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リグノセルロース分解作用を有する白色腐朽菌及びその利用

国内特許コード P130009537
整理番号 963
掲載日 2013年7月10日
出願番号 特願2005-225851
公開番号 特開2007-037469
登録番号 特許第4793781号
出願日 平成17年8月3日(2005.8.3)
公開日 平成19年2月15日(2007.2.15)
登録日 平成23年8月5日(2011.8.5)
発明者
  • 渡邊 隆司
  • 田邊 俊朗
  • 本田 与一
  • 白井 伸明
  • 岡田 俊樹
出願人
  • 国立大学法人京都大学
  • 滋賀県
発明の名称 リグノセルロース分解作用を有する白色腐朽菌及びその利用
発明の概要

【課題】 本発明の目的は、リグノセルロースに対して優れた分解作用を有し、リグノセルロースを酵素糖化・発酵処理の多糖原料として有効利用できるように変換可能な菌株を提供することである。
【解決手段】 リグノセルロース分解作用を有する白色腐朽菌(FERM AP-20591)又はその変異株は、優れたリグノセルロースの分解作用を有しており、リグノセルロースの酵素糖化・発酵処理の前処理に有用である。
【選択図】 なし

従来技術、競合技術の概要


近年の急激な人口増加と化石資源の消費に伴うCO2濃度の増加に対処するため、再生産可能な資源であるバイオマスから多糖の糖化・発酵により有用なエネルギー・化学原料を生産することが求められている。しかしながら、木材細胞壁多糖はリグニンに被覆されリグノセルロースとして存在しているため、木材細胞壁多糖を酵素糖化・発酵するには、リグノセルロースを分解してリグニンにより被覆された多糖を露出させる前処理が必要である。リグノセルロースを分解して木材細胞壁多糖を酵素と接触できるように露出させる前処理としては、粉砕、爆砕、蒸煮、マイクロ波照射、ガンマ線照射、電子線照射、希硫酸処理、アルカリ処理、ソルボリシス処理、等の前処理が知られている(非特許文献1及び2参照)。これらの方法は、エネルギーの投入量が大きい、前処理による糖の損失が大きい、有害物質による環境負荷が大きい、などの欠点があり、木材の酵素糖化法によるエタノールへの変換は未だに工業化されていない。これらの前処理法の中で、爆砕、マイクロ波加熱などの熱化学的処理は、実用化に近い方法として研究例が多いが、いずれの方法も、触媒を添加しない条件では、針葉樹材に対する処理効果が小さいという欠点を有していた。例えば、ブナ材をマイクロ波加熱前処理した場合の最大酵素糖化率は100%になるが、スギ材をマイクロ波加熱前処理した場合の最大酵素糖化率は、36%にとどまることが知られている(非特許文献2参照)。こうした欠点を補うため、熱化学的処理に硫酸やSO2を触媒として利用する方法も試されているが(非特許文献3参照)、これらの有害物質の使用は、酵素糖化法の利点である低環境負荷を損なうことになる。



一方、リグノセルロース中のリグニンを分解できる微生物である白色腐朽菌に注目して、白色腐朽菌を他の木材酵素糖化前処理法と組み合わせて利用する方法が報告されている(非特許文献4参照)。しかしながら、従来の白色腐朽菌を使用してリグノセルロースを分解する方法では、環境に対する負荷が少ないという利点があるものの、木材の酵素糖化・発酵に対する前処理の効果が小さく、未だ満足できるものではなかった。例えば、広葉樹ブナ材を、白色腐朽菌Phanerochaete chrysosporiumで28日間培養した後210℃で爆砕処理すると、酵素糖化率は腐朽木材当たり76%に達するが、28日間のPhanerochaete chrysosporium培養でブナ材の重量は30%以上減少しているため、元の材の重量あたりの糖化率は、55%以下にとどまる(非特許文献3参照)。このため、腐朽に伴う木材の重量減少率が小さく、なおかつ広葉樹材や非木材リグノセルロースのみでなく、スギなどの針葉樹材に対しても高い前処理効果を示す白色腐朽菌の開発が求められてきた。

【非特許文献1】安田征市、バイオマス資源の利用技術 1.前処理技術、木質バイオマスの利用技術、文永堂出版、19-23 (1991)

【非特許文献2】越島哲夫、セルロース資源-高度利用のための技術開発とその基礎、越島哲夫編、学会出版センター、88-99 (1991)

【非特許文献3】Dale, B. E., Moreira, M. J., Biotech. Bioeng. Symp., 12, 31-43 (1982).

【非特許文献4】Sawada, T., Y. Nakamura, F. Kobayashi, M. Kuwahara and T. Watanabe: effects of fungal pretreatment and steam explosion pretreatment on enzymatic saccharification of plant biomass, Biotechnol. Bioeng., 48, 719-724 (1995).

産業上の利用分野


本発明は、リグノセルロースに対して優れた分解作用を有し、リグノセルロースを酵素糖化・発酵処理の多糖原料として有効利用できるように変換可能な白色腐朽菌に関する。更に、本発明は、当該白色腐朽菌を使用したリグノセルロースの分解方法、リグノセルロースの糖化方法、リグノセルロースから発酵産物を製造する方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
リグノセルロース分解作用を有する白色腐朽菌(FERM P-20591)又はリグノセルロース分解作用を有するその変異株。

【請求項2】
リグノセルロース分解作用を有する白色腐朽菌(FERM P-20591)又はリグノセルロース分解作用を有するその変異株をリグノセルロースの存在下で培養する工程を含む、リグノセルロースの分解方法。

【請求項3】
リグノセルロースが針葉樹材、広葉樹材、又は非木材系リグノセルロースである、請求項2に記載の分解方法。

【請求項4】
リグノセルロース分解作用を有する白色腐朽菌(FERM P-20591)又はリグノセルロース分解作用を有するその変異株をリグノセルロースの存在下で培養する工程、及び
前記工程で得られた培養物中の多糖を酵素糖化処理する工程を含む、リグノセルロースの糖化方法。

【請求項5】
リグノセルロース分解作用を有する白色腐朽菌(FERM P-20591)又はリグノセルロース分解作用を有するその変異株をリグノセルロースの存在下で培養する工程、及び
前記工程で得られた培養物中の多糖を用いて糖化及び発酵処理する工程を含む、リグノセルロースから発酵産物を製造する方法。
産業区分
  • 微生物工業
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
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