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哺乳類生物における選択的スプライシングの発現プロファイルおよび制御機構を明らかにするトランスジェニックレポーターシステム 外国出願あり

国内特許コード P130009716
整理番号 3216
掲載日 2013年7月30日
出願番号 特願2012-554135
公表番号 特表2013-529889
登録番号 特許第5875009号
出願日 平成23年5月31日(2011.5.31)
公表日 平成25年7月25日(2013.7.25)
登録日 平成28年1月29日(2016.1.29)
国際出願番号 JP2011003059
国際公開番号 WO2011152043
国際出願日 平成23年5月31日(2011.5.31)
国際公開日 平成23年12月8日(2011.12.8)
優先権データ
  • 61/350,420 (2010.6.1) US
発明者
  • 萩原 正敏
  • 武内 章英
出願人
  • 国立大学法人京都大学
発明の名称 哺乳類生物における選択的スプライシングの発現プロファイルおよび制御機構を明らかにするトランスジェニックレポーターシステム 外国出願あり
発明の概要 本発明の1つの目的は、新たな選択的スプライシング・レポーターシステムを開発すること、ならびに、該選択的スプライシング・レポーターシステムを利用して、哺乳類多細胞生物における選択的スプライシングパターンをより正確に検出するための方法、哺乳類多細胞生物における選択的スプライシングに影響を及ぼす物質および遺伝子領域を効率的に同定するための方法などを提供することである。具体的には、本発明は、哺乳類多細胞生物における選択的スプライシングを検出するための方法、ならびに、選択的スプライシングを受ける特定の遺伝子の中に少なくとも2種類の異なるレポーター遺伝子が挿入されている1つのDNA構築物、または、選択的スプライシングを受ける特定の遺伝子の中に1つのレポーター遺伝子が挿入されているDNA構築物の組み合わせ(少なくとも2種類の異なるDNA構築物の組み合わせ)を用いる、哺乳類多細胞生物における選択的スプライシングに影響を及ぼす物質および遺伝子領域を同定するための方法に関する。
従来技術、競合技術の概要


ゲノムプロジェクトにより、後生動物は限られた数の遺伝子から極めて多様なプロテオームを生み出すことが示された。この知見は、単一の遺伝子による構造的および機能的に異なる複数のタンパク質アイソフォームの生成を可能にする、選択的スプライシングの重要性を強調するものである。さらに、スプライシング感受性マイクロアレイまたはディープシーケンサーを用いた最近のトランスクリプトーム解析により、選択的スプライシングはヒトにおいて複数のエクソンを有する遺伝子の90%超で起こること(非特許文献1)、およびこれらの事例の60%以上は組織特異的かつ細胞型特異的な様式で制御されること(非特許文献2)が、明らかになっている。選択的スプライシングは、隣接エクソンのスプライシングを促進または抑制する制御タンパク質とともに補助的シスエレメントによって制御されるが(非特許文献3、4)、限られた数の制御因子によって多数の遺伝子がさまざまな組織特異的様式で制御される機序は未だに不明である。



哺乳動物において、線維芽細胞増殖因子受容体2(FGFR2)は、最も特徴が明らかにされている遺伝子の1つであり、相互排他的選択的スプライシングによって2つのアイソフォームが産生される。エクソン8(IIIbとも呼ばれる)アイソフォームは上皮組織で特異的に発現し、一方、エクソン9(またはIIIc)アイソフォームは非上皮性組織または間葉組織において選択される(非特許文献5、6)。2つのスプライスアイソフォームの構造的な違いはリガンド-受容体結合の特異性に顕著な影響を及ぼし(非特許文献7、8、9)、マウスにおける発生にはエクソン切り替えが必須であることが示されている(非特許文献10、11)。FGFR2の選択的エクソンのいずれかを正または負の方向に独立に制御する因子がいくつか同定されている。エクソン8の制御に関して、Del Gatto-Konczakらは、ヘテロ核リボヌクレオタンパク質hnRNP A1がエクソン8(K-SAMエクソンとも呼ばれる)にESS(エクソン性スプライシングサイレンサー)として結合し、その包含を抑制することを見いだした(非特許文献12)。Carstensらは、ポリピリミジントラクト結合タンパク質(PTB)が、ISS-1およびISS-2(イントロン性スプライシングサイレンサー-1および2)を通してエクソン8包含を抑制することを見いだした(非特許文献13)。Warzechaらは近年、上皮特異的なエクソン8包含活性化因子としてRBM35aおよびRBM35bをクローニングし、それぞれ上皮性スプライシング制御タンパク質1および2(ESRP1およびESPR2)と再命名した(非特許文献14)。エクソン9の制御に関して、Chenらは、Tra2βがエクソン9の選択を抑制することを見いだした(非特許文献15)。Baraniakらは、Fox2がイントロン8中のUGCAUG配列との結合を通してエクソン9の選択を抑制することを報告した(非特許文献16)。Hovhannisyanらは、hnRNP MがISS-3と結合して、エクソン9の包含を抑制することを見いだした(非特許文献17)。Maugerらは、hnRNP HおよびFがFox2と相互作用して、エクソン9包含を抑制することを示した(非特許文献18)。また、イントロン9中のISE(イントロン性スプライシングエンハンサー)を通したエクソン9の包含については、未知のエンハンサーの存在も推測されている(非特許文献14)。

産業上の利用分野


本発明は、哺乳類多細胞生物における選択的スプライシングを検出するための方法、ならびに哺乳類多細胞生物における選択的スプライシングに影響を及ぼす物質および遺伝子領域を同定するための方法などに関する。



優先権
本発明は、2010年6月1日に提出された米国特許出願第61/350,420号の恩典を主張し、その内容はすべて、参照により本明細書に組み入れられる。

特許請求の範囲 【請求項1】
哺乳類多細胞生物における特定の遺伝子の相互排他的選択的スプライシングを検出するための方法であって、
(a)相互排他的選択的スプライシングを受ける該特定の遺伝子の3'側に少なくとも2種類の異なるレポーター遺伝子が異なる読み枠でタンデムに挿入され、かつ、該特定の遺伝子の5'側にN末端タグをコードするDNAが挿入されるように、該多細胞生物にDNA構築物を導入する段階であって、該異なるレポーター遺伝子の転写物それぞれが相互排他的選択的スプライシングによって生じる少なくとも2種類の異なる成熟mRNAにおけるエクソンのそれぞれとインフレームで融合するように、該レポーター遺伝子が挿入される、段階;および
(b)該レポーター遺伝子の発現によって、該多細胞生物における該特定の遺伝子の相互排他的選択的スプライシングを検出する段階
を含む、方法。

【請求項2】
被験化合物が特定の遺伝子の相互排他的選択的スプライシングに影響を及ぼすか否かを試験するための方法であって、
(a)相互排他的選択的スプライシングを受ける該特定の遺伝子の3'側に少なくとも2種類の異なるレポーター遺伝子が異なる読み枠でタンデムに挿入され、かつ、該特定の遺伝子の5'側にN末端タグをコードするDNAが挿入されるように、哺乳類多細胞生物にDNA構築物を導入する段階であって、該異なるレポーター遺伝子の転写物それぞれが相互排他的選択的スプライシングによって生じる少なくとも2種類の異なる成熟mRNAにおけるエクソンのそれぞれとインフレームで融合するように、該レポーター遺伝子が挿入される、段階;
(b)該多細胞生物を該被験化合物と接触させる段階;
(c)該レポーター遺伝子の発現によって、該多細胞生物における該特定の遺伝子の相互排他的選択的スプライシングを検出する段階;および
(d)該被験化合物と接触させていない対照における該レポーター遺伝子の発現と比べ、(c)で検出された該レポーター遺伝子の発現が変化したか否かを判定する段階
を含む、方法。

【請求項3】
特定の遺伝子の相互排他的選択的スプライシングに影響を及ぼす遺伝子領域を同定するための方法であって、
(a)相互排他的選択的スプライシングを受ける該特定の遺伝子の3'側に少なくとも2種類の異なるレポーター遺伝子が異なる読み枠でタンデムに挿入され、かつ、該特定の遺伝子の5'側にN末端タグをコードするDNAが挿入されるように、哺乳類多細胞生物にDNA構築物を導入する段階であって、該異なるレポーター遺伝子の転写物それぞれが相互排他的選択的スプライシングによって生じる少なくとも2種類の異なる成熟mRNAにおけるエクソンのそれぞれとインフレームで融合するように、該レポーター遺伝子が挿入される、段階;
(b)該多細胞生物を変異原で処理する段階;
(c)該レポーター遺伝子の発現によって、該多細胞生物における該特定の遺伝子の相互排他的選択的スプライシングを検出する段階;
(d)該変異原処理に供されていない対照における該レポーター遺伝子の発現と比べ、(c)で検出された該レポーター遺伝子の発現が変化した個体を選択する段階;および
(e)該個体における突然変異した遺伝子領域を同定する段階
を含む、方法。

【請求項4】
特定の遺伝子の相互排他的選択的スプライシングに影響を及ぼす該特定の遺伝子内の領域を同定するための方法であって、
(a)突然変異が導入されておりかつ相互排他的選択的スプライシングを受ける該特定の遺伝子の3'側に、少なくとも2種類の異なるレポーター遺伝子が異なる読み枠でタンデムに挿入され、かつ、該特定の遺伝子の5'側にN末端タグをコードするDNAが挿入されるように、哺乳類多細胞生物にDNA構築物を導入する段階であって、該異なるレポーター遺伝子の転写物それぞれが相互排他的選択的スプライシングによって生じる少なくとも2種類の成熟mRNAにおけるエクソンのそれぞれとインフレームで融合するように、該レポーター遺伝子が挿入される、段階;
(b)該レポーター遺伝子の発現によって、該多細胞生物における該特定の遺伝子の相互排他的選択的スプライシングを検出する段階;および
(c)該特定の遺伝子に突然変異が導入されていない対照における該レポーター遺伝子の発現と比べ、(b)で検出された該レポーター遺伝子の発現が変化したか否かを判定する段階
を含む、方法。

【請求項5】
特定の遺伝子が1つのプロモーターの調節下で機能するように該特定の遺伝子が該プロモーターと連結されており、該プロモーターが組織特異的プロモーターおよび発生段階特異的プロモーターのいずれかである、請求項1~4のいずれか一項記載の方法。

【請求項6】
多細胞生物がマウスに由来する、請求項1~4のいずれか一項記載の方法。

【請求項7】
特定の遺伝子がFGFR2である、請求項1~4のいずれか一項記載の方法。

【請求項8】
レポーター遺伝子が蛍光タンパク質をコードする遺伝子である、請求項1~4のいずれか一項記載の方法。

【請求項9】
選択的スプライシングパターンを可視化するためのDNAベクターを調製するため
(1)関心対象の遺伝子に含まれるエクソンaおよびbを有する増幅されたDNA領域のDNA構築物を調製する段階;
(2)該DNA構築物の両端にattBを付加する段階;
(3)上記(2)のDNA構築物と、選択用遺伝子およびタンデムに配置されたattPを有するドナーベクターとの組換え体を得る段階;
(4)上記(3)のDNA構築物上のエクソンaにフレームシフト突然変異を導入する段階;
(5)下記(i)~(iii)の組み換え体:
(i)上記(4)のDNA構築物
(ii)選択用遺伝子と、2種類のレポーター遺伝子が連結された構造を有するDNAの両端に互いに対抗する向きに配置されたattLを有するDNAとを含む、DNAベクター
(iii)3'カセットDNAと、プロモーターと、選択用遺伝子を有するDNAの両端に互いに対抗する向きに配置されたattRを有するDNAとを含む、DNAベクター
を得る段階
さらに含む、請求項1~4のいずれか一項記載の方法。

【請求項10】
関心対象の遺伝子がFGFR2遺伝子である、請求項9記載の方法。

【請求項11】
エクソンaおよびbがFGFR2遺伝子のエクソン8および9である、請求項10記載の方法。

【請求項12】
レポーター遺伝子が蛍光タンパク質をコードする遺伝子である、請求項911のいずれか一項記載の方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
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