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デノボ癌を自然発症するモデル動物及びその用途

国内特許コード P130010114
整理番号 NU-0514
掲載日 2013年12月2日
出願番号 特願2009-199142
公開番号 特開2011-050250
登録番号 特許第5481619号
出願日 平成21年8月31日(2009.8.31)
公開日 平成23年3月17日(2011.3.17)
登録日 平成26年2月28日(2014.2.28)
発明者
  • 加藤 昌志
  • 熊坂 真由子
出願人
  • 国立大学法人名古屋大学
発明の名称 デノボ癌を自然発症するモデル動物及びその用途
発明の概要 【課題】デノボ癌を自然発症するモデル動物を提供することを課題とする。
【解決手段】活性化RET遺伝子がヘテロ型に遺伝子導入されているとともに、エンドセリンレセプターB遺伝子がヘテロ型に欠損しており、デノボメラノーマを自然発症する齧歯類遺伝子改変動物が提供される。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要



大腸癌、グリオブラストーマ(神経膠芽腫)及びメラノーマ(悪性黒色腫)等において多段階発癌タイプとデノボ癌タイプが存在することが知られている多段階発癌タイプの癌は良性腫瘍と前癌腫瘍を経て多段階に発癌が進む癌である。一方、デノボ癌タイプでは良性腫瘍や前癌腫瘍を経ず、正常細胞が突然悪性化すると考えられている(非特許文献1)。





大腸癌においては2つの発癌説が報告されている。すなわち、アデノーマを経て大腸癌が発症するタイプ(アデノーマ、カルシノーマ シークエンス)と、突然大腸癌が生じるデノボタイプである(非特許文献2、3)。多段階発癌タイプの大腸癌では、APC (adenomatous polyposis coli)とp53の不活性化や、K-ras遺伝子の変異が報告されている。一方デノボ癌タイプの大腸癌はDNA複製エラーによって生じると考えられている。脳腫瘍の中で最も悪性度の高いグリオブラストーマ(非特許文献3)は、アストロサイトーマ(星細胞膠腫)という形態を経て悪性腫瘍に転化し、P53の変異とPDGF/PDGFαシグナリングの増強が同時に生じていることが報告されている(非特許文献4)。一方、デノボタイプのグリオブラストーマは、EGFR遺伝子変異によるEGFRの活性化によって生じると考えられている。メラノーマにおいては、デノボ癌タイプのメラノーマ(以下、「デノボメラノーマ」とも呼ぶ)と多段階発癌タイプである母斑関連メラノーマ(以下、「多段階発癌メラノーマ」とも呼ぶ)の発症の分子メカニズムの相違点、類似点について不明な点が多い(非特許文献1)。





メラノーマの占める割合は皮膚癌の5%程度でしかないが、転移性が高く、皮膚癌の死者数の80%をも占める点でメラノーマは皮膚癌の中でも最も悪性度の高い癌の一つである(非特許文献5)。メラノーマ患者の予後は、多くの薬剤や治療法が開発されているにも関わらず、5年生存率も今なお20%を下回っている。その理由の一つは、メラノーマの大部分が、発症機序の不明なデノボ癌だからである。組織病理学的解析から、メラノーマの一部は、正常メラノサイトから良性腫瘍(母斑)が生じ、それが段階を踏んで悪性化したものであり、それ以外は、正常細胞が良性腫瘍を経ず突然悪性化したデノボ癌であることが報告されているが、発症の分子メカニズムの違いについては不明である。ヒトのメラノーマのうちの大多数(75~80%)はデノボメラノーマであり、残りの20~25%が母斑から生じた多段階発癌メラノーマであることが報告されている(非特許文献6、7)。デノボメラノーマの発症時期は多段階発癌メラノーマよりも遅いが、転移性が高いため、患者の予後は非常に悪い。このようなヒトメラノーマの現状から、これらの2つのメラノーマのタイプに相当するメラノーマモデルマウスの樹立とカテゴリー化を行うことは、それぞれのタイプのメラノーマ発症の分子メカニズムの違いを理解する上で非常に重要である。





エンドセリンレセプターB(Ednrb)は、Gタンパク質結合受容体ファミリーに属し、リガンドであるエンドセリンが結合することで様々な作用を及ぼす(非特許文献8~10)。メラノサイトの発生においては、EdnrBシグナリングは、その生存と増殖を促進するため、Ednrb遺伝子が欠損するとメラノサイトが大幅に欠損し、白斑が生じる(非特許文献10)。一方、メラノーマ形成におけるEdnrbシグナリングの作用については、多くの矛盾した報告、すなわちメラノーマにおいてEDNRB発現量が増加しているという報告(非特許文献11、12)と、減少しているという報告(非特許文献13)の両方が存在する。また、最近の研究で、EDNRBの機能が低下した場合、メラノーマのリスクが増加することが報告されている(非特許文献14)。逆にEDNRBのリガンドであるエンドセリン-1(ET-1)やエンドセリン-3(ET-3)は、メラノーマの浸潤能を促進し、EDNRBの拮抗剤を与えることでメラノーマ細胞の増殖を抑制し、細胞死を引き起こすという報告もある。これらの報告から、EdnrBシグナリングのメラノーマ発症における機能は未だ明らかではないと言える。

産業上の利用分野



本発明は遺伝子改変動物に関する。詳しくは、デノボ癌を自然発症する齧歯類遺伝子改変動物及びその用途(デノボ癌の予防・治療に有効な薬剤のスクリーニング法など)に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
活性化RET遺伝子がヘテロ型に遺伝子導入されているとともに、エンドセリンレセプターB遺伝子がヘテロ型に欠損しており、デノボメラノーマを自然発症する齧歯類遺伝子改変動物。

【請求項2】
活性化RET遺伝子が、c-RET遺伝子とRFP遺伝子のハイブリットによって生じた癌遺伝子RFP-RET遺伝子である、請求項1に記載の遺伝子改変動物。

【請求項3】
活性化RET遺伝子がメタロチオネインIプロモーターに連結している、請求項1又は2に記載の遺伝子改変動物。

【請求項4】
齧歯類がマウスである、請求項1~3のいずれか一項に記載の遺伝子改変動物。

【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の遺伝子改変動物を用いることを特徴とする、デノボ癌の予防又は治療に有効な物質のスクリーニング法。

【請求項6】
以下のステップ(1)及び(2)を含んでなる、請求項5に記載のスクリーニング法:
(1)請求項1~4のいずれか一項に記載の遺伝子改変動物に被験物質を取り込ませるステップ;
(2)前記遺伝子改変動物が発症するデノボメラノーマに対して被験物質が予防又は治療効果を示すか否かを評価し、評価結果に基づき被験物質の有効性を判定するステップ。

【請求項7】
ステップ(2)における評価が、腫瘍の発生の有無、腫瘍が発生するまでの時間、生じる腫瘍の数、腫瘍の数の増減、生じる腫瘍の大きさ、腫瘍の大きさの増減、腫瘍の悪性度、腫瘍の悪性度の変化、体重の増減、既知の腫瘍マーカーの発現や活性の増減、既知のメラノーマ関連分子の発現量や活性の増減、寿命の長短、転移の有無、転移臓器の分布や割合、腫瘍の浸潤度からなる群より選択される一以上の項目についての評価である、請求項6に記載のスクリーニング法。

【請求項8】
腫瘍の形成を認めた後にステップ(1)を実施し、
ステップ(2)における評価が、腫瘍の数の増減、腫瘍の大きさの増減、腫瘍の悪性度の変化、腫瘍の悪性度の変化、体重の増減、既知の腫瘍マーカーの発現や活性の増減、既知のメラノーマ関連分子の発現量や活性の増減、寿命の長短、転移の有無、転移臓器の分布や割合、腫瘍の浸潤度 からなる群より選択される一以上の項目についての評価である、請求項6に記載のスクリーニング法。

【請求項9】
以下のステップを更に含む、請求項6~8のいずれか一項に記載のスクリーニング法:
(3)活性化RET遺伝子がヘテロ型に遺伝子導入されており、多段階発癌メラノーマを発症する齧歯類遺伝子改変動物に被験物質を取り込ませるステップ;
(4)前記遺伝子改変動物が発症する多段階発癌メラノーマに対して被験物質が予防又は治療効果を示すか否かを評価し、評価結果に基づき被験物質の有効性を判定するステップ;
(5)ステップ(2)の判定結果とステップ(4)の判定結果を総合し、デノボ癌又は多段階発癌の癌のいずれに対して被験物質が特異的であるか、或いは両方に有効であるかを判定するステップ。

【請求項10】
デノボ癌がデノボメラノーマである、請求項5~9のいずれか一項に記載のスクリーニング法。

【請求項11】
多段階発癌の癌が多段階発癌メラノーマである、請求項9に記載のスクリーニング法。

【請求項12】
請求項1~4のいずれか一項に記載の遺伝子改変動物が形成した腫瘍組織を試料として用いることを特徴とする、デノボ癌の発症又は進展機構の解析法。

【請求項13】
以下のステップ(1)及び(2)を含んでなる、請求項12に記載の解析法:
(1)請求項1~4のいずれか一項に記載の遺伝子改変動物が形成した腫瘍組織を採取するステップ;
(2)採取した腫瘍組織を試料として、遺伝子発現・活性解析、形態学的解析、生化学的解析、分子生物学的解析、細胞生物学的解析、生理学的解析、精神・神経学的解析からなる群より選択される一以上の解析を行うステップ。

【請求項14】
デノボ癌がデノボメラノーマである、請求項12又は13に記載の解析法。

【請求項15】
以下のステップを更に含む、請求項12~14のいずれか一項に記載の解析法:
(3)活性化RET遺伝子がヘテロ型に遺伝子導入されており、多段階発癌メラノーマを発症する齧歯類遺伝子改変動物が形成した腫瘍組織を採取するステップ;
(4)採取した腫瘍組織を試料として、遺伝子発現・活性解析、形態学的解析、生化学的解析、分子生物学的解析、細胞生物学的解析、生理学的解析、精神・神経学的解析からなる群より選択される一以上の解析を行うステップ;
(5)ステップ(2)の解析結果とステップ(4)の解析結果を比較するステップ。
国際特許分類(IPC)
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