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頸動脈プラークのエコー画像生成方法及び評価装置 実績あり

国内特許コード P130009714
掲載日 2013年7月26日
出願番号 特願2012-506873
登録番号 特許第5765823号
出願日 平成23年1月31日(2011.1.31)
登録日 平成27年6月26日(2015.6.26)
国際出願番号 JP2011052459
国際公開番号 WO2011118267
国際出願日 平成23年1月31日(2011.1.31)
国際公開日 平成23年9月29日(2011.9.29)
優先権データ
  • 特願2010-073153 (2010.3.26) JP
発明者
  • 佐田 政隆
  • 山田 博胤
出願人
  • 国立大学法人徳島大学
発明の名称 頸動脈プラークのエコー画像生成方法及び評価装置 実績あり
発明の概要 【課題】脳梗塞や心筋梗塞の発症予測のために頸動脈エコーによる頸動脈プラークの性状判定を定量的に行えるようにする。
【解決手段】頸動脈エコーのIBS法で得られた頸動脈プラークのエコー画像の撮像時1に得られたエコー信号の単位時間当たりの積分量を、該エコー画像を構成する画素毎に取得する工程と、予め積分量の取り得る範囲を複数の色分け範囲に区分すると共に、各区分に異なる色が割り当てられた対応関係を参照し、前記取得されたエコー画像に含まれる各画素について、該画素の積分量が属する区分を判別し、さらに該区分に割り当てられた色に、該エコー画像の画素を着色する工程と、前記着色されたエコー画像を表示部30に表示させる工程とを含む。
従来技術、競合技術の概要


頸動脈プラークの性状を診断することは、脳卒中のリスクが判るだけでなく、心臓の虚血イベントの予測や、スタチン系脂質異常症治療剤の治療効果の判定に利用可能である。特に糖尿病患者においては、患者の予後やQOLを決定する重要な診断項目である。



現在、侵襲的なプラーク性状の診断には、血管内超音波検査(IVUS:intravascular ultrasound)が行われているが、カテーテル型の超音波探索子(プローブ)を血管内に挿入するカテーテル検査が必要であり、誰にでも施行できるものではなく、入院が必要になる等、繰り返し行うことは困難であった。



これに対して、非侵襲的な性状の診断には、CTやMRIが用いられる。しかしながら、CTには放射線被曝の問題があり、MRIは解像度が良くないといった問題がある。また、CTもMRIも大がかりな装置を必要とするため、一般診療所や外来で気軽に行える検査ではない。



その一方で、エコーを用いて、頸動脈中に存在するプラークの性状を検査する頸動脈エコー検査も行われている。頸動脈エコー検査では、プラークのエコー性状から組織性状診断が可能であるとされている。一般的には、血液の輝度に近い低輝度プラークは粥腫や血腫、内中膜や筋肉に近い等輝度プラークは線維性変化、骨に近い高輝度プラークは石灰化病変を反映すると言われている。このような輝度の高低に基づいて、プラークの診断を行うことで、脳血管系の梗塞リスクを予測すると共に、心臓冠動脈に関する梗塞リスクを予測することができる。この頸動脈エコー検査は、外来ですぐにできる非侵襲的な検査である。



このような頸動脈プラークのエコー輝度は、動脈硬化の病変組織所見を反映すると考えられている(非特許文献3)。一般に、エコー画像中に含まれるエコー輝度の低いプラークは脂質やマクロファージが豊富で、不安定プラークと呼ばれる。またエコー輝度の高いプラークは、線維化や石灰化が進んだプラークで、安定プラークと呼ばれる。図1に、冠動脈障害(イベント)が数十年間に発生した頻度を、頸動脈プラークのエコー画像中に、低エコー輝度のプラークが含まれているかどうかで比較したグラフを示す。この図が示すように、頸動脈に低エコー輝度プラークが存在する方が、高エコー輝度プラークが存在する場合よりもイベントが発生し易いことが報告されている。すなわち、頸動脈の低エコー輝度プラークが多く存在する程、冠動脈の脆弱性、不安定性を示すと言われている(非特許文献4)。



しかしながら、このような頸動脈エコー検査では定量的でない、定性的な判定となるため、施術者の技術によって検査評価が異なり、同じプラークでも検者や機器により診断が異なる可能性があり、プラーク性状の的確な評価が難しいという問題があった(非特許文献1)。特に、エコー装置(超音波診断装置)で撮像したエコー画像はグレースケール画像であり、上述の通り頸動脈エコー検査におけるプラーク性状の評価は、グレースケールのエコー画像を肉眼で識別し評価することとなる。しかしながら、グレースケールで表示されるエコー輝度に基づいて、肉眼でプラークの性状を分類しようとしても、輝度の高低の基準が曖昧で定量的な評価が困難であった。例えば評価者が独自の判断や嗜好に基づいて、エコー画像のゲインや濃淡の輝度、コントラストを調整するため、同じエコー装置で同じ患者のエコー画像を撮像しても、人によって輝度が異なってしまう。この結果、画像間の対比が困難となり、同一患者の経時的な変化の追跡や、他の患者との症例の比較が適切に行えないという問題があった。さらに、高度石灰化病変や、内頸動脈などの高位病変、血管蛇行等では、プラークの性状評価が困難であった。



また、プラークのエコー輝度は、エコー装置のゲイン調整や画像調整機能により変化する。例えば図17に示すように、エコー装置のゲインを45、50、66に設定すると、図17A、図17B、図17Cに示すようにプラークのエコー輝度も変化する。このため、同じ対象を撮像したエコー画像でもエコー輝度が異なることとなり、エコー輝度に基づいて定量的な判別を行うことが困難なことが判る。



加えて、従来のエコー画像におけるグレースケールの表現は、エコー画像を構成する各ピクセルの輝度値である。しかしながら、エコー画像の生成過程で多くのフィルタリング処理が加えられるため、エコーを測定したエコー装置の差によっても輝度値が異なっている。例えば、図18に示すように、超音波プローブで測定された生データ(RAWデータ)である超音波反射信号(エコー信号)のRF信号波形を、増幅し、整流化し、検波し、パルス圧縮し、さらに増幅して輝度値に変換するといった処理が行われている。このようなフィルタリング処理は、エコー装置毎に異なるため、同じRF信号であっても、生成されるエコー画像のグレースケールは異なってしまうという問題もあった。



このような問題に対して、頸動脈エコー検査の改良の一例として、イメージング剤としてヒドラジドコンジュゲート剤を使用し、プラークの性状を検出、モニタする方法が開発されている(特許文献1)。また他の方法としては、エコー装置の改良や画像処理方法の改良等が考えられるが、現在ところ成功しているとは考えられない。



その一方で、頸動脈でなく、心臓の冠動脈検査で使用されているIVUSでは、カテーテルを血管内に挿入する侵襲的な方法ではあるものの、血管内での直接的なエコー反射波の解析であるため、良質なエコー反射波が得られ、エコー画像も良質となり、種々の画像処理方法が検討されている(特許文献2、非特許文献2)。



しかしながら、この方法を頸動脈の非侵襲な解析に適用しようとしても、皮膚や組織を透過してのエコー照射となり、その反射波を解析することから単純な応用は困難であった。

産業上の利用分野


本発明は、エコー(超音波パルス)を用いて、非侵襲的に頸動脈中に存在するプラークの性状を検査する頸動脈プラークのエコー画像生成方法、頸動脈プラークの評価装置及び評価プログラム並びにコンピュータで読み取り可能な記録媒体に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
頸動脈プラークのエコー画像を生成する画像生成方法であって、
頸動脈エコーのIBS法で得られた頸動脈プラークのエコー画像の撮像時に得られたエコー信号の単位時間当たりの積分量である原信号を、該エコー画像を構成する画素毎に取得する工程と、
予め積分量の取り得る範囲を複数の色分け範囲に区分すると共に、各区分に異なる色が割り当てられた対応関係を参照し、前記取得されたエコー画像に含まれる各画素について、該画素の積分量が属する区分を判別し、さらに該区分に割り当てられた色に、該エコー画像の画素を着色する工程と、
前記着色されたエコー画像を表示部(30)に表示させる工程と、
前記表示部(30)に表示されたエコー画像上の任意の領域を指定する工程と、
前記エコー画像で指定された領域のエコー信号から導き出される深度毎のIB値の分布を示すヒストグラムを用いて、前記ヒストグラムの極大値が原信号の最大値になるように設定し、又は極小値が原信号の最小値になるように設定して補正する工程と、
を含むことを特徴とする頸動脈プラークのエコー画像生成方法。

【請求項2】
請求項1に記載の頸動脈プラークのエコー画像生成方法であって、
前記積分量を区分する色分け範囲が、
a)0~-55dBの範囲、
b)-55~-65dBの範囲、
c)-65~-75dBの範囲、
d)-75dB以下の範囲
に区分されてなることを特徴とする頸動脈プラークのエコー画像生成方法。

【請求項3】
請求項2に記載の頸動脈プラークのエコー画像生成方法であって、
前記色分け範囲の区分に割り当てる色が、
a)0~-55dBの範囲を赤色とし、
b)-55~-65dBの範囲を黄色とし、
c)-65~-75dBの範囲を緑色とし、
d)-75dB以下の範囲を青色としてなることを特徴とする頸動脈プラークのエコー画像生成方法。

【請求項4】
請求項1から3のいずれか一に記載の頸動脈プラークのエコー画像生成方法であって、該エコー画像が動脈硬化に関する情報を含むことを特徴とするエコー画像生成方法。

【請求項5】
請求項1から3のいずれか一に記載の頸動脈プラークのエコー画像生成方法であって、該エコー画像が頸動脈プラークに関する薬剤の効用に関する情報を含むことを特徴とするエコー画像生成方法。

【請求項6】
請求項5に記載のエコー画像生成方法であって、
前記薬剤がスタチン系薬剤であることを特徴とするエコー画像生成方法。

【請求項7】
請求項6に記載のエコー画像生成方法であって、
前記スタチン系薬剤が、アトルバスタチン、シンバスタチン、セリバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、メバスタチン、ロスバスタチン、ロバスタチンの中から選択されるいずれか一であることを特徴とするエコー画像生成方法。

【請求項8】
頸動脈エコーのIBS法で得られた頸動脈プラークのエコー画像の撮像時に得られたエコー信号の原信号を、該エコー画像を構成する基準領域毎に取得する取得手段(10)と、
予め原信号の取り得る範囲が複数の色分け範囲に区分され、各区分に異なる色が割り当てられた対応関係を保持する記憶手段(40)と、
エコー画像に含まれる各基準領域について、前記記憶手段(40)を参照して、該基準領域の原信号が属する区分を判別し、さらに該区分に割り当てられた色に、該エコー画像の基準領域を着色する着色手段(22)と、
前記着色手段(22)で着色されたエコー画像を表示させる表示部(30)と、
前記表示部(30)に表示されたエコー画像上の任意の領域を指定する操作手段(50)と、
前記操作手段(50)で指定された領域のエコー信号から導き出される深度毎のIB値の分布を示すヒストグラムを用いて、前記ヒストグラムの極大値が原信号の最大値になるように設定し、又は極小値が原信号の最小値になるように設定する補正手段と、
を備え、
前記原信号を区分する色分け範囲の内、高輝度の色分け範囲が赤色に着色され、低輝度の色分け範囲が緑色又は青色に着色されるように、前記記憶手段(40)に、色分け範囲に割り当てられた色の対応関係が保持されてなることを特徴とする頸動脈プラークの評価装置。

【請求項9】
請求項8に記載の頸動脈プラークの評価装置であって、
前記エコー画像を構成する基準領域が、エコー画像を構成する画素であることを特徴とする頸動脈プラークの評価装置。

【請求項10】
請求項8又は9に記載の頸動脈プラークの評価装置であって、
前記原信号が、前記エコー画像における特定の部位の値を基準として補正可能であり、
補正後の原信号に基づいて、前記着色手段(22)が前記記憶手段(40)に保持された対応関係に基づいて前記エコー画像を着色し前記表示部(30)に表示されるよう構成してなることを特徴とする頸動脈プラークの評価装置。

【請求項11】
請求項10に記載の頸動脈プラークの評価装置であって、
前記原信号を、前記エコー画像において血液部分に相当する値が、原信号の取り得る範囲の最小値となるように補正することを特徴とする頸動脈プラークの評価装置。

【請求項12】
請求項10又は11に記載の頸動脈プラークの評価装置であって、
前記原信号を、前記エコー画像において血管部分に相当する値が、原信号の取り得る範囲の最大値となるように補正することを特徴とする頸動脈プラークの評価装置。

【請求項13】
請求項8から12のいずれか一に記載の頸動脈プラークの評価装置であって、
前記表示部(30)が、積分量をヒストグラムとして表示可能に構成してなることを特徴とする頸動脈プラークの評価装置。

【請求項14】
請求項13に記載の頸動脈プラークの評価装置であって
前記表示部(30)にエコー画像を表示させた状態で、前記操作手段(50)により血管内腔を指定することで、該血管内腔の位置に対応する積分量を、積分量の最小値として補正可能に構成してなることを特徴とする頸動脈プラークの評価装置。

【請求項15】
請求項13に記載の頸動脈プラークの評価装置であって
前記表示部(30)にエコー画像を表示させた状態で、前記操作手段(50)により血管外膜を指定することで、該血管外膜の位置に対応する積分量を、積分量の最大値として補正可能に構成してなることを特徴とする頸動脈プラークの評価装置。

【請求項16】
請求項8から15のいずれか一に記載の頸動脈プラークの評価装置であって、さらに、
前記表示部(30)に表示されるエコー画像上で、頸動脈プラークの範囲を指定可能な範囲指定手段を備えており、
前記着色手段(22)は、前記範囲指定手段で指定された指定領域(RI)に基づいて、頸動脈プラークに対して着色表示を行うよう構成されてなることを特徴とする頸動脈プラークの評価装置。

【請求項17】
請求項16に記載の頸動脈プラークの評価装置であって、
前記範囲指定手段で複数の指定領域(RI)を指定可能とすると共に、各指定領域(RI)に識別番号を付与可能に構成してなることを特徴とする頸動脈プラークの評価装置。

【請求項18】
請求項8から17のいずれか一に記載の頸動脈プラークの評価装置であって、
前記着色手段(22)で着色された各着色領域が占める比率を、前記表示部(30)上にグラフで表示可能に構成されてなることを特徴とする頸動脈プラークの評価装置。

【請求項19】
請求項8から18のいずれか一に記載の頸動脈プラークの評価装置であって、
前記表示部(30)上において、2枚のエコー画像を一画面で表示可能な分割表示領域を設けており、
エコー画像を一方の分割表示領域にそのまま表示させると共に、他方の分割表示領域に、該エコー画像を前記着色手段(22)で着色された着色画像を表示可能に構成されてなることを特徴とする頸動脈プラークの評価装置。

【請求項20】
請求項8から19のいずれか一に記載の頸動脈プラークの評価装置であって、
前記取得手段(10)が、外部の超音波プローブで取得されたエコー画像の原信号を保持したメモリ媒体を読み取る読取手段であることを特徴とする頸動脈プラークの評価装置。

【請求項21】
請求項8から20のいずれか一に記載の頸動脈プラークの評価装置であって、
前記取得手段(10B)が、エコー画像を撮像する超音波プローブであることを特徴とする頸動脈プラークの評価装置。

【請求項22】
頸動脈プラークの評価プログラムであって、コンピュータに、
頸動脈エコーのIBS法で得られた頸動脈プラークのエコー画像の撮像時に得られたエコー信号の原信号を、該エコー画像を構成する領域毎に取得する取得機能と、
予め原信号の取り得る範囲が複数の色分け範囲に区分され、各区分に異なる色が割り当てられた対応関係を保持するテーブル保持機能と、
エコー画像に含まれる各領域について、前記テーブル保持機能を参照して、該領域の原信号が属する区分を判別し、さらに該区分に割り当てられた色に、該エコー画像の領域を着色する着色機能と、
前記着色機能で着色されたエコー画像を表示させる表示機能と、
前記表示部に表示されたエコー画像上の任意の領域を指定する指定機能と、
前記指定機能された領域のエコー信号から導き出される深度毎のIB値の分布を示すヒストグラムを用いて、前記ヒストグラムの極大値が原信号の最大値になるように設定し、又は極小値が原信号の最小値になるように設定して補正する補正機能と、
を実現させることを特徴とする頸動脈プラークの評価プログラム。

【請求項23】
請求項22に記載されるプログラムを格納したコンピュータで読み取り可能な記録媒体。
産業区分
  • 治療衛生
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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