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TN型液晶素子及びその製造方法 新技術説明会

国内特許コード P130009604
掲載日 2013年7月12日
出願番号 特願2011-547542
登録番号 特許第5648925号
出願日 平成22年12月20日(2010.12.20)
登録日 平成26年11月21日(2014.11.21)
国際出願番号 JP2010072916
国際公開番号 WO2011078126
国際出願日 平成22年12月20日(2010.12.20)
国際公開日 平成23年6月30日(2011.6.30)
優先権データ
  • 特願2009-294992 (2009.12.25) JP
発明者
  • 高頭 孝毅
  • 穐本 光弘
  • 篠原 和也
出願人
  • 学校法人東京理科大学
発明の名称 TN型液晶素子及びその製造方法 新技術説明会
発明の概要 TN型液晶の状態で安定であり、かつ、立ち下がりの応答速度が高速化されたTN型液晶素子及びその製造方法を提供する。
本発明に係るTN型液晶素子は、略平行に配置され、少なくとも一方が透明な1組の基板と、1組の基板の対向面に設けられ、液晶材料中の液晶分子が同一方向を向くように表面に配向処理が施された1組の配向膜と、1組の配向膜の間に配置された、液晶材料及びカイラル剤を含む液晶層と、を備え、1組の配向膜の配向処理方向のなす角αは70~110度であり、かつ、その配向処理方向は、液晶層が上記なす角αだけねじれていた場合にユニフォームツイスト構造を形成する方向であり、無電界状態で安定なねじれ角α+180(度)のSTN型液晶が、ねじれ角α(度)のTN型液晶として高分子安定化されている。
従来技術、競合技術の概要



液晶素子は、近年、携帯電話用途の小型のものから液晶テレビジョン用途の大型のものまで、その市場を拡大してきている。

この液晶素子は、上下基板の配向処理方向が90度ねじれた構造をもつ、いわゆるTN(Twisted Nematic)型液晶素子を中心に発展してきたが、大型テレビジョン等の視野角が特に要求される分野では、MVA(Multi domain Vertical Aligned)、IPS(In Plane Switching)等の方式が主流になりつつある。しかしながら、TN方式には他方式に比べてセル厚の変化に対して透過率の変化(ギャップムラ)が少ない等の利点があり、パーソナルコンピュータ用途など、特に視野角の要求が厳しくない用途に用いられている。

さらに近年、TN型液晶の視野角を拡大することのできるワイドビューフィルムと呼ばれる光学フィルムと組み合わせることにより、TN型液晶素子も26インチ程度までのテレビジョン用途に用いられるようになっており、26インチまでの大きさの液晶テレビジョンでは既に80%がTN型液晶になっている。





一般に、テレビジョン用途の液晶素子には特に高速応答性が求められる。TN型液晶の応答速度は下記式(1)、(2)で表される。





【数1】








ここで、τonは立ち上がり(電圧無印加状態から電圧印加状態への応答)の応答時間を示し、τoffは立ち下がり(電圧印加状態から電圧無印加状態への応答)の応答時間を示す。

また、γは液晶材料の回転粘性、εは真空の誘電率、Δεは誘電率異方性、dは液晶層の厚さ、Vは印加電圧、Vthは閾値電圧、Kは液晶材料の弾性率をそれぞれ示す。TN型液晶では、K=K11-0.5K22+0.25K33であり、K11,K22,K33はスプレイ変形、ツイスト変形、ベンド変形に関する弾性率をそれぞれ示す。





上記式(1)から分かるように、立ち上がりの応答速度は印加電圧に依存するため、印加電圧の掛け方で高速化することができる。一方、立ち下がりの応答速度は印加電圧に依存しないため、信号電圧による高速化はできない。そのため、液晶素子には立ち上がりの応答速度よりも立ち下がりの応答速度を高速化することがより求められている。





上記式(2)から、立ち下がりの応答速度を高速化するには、γ(回転粘性)を減少させる、K(弾性率)を大きくする等の材料面からの改良、及びd(液晶層の厚さ)を薄くする等のデバイス面からの改良が考えられる。このうち液晶層の厚さに関しては、TN型液晶の場合、Δn・d≧0.50(μm)(Δnは液晶材料の屈折率異方性)を満たさなければならないことが知られている。この条件を満たさない場合、液晶素子の透過率が減少する。現行の液晶材料ではΔn=0.25が限界と言われているため、d=2(μm)が限界と考えられる。液晶材料に関しては、回転粘性、弾性率の改善に限界がある。このため、TN型液晶の立ち下がりの応答速度は、上記式(2)の関係からは大きな改善が難しい。





上記式(1)、(2)には表現されない方法として、カイラル剤と呼ばれる光学活性物質を液晶材料中に添加すること等により、液晶材料のカイラルピッチpと液晶層の厚さdとの比(p/d)を小さくし、立ち下がりの応答速度を向上させる方法が知られている。この方法に関してはこれまで下記の報告がある。





特許文献1,2には、液晶層の厚さを0.5~3μmとし、p/dの値を15未満にすることで、液晶素子を高速化する技術が開示されている。

特許文献3には、0.25<d/p<1(すなわち1<p/d<4)の範囲でTN型液晶を高速化する技術が開示されている。この特許文献3には、d/p=0.04(p/d=25)からd/p=1(p/d=1)までの立ち下がりの応答速度のシミュレーションの値が記載されている。また、実際の実験データとしては、d/p=0.51(p/d=2.0)のデータが記載されている。

特許文献4には、液晶材料のカイラルピッチを短くした場合、立ち下がりの応答速度が高速化することが記載されている。また、配向膜のプレチルト角を大きくすることにより、短ピッチの液晶材料を用いても90度のねじれ状態を安定化できることが記載されている。具体的には、プレチルト角を13.6度とすることにより、本来であれば液晶素子内で210度のねじれ状態となる液晶材料であっても、90度のねじれ状態を保つことができるとされている。なお、210度のねじれ状態とはp/d=1.7に相当する。





非特許文献1には、12μmの厚さの液晶層において、液晶材料のカイラルピッチを70μm(p/d=5)から25μm(p/d=2.1)まで短くすることにより、立ち下がりの応答速度が400msから200msまで改善されたことが記載されている。

産業上の利用分野


本発明は、TN型液晶素子及びその製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
略平行に配置され、少なくとも一方が透明な1組の基板と、
前記1組の基板の対向面に設けられ、液晶材料中の液晶分子が同一方向を向くように表面に配向処理が施された1組の配向膜と、
前記1組の配向膜の間に配置された、液晶材料及びカイラル剤を含む液晶層と、を備え、
前記1組の配向膜の配向処理方向のなす角αは70~110度であり、かつ、その配向処理方向は、前記液晶層が前記なす角αだけねじれていた場合にユニフォームツイスト構造を形成する方向であり、
無電界状態で安定なねじれ角α+180(度)のSTN型液晶が、ねじれ角α(度)のTN型液晶として高分子安定化されていることを特徴とするTN型液晶素子。

【請求項2】
同一の液晶表示素子においてねじれ角α+180(度)のSTN型液晶の自由エネルギーはねじれ角α(度)のTN型液晶の自由エネルギーよりも低く、
前記液晶層はねじれ角α(度)で高分子安定化されていることを特徴とする請求項1記載のTN型液晶素子。

【請求項3】
前記液晶層の厚さをd、前記液晶材料のカイラルピッチをpとしたとき、0.5≦p/d≦1.6であることを特徴とする請求項1記載のTN型液晶素子。

【請求項4】
前記配向膜のプレチルト角が5度以下であることを特徴とする請求項1記載のTN型液晶素子。

【請求項5】
少なくとも一方が透明な1組の基板のそれぞれ一方の面に配向膜を形成する工程と、
液晶材料中の液晶分子が同一方向を向くように、1組の前記配向膜の表面に配向処理を施す工程と、
1組の前記配向膜が対向するように、前記1組の基板を配置する工程と、
1組の前記配向膜の間に、カイラル剤及び光硬化性モノマーを含む液晶材料を充填して液晶層を形成する工程と、
前記1組の基板の間に電圧を印加する工程と、
電圧の印加を停止し又は減少させた後、前記光硬化性モノマーを光硬化する工程と、を有し、
1組の前記配向膜の配向処理方向のなす角αは70~110度であり、かつ、その配向処理方向は、前記液晶層が前記なす角αだけねじれていた場合にユニフォームツイスト構造を形成する方向であり、
前記電圧を印加する工程では、電圧の印加により前記液晶層を垂直配向状態にした後、電圧の印加を停止し又は減少させることにより、前記液晶層を一時的にねじれ角α+180(度)のSTN型液晶からねじれ角α(度)のTN型液晶へと転移させ、
前記光硬化する工程では、前記光硬化性モノマーを光硬化することにより、前記液晶層をねじれ角α(度)で高分子安定化することを特徴とするTN型液晶素子の製造方法。

【請求項6】
前記液晶層の厚さをd、前記液晶材料のカイラルピッチをpとしたとき、0.5≦p/d≦1.6であることを特徴とする請求項5記載のTN型液晶素子の製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
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