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ストリップ線路型の右手/左手系複合線路または左手系線路とそれらを用いたアンテナ 外国出願あり

国内特許コード P130010033
整理番号 H20-103
掲載日 2013年11月12日
出願番号 特願2008-524749
登録番号 特許第5120896号
出願日 平成19年6月27日(2007.6.27)
登録日 平成24年11月2日(2012.11.2)
国際出願番号 JP2007062853
国際公開番号 WO2008007545
国際出願日 平成19年6月27日(2007.6.27)
国際公開日 平成20年1月17日(2008.1.17)
優先権データ
  • 特願2006-194046 (2006.7.14) JP
発明者
  • 真田 篤志
出願人
  • 国立大学法人山口大学
発明の名称 ストリップ線路型の右手/左手系複合線路または左手系線路とそれらを用いたアンテナ 外国出願あり
発明の概要

基板の誘電率を変更して伝送特性を容易に変更制御することのできるストリップ線路型伝送路を提供し、その伝送線路を用いて、電磁波の周波数を一定として放射方向を広範囲に変更制御可能なアンテナを提供する。
本発明のストリップ線路型伝送路を用いたアンテナは、誘電率可変材料からなる基板と、前記基板の中間面に周期的に配置された複数の導体パターン4と、前記基板の表面に配置され複数の開口5が設けられた開口付接地導体2と、前記基板の裏面に配置された接地導体3と、前記開口付接地導体と前記接地導体とに直流電圧を印加して前記誘電率可変材料の誘電率を変更制御する誘電率制御手段7とを有する。前記導体パターンは、他の導体パターンおよび接地導体とは直流的に絶縁されて設けられる。このアンテナは、ストリップ線路型伝送路に電磁波を伝搬させ、前記誘電率制御手段によって電磁波の放射方向を広範囲に変更制御できる。

従来技術、競合技術の概要


金属、誘電体、磁性体、超伝導体などの小片(単位セル)を、波長に対して十分短い間隔(波長の10分の1程度以下)で並べることで自然にはない性質を持った媒質を人工的に構成することができる。このような媒質を、自然界にある媒質のカテゴリに比べてより大きいカテゴリに属する媒質と言う意味で、メタマテリアル(metamaterials)と呼んでいる。メタマテリアルの性質は、単位セルの形状、材質およびそれらの配置により様々に変化する。



中でも、等価的な誘電率εと透磁率μとが同時に負となるメタマテリアルは、その電界と磁界と波数ベクトルが左手系をなすことから「左手系媒質(LHM:Left-Handed Materials)」と名付けられた。これに対して、等価的な誘電率εと透磁率μとが同時に正となる通常の媒質は「右手系媒質(RHM:Right-Handed Materials)」と呼ばれる。これら誘電率εおよび透磁率μと媒質の種類との関係は、図1で示される。誘電率εの正負および透磁率μの正負に応じて第1象限~第4象限の媒質に分類できる。右手系媒質は第1象限の媒質であり、左手系媒質は第3象限の媒質である。



特に、左手系媒質は、波の群速度(エネルギーの伝播する速度)と位相速度(位相の進む速度)の符号が逆転している波(バックワード波と呼ばれる)の存在や、非伝播領域で指数関数的に減衰する波であるエバネセント波の増幅等の特異な性質を持つものである。そして、左手系媒質によるバックワード波を伝送する線路を人工的に構成することができる。このことは、下記の非特許文献1、非特許文献2に記載されている。



この左手系媒質構成の概念に基づき、金属パターンからなる単位セルを周期的に並べてバックワード波を伝播させる線路が提案されている。これまで、その伝送特性が理論的に取り扱われ、この線路が左手系伝送帯域を持つこと、左手系伝送帯域と右手系伝送帯域との間にバンドギャップが生じること、そのバンドギャップ幅は単位セル中のリアクタンスによりコントロールすることができること等が理論的に明らかになっている。また、左手系伝送帯域と右手系伝送帯域を同時に伝送できる線路は右手/左手系複合線路と呼ばれている。これらに関しては、下記の非特許文献3に記載されている。



図2は、従来から一般的に利用されているマイクロストリップ線路の構成を示す図である。図2(A)はマイクロストリップ線路の斜視図であり、図2(B)はマイクロストリップ線路を伝搬する電磁波の電磁界の概略を示す断面図である。マイクロストリップ線路は、誘電体からなる厚さdの基板1の表面に伝送路としての導体4を設け、基板1の裏面には接地導体3を配置したものである。このマイクロストリップ線路を伝搬する電磁波の電界Eおよび磁界Hは、図2(B)に示すようになる。マイクロストリップ線路では、線路の片側(上面側)の半空間が開放されているため、放射領域 (線路の伝搬波の位相定数が真空中の波数よりも小さくなる領域) において空間への放射が起こる。



このようなマイクロストリップ線路型の伝送路構成に基づく右手/左手系線路が既に作製されており、このマイクロストリップ線路型右手/左手系線路の伝送特性が実験的に実証されている。これに関しては、非特許文献2,3に記載されている。マイクロストリップ線路型右手/左手系線路は、図2(A)の導体4として、互いに絶縁された導体からなる単位セルをz方向に周期的に配列したものである。



このマイクロストリップ線路型の右手/左手系線路は、波の位相定数が真空中の波数に比べて小さくなる周波数領域において伝送エネルギーの一部を放射する性質をもつため、この性質を利用して、右手/左手系線路をアンテナとして使用できることが確認されている。これに関しても、非特許文献2,3に記載されている。



マイクロストリップ線路とともに従来から利用されている伝送線路としてはストリップ線路がある。図3はストリップ線路の構成を示す図である。図3(A)はストリップ線路の斜視図であり、図3(B)はストリップ線路を伝搬する電磁波の電磁界の概略を示す断面図である。ストリップ線路は、誘電体からなる厚さsの基板1の表面および裏面に接地導体2,3を配置し、基板1の中間面(厚さs/2の位置の面)に伝送路としての導体4を設けたものである。このストリップ線路を伝搬する電磁波の電界Eおよび磁界Hは、図3(B)に示すようになる。ストリップ線路では表裏両面が接地導体2,3に囲まれているため本質的に放射を生じない。



本発明者は、このようなストリップ線路型の伝送路構成に基づく右手/左手系複合線路と左手系線路を既に提案している。それは、図4(A),(B)に示す伝送路である。図4(A)は伝送路を構成する導体のみを表示した斜視図であり、図4(B)は伝送路の断面図である。この伝送路は、誘電体からなる厚さsの基板1の表面および裏面に接地導体2,3を配置し、基板1の中間面(厚さs/2の位置の面)に伝送路としての導体パターン4を設けたものである。導体パターン4は、互いに絶縁された導体からなる単位セルを伝送方向に周期的に配列したものである。




【非特許文献1】D. R. Smith, W. J. Padilla, D. C. Vier, S. C. Nemat-Nasser, and S. Schultz,“Composite medium with simultaneously negative permeability and permittivity”, Phys. Rev. Lett., vol.84, no.18, pp.4184-4187, May 2000

【非特許文献2】C. Caloz, and T. Itoh,“Application of the transmission line theory of left-handed(LH) materials to the realization of a microstrip LH line”, IEEE-APS Int'l Symp. Digest, vol.2, pp.412-415, June 2002

【非特許文献3】Atsushi Sanada, Chritophe Caloz and Tatsuo Itoh,“Characteristics of the Composite Right/Left-Handed Transmission Lines”, IEEE Microwave and Wireless Component Letters, Vol.14, No.2, pp.68-70, February 2004

産業上の利用分野


本発明は、誘電体に液晶等に代表される誘電率可変材料を用い、メタマテリアルとして構成されたストリップ線路型の右手/左手系複合線路または左手系線路とそれらを用いたアンテナに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】 一部あるいは全部を誘電率可変材料とした誘電体からなる平板状の基板(11)と、
前記基板(11)の中間面に配置され、一定方向に周期的に配置された複数の導体パターン(4)と、
前記基板(11)の表面および裏面に配置された接地導体(2,3)とを有し、
前記導体パターン(4)は、他の導体パターン(4)および前記接地導体(2,3)とは直流的に絶縁されて設けられたものであり、
電磁波を右手系領域および左手系領域で伝搬可能なストリップ線路型右手/左手系複合線路。
【請求項2】 請求項1に記載したストリップ線路型右手/左手系複合線路であって、
伝搬する電磁波の位相定数をβ、前記導体パターン(4)の配列周期寸法をa、円周率をπとしたときに、値βa/πが-1.0~1.0の範囲内になるようにしたストリップ線路型右手/左手系複合線路。
【請求項3】 一部あるいは全部を誘電率可変材料とした誘電体からなる平板状の基板(11)と、
前記基板(11)の中間面に配置され、一定方向に周期的に配置された複数の導体パターン(4)と、
前記基板(11)の表面および裏面に配置された接地導体(2,3)とを有し、
前記導体パターン(4)は、他の導体パターン(4)および前記接地導体(2,3)とは直流的に絶縁されて設けられたものであり、
電磁波を左手系領域で伝搬可能なストリップ線路型左手系線路。
【請求項4】 請求項3に記載したストリップ線路型左手系線路であって、
伝搬する電磁波の位相定数をβ、前記導体パターン(4)の配列周期寸法をa、円周率をπとしたときに、値βa/πが-1.0~0の範囲内になるようにしたストリップ線路型左手系線路。
【請求項5】 一部あるいは全部を誘電率可変材料とした誘電体からなる平板状の基板(11)と、
前記基板(11)の中間面に配置され、一定方向に周期的に配置された複数の導体パターン(4)と、
前記基板(11)の表面または裏面の一方に配置され、複数の開口(5)が設けられた開口付接地導体(2)と、
前記基板(11)の表面または裏面の他方に配置され、前記開口付接地導体(2)とは直流的に絶縁されて設けられた接地導体(3)と、
前記開口付接地導体(2)と前記接地導体(3)とに直流電圧を印加して前記誘電率可変材料の誘電率を変更制御する誘電率制御手段(7)とを有し、
前記導体パターン(4)は、他の導体パターン(4)、前記開口付接地導体(2)および前記接地導体(3)とは直流的に絶縁されて設けられたものであり、
前記基板(11)、前記導体パターン(4)、前記開口付接地導体(2)および前記接地導体(3)からなるストリップ線路型伝送路に電磁波を伝搬させ、前記誘電率制御手段(7)によって放射電磁波の方向を制御するようにしたストリップ線路型伝送路を用いたアンテナ。
【請求項6】 請求項5に記載したストリップ線路型伝送路を用いたアンテナであって、
伝搬する電磁波の位相定数をβ、前記導体パターン(4)の配列周期寸法をa、円周率をπとしたときに、値βa/πが-1.0~1.0の範囲内になるようにしたストリップ線路型伝送路を用いたアンテナ。
【請求項7】 請求項5に記載したストリップ線路型伝送路を用いたアンテナであって、
伝搬する電磁波の位相定数をβ、前記導体パターン(4)の配列周期寸法をa、円周率をπとしたときに、値βa/πが-1.0~0の範囲内になるようにしたストリップ線路型伝送路を用いたアンテナ。
【請求項8】 請求項5に記載したストリップ線路型伝送路を用いたアンテナであって、
前記ストリップ線路型伝送路に伝搬させる電磁波の周波数を一定として、前記誘電率制御手段(7)によって前記誘電率可変材料の誘電率を変更して放射電磁波の方向を制御するようにしたストリップ線路型伝送路を用いたアンテナ。
【請求項9】 請求項5に記載したストリップ線路型伝送路を用いたアンテナであって、
前記ストリップ線路型伝送路に伝搬させる電磁波の周波数を変更するとともに、前記誘電率制御手段(7)によって前記誘電率可変材料の誘電率を変更して放射電磁波の方向を制御するようにしたストリップ線路型伝送路を用いたアンテナ。
【請求項10】 請求項5~9のいずれか1項に記載したストリップ線路型伝送路を用いたアンテナであって、
それぞれの前記開口(5)からの電磁波放射量を調整するために、前記開口(5)の面積をそれぞれ異なるものとしたストリップ線路型伝送路を用いたアンテナ。
【請求項11】 請求項10に記載したストリップ線路型伝送路を用いたアンテナであって、
それぞれの前記開口(5)からの電磁波放射量をほぼ一定とするように、前記開口(5)の面積を電磁波入力端子(6)に近いものほど小さく遠いものほど大きく設定したストリップ線路型伝送路を用いたアンテナ。
【請求項12】 請求項11に記載したストリップ線路型伝送路を用いたアンテナであって、
前記開口(5)はスロット形状であるストリップ線路型伝送路を用いたアンテナ。
【請求項13】 請求項12に記載したストリップ線路型伝送路を用いたアンテナであって、
前記開口(5)の長さ寸法と幅寸法の一方または両方を順次変更して、前記開口(5)の面積をそれぞれ異なるものとしたストリップ線路型伝送路を用いたアンテナ。
産業区分
  • 伝送回路空中線
  • 工業用ロボット
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 権利存続中
山口TLOは平成11年11月に山口大学の教官50名の出資により設立された、リエゾン一体型のTLO活動会社です。山口大学を主とし、山口県内の大学・高専の研究成果をご紹介致します。特許の内容に興味を持たれた方は、下記までご連絡ください。


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