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基材と結合可能なイオン液体を含有する被覆剤、それから得られる被覆層および被覆基材、ならびにそれを用いた被覆方法 新技術説明会

国内特許コード P130009916
整理番号 S2013-0575-N0
掲載日 2013年9月25日
出願番号 特願2013-027639
公開番号 特開2014-156529
出願日 平成25年2月15日(2013.2.15)
公開日 平成26年8月28日(2014.8.28)
発明者
  • 小野 努
  • 福田 剛大
出願人
  • 国立大学法人 岡山大学
発明の名称 基材と結合可能なイオン液体を含有する被覆剤、それから得られる被覆層および被覆基材、ならびにそれを用いた被覆方法 新技術説明会
発明の概要 【課題】材料表面に多様な濡れ性を賦与することができ、かつ安定的にその状態を保持することができる手段を提供する。
【解決手段】少なくとも一個の加水分解性シリル基を有する含窒素複素環カチオンまたは第四級アンモニウムカチオンとその対アニオンからなるイオン液体を含有することを特徴とする被覆剤、ならびに当該被覆剤を、前記加水分解性シリル基と加水分解反応および縮合反応を介して結合可能な官能基を有する基材と接触させる工程を含むことを特徴とする被覆方法。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要



従来、ガラス表面を疎水化するためには、主に有機シランカップリング剤を用いた表面処理が行われている。また、PDMSのような疎水性の基板の親水化においては、プラズマ処理や強酸を用いた化学処理法などが用いられている。





また、イオン液体は、常温での溶融塩であり、カチオン種とアニオン種の組み合わせによって様々な分子構造のイオン液体を合成できる。イオン液体のなかには、水とも油とも相溶しない性質を有する液体もあり、特殊な溶媒として現在様々な分野で応用研究が展開されている(非特許文献1,非特許文献2)。





特許文献1には、イオン(性)液体を含む表面処理組成物、具体的にはイオン液体を汚れに対する有効な溶媒として用いた洗剤等の組成物が記載されている(特許請求の範囲、段落0051等)。しかしながら特許文献1には、加水分解性シリル基を有するイオン液体や、それを用いてシラノール基を有する基材を処理することにより当該基材に親水性、疎水性等の性質を賦与することができることは、記載も示唆もされていない。





特許文献2には、アニオンにシロキサン結合からなる長鎖(側鎖にメトキシ基またはエトキシ基を含みうる)を有するイオン(性)液体、および当該イオン液体の添加剤、界面活性剤、改質剤または軟化剤としての使用が記載されている(特許請求の範囲)。しかしながら、特許文献2に記載されているイオン液体は、本発明で用いられるカチオンに加水分解性シリル基を有するイオン液体と構造上明確に相違する。また特許文献2には、アニオンにシロキサン結合からなる長鎖を有するイオン液体については、具体性を有する実施例をもって開示されておらず、その特性や用途について全く詳細に記載されていない。さらに特許文献2に記載の発明は、アニオンにハロゲン化物イオンを有するイオン液体を問題視し、ハロゲンを含まずに特定の融点またはガラス転移点と粘度とを有し、改善された加水分解安定性を示すイオン液体を提供するためになされたものであり(段落0006、0007および0009)、アニオンにハロゲン化物イオンを有するイオン液体ないしそのハロゲン化物イオンを他のアニオンに置換したイオン液体の用途を否定している。





非特許文献3には、銅などの金属触媒を担体としてのシリカ微粒子に固定化するための化合物として、イミダゾリウムカチオンに加水分解性シリル基が連結されている構造を有するイオン液体が合成されており、当該イオン液体の加水分解性シリル基とシリカ微粒子のシラノール基とを反応させてこれらを結合させた後、上記金属触媒(塩化物)を反応させて2つのイミダゾリウムイオンの間に固定化することが記載されている。





非特許文献4にも、金属触媒であるパラジウムをシリカ微粒子に固定化するための化合物として非特許文献3と同様のイオン液体が合成されており、当該イオン液体と酢酸パラジウムとを反応させて複合体を形成した後、シリカ微粒子に固定化することが記載されている。





しかしながら、非特許文献3および4におけるイオン液体を用いたシリカ微粒子の処理は金属触媒を固定化するためのものであり、そのため、最終的にシリカ微粒子の表面に必ず金属触媒が固定化されることになる。非特許文献3および4には、上記特定のイオン性液体を金属触媒と分離して単独で使用し、シリカ微粒子または他のシラノール基を有する基材にイオン液体のアニオンの作用によって親水性や親油性を賦与するという用途は、記載も示唆もされていない。

産業上の利用分野



本発明は特徴的な化学構造を有するイオン液体の新規の用途に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
少なくとも一個の加水分解性シリル基を有する含窒素複素環カチオンまたは第四級アンモニウムカチオンとその対アニオンからなるイオン液体を含有することを特徴とする被覆剤。

【請求項2】
前記含窒素複素環カチオンまたは第四級アンモニウムカチオンが、少なくとも一個の下記一般式(I)で表される置換基で窒素原子が置換されたものである、請求項1に記載の被覆剤。
-R10-SiR11n3-n (I)
式(I)中、nは0,1または2であり、R10は炭素原子数1~12のアルキレン基であり、R11はそれぞれ独立して炭素原子数1~12のアルキル基を表し、Wはそれぞれ独立して、-OR12[式中、R12は炭素原子数1~12のアルキル基を表す。]または-OR13-OR14[式中、R13は炭素原子数1~12のアルキレン基を表し、R14は炭素原子数1~12のアルキル基を表す。]で表される加水分解性基を表す。

【請求項3】
前記含窒素複素環カチオンまたは第四級アンモニウムカチオンが、一般式(II),(III),(IV)または(V)で表されるものである、請求項1または2に記載の被覆剤。
【化1】


式(II)中、R1およびR2の少なくとも一つは、前記式(I)で表される置換基であってもよい、少なくとも一個の加水分解性シリル基を有する置換基であり、それ以外は、直鎖または分岐鎖の、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、アルコキシアルキル基、アルキレンアリール基、ヒドロキシアルキル基またはハロアルキル基である。
【化2】


式(III)中、R1は、前記式(I)で表される置換基であってもよい、少なくとも一個の加水分解性シリル基を有する置換基である。
【化3】


式(IV)中、R1およびR2の少なくとも一つは、前記式(I)で表される置換基であってもよい、少なくとも一個の加水分解性シリル基を有する置換基であり、それ以外は、直鎖または分岐鎖の、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、アルコキシアルキル基、アルキレンアリール基、ヒドロキシアルキル基またはハロアルキル基である。
【化4】


式(V)中、R1,R2,R3およびR4の少なくとも一つは、前記式(I)で表される置換基であってもよい、少なくとも一個の加水分解性シリル基を有する置換基であり、それ以外は、それぞれ独立に、直鎖または分岐鎖の、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、アルコキシアルキル基、アルキレンアリール基、ヒドロキシアルキル基またはハロアルキル基である。

【請求項4】
前記対アニオンが、Cl-,Br-,I-,CF3CO2-,CH3CO2-,BF4-,CF3SO3-,PF6-および(CF3SO22-からなる群より選ばれる少なくとも一種である、請求項1~3のいずれか一項に記載の被覆剤。

【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載された被覆剤から形成された被膜を含むことを特徴とする、基材の濡れ性を変化させる被覆層。

【請求項6】
請求項5に記載の被覆層で被覆されていることを特徴とする被覆基材。

【請求項7】
請求項1~4のいずれか一項に記載の被覆剤を、前記加水分解性シリル基と結合可能な官能基を有する基材と接触させる工程を含むことを特徴とする被覆方法。

【請求項8】
前記加水分解性シリル基と結合可能な官能基がヒドロキシ基である、請求項7に記載の被覆方法。

【請求項9】
前記基材がポリジメチルシロキサン(PDMS)またはガラスである、請求項7または8に記載の被覆方法。

【請求項10】
前記被覆剤中のイオン液体の対アニオンを交換する工程をさらに含む、請求項7~9のいずれか一項に記載の被覆方法。

【請求項11】
前記接触工程および/または前記対アニオン交換工程が、前記被覆剤および/または対アニオン交換処理液をマイクロ流路に送液することを含む、請求項7~10のいずれか一項に記載の被覆方法。

【請求項12】
前記接触工程の後に、加熱下にエージングする工程をさらに含む、請求項7~11のいずれか一項に記載の被覆方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
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