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非線形の自己回帰モデルによる船舶の航路保持方法

国内特許コード P140010228
整理番号 S2012-0415-N0
掲載日 2014年1月27日
出願番号 特願2012-141693
公開番号 特開2014-004911
出願日 平成24年6月25日(2012.6.25)
公開日 平成26年1月16日(2014.1.16)
発明者
  • 大津 皓平
  • 彭 輝
  • 北川 源四郎
  • 呉 軍
出願人
  • 国立大学法人東京海洋大学
発明の名称 非線形の自己回帰モデルによる船舶の航路保持方法
発明の概要 【課題】船舶の海上における時系列データから前記船舶の動きを表現する動径基底関数を非線形の自己回帰モデルによる船舶の航路保持方法を提供する。
【解決手段】非線形の自己回帰モデルによる船舶1の航路保持方法において、船舶の海上における時系列データから前記船舶の動きを表現する動径基底関数を非線形の自己回帰モデルの回帰係数としてもつ統計モデルを作成し、最適制御理論により前記船舶の希望航路との航路偏差Ψを最小化する最適な指令舵角を得て、この指令舵角による前記船舶の制御により、前記航路偏差Ψがより少なくなるように前記船舶の位置制御を行う。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要



船の古典的なオートパイロットの基本的な役割は、船首方位角のみを希望する針路角に保持する機能であった。しかしながら、今日では、GPSナビゲーション装置から得られる位置フィードバック信号を用いることによって、船舶の誘導システムであるトラッキング制御システムの開発が可能となり、船舶を希望する航路に追従させることを可能にした。最も簡単な方法は、希望する航路を保持すように、船舶の針路を変化させることである。多くの市販のトラッキングシステムは原理的にこのタイプの制御(下記非特許文献1参照)を行っている。しかしながら、それは操舵動作を直接考慮するものではない。それゆえ、操舵動作は多くの場合、無駄に大きな角度をとる。





船舶の運航者にとっての最近の重要な関心事は、できるだけ燃料を節約することにある。その実現のため、トラッキング制御は、風や波や流れによる船舶の舵を取ることによる抵抗を考慮したものでなければならない。その上で、ウェザールーティング技術を用いて、最適ルートを決める。このようにして、実際のナビゲーションにおいては、船は有効な操舵制御により、できるだけ正確に選択されたこの最適ルートを追従する必要がある。これは船舶トラッキングシステムの重要な役割である。Holzhuter(uはウムラウト付き)(下記非特許文献2参照)は、船舶の高精度トラッキング制御のための線形二次方程式のガウス近似(approach)(LQC)を提案した。そこでは、評価関数の中に操舵動作に適宜のペナルティーを課すことによって無駄な操舵動作を避けることができる。しかしながら、この論文の船舶モデルでは、厄介な水槽試験で流体力学的パラメータを含むモデルを同定しなければならない。Kvamら(下記非特許文献3参照)とFukudaら(下記非特許文献4参照)は、BrysonとHoの時間変化制御理論に基づき、このタイプのトラッキング制御を提案している。しかし、これらの制御は操舵動作によって導かれる横揺れ(ローリング)動作を考慮していないし、曲線ルートをトラッキングする一般的な方法を示していない。





船舶の流体力学的モデルを基にした船舶トラッキング制御については、非常に良いトラッキング制御性能を示すいくつかの研究がある。Pettersen&Nijimeijer(下記非特許文献5参照)とLefeberら(下記非特許文献6参照)は、前後方向制御力と船首揺れ制御モーメントのみを持つ海底探査潜水艇に対する完全な状態トラッキング問題を研究した。船舶動力学はいくつかの仮定を基に簡略化された流体力学的モデルによって表現されている。同じ流体力学的モデルを用いて、Jiang(下記非特許文献7参照)は、Lyapunovの直接法の助けをかりて2つの系統的トラッキング制御装置を設計した。さらに、それは、測定できない推進装置特性に対してトラッキング制御装置にうまく合わせる機能を持っている。Do&Pan(下記非特許文献8参照)は、強制的に海底探査潜水艇の位置と方向が広域的に参照航路をトラッキングするような制御装置を設計する方法論を提案し、そこでは、トラッキング制御のための船舶動作モデル、単純化した流体力学的モデルが用いられた。ただし、これらのモデルは生成された参照航路が船舶の動特性によって変動を持つことを考慮していない。Moreiraら(下記非特許文献9参照)は、経路追随制御を達成するために、PID船首方位制御装置と速度制御装置を設計した。誘導システムは、見透し線アルゴリズムに基づくウェイポイント誘導スキームを用いて設計された。タンカー船エッソ・オオサカの流体力学モデルに基づくシミュレーション結果が得られている。Doら(下記非特許文献10参照)は、いくつかの仮定の下に、海底探査潜水艇の安定性とトラッキングの問題とを同時に解決する普遍的な制御装置を提案した。Miyoshiら(下記非特許文献11参照)は、造船工学的経験式を用いてパラメータを容易に推測できる流体力学的モデルに基づくトラッキング制御の線形化最適制御装置を設計した。Du&Guo(下記非特許文献12参照)は、不確定非線形数学モデルを構築し、航路トラッキング制御に対する非線形最適化制御装置を設計した。適応型制御装置の実行可能性は2つの数値シミュレーション研究で例示された。





しかしながら、実際の船舶、特に大きな商業用海上輸送船について海上における流体力学的モデルの正確な要素を得ることは水槽試験を必要とし容易ではない。この困難を克服した、船舶の舵を取った時の船の運動に関する動力学モデルを得るために実際の船舶航行データを用いるシステム同定技術は、非常に魅力あるアプローチとなる。Ohtsuら(下記非特許文献13~15参照)は、海上での船舶の動作を記述する多変数自動操舵モデルを提案した。海上で同定されたモデルを使って、船舶の挙動が分析され最適化制御システムが船舶針路保持システムのために設計された。Parkら(下記非特許文献16参照)は、オンライン最小化AIC(赤池情報量規準;Akaike′s Information Criterion)を用い、横揺れ減少針路保持システムとノイズ適合化システムで設計された手順に基づいて、局所定常的プロセスに対する実用的なバッチ適応同定法を提案した。Iseki&Ohtsu(下記非特許文献17参照)は、船舶の動作と船舶装備の波高計を用いて波分布を推定する逆問題的手順を提案した。Odaら(下記非特許文献18参照)は、MARモデルに基づく方位維持のための最適化制御装置を設計した。そこでは、操舵動作からのたった1つの入力で、ヨー(船首揺れ)とロール(横揺れ)動作の2つの出力を制御し得る。このようにして船舶動作と航路保持制御を記述する統計学的モデル化方法は、実際の応用に効果的で実行可能であることが実証されてきた。この文献は、予め定められた参照航路に沿ったトラッキング制御を目的として船舶動力学を同定する1つの線形な統計学的モデル化方法を提案するものである。





作用点の時間変化とその動的挙動が各作用点で線形モデルによって表されうる滑らかな動きをも示す非線形、非定常的な、RBF-ARXモデル(Radial Basis Function network-style coefficients Auto Regresive model with eXogennous variable model)とそのパラメータ最適化法(下記非特許文献19~21参照)が、非線形性を持つ一般的なシステムを効率的に特性化するべく提案された。RBF-ARXモデルは、ガウスRBFニューラルネットワークと線形ARXモデル構造とを組み合わせた融合擬似線形時間変化モデルの一種である。オフライン同定されたRBF-ARXモデルに基づく非線形モデル予測制御(MPC)シミュレーションと実用との両者で研究(下記非特許文献20~22参照)され、提案の非線形MPC(NMPC)の満足のゆく非線形モデル化精度と有効性と実現性が確認された。さらに、オフライン同定されたRBF-ARXモデルに基づくNMPCのいくつかの安定条件が研究された(下記非特許文献22参照)。





さらに、本発明の先行特許文献としては、(1)予め設定された短区間毎に船体運動モデル及び制御ゲインを更新しつつ、短区間よりも短い制御周期毎に針路偏差を解消し得る命令舵角を求める自動操舵装置及び方法(特開2011-42284号公報(下記特許文献1参照)、(2)設定針路に対する方位角の針路偏差を被制御変数とし舵角を操作変数とする制御型自己回帰モデルを用いる自動操舵装置(特開2008-230484号公報(下記特許文献2参照)、(3)最適制御則に基づいて最適操舵量を算出する自動操舵装置(特開2003-104291号公報(下記特許文献3参照)、(4)評価関数を用いて舵角を決定する自動操舵装置(特開2008-137545号公報(下記特許文献4参照)、(5)予め得られた航走体の運動性能に基づいて針路偏差(被制御変数)に応じた舵角(操作変数)を出力する自己回帰モデルを用いた自動操舵装置において、所定の時間間隔で針路偏差の平均値を求め、当該平均値に基づいて設定針路を修正する設定針路を修正する設定針路修正部を備える自動操縦装置(特開2009-179263号公報(下記特許文献5参照)などが挙げられる。

産業上の利用分野



本発明は、非線形の自己回帰モデルによる船舶の航路保持方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
船舶の海上における時系列データから前記船舶の動きを表現する動径基底関数を非線形の自己回帰モデルの回帰係数としてもつ統計モデルを作成し、トラッキング制御成績を表す航路偏差量、船首角偏差量、舵角量、舵角変化量を評価する2次形式評価関数を最小化する最適な指令舵角を得て、前記船舶の希望航路との航路偏差を最小化する最適制御理論により、該指令舵角による前記船舶の制御により、最小の舵角と舵角変化量で前記航路偏差がより少なくなるように前記船舶の位置制御を行うことを特徴とする非線形の自己回帰モデルによる船舶の航路保持方法。

【請求項2】
請求項1記載の非線形の自己回帰モデルによる船舶の航路保持方法において、前記船舶の船首揺れ及び前記船舶の横揺れを考慮し、前記指令舵角に反映させることを特徴とする非線形の自己回帰モデルによる船舶の航路保持方法。

【請求項3】
請求項1記載の非線形の自己回帰モデルによる船舶の航路保持方法において、前記船舶の位置を得るために、前記船舶の船首の方位角、前記船舶の横揺れ角、前記船舶の舵角、前記船舶の速度のそれぞれの情報を前記船舶の船舶情報装置から取得することを特徴とする非線形の自己回帰モデルによる船舶の航路保持方法。

【請求項4】
請求項1、2又は3記載の非線形の自己回帰モデルによる船舶の航路保持方法において、前記船舶の実験データを用いて、前記船舶の舵角を変化させた場合の前記船舶の位置及び揺れを非線形の自己回帰モデルで表現した後、前記非線形の自己回帰モデルを状態表現モデルに変換し、トラッキング制御のための二次形式の評──数を作成し、前記船舶の位置を計測し、前記船舶の船首の方位角、前記船舶の横揺れ角、前記船舶の舵角、前記船舶の速度の情報を前記船舶の船舶情報装置から取得し、前記横揺れ角の変化により、前記状態表現モデルの変化を考慮した前記評価関数のもとで最適制御則を計算することを特徴とする非線形の自己回帰モデルによる船舶の航路保持方法。

【請求項5】
請求項4記載の非線形の自己回帰モデルによる船舶の航路保持方法において、(a)船舶の船首の方位角、前記船舶の横揺れ角、前記船舶の舵角、前記船舶の速度の情報を有し、(b)前記船舶のランダムな操舵信号による船首揺れ及び前記船舶の横揺れの信号を得て、(c)前記船舶の横揺れを統計的な前記船舶の動きを表現する動径基底関数を非線形の自己回帰モデルの回帰係数としてもつ操縦性能基本モデルを作成し、(d)船舶の希望航路と刻々と測位される前記船舶の位置との航路偏差Dyを検出し、(e)前記操縦性能に基づくモデルを線形トラッキングのための状態表現モデルに変換し、(f)前記船舶がトラッキングのための状態空間モデルによって移動することとして、適切な長さの将来の区間における各時刻予測平均モデルを作成し、(g)トラッキング運動の2次形式の評価関数を作成し、(h)前記操縦性能基本モデル及び最適制御則をコンピュータに実装し、統計的線形最適制御理論を用い、船首揺れ、希望する航路と船首方位との偏差信号、これまでの舵角、および操縦性能に及ぼす横揺れ角を基に次のステップに対する最適命令舵角信号を得て、前記船舶の最適制御を実行することを特徴とする非線形の自己回帰モデルによる船舶の航路保持方法。
国際特許分類(IPC)
画像

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JP2012141693thum.jpg
出願権利状態 公開


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