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気液2相流パラメータ測定装置及びコンピュータプログラム

国内特許コード P130010153
整理番号 S2012-0719-N0
掲載日 2013年12月16日
出願番号 特願2012-111619
公開番号 特開2013-238490
登録番号 特許第5916509号
出願日 平成24年5月15日(2012.5.15)
公開日 平成25年11月28日(2013.11.28)
登録日 平成28年4月15日(2016.4.15)
発明者
  • 沈 秀中
出願人
  • 国立大学法人京都大学
発明の名称 気液2相流パラメータ測定装置及びコンピュータプログラム
発明の概要 【課題】フォープローブセンサを用い、気泡サイズがプローブのセンサ間距離と同程度でも、高精度で気液2相流のパラメータを計測可能にする。
【解決手段】フォーセンサプローブの第1センサ70は、第2、第3、及び第4のセンサとそれぞれ第1、第2、及び第3のセンサ対を形成する。計測装置は、第1~第4のセンサが出力するパルス系列に基づき、気液2相流中の気泡の界面の速度ベクトルを第1~第3のセンサ対について算出する手段と、算出された速度ベクトルに基づき、気泡90が球状か又はフォーセンサプローブのサイズより遥かに大きいと仮定して気泡90又はその両界面の3次元速度ベクトル∨b,hを推定する手段と、算出された気泡90の速度ベクトルに基づき、気泡90が球形と仮定して気泡90の直径を算出する気泡径算出手段と、気泡90の界面の速度ベクトルと気泡90の速度ベクトルとに基づき、平均界面積濃度を算出する手段とを含む。
【選択図】図5
従来技術、競合技術の概要


連続した液相(又は気相)内に気泡(又は液滴)が分散して混入している気液2相流は、軽水型動力炉をはじめとして蓄熱・冷凍・冷蔵システム、電子回路冷却システム、及び化学工業分野における気泡反応塔など、多種多様な工業装置に利用されており、それらの機器・システムの運転特性や効率、経済性・安全性に深く関わっている。気液2相流において最も重要なプロセスは界面の存在と変化とであり、界面の存在は運動量、熱及び質量の移動に大きな影響を与える。2相流系を記述し予測するためのモデルを開発するためには、2相流のパラメータを計測するための正確な計測技術を確立することが基本である。さらに、現在の熱流動シミュレーションコードの開発と検証では、気泡頻度(fb)、気泡速度(Vb)、気泡径(Db)、ボイド率(α)及び界面積濃度IAC(ai)等の2相流パラメータの詳細な局所的測定データを必要とする。侵襲的なマルチセンサプローブを用いることによって、2相流におけるこれらパラメータの計測が可能となる。



今日のところ、フォーセンサプローブは2相流の局所データを計測できる最良の方法の1つである。フォーセンサプローブの典型的な設計とそのセンサ先端の構成とを図1及び図2に示す。図1及び図2を参照して、フォーセンサプローブ50は、本体52と、センサ部56と、本体52にセンサ部56を固定するセンサ保持部54と、センサからの信号を出力する出力部58とを含む。センサ部56は、特に図2を参照して、1個の中央前部センサと3個の周辺後部センサとからなる。局所計測点は中央前部センサの先端位置である。近年気泡流の計測によく使われているフォーセンサプローブには2種類ある。光学型と導電型とである。光学プローブは気相と液相とをそれらの屈折率の差を利用して、導電型プローブは気相及び液相の電気伝導性の差を利用して気相と液相とを検出する。



変化中の界面特性を考慮して、フォーセンサプローブの計測理論を確立するために、以下の2つの基本的仮定を導入した。



(1)界面が連続した変形しない曲面であり、プローブの挿入により生じた界面の曲率変化が無視できる。



(2)界面又は気泡の速度ベクトルは、気泡がセンサに接触する過程においては一定である。



〈気泡頻度及びボイド率の既存の計測方法〉
フォーセンサプローブによって、気泡頻度とボイド率を計測することは容易である。すなわち、気泡頻度は、計測が行なわれる時間間隔に対する検知気泡数の比から得られる。ボイド率は、計測が行なわれる時間間隔に対するセンサが気相に滞留する時間の比から得られる。ボイド率計測のための理論的基礎は後の「2相流の幾何学的パラメータ」のセクションで議論する。通常、気泡頻度及びボイド率計測では、フォーセンサプローブの中央前部センサによって検知した気泡数と気体滞留時間とを用いる。



〈気泡速度及び気泡径の従来の計測方法〉
これまで、多次元気液2相流においてフォーセンサプローブを用いて局所瞬間3次元気泡速度ベクトル及び局所瞬間気泡径を計測する効果的かつ陽的方法はなかった。すなわち、これらを直接求めるための式は導出されていない。



気泡がフォーセンサプローブの軸方向に平行に、すなわち軸方向主流方向に流れると仮定すると、界面がフォーセンサプローブの3つのセンサ対の各々における2個のセンサ先端を通過する際の時間差に対する2個のセンサ先端の距離の比を用いて、1次元気液2相流における界面速度を近似できる。非特許文献1は、気泡がフォーセンサプローブよりかなり大きいと仮定して、気液2相流における界面法線方向の界面速度成分を計測するフォーセンサプローブの計測方法を提案しており、さらに非特許文献2は多次元気液2相流のためのファイブセンサプローブ又はシックスセンサプローブに含まれる3個のフォーセンサプローブの組の、界面速度及び気泡径計測理論を導出している。気泡が球状であると仮定して、非特許文献3は、特別に配置した直交するフォーセンサプローブを用いて、球状の形状を記述する方程式から気泡の速度と直径とを計算する陰解法を提案している。非特許文献4は、気泡の形状が楕円体であると仮定し、楕円体気泡のアスペクト比とその速度とを計測する複雑なモデルを提案している。この複雑なモデルは、条件付非線形最小自乗最適化を用いて数値的なアルゴリズムで解く必要がある。非特許文献3、4の研究はいずれも、気泡の速度及びサイズを計測する陽的な方法を提案できていない。このような従来の方法は、繰返し数値計算で実現しなければならず、その複雑さのために、これらの方法を実際的な計測に適用するには限界がある。



〈界面積濃度(IAC)の従来の計測方法〉
非特許文献5はフォーセンサプローブの局所時間平均IACの計測法を最初に提案した。今やこの従来のフォーセンサプローブの計測方法は界面積濃度の計測に広く適用されている。非特許文献1及び非特許文献6は、フォーセンサプローブの局所時間平均IACの計測を、正面から近づいてくる界面から後部から近づいてくる界面へと拡大することで改善し、フォーセンサプローブを用いた界面法線方向計測の基本原理を提案している。



局所時間平均界面積濃度計測のための従来のフォーセンサプローブ理論は、フォーセンサプローブが気泡に対し相対的にサイズが小さいという重要な仮定に基づいて導出された。この仮定は、プローブのサイズに比して気泡が極端に大きく、その界面は微分において局所正接面のように見える、というものである。この仮定を大気泡仮定と呼ぶことにする。この大気泡仮定はこの理論において支配的な役割を果たすため、フォーセンサプローブ理論をセンサプローブと同程度のサイズの気泡(すなわち小気泡)に適用すると、その計測精度は明らかに低下する。これに関連して、モンテカルロ数値シミュレーションにより、小気泡のフォーセンサプローブ計測の精度がより悪化すると結論づけた研究が存在する。大きなスラグ気泡と小気泡とが共に存在するスラグ流では、確固たる計測理論を欠き、小気泡の2相流パラメータ計測の欠点のために、従来のフォーセンサプローブ方法は計測に適さないと指摘した研究も存在する。プローブセンサエリアにおいて気泡界面が正接面のように平坦であるとする仮定は、非常に小さい気泡の場合には有効ではない、とする研究も存在する。



大気泡仮定を除いては、非特許文献7が、気泡を楕円体と仮定し、フォーセンサプローブの幾何学的サイズと気泡が4本のセンサを通過する時間とによって表される、楕円形状を記述する基本等式を数値的に解くことにより、界面積濃度IACを計測することを提案している。もっとも、非特許文献7に記載された方法は複雑で、現実的ではない。

産業上の利用分野


この発明は、気液2相流パラメータの計測技術に関し、特に、フォーセンサプローブを用い、気泡径がフォーセンサプローブのセンサ間の距離と同程度の場合も高精度で気泡径、気泡速度ベクトル及び界面積濃度等の気液2相流パラメータを計測する技術に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
気液2相流に配置されるフォーセンサプローブの出力に基づいて、気液2相流中の気泡に関するパラメータを計測する気液2相流パラメータ計測装置であって、
前記フォーセンサプローブは、第1、第2、第3及び第4のセンサを持ち、当該第1のセンサ~第4のセンサの各々は、気相と液相との界面を検出すると検出パルスを出力し、
前記第1のセンサと前記第2のセンサとは第1のセンサ対を形成し、前記第1のセンサと前記第3のセンサとは第2のセンサ対を形成し、前記第1のセンサと前記第4のセンサとは第3のセンサ対を形成し、
前記気液2相流パラメータ計測装置は、
所定の座標系を基準として、前記第1のセンサの先端から前記第2のセンサの先端までの位置ベクトル、前記第1のセンサの先端から前記第3のセンサの先端までの位置ベクトル、及び前記第1のセンサの先端から前記第4のセンサの先端までの位置ベクトルを記憶するための位置ベクトル記憶手段と、
前記第1、第2、第3及び第4のセンサの各々が出力するパルス系列に基づき、前記気液2相流中の気泡の界面の、前記第1のセンサ対、前記第2のセンサ対、及び前記第3のセンサ対間の速度ベクトルを算出する第1の算出手段と、
前記第1の算出手段により算出される界面の速度ベクトルに基づき、気泡が球状である又は気泡がフォーセンサプローブのサイズに対して遥かに大きいと仮定して前記気液2相流中の気泡又は界面の3次元速度ベクトルを推定する第2の算出手段とを含む、気液2相流パラメータ計測装置。

【請求項2】
前記第1の算出手段は、
気泡のうち、液相から気相への界面である第1番目の界面が、前記第1~第3のセンサ対の各々において、前記第1のセンサの先端から他のセンサの先端に到達するまでの経過時間を前記第1、第2、第3及び第4のセンサの各々が出力するパルス系列に基づいて算出する第1の時間算出手段と、
前記第1の時間算出手段により前記第1~第3のセンサ対の各々について算出された経過時間に対する、前記第1~第3のセンサ対の各々における前記第1のセンサの先端と他のセンサの先端との間の距離の比を算出することにより、前記第1番目の界面の速度ベクトルを算出する第1の速度ベクトル算出手段と、
気泡のうち、気相から液相への界面である第2番目の界面が、前記第1~第3のセンサ対の各々において、前記第1のセンサの先端から他のセンサの先端に到達するまでの経過時間を前記第1、第2、第3及び第4のセンサの各々が出力するパルス系列に基づいて算出する第2の時間算出手段と、
前記第2の時間算出手段により前記第1~第3のセンサ対の各々について算出された経過時間に対する、前記第1~第3のセンサ対の各々における前記第1のセンサの先端と他のセンサの先端との間の距離の比を算出することにより、前記第1~第3のセンサ対の各々に対する前記第2番目の界面の速度ベクトルを算出する第2の速度ベクトル算出手段とを含む、請求項1に記載の気液2相流パラメータ計測装置。

【請求項3】
前記第1の時間算出手段により、h番目の気泡に対して前記第1~第3のセンサ対の各々について算出された経過時間をδ0k,2h(ただしkは第1~第3のセンサ対を表し、k=1,2,3)、前記第2の時間算出手段によりh番目の気泡に対して前記第1~第3のセンサ対の各々について算出された経過時間をδ0k,2h+1(k=1,2,3)、前記第1~第3のセンサ対について前記位置ベクトル記憶手段に記憶された位置ベクトルをs0k(k=1,2,3)として、
前記第1の速度ベクトル算出手段は、以下の式(A1)により第1~第3のセンサ対についてh番目の気泡の1番目の界面の速度ベクトルVm0k,2h(k=1,2,3)を算出し、前記第2の速度ベクトル算出手段は、以下の式(A2)により第1~第3のセンサ対についてh番目の気泡の2番目の界面の速度ベクトルVm0k,2h+1(k=1,2,3)を算出する、
【数1】


請求項2に記載の気液2相流パラメータ計測装置。

【請求項4】
前記第2の算出手段は、気泡が球状であると仮定して以下の式(A3)及び式(A4)に従ってh番目の気泡の速度ベクトルVb,hを算出し、
【数2】


ただしcosηxv,h、cosηyv,h、及びcosηzv,hはそれぞれ、前記所定の座標系に関する、h番目の気泡の速度ベクトルVb,h方向の単位ベクトルであり、
【数3】


であり、cosηx0k,cosηy0k,及びcosηz0k(ただしk=1,2,3)はそれぞれ、前記所定の座標系に関し、前記第1~第3のセンサ対の位置ベクトルがx軸方向、y軸方向、及びz軸方向となす角の余弦であり、h番目の気泡の速度ベクトルVm0k,h(k=1,2,3)の大きさは前記h番目の気泡の1番目の界面の速度ベクトルVm0k,2h(k=1,2,3)の大きさと前記h番目の気泡の2番目の界面の速度ベクトルVm0k,2h+1(k=1,2,3)の大きさの調和平均である、請求項3に記載の気液2相流パラメータ計測装置。

【請求項5】
前記第2の算出手段は、気泡がフォーセンサプローブのサイズに対して遥かに大きいと仮定して以下の式(A5)及び式(A6)に従ってl番目の界面、すなわちh番目の気泡の1又は2番目の界面、の速度ベクトルVb,lを算出し、
【数4】


ただしcosηxi,l、cosηyi,l、及びcosηzi,lはそれぞれ、前記所定の座標系に関する、l番目の界面の速度ベクトルVb,l方向(すなわち界面法線方向)の単位ベクトルであり、
【数5】


である、請求項3に記載の気液2相流パラメータ計測装置。

【請求項6】
さらに、前記第2の算出手段により算出される気泡の速度ベクトルを用い、気泡が球形であると仮定して気泡の直径を算出するための気泡径算出手段を含む、請求項1~請求項5のいずれかに記載の気液2相流パラメータ計測装置。

【請求項7】
前記気泡径算出手段は、以下の式(A7)にしたがって気泡の直径Dを算出するための手段を含み、
【数6】


であり、
【数7】


である、請求項6に記載の気液2相流パラメータ計測装置。

【請求項8】
前記位置ベクトル記憶手段に記憶された位置ベクトルと、前記気泡速度ベクトルと、前記パルス系列と、測定対象の時間とに基づき、前記気液2相流における平均界面積濃度を算出する平均界面積濃度算出手段とをさらに含む、請求項1~請求項7のいずれかに記載の気液2相流パラメータ計測装置。

【請求項9】
前記平均界面積濃度算出手段は、以下の式(A8)により平均界面積濃度を算出し、
【数8】


ただしΩは全測定時間であり、Nは時間Ω中に観測された気泡の数である、請求項8に記載の気液2相流パラメータ計測装置。

【請求項10】
前記平均界面積濃度算出手段は、以下の式(A9)により平均界面積濃度を算出し、
【数9】


ただしΩは全測定時間であり、Nは時間Ω中に観測された気泡の数である、請求項8に記載の気液2相流パラメータ計測装置。

【請求項11】
さらに、気泡の形状に応じて前記平均界面積濃度に定数を乗じることにより前記平均界面積濃度を補正するための補正手段を含む、請求項9又は請求項10に記載の気液2相流パラメータ計測装置。

【請求項12】
前記補正手段により前記平均界面積濃度に乗じられる定数は、気泡の大部分が扁平な楕円球形状であれば1.095,半球状であれば1.191である、請求項11に記載の気液2相流パラメータ計測装置。

【請求項13】
気液2相流に配置されるフォーセンサプローブの出力に基づいて、気液2相流中の気泡に関するパラメータを計測するよう、前記フォーセンサプローブの出力を受けるコンピュータを動作させるコンピュータプログラムであって、
前記フォーセンサプローブは、第1、第2、第3及び第4のセンサを持ち、当該第1のセンサ~第4のセンサの各々は、気相と液相との界面を検出すると検出パルスを出力し、
前記第1のセンサと前記第2のセンサとは第1のセンサ対を形成し、前記第1のセンサと前記第3のセンサとは第2のセンサ対を形成し、前記第1のセンサと前記第4のセンサとは第3のセンサ対を形成し、
前記コンピュータプログラムは、前記コンピュータを、
所定の座標系を基準として、前記第1のセンサの先端から前記第2のセンサの先端までの位置ベクトル、前記第1のセンサの先端から前記第3のセンサの先端までの位置ベクトル、及び前記第1のセンサの先端から前記第4のセンサの先端までの位置ベクトルを記憶するための位置ベクトル記憶手段と、
前記第1、第2、第3及び第4のセンサの各々が出力するパルス系列に基づき、前記気液2相流中の気泡の界面の、前記第1のセンサ対、前記第2のセンサ対、及び前記第3のセンサ対間の速度ベクトルを算出する第1の算出手段と、
前記第1の算出手段により算出される界面の速度ベクトルに基づき、気泡が球状である又は気泡がフォーセンサプローブのサイズに対して遥かに大きいと仮定して前記気液2相流中の気泡又は界面の3次元速度ベクトルを推定する第2の算出手段と、
前記第2の算出手段により算出される気泡の速度ベクトルに基づき、気泡が球形であると仮定して気泡の直径を算出する気泡径算出手段と、
前記第1の算出手段により算出される界面の速度ベクトルと前記第2の算出手段により算出される気泡の速度ベクトルに基づき、平均界面積濃度を算出する平均界面積濃度算出手段として機能させる、コンピュータプログラム。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2012111619thum.jpg
出願権利状態 登録
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