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三次元微細加工方法及び三次元微細構造

国内特許コード P130009741
整理番号 KG0073-JP01
掲載日 2013年8月5日
出願番号 特願2009-086680
公開番号 特開2010-237539
登録番号 特許第5267945号
出願日 平成21年3月31日(2009.3.31)
公開日 平成22年10月21日(2010.10.21)
登録日 平成25年5月17日(2013.5.17)
発明者
  • 金子 忠昭
  • 松田 一宏
出願人
  • 学校法人関西学院
発明の名称 三次元微細加工方法及び三次元微細構造
発明の概要

【課題】電子ビームによる改質領域を縮小して微細なマスクを精密に形成可能にするとともに、当該マスクを利用して精密な三次元微細構造を作製できる三次元微細加工方法を提供する。
【解決手段】GaAs基板1の表面に、As薄膜2と、Ga23薄膜4と、As薄膜5と、で構成される3層無機レジスト酸化膜10を形成する。選択図の(f)から(g)に示す工程では、真空中で3層無機レジスト酸化膜10の表面に照射した電子ビームによって、Ga23薄膜4とGaAs基板1の表面の一部が密着し、熱耐性を有する改質マスク部17が形成される。(h)に示す工程では、As薄膜2が昇華され、改質マスク部17以外の部分のGa23薄膜4が脱離してGaAs基板1の表面が露出する。(i)に示す工程では、エッチング処理を行って、GaAs基板1の露出部分からGaを優先的に剥離させることで窪み等が形成された三次元微細構造を作製する。
【選択図】図3

従来技術、競合技術の概要


光リソグラフィーを中心とする現在の半導体微細加工は技術的限界に達しており、半導体関連産業が今後も主たる経済産業分野の牽引役として持続するには、新しいパラダイムに基づいた方法論の展開が急務である。その1つがナノテクノロジーであり、光リソグラフィー技術が抱える装置限界(複雑化・巨大化・高コスト化)の呪縛から解き放つものとして期待されている。



ターゲットとなるべき技術課題とは、少量多品種型生産を可能(設計変更容易・低コスト)にする三次元ナノ微細化技術の開発である。特に“光・電子デバイス”展開の観点からは、求められるプロセス機能として無損傷・無汚染が前提となり、更に“一括デバイス化”と“その場制御化”が必要になる。



リソグラフィーに必要な条件はスループット(レジストの高感度化)及び解像度(レジストの分解能)の2つであり、それらのバランスが重要となる。電子ビームは光に比べて波長が短いことから、電子ビームを用いた電子ビームリソグラフィーが、光リソグラフィーの解像度限界を超えるものとして開発が進められている。



電子ビームリソグラフィーでは、10nm以下の微小な電子ビーム径が得られる高加速電子線描画装置(例えば加速電圧を50kV以上に設定可能なもの)が従来から用いられているが、電子線の進入深度が深いためレジスト感度の低下が問題になっている。電子ビームリソグラフィーで用いられるレジストとしては、スループットの観点から光リソグラフィーと同様に有機レジストが一般に用いられている。例えばPMMAは、有機レジストの中で感度は比較的低いものの解像度に優れているため、よく用いられる。しかし、近年は、そのように解像度の比較的良いPMMAに対しても一層の解像度の向上が強く要望されているという状況があった。



一方、無機レジストは解像度が有機レジストに比べて優れており、この点で電子ビームリソグラフィーに適合的であるものの、感度が低いために使いにくいというのが一般的な認識となっている。従って、無機レジストの感度をPMMAと同等とするか若しくはそれを凌駕させることが無機レジスト開発の1つのターゲットになっている。なお、代表的な有機レジスト及び無機レジストについて、レジストの感度と解像度の関係を図1に示す。この図1には、本発明の一実施形態で無機材料マスクとして使用される多層無機レジスト酸化膜の位置付けが併せて示されている。



また、電子ビームリソグラフィーには、入射電子だけではなく、レジスト及び基板内からの二次電子散乱の影響(proximity効果)により、レジストの反応領域がビーム径より大きくなってしまう問題があった。レジストの反応領域が大きくなれば、電子ビームの隣接する描画ライン間での解像度が影響を受け、後工程で作製される三次元微細構造に影響が生じてしまう。このようなレジストの反応領域の拡大を低減させるために多くの努力がなされており、その一例が多層レジストによる基板内進入電子線の屈折率制御を用いた実効ビーム径の縮小化である。しかし、現状の技術では、このproximity効果が大きな制限となっており、解像度向上の障害となっていた。微細化の進展には、レジスト膜内でのproximity効果の更なる抑制が望まれる。例えば、proximity効果による改質領域の広がりが電子ビーム径の範囲よりも小さくなることが好ましいのである。



そこで、proximity効果の抑制や基板表面付近での入射電子の集中によるレジスト感度の向上等を実現する手段として、5kV以下の低加速電圧を用いた電子ビームリソグラフィーが近年注目されている。



この種の電子ビームを用いてパターン形成する方法を開示するものとして、例えば非特許文献1がある。非特許文献1においては、帯電効果に対するアプローチ方法の一例として、Drouinらによるランダム描画法が報告されている。ランダム描画法とは、数μm程度のデザインルールを基板表面にパターニングする際に、隣接するデザインを順次描画するのではなくランダムに描画することで、低加速電子ビームリソグラフィーにより生じる基板自体の帯電効果を緩和する手法である。



また、低加速電子線直接描画法を用いた三次元微細加工方法を開示するものに非特許文献2及び3と、特許文献1、2及び3がある。これらの文献には、Si基板上にスパッタ蒸着させたNi、Cu等の異種金属材料に、電子線を照射することで熱を発生させてシリサイドを形成し、エッチングマスクとして用いる三次元微細加工方法が開示されている。一般に電子線は、ビームの中心が最も電子密度が高く、中心から遠ざかるにつれて低下する(電子密度はガウス分布で予測できる)ので、電子ビームの散乱中心領域のみ(ビーム径以下の領域)が選択的に改質されて、シリサイドが形成されることになる。



ところで、一般にレジストは感度の特徴から2種類に分けることができる。1つは電子ビームのエネルギー照射量に依存し、臨界値で急峻な反応が起きるデジタル型レジストである。もう1つはエネルギー照射量に応じて連続的に反応が進行するアナログ型レジストである。この2種類のうち、サブミクロン領域での微細化には空間分解能を得易いデジタル型が有利とされてきた。即ち、デジタル型レジストを用いる場合、形成された“硬い”反応領域がマスクとして用いられ、後工程のエッチングや成長(再成長と呼ばれる)に対して選択的な機能をもたらしてきた。一方、アナログ型レジストは空間分解能に限界はあるものの、後工程のプロセスに対して“柔らかい”マスクとして機能するため、高低差を制御した構造の作製に用いられてきた。任意(様々な形状)の三次元微細構造を作製する観点からは、空間分解能に優れかつ高低差制御に優れたアナログ型のレジスト開発、及び後工程のプロセス開発が必要であった。



マスクパターン形成後の選択的成長プロセスとして、表面拡散長が長いガス種を用いた成長法(CVD、GSMBE、CBE等)が従来から知られている。この手法を用いた選択成長はGaNを含むあらゆる化合物半導体及びSiプロセスに応用され、三次元構造制御手法の1つとして確立されている。例えば、CVD法を用いているものとして、特許文献4に開示されるものがある。この特許文献4は、CVD法の中でも有機金属化学気相蒸着法(以下、MOCVD法とする)を用いて、III-V族化合物半導体を選択成長させるものである。

産業上の利用分野


本発明は、主要には、基板の表面に形成されたIII-V族化合物層の表面、又はIII-V族化合物基板の表面に微細構造を形成する三次元微細加工方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
基板の表面に形成されたIII-V族化合物層の表面、又はIII-V族化合物基板の表面に微細構造を形成する三次元微細加工方法において、
前記基板の表面にV族原子で構成されるV族膜を形成し、更にそのV族膜の表面にIII-V族化合物膜を形成する第1工程と、
前記第1工程で形成したIII-V族化合物膜を過熱水蒸気によってIII族酸化物膜に改質し、このIII族酸化物膜の表面にV族膜を形成することで3層無機レジスト酸化膜を形成する第2工程と、
真空中で3層無機レジスト酸化膜の表面に照射した電子ビームが、前記第2工程で形成された前記V族膜を通過して前記III族酸化物膜の一部分に作用することで、当該III族酸化物膜から余剰な酸素分子を分離可能にし、前記第1工程で前記基板の表面に形成したV族膜の一部が加熱昇華されながら前記基板の表面の一部が酸化されてIII族酸化物が生成されることで、前記III族酸化物膜と基板の表面の一部が密着し、熱耐性を有する改質マスク部が電子ビームの照射部分に応じた形状で形成される第3工程と、
真空中で前記基板を昇温させることにより、前記基板の表面に形成されているV族膜が昇華され、前記改質マスク部以外の部分のIII族酸化物膜が脱離して前記基板の表面が露出する第4工程と、
真空にV族原料を供給した環境下で前記基板を所定温度で加熱して、基板の露出部分からIII族原子を優先的に剥離させるエッチング処理を行うことでネガ型の三次元微細構造を作製する第5工程と、
を含むことを特徴とする三次元微細加工方法。

【請求項2】
請求項1に記載の三次元微細加工方法であって、
前記第1工程で前記基板の表面に形成されるV族膜の厚みは1nm以上5nm以下であり、前記V族膜の表面に形成されるIII-V族化合物膜の厚みが1nm以上5nm以下であり、
前記第2工程でIII族酸化物膜の表面に形成されるV族膜の厚みが1nm以上10nm以下であることを特徴とする三次元微細加工方法。

【請求項3】
基板の表面に形成されたIII-V族化合物層の表面、又はIII-V族化合物基板の表面に微細構造を形成する三次元微細加工方法において、
前記基板の表面にV族原子で構成されるV族膜を形成し、更にそのV族膜の表面にIII-V族化合物膜を形成する第1工程と、
前記第1工程で形成したIII-V族化合物膜を過熱水蒸気によってIII族酸化物膜に改質して2層無機レジスト酸化膜を形成する第2工程と、
真空中で2層無機レジスト酸化膜の表面に電子ビームを照射することにより、III族酸化物膜から余剰な酸素分子を分離可能にし、前記第1工程で前記基板の表面に形成したV族膜の一部が加熱昇華されながら、その昇華された部分で前記基板の表面の一部が酸化されてIII族酸化物が生成されることで、前記III族酸化物膜と基板の表面の一部が密着し、熱耐性を有する改質マスク部が電子ビームの照射部分に応じた形状で形成される第3工程と、
真空中で前記基板を昇温させることにより、前記基板の表面に形成されているV族膜が昇華され、改質マスク部以外の部分のIII族酸化物膜が脱離して前記基板の表面が露出する第4工程と、
真空にV族原料を供給した環境下で前記基板を所定温度で加熱して、基板の露出部分からIII族原子を優先的に剥離させるエッチング処理を行うことでネガ型の三次元微細構造を作製する第5工程と、
を含むことを特徴とする三次元微細加工方法。

【請求項4】
請求項3に記載の三次元微細加工方法であって、
前記第1工程で前記基板の表面に形成されるV族膜の厚みが1nm以上5nm以下であり、前記V族膜の表面に形成されるIII-V族化合物膜の厚みが1nm以上5nm以下であることを特徴とする三次元微細加工方法。

【請求項5】
請求項1から4までの何れか一項に記載の三次元微細加工方法であって、
前記III-V族化合物層又はIII-V族化合物基板は、AlxGayIn1-x-yAs1-z(0≦x<1、0≦y、z≦1)で構成されていることを特徴とする三次元微細加工方法。

【請求項6】
請求項1から5までの何れか一項に記載の三次元微細加工方法であって、
前記第2工程で形成されるIII族酸化物膜は、Al23薄膜又はIn23薄膜であることを特徴とする三次元微細加工方法。

【請求項7】
請求項1から6までの何れか一項に記載の三次元微細加工方法であって、
Si又はSiCを基板とすることを特徴とする三次元微細加工方法。

【請求項8】
請求項1から7までの何れか一項に記載の三次元微細加工方法であって、
前記第3工程における前記電子ビームの加速電圧は0.5kV以上20kV以下であり、面ドーズ量の範囲は50μC/cm2以上16C/cm2以下であり、当該電子ビームの照射は単一ラインモードで行うことを特徴とする三次元微細加工方法。


【請求項9】
請求項1から8までの何れか一項に記載の三次元微細加工方法であって、
前記第3工程において電子ビームの描画ラインを複数交差させることを特徴とする三次元微細加工方法。

【請求項10】
請求項9に記載の三次元微細加工方法であって、
前記描画ラインは、長手方向の中途部で他の描画ラインに交差することを特徴とする三次元微細加工方法。

【請求項11】
請求項1から10までの何れか一項に記載の三次元微細加工方法であって、
前記第3工程では、電子ビームは、前記基板の結晶方位[100]、[010]、[011]、[01-1]、[110][-110]、[111]、[-1-1-1]の何れかに一致するラインを描画するように照射され、
前記第4工程では、前記基板は300℃以上650℃以下の温度に昇温されるものとし、
前記第5工程では、前記基板は300℃以上650℃以下の温度に加熱されるとともに、エッチング速度が0.3ML/sec以下であることを特徴とする三次元微細加工方法。

【請求項12】
請求項1から11までの何れか一項に記載の三次元微細加工方法であって、
前記第3工程では、電子ビームを同じ場所に繰り返し照射する多重走査を行うことを特徴とする三次元微細加工方法。

【請求項13】
請求項12に記載の三次元微細加工方法であって、
前記多重走査は、同じ場所に電子ビームを照射する際には、前回その場所を走査した時から、電子ビームによって1mmを走査するために必要な時間の10倍以上の時間が経過した後に、電子ビームを照射することを特徴とする三次元微細加工方法。

【請求項14】
請求項1から13までの何れか一項に記載の三次元微細加工方法であって、
前記第3工程では、電子ビームをドーナツ形状のリミッティングアパーチャを通すことで、電子ビーム径を収束させて照射することを特徴とする三次元微細加工方法。

【請求項15】
請求項1から14までの何れか一項に記載の三次元微細加工方法であって、
固体成長原料を用いた分子線エピタキシャル成長法を行うことで、前記第5工程でエッチング処理を行った部分にIII-V族化合物結晶を選択成長させる第6工程を更に含むことを特徴とする三次元微細加工方法。

【請求項16】
請求項15に記載の三次元微細加工方法であって、
前記第6工程において、前記基板は300℃以上650℃以下の温度に加熱されるものとし、固体成長原料のV族とIII族のフラックス比FV/FIIIは1以上100以下であり、結晶成長速度は0.01ML/sec以上2ML/sec以下であることを特徴とする三次元微細加工方法。

【請求項17】
請求項1から16までの何れか一項に記載の三次元微細加工方法であって、
ポジ型の三次元微細構造を作製する工程及びネガ型の三次元微細構造を作製する工程を組み合わせて三次元微細構造を多段階で作製することを特徴とする三次元微細加工方法。

【請求項18】
請求項17に記載の三次元微細加工方法であって、
ポジ型の三次元微細構造の表面に、又はネガ型の三次元微細構造の表面に、III族酸化物膜の改質マスク部を形成し、エッチング処理によって新たな三次元微細構造を更に形成することを特徴とする三次元微細加工方法。

【請求項19】
請求項1から18までの何れか一項に記載の三次元微細加工方法により作製されることを特徴とする三次元微細構造。

【請求項20】
請求項19に記載の三次元微細構造であって、隣り合う単位構造同士の間隔がサブミクロン以下であることを特徴とする三次元微細構造。
産業区分
  • 写真映画
  • その他機械要素
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 権利存続中
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