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複素振幅インラインホログラムの生成方法および該方法を用いる画像記録装置 コモンズ 新技術説明会

国内特許コード P130009624
掲載日 2013年7月17日
出願番号 特願2011-550821
登録番号 特許第5352763号
出願日 平成22年12月22日(2010.12.22)
登録日 平成25年9月6日(2013.9.6)
国際出願番号 JP2010073185
国際公開番号 WO2011089820
国際出願日 平成22年12月22日(2010.12.22)
国際公開日 平成23年7月28日(2011.7.28)
優先権データ
  • 特願2010-012425 (2010.1.22) JP
発明者
  • 佐藤 邦弘
出願人
  • 公立大学法人兵庫県立大学
発明の名称 複素振幅インラインホログラムの生成方法および該方法を用いる画像記録装置 コモンズ 新技術説明会
発明の概要

複素振幅インラインホログラムの生成方法および該方法を用いる画像記録装置において、単一のオフアクシスホログラムから、空間周波数帯域を制限することなく、また、補間などによる誤差を生じることなく、高速処理と高速記録を実現可能とする。本生成方法は、オフアクシスホログラフィによって取得された1枚のオフアクシスホログラム(I)と、ホログラム(I)を取得するために用いたオフアクシス参照光(R)のデータを入手し(S1)、再生用インライン参照光(R’)の設定を行い(S2)、ホログラム(I)に対し、参照光(R,R’)の位相に基づいて空間ヘテロダイン変調を施す変調工程(S3)と、変調工程によって変調されたホログラムに空間周波数フィルタリングを施すフィルタリング工程(S4)とを順に行うことにより複素振幅インラインホログラム(J)を生成する。空間サンプリングを行わない分、視野角(ψ)の制限が緩和される。
【選択図】図1

従来技術、競合技術の概要


ホログラフィは、レーザ光を互いにコヒーレントな照明光と参照光に分け、モデルとなる物体を照明光により照射して発生した物体光と別経路を伝播してきた参照光とを写真乾板面で受光し、受光面での干渉パターンを写真乾板に記録する技術である。この乾板を現像したものがホログラムである。ホログラムに再生照明光を当てることによって物体のあった位置に物体の立体像(虚像)を再生して見ることができる。計算機ホログラフィは、計算機内部のデータとして物体を表現し、光の反射、回折、干渉の物理シミュレーションを計算機上で行い、ホログラム面として定めた任意の面における干渉パターンのデータを計算する技術である。計算結果に基づき、何らかの表示デバイスを用いてホログラムを製作する。物体を計算機上のデータで定義するので、モデルとなる物体が不要であり、光学的な補正が可能である。また、メモリに記録した干渉パターンを反射型液晶ディスプレイなどに次々と表示してホログラムを実体化すると共に参照光を照射して物体像を連続的に再生できる。



ディジタルホログラフィは、写真乾板ではなくCCD画像センサやCMOS画像センサなどによって干渉パターンを検出して電子的に記録し、記録した干渉パターンの光強度分布を計算機で数値処理し物体光波を算出してホログラムを作成する技術である。ディジタルホログラフィを用いれば、画像センサ面における2次元の複素振幅分布の形で物体光の波面情報を取得できる。この波面情報に基づいて、上述の計算機ホログラフィと同様に、様々な視点や位置での物体像が得られる。ところで、一般に、ホログラフィによる3次元像の撮像においては、参照光が物体光に変調されて作られる光変調干渉縞の他に、参照光や物体光そのもの、および、物体表面で散乱された物体光の相互混合や光路上で発生した散乱を受けた参照光の相互混合などによって作られる光混合干渉縞などが記録される。このうちで像再生に必要であるのは光変調干渉縞であり、他の光成分は像再生に悪影響を及ぼし再生像の画質を低下させる。この光変調干渉縞だけを取得して物体光波面情報として記録するためには、上述の複素振幅分布を取得する必要がある。従来の写真乾板などを用いるホログラムは、光波の瞬時位相(物体光波面情報)を記録する代わりに干渉という方法によって物体光の位相情報を固定化して記録するので、実数部のみのデータである。複素振幅は、振幅と位相、あるいは実数部と虚数部といった複数のデータから成る。従って、複素振幅を求めるには、複数枚のホログラムデータが必要である。光変調干渉縞だけを取得する技術として位相シフトデジタルホログラフィが知られている(例えば、特許文献1参照)。



位相シフトデジタルホログラフィでは、物体光に対する参照光の位相状態を3段階又は4段階に変化させ、互いに異なる複数枚のホログラムデータを取得する。参照光の位相をシフトする方法として、薄いガラス板を参照光の伝播経路に挿入したり、参照光を反射するミラーの位置をピエゾ素子を用いて移動させたりする方法がある。例えば、ピエゾ素子を用いて、参照光の位相をπ/2ずつシフトさせた状態で3種類のホログラムデータを取得し、3枚のホログラムの各画素データ間の連立方程式から物体光の複素振幅を求める。しかしながら、この方法による画像記録においては、一般に位相シフトのための制御パラメータに対するシフト量が波長依存性を有するので、カラーのホログラム取得が難しいという欠点がある。この波長依存性を無くして赤青緑の3色参照光の位相を同時に同じ値だけシフトする方法として、空間光変調素子を用いた位相シフト法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。



しかしながら、空間光変調素子を用いる位相シフトデジタルホログラフィは、静止3次元像の撮像技術としては優れているが、1枚の複素振幅ホログラムを得るために、参照光の位相状態をシフトさせて複数枚のホログラムを逐次記録する必要がある。つまり、位相状態の異なる複数のホログラムの記録を同時に行わない限り、原理的に時間経過の中での記録となるので、時間変化する被写体や動く被写体の3次元像を撮像するには適用限界がある。そこで、参照光の位相状態を受光面の画素毎に異ならせて、複数枚のホログラムデータを一括して取得する方法がある。例えば、隣接する素子が互いにπ/2ずつ位相を異ならせるようにアレイ配置した位相シフトアレイ素子を参照光の伝播経路に挿入して、参照光の断面に位相分布を持たせることにより、1枚のホログラムに参照光の位相が0,π/2,π,3π/2の4段階に変化させた干渉パターンの情報を記録する。この場合、一枚のホログラム中の画素データの1/4ずつが4種類のホログラムをそれぞれ形成している(例えば、特許文献3参照)。



位相シフトアレイ素子を用いる方法は、光偏向アレイ素子と位相シフトアレイ素子および受光素子それぞれの画素位置を厳密に一致させる必要があり、装置の高い位置合わせ精度が要求される。また、外乱によって画素位置がずれた場合の誤り訂正などの課題がある。また、このような位相シフトアレイ素子を高精度で低コスト化するのは難しいと思われる。さらに、光の位相シフトが波長依存性を持つので、記録画像のカラー化が難しいと考えられる。そこで、平行参照光と受光面との幾何学的な配置関係のみによって受光面上における参照光の位相状態を画素毎に異ならせる、という簡単な構成によって、位相シフトホログラムの高速取得化を実現する方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。



上述の特許文献4に示される方法は、平行参照光の斜め照射およびホログラムデータの後処理によってカラー3次元像を単一ショット記録可能とする。この方法は、CCDのような受光素子に平行参照光を斜め照射させることにより、受光素子表面に参照光の位相を周期的に分布させ、物体光波面をオフアクシスホログラムとして単一ショットによって記録する。その後、記録ホログラムデータの空間サンプリングやデータ補間などのデータ処理によって、異なる参照光位相状態の3枚または4枚の干渉縞ホログラムを取り出す。取り出された複数枚の干渉縞ホログラムを用いてノイズ成分を取り除いた物体光波面のみが記録された複素振幅インラインホログラムが生成される。この方法は、時間経過を伴わない単一ショット記録による1枚のホログラムに基づいて複素振幅インラインホログラムが求められるので、処理の高速化やパルスレーザの使用により、原理的に、動く3次元像のリアルタイム撮像が可能になる。

産業上の利用分野


本発明は、オフアクシスデジタルホログラムから複素振幅インラインホログラムを生成する方法および該方法を用いる画像記録装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
オフアクシスホログラムから複素振幅インラインホログラムを生成する方法であって、
オフアクシスホログラフィによって取得された1枚のオフアクシスホログラムに、再生用インライン参照光の位相および前記オフアクシスホログラムを取得するために用いたオフアクシス参照光の位相に基づいて空間ヘテロダイン変調を施す変調工程と、
前記変調工程によって変調されたホログラムに空間周波数フィルタリングを施すフィルタリング工程と、を備え、
前記変調工程と前記フィルタリング工程とを順に行うことにより複素振幅インラインホログラムを生成することを特徴とする複素振幅インラインホログラムの生成方法。
【請求項2】
オフアクシスホログラムから複素振幅インラインホログラムを生成する方法であって、
オフアクシスホログラフィによって取得された1枚のオフアクシスホログラムに空間周波数フィルタリングを施すフィルタリング工程と、
前記フィルタリング工程によってフィルタリングされたホログラムに、再生用インライン参照光の位相および前記オフアクシスホログラムを取得するために用いたオフアクシス参照光の位相に基づいて空間ヘテロダイン変調を施す変調工程と、を備え、
前記フィルタリング工程と前記変調工程とを順に行うことにより複素振幅インラインホログラムを生成することを特徴とする複素振幅インラインホログラムの生成方法。
【請求項3】
前記変調工程と前記フィルタリング工程のいずれの工程よりも前に前記オフアクシスホログラムから前記オフアクシス参照光の光強度成分を差し引くことにより参照光の光強度成分を除いて成る基礎ホログラムを生成する前処理工程と、
前記前処理工程によって生成された基礎ホログラムに対して前記変調工程と前記フィルタリング工程とを行い、これによって生成された複素振幅インラインホログラムを用いて物体光の光強度成分を算出する生成算出工程と、
前記算出された物体光の光強度成分を前記基礎ホログラムから差し引き、これによって得られたオフアクシスホログラムに対して前記変調工程と前記フィルタリング工程とを行い、これによって複素振幅インラインホログラムを生成する近似工程と、
前記近似工程によって生成された複素振幅インラインホログラムを用いて物体光の光強度成分を算出すると共に、その光強度成分が許容範囲まで減少しているか否かを判定する算出判定工程と、をさらに備え、
前記算出判定工程において物体光の光強度成分が許容範囲まで減少していないと判定されたときに、その物体光の光強度成分を用いて前記近似工程と算出判定工程とを繰り返すことにより物体光の影響を除いて複素振幅インラインホログラムを生成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の複素振幅インラインホログラムの生成方法。
【請求項4】
前記オフアクシスホログラムをオフアクシスホログラフィにより受光素子を介して電子的に取得するホログラム取得工程と、
前記ホログラム取得工程の前または後に、前記受光素子の受光面における参照光のみの強度を取得する参照光測定工程と、をさらに備え、
前記ホログラム取得工程は、受光面における参照光の強度を、物体光の強度よりも大きくした状態で行われることを特徴とする請求項3に記載の複素振幅インラインホログラムの生成方法。
【請求項5】
前記オフアクシスホログラムから像を再生し、その再生像から、物体光と前記オフアクシスホログラムの取得に用いた参照光との光軸のずれを検出し、前記光軸のずれを用いて前記再生用インライン参照光の光軸を設定する光軸設定工程をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の複素振幅インラインホログラムの生成方法。
【請求項6】
物体像を記録したオフアクシスホログラムから複素振幅インラインホログラムを生成し、そのホログラムを物体の画像情報として電子的に記録する画像記録装置であって、
物体像をオフアクシスホログラフィによってオフアクシスホログラムとして記録するオフアクシスホログラム取得部と、
前記オフアクシスホログラム取得部によって取得されたオフアクシスホログラムから複素振幅インラインホログラムを生成するホログラム変換部と、
前記ホログラム変換部によって生成された複素振幅インラインホログラムを物体の画像情報として電子的に記録する記憶部と、を備え、
前記ホログラム変換部は、再生用インライン参照光の位相および前記オフアクシスホログラムを取得するために用いたオフアクシス参照光の位相に基づいて前記オフアクシスホログラムに空間ヘテロダイン変調を施す変調部と、前記変調部によって変調されたホログラムに空間周波数フィルタリングを施すフィルタリング部と、を備え、これらの変調部およびフィルタリング部を用いて複素振幅インラインホログラムを生成することを特徴とする画像記録装置。
【請求項7】
物体像を記録したオフアクシスホログラムから複素振幅インラインホログラムを生成し、そのホログラムを物体の画像情報として電子的に記録する画像記録装置であって、
物体像をオフアクシスホログラフィによってオフアクシスホログラムとして記録するオフアクシスホログラム取得部と、
前記オフアクシスホログラム取得部によって取得されたオフアクシスホログラムから複素振幅インラインホログラムを生成するホログラム変換部と、
前記ホログラム変換部によって生成された複素振幅インラインホログラムを物体の画像情報として電子的に記録する記憶部と、を備え、
前記ホログラム変換部は、前記オフアクシスホログラムに空間周波数フィルタリングを施すフィルタリング部と、前記フィルタリング部によってフィルタリングされたホログラムに、再生用インライン参照光の位相および前記オフアクシスホログラムを取得するために用いたオフアクシス参照光の位相に基づいて空間ヘテロダイン変調を施す変調部と、を備え、これらの変調部およびフィルタリング部を用いて複素振幅インラインホログラムを生成することを特徴とする画像記録装置。
【請求項8】
前記オフアクシスホログラム取得部は、コヒーレント光の光源としてパルスレーザを用いることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の画像記録装置。
【請求項9】
前記オフアクシスホログラム取得部は、互いに波長領域の異なる複数のレーザを用いて物体像をカラーのオフアクシスホログラムとして記録し、
前記ホログラム変換部は、前記カラーのオフアクシスホログラムからカラーの複素振幅インラインホログラムを生成することを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれか一項に記載の画像記録装置。
産業区分
  • 光学装置
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2011550821thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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