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標的DNAの特異的増幅方法 新技術説明会

国内特許コード P130010165
整理番号 12030
掲載日 2013年12月18日
出願番号 特願2012-261404
公開番号 特開2014-103948
登録番号 特許第6112652号
出願日 平成24年11月29日(2012.11.29)
公開日 平成26年6月9日(2014.6.9)
登録日 平成29年3月24日(2017.3.24)
発明者
  • 岡村 好子
出願人
  • 国立大学法人広島大学
発明の名称 標的DNAの特異的増幅方法 新技術説明会
発明の概要 【課題】 本発明は、特異的に増幅させることを目的とするサンプル中の標的DNAが微量の長鎖DNAである場合や、用いるプライマーが高度の特異性を有する長鎖である場合であっても、複雑な工程を経ることなく、また、非特異的増幅産物を生じさせることなく、メタゲノム解析に耐える実用的な感度で、鎖置換型DNA合成酵素によって標的DNAを増幅させることを目的とする。
【解決手段】 本発明は、標的DNAを環状DNAとして含むサンプル、標的DNAに対する特異的なプライマー、および鎖置換型DNA合成酵素を用いて一本鎖DNAを合成する工程を含むことを特徴とする、サンプルに含まれる標的DNAの特異的増幅方法を提供する。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要



河川や土壌などの環境中には培養条件が不明な微生物が多数存在する。このような微生物は、解析対象とするDNAを十分に取得することができないため、遺伝子解析が十分に進んでいない。このような微生物の遺伝子を解析することによって、全く新規な有用遺伝子が見出されることが期待されている。





人為的培養ができない微生物の遺伝子解析の手法として、メタゲノム解析が知られている。メタゲノム解析は、環境中の微生物の集合体(微生物叢)から抽出した各種微生物ゲノムDNAの混合物を解析対象として用いる。メタゲノムに含まれる同一種由来のDNAのポピュレーションは極めて低いため、実際の解析では、抽出したDNA混合物をもとにランダムプライマーを用いて元の組成を維持しつつ増幅させた増幅産物を用いることがある。データベース上のデータに基づくバイオインフォマティクス解析等がこれらのゲノムDNAについて行われるため、得られる遺伝子情報はしばしば有用遺伝子の一部分となる。このような部分的な遺伝子配列情報から全体の遺伝子情報を得るためには、その部分配列を含むゲノムDNAを広範囲にわたって取得する必要がある。そのため、一部の配列情報をもとにして、その周辺領域を含む広範囲のゲノムDNAを特異的に増幅させる技術が求められている。





一部の既知配列からその周辺配列を特異的に増幅させる方法として、逆PCR法が知られている(非特許文献1など)。逆PCR法は、DNAサンプルを特定の制限酵素で断片化してDNA連結酵素によって自己環状化させた環状DNAをテンプレートとして用いて、環状DNAの一領域から外に向かって設計したプライマーによってPCR反応を行うことにより、環状化DNA全体を増幅させる技術である。





しかしながら、逆PCR法にはいくつかの問題がある。まず、逆PCR法では、通常のDNA合成酵素が用いられるが、通常のDNA合成酵素は、増幅できる鎖長がおおよそ10K残基以内であり、それより長い場合には増幅効率が著しく低いことが知られており、逆PCR法によって広範囲のゲノム領域を取得することは困難である。そこで、増幅に適した長さのテンプレートDNAを得るために、様々な制限酵素を用いたDNA断片化の条件検討が必要になる。また、PCR法によるDNA増幅は、鋳型となるDNA配列、特にGC残基の存在割合(GC%)に非常に大きな影響を受けるため、特定のDNA配列は増幅させることができない。さらに、エクステンションと呼ばれるDNA合成時間長は、テンプレートの環状DNA長に合わせて設定する必要があるため、長さが不明のDNAを増幅させる場合には、多数の合成時間長を検討しなければならない。このようなことから、通常のDNA合成酵素によるPCR法を用いずにゲノムDNAを広範囲にわたって特異的に増幅させる技術が求められている。





DNAを増幅させる酵素として、鎖置換型DNA合成酵素が知られている。鎖置換型DNA合成酵素は、鋳型となる二本鎖DNAの水素結合を自ら解離しつつ、新しいDNA鎖を合成する酵素である。鎖置換型DNA合成酵素は、室温などの等温条件下で増幅反応を行う。環状DNAをテンプレートとして鎖置換型DNA合成酵素を用いてDNA合成を行うと、合成酵素が複製起点に達しても鎖を剥がしながら合成を進めるため、結果的に、テンプレートDNAがタンデムに並んだ直鎖状のDNAが合成される。鎖置換型DNA合成酵素は、PCR法に用いられる通常のDNA合成酵素と異なり、変異の導入効率が低く、長鎖DNAの合成に適していることが知られている。





鎖置換型DNA合成酵素は、至適反応温度が低く、低反応温度では長いプライマーは増幅の鋳型として非特異的な増幅を引き起こすため、鎖置換型DNA合成酵素とともに用いることができるプライマーの長さには制限があると考えられている。また、鎖置換型DNA合成酵素には製造の過程で宿主DNAが不可避的に混入しており、これが増幅の鋳型となって特異的増幅の妨げになることが知られている。そのため、鎖置換型DNA合成酵素を用いて各種のDNA混合物から目的DNA配列を特異的に増幅させることは容易ではないと考えられている。





特許文献1は、特異的増幅のために鎖置換型DNA合成酵素を用いる技術として、特殊なアダプターと複数のプライマーとを用いる方法を開示する。しかしながら、長鎖DNAはアダプターとのライゲーション効率が低いため、この方法は、長鎖ゲノムDNAを増幅する目的には適さない。また、この方法は、増幅目的DNAに対する脱リン酸化処理や制限酵素処理などの煩雑な工程を行う必要があり、その際に目的DNAを失う可能性があるため、微量のDNAをテンプレートとするメタゲノム解析の用途には適さない。なお、この方法では、1つのDNA合成反応で二本鎖DNAが合成されており、一本鎖DNAを合成する工程は行われていない。





鎖置換型DNA合成酵素の他の用途として、標的領域の存否を検出する反応への用途が知られている(特許文献2、非特許文献2~3参照)。これらの方法では、特定のDNAが特異的に増幅されている。しかしながら、これらの方法は、極めて短鎖の非天然のプローブを特異的に増幅させており、サンプルに含まれる天然の微生物ゲノムDNA配列などの長鎖DNAを増幅させるものではない。また、鎖置換型DNA合成酵素は、至適反応温度が低いことを生かして、短鎖のランダムプライマーと組み合わせて用いて、各種DNA混合物をまんべんなく増幅させる目的にも用いられてきた(特許文献3~6、および非特許文献4~6参照)。これらの方法は、合成反応において複数のプライマーを用いるなど、特異性の低い増幅を行うことを目的としており、特定のプライマーによって合成されたDNAが再びプライマーとアニーリングして二本鎖DNAが合成されるため、その合成反応は、一本鎖DNAを合成する工程を行っていない。

産業上の利用分野



本発明は、サンプルに含まれる標的DNAの特異的増幅方法、標的DNAの特異的増幅方法のためのキット、および標的DNAの検出方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
標的DNAを含む環状DNA1種類の、標的DNAに対する特異的なプライマーを結合させ次いで、鎖置換型DNA合成酵素を用いて一本鎖DNAを合成する工程を含むことを特徴とする、サンプルに含まれる標的DNAの特異的増幅方法。

【請求項2】
合成された一本鎖DNAの相補鎖を合成して二本鎖DNAを合成する工程を含む、請求項1に記載の方法。

【請求項3】
一本鎖DNAを合成する工程の前に、DNA結合酵素を用いて標的DNAを含む環状DNAを合成する工程を含む、請求項1または2に記載の方法。

【請求項4】
標的DNAに対する特異的なプライマーが非DNA核酸プライマーである、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。

【請求項5】
非DNA核酸プライマーがRNAプライマーである、請求項4に記載の方法。

【請求項6】
鎖置換型DNA合成酵素、鎖置換型DNA合成反応用緩衝液、およびデオキシリボヌクレオチドを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法を行うためのキット。

【請求項7】
非DNA核酸プライマーを含む、請求項6に記載のキット。

【請求項8】
請求項1~5のいずれか1項に記載の方法によって合成された核酸を検出することを含む、標的DNAの検出方法。

【請求項9】
標識ヌクレオチドアナログを用いて請求項1~5のいずれか1項に記載の方法を行うことを特徴とする、標識DNAの製造方法。

【請求項10】
標識ヌクレオチドアナログ、DNA結合酵素、鎖置換型DNA合成酵素、鎖置換型DNA合成反応用緩衝液、およびデオキシリボヌクレオチドを含む、請求項9に記載の方法を行うためのキット。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録


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