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バイオシリカの製造法 新技術説明会

国内特許コード P130009746
整理番号 KG0076-JP01
掲載日 2013年8月5日
出願番号 特願2009-125168
公開番号 特開2010-268762
登録番号 特許第5765512号
出願日 平成21年5月25日(2009.5.25)
公開日 平成22年12月2日(2010.12.2)
登録日 平成27年6月26日(2015.6.26)
発明者
  • 松田 祐介
  • 堀口 雅人
  • 磯部 弘
  • 井上 高康
  • 堀江 亜紀子
出願人
  • 学校法人関西学院
  • 富士化学株式会社
発明の名称 バイオシリカの製造法 新技術説明会
発明の概要 【課題】シラフィンを用いたバイオシリカの新規製造法等を提供すること。
【解決手段】本発明のバイオシリカ製造法は、用いるケイ酸原を選択すること並びに/又はシラフィン及びケイ酸原を含有する反応液のpHを変えてpH勾配を形成することにより、得られる形状を制御することを特徴とするバイオシリカの製造方法である。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


シリカは多種多様な用途に欠かせない材料であるが、一般に工業的なシリカ材料の作製方法は酸やアルカリの薬品を大量に使用し、かつ反応にも長時間を要する。これに対し、近年、生物を使用するバイオミネラリゼーションが注目を浴びている。



生物の歯や骨、貝殻や真珠などは、有機物と無機物とが互いにナノスケールからマクロスケールで融合または複合した構造体である。このような鉱物を生物が作り出す作用をバイオミネラリゼーションと呼ぶ。自然界では、膨大な量のシリカ(SiO2)が生物によって産出・利用されている。その生物の代表例が単細胞の珪藻である。珪藻の細胞壁は多くの植物の細胞壁とは異なり、セルロースではなくシリカを主成分として構成されている。



1999年以降Kroegerらにより、海洋性珪藻Cylindrotheca fusiformisの細胞壁をフッ素酸で溶かした溶液から、4kDa~8kDaのポリペプチドSilaffin-1A1,Silaffin-1A2,Silaffin-1Bが単離され、これらのポリペプチドそれぞれにin vitroにおいて球状バイオシリカ形成能があることが示された(非特許文献1、2参照)。また、これら3種類のポリペプチドのアミノ酸配列はsilaffin-1と呼ばれる遺伝子上に、Silaffin-1A2とSilaffin-1Bとは1回ずつ、Silaffin-1A1は5回繰り返しコードされていた(図1参照)。



Silaffin-1は翻訳後調節により細胞内で分解作用を受け、それぞれの機能リピート単位に断片化されてから機能すると考えられているが、実際に生体内で各機能リピート単位に分かれてから機能しているかどうかは不明であり、リピート構造が保たれたまま機能している可能性も否定できない。いずれにしても、ケイ酸を顆粒状に凝集させ、球状バイオシリカ形成活性を有するこれらのポリペプチド(以下、総称して「シラフィン」という。)は、他の種類の珪藻にも存在し、珪藻殻形成に関与していると考えられている。



ところで近年、半導体微細加工技術をはじめとするナノテクノロジー分野では、生体物質の自己組織化機能に注目が集まっている。中でも、自然界の珪藻殻が持つ幾何学的な微細構造が注目されている。上述のように、珪藻由来ペプチドのシラフィンがin vitro系で珪酸を顆粒状に凝集させ、バイオシリカ形成活性を有することから、この生体物質の自己組織化機能を細胞外の人工的な環境で良好に再現・コントロールすることで、珪藻殻自己組織化機能を利用した人工バイオミネラリゼーション技術を開発・確立し、さらにこれを半導体微細加工技術に応用することが期待されている。そのため、例えばシラフィンを用いて半導体基板表面にナノスケールのバイオシリカを形成する場合に、基板表面へのシラフィンの吸着を制御することで、基板上にバイオシリカを所望のパターンに形成する技術の開発が求められている。



シラフィンを用いたバイオシリカの製造は、半導体微細加工技術への応用にとどまらず、種々の産業利用が期待されている。その一例が、バイオシリカを酵素などの生体高分子の固定化用担体として利用し、この機能高分子担体をバイオリアクターやバイオセンサー等に利用する技術の開発である。ナノスケールの球状バイオシリカは単位重量あたりの表面積が非常に大きく、このバイオシリカに活性を保持したまま酵素などの機能高分子を固定することで、バイオリアクター等に有用な優れた反応素子の提供が期待できる。また、ナノスケールのバイオシリカは球状以外の形状(例えば、繊維状)についても、マイクロフィルター、シリカナノファイバー、またはそれらの中に高分子機能を包埋した機能材料等の幅広い分野に応用し得る。そのためには、バイオシリカの形状や粒径(粒の大きさ)を良好に制御し、特にその微細化を図る方法が求められている。もちろん、バイオシリカの微細化は半導体微細加工技術への応用においても重要である。



これまでに、シラフィンまたはそのキメラ蛋白を使用してバイオシリカを製造する方法がいくつか報告されている(特許文献1、非特許文献3~7参照)。さらに、組換えシラフィン(EAK1-R5)により形成されるシリカの大きさや構造は、温度や試薬の添加順序などによって操作が可能なことも示されている(非特許文献3参照)。しかし、これらの文献では、いずれも基質として高価なテトラメトキシシラン(TMOS)が用いられており、製造コストがかかることが難点であった。また、生成されるシリカの形状を制御する方法についても、より安全性及び操作性の優れたものが求められているのが現状である。



一方、ケイ酸ナトリウムを原料にしてミクロサイズのシリカを製造する方法についても報告がある。1つは非イオン性界面活性剤の存在下でアルカリケイ酸塩水溶液と鉱酸を混合撹拌してマイクロポアシリカ多孔質粒子を得る方法で(特許文献2)、もう1つはケイ酸ナトリウムをウシ血清アルブミン存在下で重合することにより生成粒子径を制御する方法である(非特許文献8)。しかしながら、これらはいずれもシラフィンを用いてバイオシリカを製造する方法ではない。

産業上の利用分野


本発明は、バイオシリカ(bio-silica)の製造法、およびバイオシリカの製造においてバイオシリカの形状を制御する方法等に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
下記(A)または(B)に記載する組換えシラフィン、及びケイ酸原を用いてバイオシリカを製造する方法であって、
(A)配列番号2~5のいずれかに記載するアミノ酸配列からなる組換えシラフィン
(B)配列番号2~5のいずれかに記載するアミノ酸配列のうち、1~数個のアミノ酸を置換、欠失または付加させてなる、バイオシリカ形成活性を有する組換えシラフィン:
ケイ酸原として活性ケイ酸を用い、当該活性ケイ酸と上記組換えシラフィンを含有する酸性の反応液に塩基を添加してpH6~8の中性環境を形成して繊維状バイオシリカを製造するか、または
ケイ酸原としてケイ酸ソーダ、ケイ酸カリウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸ナトリウム、及びケイ酸カルシウムアルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種のケイ酸塩を用い、当該ケイ酸塩と上記組換えシラフィンを含有するアルカリ性の反応液に酸を添加してpH6~8の中性環境を形成して球形バイオシリカを製造することを特徴とするバイオシリカの製造方法。

【請求項2】
組換えシラフィン及び活性ケイ酸を含有する酸性反応液のpHが2~4の範囲、または組換えシラフィン及びケイ酸塩を含有するアルカリ性反応液のpHが9~11の範囲である、請求項1に記載の製造方法。

【請求項3】
形成される繊維状バイオシリカの幅が10~400nm、または形成される球状バイオシリカの粒子径が10~500nmである、請求項1または2に記載する製造方法。

【請求項4】
酸性の反応液に添加する塩基の濃度、またはアルカリ性の反応液に添加する酸の濃度がそれぞれ10mM~1Mである、請求項1乃至3のいずれかに記載する製造方法。

【請求項5】
組換えシラフィンがヒスチジンのタグを付加した組換えシラフィンである、請求項1乃至4のいずれかに記載する製造方法。

【請求項6】
請求項1~5のいずれかの方法により製造されたバイオシリカ。

【請求項7】
シラフィン及びケイ酸を含有する酸性若しくはアルカリ性反応液中に、アルカリ若しくは酸を添加又は接触させて、該反応液中又は反応液の表面にpH勾配を形成させ、それにより形成されるバイオシリカの形状を制御する方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
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