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近赤外イメージング装置校正用ファントム

国内特許コード P130009919
整理番号 S2013-0636-N0
掲載日 2013年9月25日
出願番号 特願2013-046783
公開番号 特開2014-173997
登録番号 特許第6083801号
出願日 平成25年3月8日(2013.3.8)
公開日 平成26年9月22日(2014.9.22)
登録日 平成29年2月3日(2017.2.3)
発明者
  • 川瀬 知之
  • 桃原 茂
出願人
  • 国立大学法人 新潟大学
  • サンアロー化成株式会社
発明の名称 近赤外イメージング装置校正用ファントム
発明の概要 【課題】蛍光色素の長期保存を可能とし、散乱光等の誘発を極力抑制し、さらに、異なる機種間でもデータ共有を可能とする近赤外イメージング装置校正用ファントムを提供する。
【解決手段】ファントム1は、例えば、少なくとも外表面11が光不透過性の樹脂からなる本体10と、本体10の上面11aから下面11bに向かって延びた筒状開口部13と、筒状開口部13内に収容された蛍光色素12と、動物組織の光透過性に近似した光透過性を有しかつ筒状開口部13を覆うキャップ20と、を備える。筒状開口部13は、本体10に少なくとも3つ以上設置される。キャップ20は筒状開口部13の設置数に対応した数が設置される。キャップ20の厚みt又は蛍光色素12の濃度或いは量のうち、いずれかのパラメータが変化するように設定されていることを特徴とする。
【選択図】図3
従来技術、競合技術の概要



(非侵襲的な画像診断法の現状について)

近年、医療や動物実験の分野においては、非侵襲的な画像診断法の発展が著しい。画像診断法には、μCT等のコンピュータ断層撮影法(Computed Tomography;CT)やポジトロン断層法(Positron Emission Tomography;PET)の他、近赤外分光法(NIRS: near-infrared spectroscopy)が挙げられる。





このうち、NIRSはμCTやPETに比較してその歴史は浅いものの、近年、急速に発展・普及しつつある技術である。このNIR法はこれ単独で使用されることもあるが、先進的研究領域では、このNIRSをPET等の他の非侵襲診断技術と組み合わせて複数のパラメータを評価すること(マルチモダリティ診断)も実施されている。このNIRSを用いて生体や動物の反応(酸素状態)を捉え、酸素状態のカラーマッピング表示をリアルタイムに行う装置のことを近赤外イメージング装置と呼ぶ(以下、NIR装置とも呼ぶ。)。





(NIR装置校正用のファントム及びその必要性について)

しかしながら、NIR装置を利用した画像診断の分野では、X線診断装置で使用されているような校正用ファントムが実用化されていないのが現状である。この校正用ファントムとは、(1)同一のNIR装置で同一の被診断対象の経時的な変化を定量的に評価したい場合や(2)同一条件下の実験(例えば動物実験)を異なるNIR機種を用いて診断し、各装置での検出結果(検出された出力値)に差が生じないようにしたい場合に、検出される出力データの標準化を行うための装置であり、いわば、NIR装置を使用する際の「共通の物差し」或いは「標準器」となるべきものである。





例えば、同一のNIR装置を用いて同一の被診断対象(例えば、動物)を経時的に診断する場合(すなわち前者の場合)、そのNIR装置周囲の僅かな温度や湿度の変化、装置(特に、キセノンランプや水銀ランプが設置された機種)内の光源照射能力の変化によって、装置の検出値に揺らぎが生じる懸念がある。





一方、異なるメーカーによって製造されたNIR装置で同様の実験をする場合(すなわち後者の場合)、各装置からそのまま実測されたデータを比較するだけでは定性的なデータの比較に留まるが、校正用ファントムを利用して実測データを補正して標準化されたデータが得られるようになれば、より正確かつ定量的なデータの比較が可能となり、研究者間でのデータの共有・分析・現象解明に多大な貢献をもたらすものと期待される。





(従来のファントムについて)

上述したように、NIR画像診断の分野においては実用化或いは市販されたファントムは見受けられない。また、異なる機種間のデータの標準化を目的とするファントムの発想すら提案されているかどうかも定かではない。





(ファントムの実用化への障壁 1.蛍光色素の保存期間)

ところで、NIR装置校正用ファントムに封入される蛍光色素は、蛍光顕微鏡などに使用されかつ励起・蛍光波長の短いフルオレセインイソチオシアネート(fluorescein isothiocyanate; FITC)などの蛍光色素に比べて、比較的減衰しにくい物性を有すると言われている。しかしながら、ファントムの外形を光が透過する素材にした場合、この蛍光色素を保存できる期間が極端に短くなってしまい、このことが、NIR装置による被診断対象の経時変化の定量評価に障害となり、ひいてはファントム実用化への障壁となることが懸念される。





(ファントムの実用化への障壁 2.ファントムからの散乱光やボケの誘発)

一方、動物組織や生体器官組織の光学的挙動に近い挙動を発揮する材料でファントムを作製することは、被測定物全体を模擬(シミュレーション)する上でメリットが大きい。しかしながら、このような材料のみからなるファントムを使用する場合には、実際の動物や生体をNIR装置で計測した場合に観察されるような散乱光やボケを誘発することになり、ファントムとしてのデータ再現性を不安定にさせかねない。このデータ再現性の不安定化も、データ校正やデータの標準化という本来の目的にかなったファントムの実用化を阻む要因となり得る。





(ファントムの実用化への障壁 3.NIR装置毎の光学特性の把握)

さらに、本発明者らは、使用するNIR装置毎(つまり機種毎)の光学特性を明らかにするとともに、各装置で得られる定量性の正確さを向上する必要性や課題を感じた。より具体的には、本発明者らは、使用する機種毎に光学特性に関する検量線を得ることのできるファントムの必要性に気が付いたのである。こうした要求を満足するファントムは今までに見当たらないばかりか、そもそも、ファントムを使って上記の点を事前に検証するといった発想自体も見当たらない。





なお、従来の光学ファントムとして、以下の特許文献1~3が挙げられるが、上記課題の解決を目的としたものではない。





特許文献1は、複雑な形状と光学特性を持つ生体器官(具体的には脳)を忠実に表現するファントムを提供することを主な目的としており、ファントムに封入される蛍光色素の長期保存やデータの再現性の不安定化について特段の対処や工夫については開示も示唆もされていない。なお、被測定物が別の生体器官や動物になれば、当該ファントムは利用し得ないため、被測定物毎にファントムを作製しなければならない。





特許文献2は、特許文献1と同様に哺乳類組織(具体的にはマウス)を忠実に表現するファントムを提供することを主な目的としており、ファントムに封入される蛍光色素の長期保存やデータの再現性の不安定化について特段の対処や工夫については開示も示唆もされていない。なお、被測定物が別の生体器官や動物になれば、当該ファントムは利用し得ないため、被測定物毎にファントムを作製しなければならない。





特許文献3は光CT装置を調整する際に使用されるファントムに関するものである。特に、光CT装置では人体(の胴体)周囲を光ビームで走査するため、特許文献3では、厚さ方向(径方向)に対して吸光度が異なるような多層構造のファントムを提供することを目的としている。この目的を解決するため、光散乱材(具体的には、カオリン)や色素(具体的には、フタロシアニンブルー)の種類や混入量を異なる多層構造のファントムを開示している。このように特許文献3に開示のファントムの目的は、本発明における上記課題とは異なるものであって、さらに、そのファントムの構成も当然に、本発明で提案するファントムの構成と相違するものである。

産業上の利用分野



本発明は、近赤外イメージング装置校正用ファントムに関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
少なくとも外表面が光不透過性の樹脂又は光不透過性の硬質ゴムからなる本体と、
前記本体の上面から下面に向かって延びた筒状開口部と、
前記筒状開口部内に収容された蛍光色素と、
生体組織又は動物組織の光透過性に近似した光透過性を有しかつ前記筒状開口部を覆うキャップと、
を備え、かつ、
前記筒状開口部は前記本体に少なくとも3つ以上設置され、
前記キャップはシリコンゴムであり、かつ、
前記キャップは前記筒状開口部の設置数に対応した数が設置され、
前記キャップの厚み又は前記蛍光色素の濃度或いは量のいずれかのパラメータが変化するように設定してあることを特徴とする近赤外イメージング装置校正用ファントム。

【請求項2】
前記本体には、少なくとも3つ以上の前記筒状開口部からなる複数のアレイを有し、
第1アレイでは、前記キャップの厚み又は前記蛍光色素の濃度或いは量のいずれかのパラメータが変化するように設定され、
第2アレイでは、前記パラメータのうち、前記第1アレイで設定したパラメータとは異なるパラメータが変化するように設定されていることを特徴とする請求項1に記載のファントム。

【請求項3】
前記本体は、前記パラメータのうち、前記第1・第2アレイで設定したパラメータとは異なるパラメータが変化するように設定された第3アレイを有することを特徴とする請求項2に記載のファントム。

【請求項4】
前記本体の前記樹脂又は前記硬質ゴムは、黒色を呈する樹脂又は黒色を呈する硬質ゴムであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のファントム。

【請求項5】
前記筒状開口部には、前記蛍光色素を封入するように粘稠性を有した液体がさらに注入されていることを特徴とする請求項1~のいずれかに記載のファントム。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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