TOP > 国内特許検索 > X線コンピュータ断層撮影方法及びX線コンピュータ断層撮影システム

X線コンピュータ断層撮影方法及びX線コンピュータ断層撮影システム

国内特許コード P130010026
整理番号 13732
掲載日 2013年11月6日
出願番号 特願2012-010923
公開番号 特開2013-146480
登録番号 特許第5920770号
出願日 平成24年1月23日(2012.1.23)
公開日 平成25年8月1日(2013.8.1)
登録日 平成28年4月22日(2016.4.22)
発明者
  • 神野 郁夫
  • 荒 邦章
出願人
  • 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
発明の名称 X線コンピュータ断層撮影方法及びX線コンピュータ断層撮影システム
発明の概要 【課題】 被検体中の軟組織、造影剤及び骨をX線透過撮影によって測定する方法及びシステムを実現する。
【解決手段】 被検体Sを透過して入射したX線により付与されたエネルギーによって電荷を発生する複数のX線検出素子3a~3dがX線の入射線上に入射端からの距離が互いに異なる位置となるように一列に配設され、このX線検出素子の列の検出素子間の複数箇所にX線の一部を吸収して減衰させる吸収体3e,3fが設置されたX線検出器3を使用し、X線検出器の複数個のX線検出素子の出力電流値の比から厚さ演算によって被検体内の軟組織、造影剤及び骨の厚さを測定する。
【選択図】 図2
従来技術、競合技術の概要


人体(被検体)内部の病巣、特に癌組織を観察するために、X線透過撮影方法が利用されている。人体の一つの方向からX線を入射させ、人体を挟んだ反対側に透過するX線の多寡を測定する、いわゆるレントゲン撮影によって癌組織を発見することが可能である。このような測定を人体に対して360度の方向から行って多数のX線透過画像データを取得し、それらのデータをコンピュータを用いて処理することにより画像(データ)を再構築するコンピュータ断層撮影(CT)を行うことにより、更に詳細な画像(データ)を得ることができ、より小さい癌組織を発見することができる。この画像処理によれば、人体を輪切りにしたような断層写真を得ることができるため、例えば骨の裏側にある癌組織も観測し易くなる。



このX線CTにおいては、X線を測定するために、例えばNaI(Tl)シンチレータでX線を吸収し、このシンチレータで発生した光を光電子増倍管などで電子に変換し、更に増幅して測定する。この際、一つ一つのX線のエネルギー測定は行わず、NaI(Tl)シンチレータに吸収された多数のX線によって生成された光を電流値として測定し、人体を通過したX線の多寡により、そのX線が通過した線上の平均的なX線吸収係数を導き、癌組織の存否を判断するようにしている。



しかし、元来、癌組織も人体組織の一種であり、癌組織のX線吸収係数は正常組織のそれと余り変わらない。このため、X線の吸収の多寡だけでは癌組織と正常組織とを識別することが容易ではない。そこで、一般的には、事前にヨウ素造影剤を人体に注入して識別を容易にするようにしている。すなわち、癌組織は正常組織に比べて血管の割合が大きいことから、血管に注入されたヨウ素造影剤が癌組織に滞留する割合が正常組織に比べ大きい。ヨウ素は33.2keVにX線の吸収端を持ち吸収が大きいので、ヨウ素含有割合が大きい組織を癌組織として識別することができる。



ヨウ素造影剤を用いることでX線の吸収を大きくすることができるが、X線の吸収の多寡のみではその吸収がヨウ素によるものと断定することはできない。すなわち、血管に付着するカルシウムでもX線が吸収され、しばしばヨウ素とカルシウムの区別がつかないことがある。このような物質を識別するために、従来のX線CT装置を使用する場合には、X線管電圧を例えば100kVpと140kVpとに変化させ、2回のX線照射を行っている。それぞれの加速電圧におけるX線の実効エネルギーが62keVと74keVであり、エネルギーの関数として物質ごとに吸収係数が異なるので、ヨウ素とカルシウムを識別することができるようになる。



このような従来の測定方法では、物質を識別するために、加速電圧を変えた2回以上の
CT測定が必要であり、かつ、1回につき360度の方向から多数回の撮影を行ってX線
透過画像データを取得する必要があることから、被検体の被曝線量が増大する。また、X線を電流として測定すると、X線が被検体を通過中に低いエネルギーのX線が優先的に吸収され、被検体透過後には高いエネルギーのX線の割合が増大する。これをビームハードニング効果と呼ぶ。このビームハードニング効果が起こると、ヨウ素に吸収され易い33.2~40keV程度のエネルギーのX線の数が少なくなるため、ヨウ素による吸収の効果が観察し難くなるという欠点がある。



このような欠点を克服するために、X線を従来通りに電流として測定しつつ、X線のエネルギー情報を得る「transXend検出器」が開発された(非特許文献1)。



このtransXend検出器は、X線の進行方向に並べた複数のX線検出素子を備える。このtransXend検出器によれば、各X線検出素子のX線に対する応答関数を求めておくことで、アンフォールディングによりX線のエネルギー分布を求めることができる。



このtransXend検出器におけるX線検出素子の応答関数は、相互に変化することが望ましい。類似の応答関数を持つX線検出素子から成るtransXend検出器は、アンフォールデ
ィング結果が初期推定エネルギー分布に大きく影響するため、多数の初期推定エネルギー分布を用意し、これらの中で最も実験値に近いエネルギー分布を選択するという解析法をとることとなる。



一方、X線検出素子として、実効原子番号と密度が異なるシンチレータを用いることで、各X線検出素子の応答関数が変化し、初期推定エネルギー分布に依存しない安定な解が得られること、また、より少ないX線量を用いたCT測定が可能なことが提案されている
(特許文献4、非特許文献2)。



ただ、これらのX線検出器は、同一形態のX線検出素子を配列しているために構成が簡素化され、高い線量のX線の検出とエネルギー情報の収集とを同時に行えるという優れた特徴を有するものの、各々のX線検出素子の入射X線のエネルギーに対する応答特性が類似しているため、エネルギー情報を精度良く求めるには、多大な計算を要するという問題があった。また、解析結果であるX線通過線上のヨウ素の厚さを精度良く求めるためには
、多数の初期推定X線エネルギー分布を用意し、アンフォールディングコードに入力する
必要があった。更に、X線が被検体を通過した距離に対して求めておいた応答関数を解析
に用いる必要があり、このため、測定電流値から再構成したCT画像データを用いて各測
定点においてX線が被検体を通過した距離を算出する必要があった。

産業上の利用分野


本発明は、X線検出器及びこのX線検出器を使用したX線コンピュータ断層撮影(X線CT)方法及びX線コンピュータ断層撮影システムに関する。詳しくは、X線検出器は、入射したX線により付与されたエネルギーによって電荷を発生して電流を出力する複数個のX線検出素子をX線の進行方向に順に一列に配置し、前記X線検出素子のうちの最前のものを除く複数のX線検出素子のX線入射側に吸収体を配置した構成とし、このX線検出器を使用して被検体の2方向からのX線透過撮影を行うことで好ましいCT画像(データ)を取得するX線コンピュータ断層撮影(X線CT)方法及びX線コンピュータ断層撮影システムに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
被検体を透過して入射したX線により付与されたエネルギーによって電荷を発生する複数のX線検出素子がX線の入射線上に入射端からの距離が互いに異なる位置となるように一列に配設され、このX線検出素子の列の検出素子間の複数箇所にX線の一部を吸収して減衰させる吸収体が設置されたX線検出器を用いて被検体のX線透過撮影を行い、X線検出器の複数個のX線検出素子の出力電流値の比から厚さ演算によって被検体内の軟組織、造影剤及び骨の厚さを測定することを特徴とするX線コンピュータ断層撮影方法。

【請求項2】
請求項1において、前記吸収体は、原子番号13のAlから原子番号83のBiまでの元素(但し、原子番号43のTc及び原子番号61のPmを除く)を含む材料であることを特徴とするX線コンピュータ断層撮影方法。

【請求項3】
請求項1または2において、前記各X線検出素子は、全て同一材質の検出媒体であり、それらが少なくとも4個、X線の入射線上に一列に配列されており、
前記吸収体は、前記X線検出素子の列の中間部のX線検出素子及び最後尾のX線検出素子のX線入射端側に配置されていることを特徴とするX線コンピュータ断層撮影方法。

【請求項4】
請求項1~3の何れか1項において、前記被検体内の複数の組成が、人体の軟組織、癌組織及び骨であることを特徴とするX線コンピュータ断層撮影方法。

【請求項5】
請求項1~4の何れか1項において、前記被検体の外形は、レーザーを用いた表面形状測定によって得た表面形状画像データと前記X線透過撮影によって得た被検体中の軟組織の画像データに基づいて求め、被検体の外形内に軟組織、造影剤及び骨の形状を合成して表示することを特徴とするX線コンピュータ断層撮影方法。

【請求項6】
被検体を透過して入射したX線により付与されたエネルギーによって電荷を発生する複数のX線検出素子がX線の入射線上に入射端からの距離が互いに異なる位置となるように一列に配設され、このX線検出素子の列の検出素子間の複数箇所にX線の一部を吸収して減衰させる吸収体が設置されたX線検出器と、前記X線検出器を用いて被検体のX線透過撮影を行う手段と、前記X線検出器の複数個のX線検出素子の出力電流値の比から演算によって被検体内の軟組織、造影剤及び骨の厚さを測定する演算装置を備えたことを特徴とするX線コンピュータ断層撮影システム。

【請求項7】
請求項6において、前記被検体の外形は、レーザーを用いて被検体の表面形状を測定した表面形状画像データと前記X線透過撮影によって得た被検体中の軟組織の画像データに基づいて求め、被検体の外形内に軟組織、造影剤及び骨の形状を合成して表示することを特徴とするX線コンピュータ断層撮影システム。

【請求項8】
請求項6または7において、前記吸収体は、原子番号13のAlから原子番号83のBiまでの元素(但し、原子番号43のTc及び原子番号61のPmを除く)を含む材料であることを特徴とするX線コンピュータ断層撮影システム。

【請求項9】
請求項6~7の何れか1項において、前記各X線検出素子は、全て同一材質の検出媒体であり、それらが少なくとも4個、X線の入射線上に一列に配列されており、
前記吸収体は、前記X線検出素子の列の中間部のX線検出素子及び最後尾のX線検出素子のX線入射端側に配置されていることを特徴とするX線コンピュータ断層撮影システム。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2012010923thum.jpg
出願権利状態 登録
ライセンスをご希望の方、特許の内容に興味を持たれた方は、下記問合せ先にご相談下さい。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close