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イメージサイトメーターを利用した染色体多倍性を示し、かつ、細胞増殖能を有する細胞の有無を判定する方法

国内特許コード P130009883
整理番号 S2012-0214-N0
掲載日 2013年8月21日
出願番号 特願2012-017988
公開番号 特開2013-153704
登録番号 特許第5935207号
出願日 平成24年1月31日(2012.1.31)
公開日 平成25年8月15日(2013.8.15)
登録日 平成28年5月20日(2016.5.20)
発明者
  • 近藤 智子
  • 佐々木 功典
  • 伊藤 秀明
出願人
  • 国立大学法人山口大学
発明の名称 イメージサイトメーターを利用した染色体多倍性を示し、かつ、細胞増殖能を有する細胞の有無を判定する方法
発明の概要 【課題】細胞集団における、染色体多倍性を示し、かつ、細胞増殖能を有する細胞を検出することができる、イメージサイトメーターを用いて高感度にかかる細胞の有無を判定する方法を提供する。
【解決手段】(a)DNAを標的とした蛍光物質と細胞集団由来の細胞試料とを接触させる工程;(b)イメージサイトメーターを用いて、細胞試料中の各細胞のDNA含量を測定する工程;(c)イメージサイトメーターを用いて、染色体多倍性細胞として選択する工程;(d)イメージサイトメーターを用いて染色体多倍性細胞の細胞増殖の有無を検出する工程;(e)染色体多倍性細胞の細胞増殖が認められた場合、前記細胞集団に、染色体多倍性を示し、かつ、細胞増殖能を有する細胞が含まれていると判定する工程;を備えた方法を用いて、イメージサイトメーターによって、細胞集団における、染色体多倍性を示し、かつ、細胞増殖能を有する細胞の有無を判定する。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


胚性幹細胞(ES細胞)はヒトやマウスの初期胚から樹立された幹細胞であり、生体に存在する全ての細胞へと分化できる多能性を維持したまま長期にわたって培養することができるという特徴を有している。この性質を利用してヒトES細胞は再生医療への応用が期待されているが、分化させたES細胞の移植により、拒絶反応が惹起してしまうという問題がある。



近年、山中らのグループにより、マウス体細胞用いて4因子(Oct3/4遺伝子、Sox2遺伝子、Klf4遺伝子、及びc-myc遺伝子)の発現により脱分化を誘導し、ES細胞に近い多能性や増殖能を有する細胞(誘導多能性幹細胞)、いわゆるiPS細胞の開発が報告された(非特許文献1)。その後、ヒトの分化細胞からもiPS細胞を作製できることが報告され(非特許文献2)、治療対象となる患者由来の細胞を用いてiPS細胞を作製できる点から、ヒトiPS細胞は、拒絶反応のない人工臓器作製のためのツールとして期待されている。しかしながら、iPS細胞のin vivoでの挙動を解析すると、iPS細胞は必ずしもES細胞と同じ性質を有する細胞ではない可能性が示唆されている。例えば、iPS細胞を用いてキメラマウスを作製したところ、約20%の個体において腫瘍形成が観察された。これはES細胞を用いた同様の実験よりも有意に高い数値である。



この腫瘍形成リスクが高いという問題を解決するため、マウス及びヒトにおいて、c-myc遺伝子を用いずにOct3/4遺伝子、Sox2遺伝子、Klf4遺伝子の3つの遺伝子を導入することによりiPS細胞を作製し、かかるiPS細胞を用いてキメラマウスを作製すると、腫瘍形成リスクを抑制できることが報告された(非特許文献3、4)。しかしながら、ヒトiPS細胞などの多能性幹細胞を臨床応用する場合、腫瘍形成リスクは限りなくゼロに近いことが求められる。このため、多能性幹細胞集団において、腫瘍形成する細胞の有無を高感度に判定できる方法が必要とされていた。



細胞あたりの染色体数(染色体倍数性)が変わると、細胞が腫瘍化することが数多く報告されている。例えば、アポトーシスを抑制するp53のノックアウトマウス細胞株において、染色体4倍性(テトラソミー)細胞は腫瘍化する頻度が上昇することが報告されている(非特許文献5)。染色体倍数性の異常を含めた染色体異常を調べる方法としては、例えば、有糸分裂(M)期の細胞を用いて、M期特有の凝縮した染色体を解析し、核型(カリオタイプ)を調べる方法(カリオタイピング)や、全ゲノムを網羅するDNAマイクロアレイを用いて、染色体数異常を検出する方法(Comparative Genomic Hybridization[CGH]法)や、染色体DNAをシーケンシングすることにより、直接に調べる方法などが知られている。しかし、これらの従来の方法を、多能性幹細胞の臨床応用に用いた場合、費用対効果や時間対効果の面でネックとなる上に、染色体倍数性の異常を示す細胞が細胞集団中にごく少量である場合に、染色体倍数性の異常を示す細胞を検出することは困難であると考えられていた。

産業上の利用分野


本発明は、イメージサイトメーターによって、細胞集団における、染色体多倍性を示し、かつ、細胞増殖能を有する細胞の有無を判定する方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
以下の工程(a)~(e)を備えた、イメージサイトメーターによって、細胞集団における、染色体多倍性を示し、かつ、細胞増殖能を有する細胞の有無を判定する方法であって、工程(a)の細胞試料における細胞数が1000~10000000である方法。
(a)DNAを標的とした蛍光物質と、スライドグラス又はカバーグラスに固定化された細胞集団由来の細胞試料とを接触させる工程;
(b)イメージサイトメーターを用いて、細胞試料中の各細胞のDNA含量を測定する工程;
(c)イメージサイトメーターを用いて、細胞周期G2/M期に相当する細胞よりもDNA含量が多い細胞を、染色体多倍性細胞として選択する工程;
(d)イメージサイトメーターを用いて、工程(c)で選択した染色体多倍性細胞の細胞増殖の有無を検出する工程;
(e)染色体多倍性細胞の細胞増殖が認められた場合、前記細胞集団に、染色体多倍性を示し、かつ、細胞増殖能を有する細胞が含まれていると判定する工程;

【請求項2】
細胞試料が、5-ブロモデオキシウリジン(BrdU)存在下で培養した細胞由来の試料であり、かつ、工程(d)が、イメージサイトメーターを用いてBrdUを検出し、BrdUのシグナルの有無を指標にして、染色体多倍性細胞の細胞増殖の有無を検出する工程であることを特徴とする請求項1に記載の方法。

【請求項3】
工程(d)が、イメージサイトメーターを用いて細胞コロニー形成を検出し、細胞コロニー形成の有無を指標にして、染色体多倍性細胞の細胞増殖の有無を検出する工程であることを特徴とする請求項1に記載の方法。

【請求項4】
工程(a)が、DNAを標的とした蛍光物質に加えて、FISHプローブを細胞集団由来の細胞試料に接触させる工程であり、かつ、工程(c)~(e)の間に、イメージサイトメーターを用いてFISHプローブを検出し、FISHプローブのシグナル数を基に染色体多倍性を測定する工程(p)をさらに備えたことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の方法。

【請求項5】
FISHプローブがセントロメアを検出するプローブであることを特徴とする請求項4に記載の方法。

【請求項6】
染色体多倍性が染色体4倍性であることを特徴とする請求項4又は5に記載の方法。

【請求項7】
細胞集団が、多能性幹細胞集団であることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録


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