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全反射減衰型光学プローブおよびそれを用いた水溶液分光測定装置

国内特許コード P130009753
整理番号 KG0044-JP03
掲載日 2013年8月5日
出願番号 特願2012-009220
公開番号 特開2012-098303
登録番号 特許第5462892号
出願日 平成24年1月19日(2012.1.19)
公開日 平成24年5月24日(2012.5.24)
登録日 平成26年1月24日(2014.1.24)
優先権データ
  • 特願2006-073073 (2006.3.16) JP
発明者
  • 東 昇
  • 尾崎 幸洋
  • 池羽田 晶文
出願人
  • 倉敷紡績株式会社
  • 学校法人関西学院
発明の名称 全反射減衰型光学プローブおよびそれを用いた水溶液分光測定装置
発明の概要 【課題】180nm以下の遠紫外域で水の分光測定を容易に行えるようにして、水溶液中の微量な溶解成分などを高感度に検出し、定量分析できる全反射減衰型光学プローブを提供する。
【解決手段】全反射減衰型光学プローブは、遠紫外域で光透過特性を有する光学材料からなり、少なくとも一部において屈折率が連続的に変化する全反射減衰型光学プローブであって、サンプル物質と接する側に、臨界角以上の入射角の光を全反射する平面を有し、平面の一部を含む平面近傍部分での遠紫外域での屈折率がその他の部分およびサンプル物質の屈折率より高い。
【選択図】図11
従来技術、競合技術の概要



近年水の純度やその性質の微弱な変化を精度よく、かつ、その水質を変化させることなく測定するという用途が増加している。たとえば半導体の製造プロセスは、その比抵抗が理論限界値に近いレベルの純度を要求するに至っている。また、近年では、その非常に純度の高い超純水に特定の機能を付加させた機能水なるものが利用されるようになってきている。





水または水溶成分の識別や定量分析において、分光分析は非常に有効な手段として多種多様に利用されている。その分光分析手法は、測定波長領域によって、紫外可視分光、近赤外分光、赤外分光に大別される。





特に、近赤外分光では、水特有の水素結合を反映する吸収スペクトルが800~1400nmに顕著に観測され、たとえば特開平3-175341号公報には、このスペクトルを利用した水中の溶解成分の測定方法が提案されている。水分子は液体状態では互いに水素結合しているが、水中に他の溶解成分が混入された場合には、この水素結合の状態がきわめて敏感に変化する。そして、その変化の様子を調べることで、混入成分の定量分析が可能となるのである。より具体的には、無機電解質が水溶液中でイオン電離する際に、イオンの水和によって生じるイオン近傍の水分子とバルクの水分子との間の水素結合の切断や歪み、イオンの電場による水分子の分極の影響などによって、水分子自身の結合状態や、水素結合した水分子どうしの結合状態が影響を受け、その近赤外吸収スペクトルは純水の場合と異なるものとなる。そこで、あらかじめその変化を検量することで、イオン種に帰属する吸収スペクトルからではなく、水の吸収スペクトルの変化からそのイオン種の濃度を定量できる。





また、最近になって、特開平2005-214863号公報やAPPLIED SPECTROSCOPY Vol. 58, No. 8 (2004), 910-916には、水の遠紫外スペクトルが、近赤外スペクトルと同様に水の水素結合状態に密接に関与していることを利用して水溶液中の水和物質の濃度を定量する方法が提示されている。より具体的には、150nm付近にピークを有する水のn→σ遷移による吸収スペクトルが、水自体と水中に溶解する水和イオンとの間に形成する電場の影響で長波長側にシフトし、スペクトルの一部が常用分光装置(真空排気を必要としない分光装置)で測定可能な領域に現れることを利用して、水溶液の識別・微量成分濃度の定量分析を行うものである。水の遠紫外スペクトル吸収を利用する方法は、近赤外スペクトルを利用する場合よりも格段に微量成分に対する検出・定量感度が上がるが、水自身の吸光度が非常に大きいため、これまでは透過スペクトル測定の限界である180nmより長い波長領域でしか利用されていなかった。





ところで、本発明では、非常に吸収が大きい物質の吸収スペクトルを測定する方法として、全反射減衰吸光(Attenuated Total Reflectance)法に着目するので、ここで、従来の全反射減衰吸光法について説明する。全反射減衰吸光法によれば、光が光学プローブの表面で全反射する際に形成される波長オーダーの光の浸みだし(エバネッセント波)による試料内での光吸収量を測定できるので、理論的に波長オーダーのセル長による透過スペクトルと類似の吸収スペクトルを得ることができる。特開昭62-75230号公報には、光学プローブを応用した全反射減衰吸光法による濃厚溶液類の測定方法が提案されている。光学プローブの材質として合成石英やサファイアを用いた全反射減衰吸光法が種々に実現され、全反射減衰吸光法自体の測定感度を高める方法も特開平7-12716号公報などに提案されている。





複数の光学材料からなる全反射減衰吸光法用の光学プローブも提案されている。米国特許第5703366号公報に記載された光学分析用の光学系では、赤外線光学系において、サンプル物質と接触する面で入射光を全反射するプローブを用いる。ここで、単独の結晶部材からなるプローブの欠点(耐食性、機械的性質、高価格など)を解消するため、第1結晶部材と、第1結晶部材に接する第2結晶部材とからプローブを組み立てている。第2結晶部材はサンプル物質に接触する面を備える。2つの結晶部材は、実質的に同じ屈折率をもつ。第2結晶部材が、赤外線を透過する材料であるダイヤモンドである場合、第1結晶部材は、たとえばセレン化亜鉛(ZnSe)である。





なお、特開昭64-56401号公報に記載された赤外線透過光学素子では、SiO2、ZnSeなどの赤外線透過材料からなる光学素子の表面に、表面強度と耐湿性の改善のため、ダイヤモンド薄膜またはダイヤモンド構造を含むカーボン(DLC)の薄膜(たとえば600nmの厚さ)を形成する。光学素子の1例は、全反射減衰吸光測定付属装置の多重反射プリズムである。実施例で用いられているDLC薄膜の光学的性質については、赤外域吸収スペクトルに影響を与えなかったと記載されている他は、摩耗試験や耐湿試験の結果が記載されているのみである。すなわち、ダイヤモンド薄膜の作用効果としては機械的性質と化学的性質のみが注目されている。





また、特開平5-332920号公報に提示されている方法では、試料(Siウェハ)の分析面を空気側とし、分析面の反対側の面に試料より低い屈折率を有する軟らかい固体材料プリズムを密着させ、固体材料側から赤外線を入射して分析面で反射させることにより、プリズム材質より大きな屈折率を有する試料表面の減衰全反射スペクトルを得る。この方法でも、複合材質の第2層(試料)が赤外線を透過する材質であることが前提となっている。





なお、特開2001-91710号公報に記載された全反射減衰吸光プローブでは、光吸収が大きな第2層(たとえば酸化亜鉛、二酸化錫)を、透明な第1層(たとえばシリコン)と鏡面接合することが提案されている。第2層は、試料と接する層である。ここで、第1層として屈折率の大きな光学材料が用いられ、第2層として屈折率の小さな光学材料が用いられている。しかし実施例1などにおいて記載されている端面角と入射角度では、第1層への入射光は第1層と第2層の界面で全反射され、第2層の反対側に位置するサンプルの中には第2層中のごく一部のエバネッセント波しか到達できず、しかも第2層中での光吸収が大きいため、結果的に非常にS/N比の低下した吸光度測定しかできない。この発明の考え方は不明である。





以上に説明した従来例から分かるように、複数の材質からなるプリズムでは、試料と接する側である第2層の屈折率が第1層の屈折率と実質的に等しいか、大きい場合においてのみ、複合材質からなる減衰全反射型プリズムになると考えられてきた。そして、いずれの場合も、複合プリズムの界面に接する試料の屈折率は、プリズムの第1層の屈折率よりも小さいという前提で提案されている。そして、それらの複数の材質は、赤外線などの測定光を透過するという条件のもとで選定されている。なお、特開2001-91710号公報には、第2層の屈折率が第1層の屈折率よりも小さい複合プリズムの構成例が記載されている。この場合、減衰全反射は複合プリズムの第1層と第2層の界面で生じており、試料表面の全反射スペクトルを得るものとはならず、この考え方は不明である。

産業上の利用分野



本発明は、遠紫外域での分光分析に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
遠紫外域で光透過特性を有する光学材料からなり、少なくとも一部において屈折率が連続的に変化する全反射減衰型光学プローブであって、サンプル物質と接する側に、臨界角以上の入射角の光を全反射する平面を有し、前記平面の一部を含む平面近傍部分での遠紫外域での屈折率がその他の部分およびサンプル物質の屈折率より高いことを特徴とする全反射減衰型光学プローブ。

【請求項2】
前記光学材料は、フッ化マグネシウム、フッ化リチウムおよびフッ化カルシウムのいずれかであり、前記の屈折率が連続的に変化する部分は不純物イオンを拡散あるいは注入することにより形成されたことを特徴とする請求項1に記載の全反射減衰型光学プローブ。

【請求項3】
遠紫外域で光透過特性を有する第1の光学材料であって、サンプル物質である測定媒体の屈折率よりも低い屈折率を有する第1部分と、
前記第1部分に接する界面とサンプル物質と接する平面とを備え、遠紫外域において前記第1部分より低い光透過率と前記サンプル物質である測定媒体の屈折率より高い屈折率を有する第2の光学材料からなる第2部分とからなり、
前記第1部分と前記第2部分の間の前記界面は、第1部分を透過した光線が前記第2部分に入って、前記第2部分の前記平面に臨界角以上の入射角で入射可能な形状を備え、
前記界面は、前記光線の光路を含む面に垂直な方向からみた断面形状が半円状であると共に、
前記界面は、前記平面に入射する光を透過する入射面と、前記平面で反射した光を透過する出射面とを備える、ことを特徴とする全反射減衰型光学プローブ。

【請求項4】
遠紫外域で光透過特性を有する第1の光学材料であって、サンプル物質である測定媒体の屈折率よりも低い屈折率を有する第1部分と、
前記第1部分に接する界面とサンプル物質と接する平面とを備え、遠紫外域において前記第1部分より低い光透過率と前記サンプル物質である測定媒体の屈折率より高い屈折率を有する第2の光学材料からなる第2部分とからなり、
前記第1部分と前記第2部分の間の前記界面は、第1部分を透過した光線が前記第2部分に入って、前記第2部分の前記平面に臨界角以上の入射角で入射可能な形状を備え、
前記第2部分は、前記光線の光路を含む面に垂直な方向からみた断面形状が2等辺三角形であって、前記2等辺三角形の底辺が前記第1部分との界面となるように前記第1部分と接し、前記2等辺三角形の2つの等辺が前記サンプル物質と接すると共に、
前記界面は、前記平面に入射する光を透過する入射面と、前記平面で反射した光を透過する出射面とを備える、ことを特徴とする全反射減衰型光学プローブ。

【請求項5】
前記第1の光学材料は、フッ化マグネシウム、フッ化リチウムおよびフッ化カルシウムのいずれかであり、前記第2の光学材料が、合成石英、水晶、サファイア、セレン化亜鉛およびダイヤモンドのいずれかであることを特徴とする請求項3又は4に記載の全反射減衰型光学プローブ。

【請求項6】
前記第1部分の光が入出射する面および前記第1部分と前記第2部分の間の界面の中の少なくとも1つの面に反射防止コーティング層を備えたことを特徴とする請求項3からのいずれか一項に記載の全反射減衰型光学プローブ。

【請求項7】
さらに、前記光学プローブのサンプル物質と接する面に、測定波長より十分薄い厚さのコーティング層を備えることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の全反射減衰型光学プローブ。

【請求項8】
サンプル物質に接して配置される請求項1からのいずれか一項に記載の全反射減衰型光学プローブと、
前記全反射減衰型光学プローブに遠紫外光を照射する光源と、
前記全反射減衰型光学プローブからの全反射光を検出する受光素子と、
前記光源から前記受光素子までの光路において、遠紫外光を分光する分光素子と、
を備えた水溶液分光測定装置。
産業区分
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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