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タウオパチー治療用ワクチン 外国出願あり

国内特許コード P130009566
整理番号 2810
掲載日 2013年7月10日
出願番号 特願2011-549046
登録番号 特許第5697044号
出願日 平成23年1月11日(2011.1.11)
登録日 平成27年2月20日(2015.2.20)
国際出願番号 JP2011050616
国際公開番号 WO2011083881
国際出願日 平成23年1月11日(2011.1.11)
国際公開日 平成23年7月14日(2011.7.14)
優先権データ
  • 特願2010-003424 (2010.1.8) JP
発明者
  • 井上 治久
  • 竹内 啓喜
  • 高橋 良輔
  • 樋口 真人
  • 季 斌
  • 須原 哲也
出願人
  • 国立大学法人京都大学
  • 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構
発明の名称 タウオパチー治療用ワクチン 外国出願あり
発明の概要 この発明は、分泌シグナル配列に連結された変異型タウ蛋白質をコードする核酸を含むベクターを有効成分として含むタウオパチーの予防または治療用ワクチンであって、被験者において変異型タウ蛋白質の直接投与と比べてより持続的にタウ蛋白質(リン酸化されていてもよい。)に対する抗体を誘導することができるワクチンに関する。
従来技術、競合技術の概要


タウ(tau)蛋白質は正常脳内では細胞内の微小管に結合した状態で存在する可溶性のリン酸化蛋白質で、微小管の重合促進と安定化に寄与し、微小管との結合と乖離を繰り返しながら平衡状態を保っている。この平衡状態がリン酸化・脱リン酸化酵素異常などにより崩れると、細胞質中の遊離タウ蛋白質が増加し、凝集や線維化がみられるようになる。アルツハイマー病や前頭側頭型認知症をはじめとする高齢者の認知症の大多数において、アミロイドの蓄積を必ずしも伴わず、タウ蛋白質凝集体の蓄積が特徴的病変として認められる神経変性疾患については、タウオパチーと総称されている(非特許文献1)。
わが国では65歳以上の高齢者の約7%に認知症がみられ、軽度認知症を加えると約10%に達する。その7割がタウオパチー型認知症といわれており、患者数は約200万人である。認知症に関する研究開発はこれまでアミロイドβ(Aβ)蛋白質に対する研究が先行しており、アミロイドβのペプチド免疫による臨床治験が行われているが、治験の途中で接種患者の6%に髄膜脳炎が発生したため治験中止となっている(非特許文献2)。この治験は中止になったが、ワクチン接種後脳炎を起こし快復した後、別の疾患で死亡した患者についての症例報告により、ワクチン接種により老人斑や神経変性突起の消失効果があったことが確認された(非特許文献3)。また、ワクチン接種患者のその後のfollow-up調査により、このワクチン投与により、剖検で老人斑の消失が確認された患者も病気は進行することが確認され、このワクチンは病気の進行予防効果がないことが示唆された(非特許文献4)。
また、アミロイドβに対する抗体による受動免疫が有効であることもこれまでの研究で明らかになっているが、病気の進行を抑える効果については明らかになっていない(非特許文献5)。
さらにアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターにアミロイドβを搭載した経口ワクチンの効果も検証されている。マウスの実験において、このAAVベクターの経口投与により腸管粘膜を介するアミロイドβに対する抗体産生効果、学習機能改善効果が認められたが(非特許文献6)、その後のサルの実験では老人斑の減少は認められたものの、明確な病状進行抑制効果は確認できていない。
これに対して、タウ蛋白質については、これまでアルツハイマー病などの治療の標的としてあまり重視されていなかったが、近年、タウ蛋白質はアミロイドβに代わるアルツハイマーの治療薬の標的として、タウ蛋白質過剰蓄積を伴うタウオパチーの治療およびワクチンの標的となりつつある(非特許文献7)。
本発明と関連する治療剤として、アミロイドβをコードする遺伝子をアデノ随伴ウイルスに搭載したアルツハイマー治療剤(特許文献1、2、非特許文献8)、タウ蛋白質の接種によるアルツハイマーおよびタウオパチーの治療法(特許文献3、非特許文献9)などが報告されているが、タウ蛋白接種タウオパチーモデルマウスにおいて協調運動・運動学習の改善効果は認められたものの社交性の欠如、記銘力低下という認知症患者において特徴的に見られる症状の改善効果は認められていない。

産業上の利用分野


本発明は、タウオパチー(tauopathy)の予防または治療のために用いることが可能な変異型タウ蛋白質を発現するベクターおよびその医薬品としての使用に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
分泌シグナル配列に連結された変異型タウ蛋白質をコードする核酸を含むベクターを有効成分として含むタウオパチー型認知症の予防または治療用ワクチンであって、該変異型タウ蛋白質が、タウ蛋白質のアミノ酸配列において、配列番号1の257位、260位、266位、272位、279位、280位、284位、296位、301位、303位、305位、315位、317位、320位、335位、336位、337位、342位、352位、369位、389位および406位からなる群から選択される少なくとも1つの位置に相当する位置のアミノ酸残基の変異を含むものであり、および、該ベクターが被験者において変異型タウ蛋白質の直接投与と比べてより持続的にタウ蛋白質に対する抗体を誘導することができる、前記ワクチン。

【請求項2】
前記変異が、K257T、I260V、L266V、G272V、N279K、K280Δ、L284L、N296Δ、N296H、P301L、P301S、G303V、S305N、L315R、K317M、S320F、G335S、G335V、Q336R、V337M、E342V、S352L、K369I、G389RおよびR406W(ここでΔは欠失である。)からなる群から選択される少なくとも1つの変異である、請求項1記載のワクチン。

【請求項3】
前記変異が、少なくともP301L、P301SまたはP301Tの変異を含む、請求項1または2記載のワクチン。

【請求項4】
前記分泌シグナル配列が、アミロイド前駆蛋白質シグナル配列またはCD59シグナル配列である、請求項1~3のいずれか1項記載のワクチン。

【請求項5】
前記ベクターがセンダイウイルスベクターである、請求項1~4のいずれか1項記載のワクチン。

【請求項6】
前記ベクターがプラスミドベクターである、請求項1~4のいずれか1項記載のワクチン。

【請求項7】
鼻腔内投与用に製剤化されている、請求項1~6のいずれか1項記載のワクチン。

【請求項8】
被験者において社会的行動異常、不安様行動異常および記憶障害の少なくとも1つの症状の改善作用を有する、請求項1~7のいずれか1項記載のワクチン。

【請求項9】
ワクチンが被験者の脳内のミクログリアを活性化し、これによって変異型タウ蛋白質の蓄積を抑制する作用を有する、請求項1~のいずれか1項記載のワクチン。

【請求項10】
タウ蛋白質はリン酸化されている、請求項1~のいずれか1項記載のワクチン。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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