TOP > 国内特許検索 > グラフェン、多層グラフェン又はグラファイトを用いた発光素子、光源及びフォトカプラ

グラフェン、多層グラフェン又はグラファイトを用いた発光素子、光源及びフォトカプラ

国内特許コード P130009666
掲載日 2013年7月19日
出願番号 特願2012-250595
公開番号 特開2013-127953
出願日 平成24年11月14日(2012.11.14)
公開日 平成25年6月27日(2013.6.27)
優先権データ
  • 特願2011-248547 (2011.11.14) JP
発明者
  • 牧 英之
  • 高山 雄介
  • 森 達也
出願人
  • 学校法人慶應義塾
発明の名称 グラフェン、多層グラフェン又はグラファイトを用いた発光素子、光源及びフォトカプラ
発明の概要

【課題】500Mbps以上の高速変調を達成して超高速通信を可能にする、連続スペクトル光源を実現可能とする。
【解決手段】発光素子に、複数の電極12、14と、該電極12、14間に配設された所定層数以下のグラファイトからなる発光部10とを備え、前記電極12、14への通電により前記発光部10が発熱して発光する黒体放射によって、発光波長域が広くかつ高速変調可能な発光を行う。前記グラファイトは、層数が1であるグラフェンまたは100以下である多層グラフェンとすることができる。
【選択図】図1

従来技術、競合技術の概要


従来、電流注入により発光する素子としては、発光ダイオード(LED)や半導体レーザーダイオード(LD)がある。



LEDは、半導体に注入した電子・正孔の再結合による発光であり、発光スペクトルはバンドギャップに起因して特定の波長のみで発光するピーク形状を有しており、特定の発光波長を利用してディスプレイや照明等へ用いられている。しかし、LEDは、キャリアの放電時定数が大きく、数十MHz程度の変調が限界であり、Gbpsレベルの高速変調性は有していない。また、インジウム(In)などのレアメタルを含むために資源枯渇の問題があることや、砥素(As)などの有害物質を含むために除害が必須になるなど製造コストが高い。また、LEDは安価なシリコン基板上に直接作製できないため、集積回路上に直接形成することは困難である。



半導体LDは、極めて狭い発光ピーク波長と高速変調性を有しており光通信光源等に利用されている。しかし、シリコン基板上への作製が難しいため、現在研究が進められている光集積回路や光回路用光源への応用の障害となっている。また、LEDと同様にInなどのレアメタルを含むために資源枯渇の問題があることや、Asなどの有害物質を含むため除害が必須になるなど製造コストが高い。



一方、あらゆる物質は、絶対零度を超える温度において熱による電磁波の放射(黒体放射)が見られる。この黒体放射では、その発光スペクトルはプランク則によって記述され、LEDやLDとは異なり、広い波長範囲において連続的なスペクトルが得られるとともに、熱放射のエネルギーは温度Tの4乗に比例するステファン・ボルツマン則に従う。この黒体放射は、現在は例えば電球のタングステンフィラメントとして用いられていて、照明等に利用されている。しかし、従来のフィラメント等による黒体放射では、数十~数百ms程度と極めて遅い応答時間であるため、現状では高速変調可能な連続スペクトル光源は、実用化されていない。



近年、グラファイトの一層のみを取りだしたグラフェンが注目されている。このグラフェンの電子状態は、伝導帯と価電子帯がK点で接しているゼロギャップの半導体であり、金属的な電気伝導特性を示す。但し、2層のグラフェンは、200meV程度のバンドギャップが現れることが明らかとなっている。グラフェンは、2004年に発見された新規物質であり、高い電気伝導特性や熱伝導特性を示すとともに、機械的特性や耐熱性も優れており、2010年には発見者がノーベル賞を受賞するなど、近年非常に注目される新規ナノ材料である。



このグラフェンにおける発光に関しては、次のような報告がある。



(i)グラフェンを多数積層したグラフェンペーパーによる黒体放射発光(非特許文献1、2)
ここでは、溶液に分散したグラフェンを基板上に積層させてペーパー化したものに通電することにより、黒体放射が得られることを明らかにしている。ただし、本成果は、一層から数層の通常のグラフェンではなく、それらを多量に積層させたグラフェンペーパー(厚み:数十μm以下程度)であり、本発明とは異なる。また、高速変調などの本発明に関する記述は全く無い。また、多量に積層したグラフェンペーパーは、本発明で提案する単層~数層のグラフェンと比べて基板への熱の散逸が抑制されるため、高速変調性は得られにくい。



(ii)単層グラフェンによる黒体放射発光(非特許文献3、4)
単層のグラフェンに電極を形成し、電圧を印加することによって、黒体放射による発光を観測している。ここでは、バイアス電圧やゲート電圧に依存したスペクトル・発光強度・発光位置の変化を観測して、電圧印加に伴う黒体放射の発現メカニズム等を議論している。しかし、本発明で行われているような、高速変調性に関する実験は全く行われておらず、高速変調性に関する結果は全く得られていないとともに、それらに対する知見も述べられていない。そのため、高速変調に最適な構造などについても、全く示されていない。



(iii)フォノンアシストによる可視光領域におけるグラフェン発光(非特許文献5)
フォノンアシストによる遷移を利用することにより、カーボンナノチューブやグラフェンで可視光領域での発光が得られることを示している。本発明の黒体放射とは発光機構が異なることから、発光波長が異なるとともに、発光スペクトルはピーク形状を有する。また、高速変調性に関する報告はない。



特許文献1には、グラフェンを湾曲させてバンドギャップ構造を作って発光させることが開示されている。



また、特許文献2、3には、グラフェン層が成長された基板を電子集積回路や光集積回路に用いることが開示されている。

産業上の利用分野


本発明は、グラファイト(黒鉛)、その中でも特にグラフェンや多層グラフェンを用いた発光素子、光源及びフォトカプラに係り、特に情報通信電気電子分野で用いるのに好適な、500Mbps以上の超高速通信を実現する高速変調が可能な連続スペクトル光源を実現できる発光素子、該発光素子を用いた光源及びフォトカプラに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
複数の電極と、
該電極間に配設された所定層数以下のグラファイトからなる発光部とを備え、
前記電極への通電により前記発光部が発熱して発光する黒体放射によって、発光波長域が広くかつ高速変調可能な発光を行うことを特徴とするグラファイトを用いた発光素子。

【請求項2】
前記グラファイトは、層数が1であるグラフェンまたは100以下である多層グラフェンであることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。

【請求項3】
前記グラファイトの層数が5000以下であることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。

【請求項4】
前記発光で得られる光は、可視光から10μmよりも短い波長の赤外線までの連続した波長域であることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。

【請求項5】
前記変調速度は500Mbps以上であることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。

【請求項6】
前記電極間の距離が、前記発光の立ち上がり時間に応じて決められていることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。

【請求項7】
前記グラファイト及び電極が基板上に配設されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の発光素子。

【請求項8】
少なくとも前記グラファイトの表面が絶縁体で覆われていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の発光素子。

【請求項9】
前記グラファイトが真空中に配置されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のグラファイトを用いた発光素子。

【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載のグラファイトを用いた発光素子を備えたことを特徴とする光源。

【請求項11】
前記グラファイトが、発光した光を伝搬させるための光ファイバと直交するように配設されていることを特徴とする請求項10に記載の光源。

【請求項12】
グラファイト及び電極が基板上に配設され、該基板の表面と垂直な方向に発光するようにされていることを特徴とする請求項11に記載の光源。

【請求項13】
請求項1乃至9のいずれかに記載の発光素子と、受光素子を備えたことを特徴とするフォトカプラ。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2012250595thum.jpg
出願権利状態 審査請求前
ライセンスをご希望の方、特許の内容に興味を持たれた方は、下記問合せ先にご相談下さい。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close