成17年11月17日(2005.11.17)
優先権データ
  • 特願2004-139213 (2004.5.7) JP
発明者
  • 大野 工司
  • 辻井 敬旦
  • 福田 猛
出願人
  • 国立大学法人京都大学
発明の名称 高分子グラフト微粒子によるコロイド結晶の製造方法
発明の概要

本発明の課題は、ナノ光学材料として有望な高分子コロイド結晶構造体を構築することにある。本発明は、高分子グラフト鎖が超高密度で微粒子表面に結合した複合微粒子およびそのコロイド結晶構造体を提供する。本発明はさらに、a)重合開始基を微粒子表面に結合させる工程、b)表面に重合開始基を有する微粒子とモノマーとをリビングラジカル重合条件下で接触させて、高分子グラフト鎖が超高密度で微粒子表面に結合した複合微粒子を得る工程を包含する、高分子グラフト複合微粒子を製造する方法を提供する。

従来技術、競合技術の概要


表面グラフト重合は、nmからμmオーダーのグラフト層を形成させることが可能であり、また、重合するモノマーの種類を変えることにより多様な表面特性を付与できることから広く行われている表面改質法の一つである。特に、材料表面に導入された重合開始基を用いる場合、高い密度でのグラフト化が期待できる。そして、この表面グラフト重合においては、従来では、表面特性と深く関わるグラフト鎖の分子量、分子量分布およびグラフト密度(グラフト鎖の表面密度)を制御することは困難な状況にあったが、本発明者らは、リビングラジカル重合の簡便性と原理的単純性に着目し、表面グラフト重合への応用の可能性をいち早く見出し、表面開始によるリビング・グラフト重合の検討に着手した。リビングラジカル重合は、ラジカル重合によって分子量分布が狹く、しかも構造の明確な高分子を簡便に合成し得るものとして近年世界的に注目されている重合法で、適用可能なモノマー種が広範であることや操作が簡便であることなど、他のリビング重合系にはない利点を有しているからである。そして、この重合法の適応により本発明者らは、鎖長および鎖長分布の制御された高分子鎖を従来に比を見ない高い密度でグラフトすることに成功し、さらに、隣接グラフト鎖間の立体反発によりグラフト鎖はほぼ伸びきった形態をとり、文字通りのポリマーブラシを形成することを明らかにした(特許文献1参照)。その結果、この方法は、異方性の高い均一性に優れた超薄膜を形成し得る新しい表面修飾法として確立されるに至っている。最近では、超高密度グラフト化表面の構造と物性を系統的に評価し、幾つかの特異な力学的、熱的、レオロジー的性質を発見している。その一例として、この超高密度グラフト膜を良溶媒中に入れると、隣接鎖間の立体反発によりグラフト鎖は表面に垂直な方向にほぼ伸びきった形態をとり、比較的低密度なグラフト膜には認められない圧縮に対する強い反発力を示すことを原子間力顕微鏡による特性解析から明らかにした。



このような知見はこれまでに知られていない画期的なものであり、ナノ高分子構造の新しい技術の展開を可能とするものであるが、本発明者らは、さらにこの技術をベースとして、理想的なnmオーダーの高分子グラフト微粒子を合成しこれらを結晶状に規則正しく配列させることができれば、ナノ光学材料として有望な新しい高分子コロイド結晶を提供することができることに着眼した。本発明者らはこれまでに、グラフト鎖層が表面に配設された微粒子を合成し、その複数の高分子グラフト微粒子をナノスケールで二次元または三次元に配列させた高分子グラフト微粒子の秩序構造体の構築を試みてきた(特許文献2参照)。具体的には、100nm以下、さらには50nm以下の金(Au)ナノ微粒子の表面に、重合開始基を有するジスルフィド化合物を自己吸着させ、微粒子の表面に固定していない開始剤化合物の共存下に、リビングラジカル・グラフト重合を行い、得られる高分子グラフト微粒子からLangmuir-Blodget(LB)法による単粒子膜、多層粒子膜、およびキャストフィルムを形成させている。しかしながら、現在のところ入手できる金ナノ粒子は粒径が小さいために、その表面からグラフト重合させる際に粒子の曲率の影響を受け、グラフト化の密度が低くなり、その結果コロイド結晶を形成するまでには至っていない。しかも、金ナノ微粒子は、それ自体が可視光領域に吸収をもつためブラッグ反射が得られず、光通信分野、カラー映像機器および高出力レーザー分野におけるナノ光学材料としては不向きである。

【特許文献1】特開平11-263819

【特許文献2】特開2003-327641

産業上の利用分野


本発明は、高分子グラフト鎖が超高密度で微粒子表面に結合した複合微粒子、およびその複合微粒子から形成されるコロイド結晶構造体に関する。より詳細には、将来、光通信分野、カラー映像機器および高出力レーザー分野等への応用が期待される規則性の高いコロイド結晶に関する。本発明はさらに、高分子グラフト鎖が超高密度で微粒子表面に結合した複合微粒子およびコロイド結晶構造体の製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】 リビングラジカル重合により高分子グラフト鎖を微粒子表面に結合させた複合微粒子において、0.1~1.2本鎖/nmのグラフト密度を有し、前記高分子グラフト鎖の分子量分布が1~1.5であると共に、前記微粒子が50nm~1μmの粒径を有する単分散微粒子である合微粒子であって、
前記複合微粒子が、以下の式:
【化学式1】
(式中、nは3~10の整数であり、RはC1~C3アルキルを表し、RはC1~C2アルキルを表し、Xはハロゲン原子を表す)で表される化合物を前記微粒子に結合させて前記微粒子表面に重合開始基を形成した後、リビングラジカル重合により高分子グラフト鎖を微粒子表面に結合させたものである、複合微粒子
【請求項2】 0.6~1.2本鎖/のグラフト密度を有する、請求項1に記載の複合微粒子。
【請求項3】 前記高分子グラフト鎖は、微粒子表面上の重合開始基を基点とした、アクリル酸誘導体、メタクリル酸誘導体、スチレン誘導体、酢酸ビニルまたはアクリロニトリルのリビングラジカル重合によって得られる、請求項1または2に記載の複合微粒子。
【請求項4】 前記微粒子は、100nm~1μmの粒径を有する単分散微粒子である、請求項1~3のいずれか1項に記載の複合微粒子。
【請求項5】 前記微粒子は、シリカ、金属酸化物または金属硫化物である、請求項1~4のいずれか1項に記載の複合微粒子。
【請求項6】 互いに隣接する複合微粒子の複数の高分子グラフト鎖間に化学結合が形成されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の複合微粒子。
【請求項7】 前記化学結合は、前記高分子グラフト鎖の側鎖間の架橋または重合により形成される、請求項6に記載の複合微粒子。
【請求項8】 前記化学結合は、前記高分子グラフト鎖を光または熱に曝露することで形成される、請求項7に記載の複合微粒子。
【請求項9】 リビングラジカル重合により高分子グラフト鎖を微粒子表面に結合させた複合微粒子において、0.1~1.2本鎖/nmのグラフト密度を有し、前記高分子グラフト鎖の分子量分布が1~1.5であると共に、前記微粒子が50nm~1μmの粒径を有する単分散微粒子である複合微粒子を溶媒に分散させてなるコロイド結晶構造体。
【請求項10】 0.6~1.2本鎖/nmのグラフト密度を有する、請求項9に記載のロイド結晶構造体。
【請求項11】 前記高分子グラフト鎖は、微粒子表面上の重合開始基を基点とした、アクリル酸誘導体、メタクリル酸誘導体、スチレン誘導体、酢酸ビニルまたはアクリロニトリルのリビングラジカル重合によって得られる、請求項9または10に記載のコロイド結晶構造体。
【請求項12】 前記微粒子は、100nm~1μmの粒径を有する単分散微粒子である、請求項9~11のいずれか1項に記載のコロイド結晶構造体。
【請求項13】 前記微粒子は、シリカ、金属酸化物または金属硫化物である、請求項9~12のいずれか1項に記載のコロイド結晶構造体。
【請求項14】 互いに隣接する複合微粒子の複数の高分子グラフト鎖間に化学結合が形成されている、請求項9~13のいずれか1項に記載のコロイド結晶構造体。
【請求項15】 前記化学結合は、前記高分子グラフト鎖の側鎖間の架橋または重合により形成される、請求項14に記載のコロイド結晶構造体。
【請求項16】 前記化学結合は、前記高分子グラフト鎖を光または熱に曝露することで形成される、請求項15に記載のコロイド結晶構造体。
【請求項17】 前記複合微粒子が、以下の式:
【化学式1】
(式中、nは3~10の整数であり、RはC1~C3アルキルを表し、RはC1~C2アルキルを表し、Xはハロゲン原子を表す)で表される化合物を前記微粒子に結合させて前記微粒子表面に重合開始基を形成した後、リビングラジカル重合により高分子グラフト鎖を微粒子表面に結合させた、請求項9~16のいずれか1項に記載のコロイド結晶構造体。
【請求項18】 以下の工程:
a)重合開始基を微粒子表面に結合させる工程;および
b)表面に重合開始基を有する微粒子と、モノマーとを、リビングラジカル重合条件下で接触させて、高分子グラフト鎖が微粒子表面に結合した複合微粒子を得る工程、
を包含する、請求項1~8のいずれか1項に記載の複合微粒子を製造する方法。
【請求項19】 以下の工程:
a)重合開始基を微粒子表面に結合させる工程;
b)表面に重合開始基を有する微粒子と、モノマーとを、リビングラジカル重合条件下で接触させて、高分子グラフト鎖が微粒子表面に結合した複合微粒子を形成する工程;および
c)工程b)で得られた複合微粒子を、溶媒中に分散させる工程、
を包含する、請求項9に記載の複合微粒子のコロイド結晶構造体を製造する方法。
【請求項20】 工程c)における前記複合微粒子の濃度は、該複合微粒子同士が接する濃度である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】 以下の工程:
a)重合開始基を微粒子表面に結合させる工程;
b)表面に重合開始基を有する微粒子と、光または熱感応性基を有するモノマーとを、リビングラジカル重合条件下で接触させて、高分子グラフト鎖が微粒子表面に結合した複合微粒子を形成する工程;
c)工程b)で得られた微粒子を、溶媒中に分散させる工程;および
d)工程c)で得られた分散体を光または熱に曝露させ、互いに隣接する該複合微粒子の複数の高分子グラフト鎖間に化学結合を形成する工程、
を包含する、請求項9に記載の複合微粒子のコロイド結晶構造体を製造する方法。
【請求項22】 前記モノマーは、オキセタンメタクリレート、オキセタンアクリレート、シンナモイルエチルアクリレートまたはシンナモイルエチルメタクリレートである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】 前記複合微粒子の濃度が、1~30重量%である、請求項19又は20記載の方法。
産業区分
  • 高分子化合物
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
ライセンスをご希望の方、特許の内容に興味を持たれた方は、下記までご連絡ください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close