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導電性重合体及びその製造方法並びにそれを用いた有機太陽電池

国内特許コード P140010274
整理番号 198
掲載日 2014年2月19日
出願番号 特願2004-055245
公開番号 特開2004-277736
登録番号 特許第4270381号
出願日 平成16年2月27日(2004.2.27)
公開日 平成16年10月7日(2004.10.7)
登録日 平成21年3月6日(2009.3.6)
優先権データ
  • 特願2003-054336 (2003.2.28) JP
発明者
  • 村田 靖次郎
  • 小松 紘一
  • 山崎 鉄也
  • 藤田 静雄
出願人
  • 国立大学法人京都大学
  • 日本電信電話株式会社
  • パイオニア株式会社
発明の名称 導電性重合体及びその製造方法並びにそれを用いた有機太陽電池
発明の概要 【課題】 導電性や電荷分離能を向上させ、機械的強度や耐光性に富んだ導電性樹脂を得ることを目的とし、このように特性の優れた導電性樹脂を使用して電子特性に優れた有機太陽電池を得る。
【解決手段】 チオフェン環が連結してなる高分子であって、フラーレン骨格にシアノ基もしくはメチル基を連結したシアノ化フラーレン基もしくはメチル化フラーレン基を側鎖に連結してなる導電性重合体とした。チオフェン環は重合度が2から5のオリゴマーであっても良い。チオフェン環オリゴマーの1付加体で良い。
このような導電性重合体と電子供与体層とのヘテロ接合させたものを、透明電極と対向電極で挟んで有機太陽電池とする。
【選択図】 なし

従来技術、競合技術の概要



近年、地球温暖化が懸念されるようになり、従来の化石燃料によるエネルギーに代わって自然エネルギーの重要性が認識されるようになってきた。有力な自然エネルギーの一つとして太陽光発電の研究が盛んに行われている。

従来より、太陽光発電装置として光変換素子を使用した太陽電池が知られている。現在実用化されている太陽電池の例では、シリコンの単結晶体、多結晶体、アモルファス状物質を用いた光電変換素子が用いられている。

しかし、これら従来の光電変換素子においては高純度シリコンを原料としており、その製造工程が複雑でコストが非常に高くなり、また素子の大面積化はその製造法から困難である等の難点が存在する。





一方、有機系物質を用いた光電変換素子も提案されているが、有機系物質を用いた光電変換素子は製造が容易で経済性にも優れている反面、シリコン等の無機系物質と異なり、光誘起により生成する電子-正孔対の解離確率は低く、キャリア数が低い。また、電気伝導性が低いためにキャリアを効率的に取り出すことが困難である等の難点を持っている。 有機系物質として導電性ポリマーを用いた従来の光電変換素子においては、アクセプターとしてヨウ素(I)をチオフェン環ポリマーに分散させる等の手法を用いているが、ヨウ素を均一に分散させねばならず、ヨウ素は昇華性があるため、均一に分散させることが困難である。また、ヨウ素に濃度むらなどが生じると導電性が不安定となる等の欠点があった。また、導電性ポリマーとした後でもヨウ素の昇華性のために導電性が変化するという欠点もあった。





ところで、最近グラファイトのアーク放電やカーボンブラックの高周波プラズマ処理等によって閉殻構造を持った炭素クラスター(C60、C70、C84)等のフラーレン類が生成され、これらの特異な構造に由来する物性が明かにされつつある。光変換素子の素材としても、シリコン以外にこれら炭素化合物の一つであるフラーレンが注目されるようになってきた。





フラーレンはダイヤモンドや黒鉛と同様に炭素原子のみからなる一連の炭素化合物のことである。フラーレンは、60個以上の偶数個の炭素原子が球状に結合して分子集合体を構成した球状炭素Cn(n=60、70、76、78、80、82・・・など)である。中でも特に代表的なものは、炭素数が60のC60と70のC70である。このうちC60フラーレンは正二十面体の頂点を全て切り落として正五角形を出した切頭二十面体と呼ばれる多面体構造を有し、その60個の頂点が全て炭素原子で占められた言わばサッカーボール型の分子構造を有する。それに対して、C70はラグビーボール型の分子構造を有する。





60の結晶はC60分子が面心立方構造に配置され、バンドギャップが約1.6eVであって半導体とみなせる。純粋な状態では約1014Ω/cmの電気抵抗を有する。そして、500℃で約1Torrの蒸気圧があり、昇華によって薄膜を蒸着することができる。C60に限らずフラーレン分子は真空又は減圧下において容易に気化できることから、蒸着膜を形成し易い素材であると言える。





しかしながら、最も量産性に富むC60やC70等のフラーレン分子は双極子モーメントがゼロであることから、それから得られる蒸着膜は分子間にファン・デル・ワールス力しか働かず、強度的に脆弱である。そのため、この蒸着膜を空気中にさらすとフラーレン分子間の隙間に酸素や水分子等が拡散進入し易く、その結果構造的に劣化するだけでなくその電子物性に悪影響を及ぼすことがある。このようなフラーレン蒸着薄膜の脆弱さは、フラーレンを薄膜電子デバイスの製作に適用するときにデバイスの安定性の面で問題となる。さらにフラーレン分子間へ拡散進入した酸素分子により常磁性中心が発現するので、その薄膜特性の安定性の面からも問題があった。





このような問題点を克服するため、近年フラーレン分子同士を重合させる、いわゆるフラーレン重合体膜の製造方法が提唱されている。その代表例として光誘起によるフラーレン重合体の製膜方法を挙げることができる。この方法はあらかじめ製膜したフラーレン蒸着膜に対し、蒸着後に光照射を行うものであるが、重合時に生じる体積収縮のため膜の表面に無数のヒビがはいり易く、強度の面で問題がある。しかもこの方法では面積の広い均一な薄膜を成膜することは極めて困難である。その外にも、フラーレン分子に圧力や熱を加えるか、あるいはフラーレン分子同士を衝突させることによってフラーレン重合体膜を製膜できることが知られているが、これらの方法では製膜はできても薄膜を得ることは困難である。





これら従来法に代わるフラーレン重合法として注目されるのが、プラズマ重合法やマイクロ波重合法である。このような方法で得られるフラーレン重合体の膜は、フラーレン分子が電子励起状態を経て重合してできた薄膜であり、フラーレン蒸着薄膜に比較して強度が格段に増加し、緻密にしてかつ柔軟性に富む。そして真空中でも大気中でもその電子物性がほとんど変化しないことから、その緻密な薄膜構造が酸素分子等による膜内部への拡散進入を効果的に抑制しているのだと考えられる。事実、このような方法で薄膜を構成するフラーレンの多量体が生成されることは、レーザアブレーション法による飛行時間型質量分析によって知ることができる。





一方、フラーレンの特異な構造に起因する物性も明らかにされつつあり、その物性の一つとして導電性重合体とC60フラーレンの混合物に対し光を照射すると光照射下で導電性重合体からC60へ電子移動が起こることが見い出された。

例えば、MEH-PPV( ポリ[2-メトキシ、5-( 2’-エチル-ヘキシロキシ)-パラ-フェニレンビニレン] )や、ポリ(3-オクチルチオフェン)とC60の質量比1:1混合物に対する光誘起ESR測定の結果、g値がほぼ2と2よりも小さい2本のESRシグナルが観測されている。g値が2以下のシグナルはC60一価アニオンのシグナルであることが確認されており、このことから光照射下で導電性重合体からC60への電子移動が起きていることが示唆されている(例えば、非特許文献1参照。)。





このC60が持つ物性の応用として、光電変換素子の研究が行われている。例えば、ITO膜電極上にMEH-PPVをスピンコート法により厚さ100nmに製膜し、この上に厚さ100nmのC60層を真空蒸着により積層、さらにAuを真空蒸着により積層して光電変換素子を作成している。照射光源としてアルゴンイオンレーザーを用い、波長514.5nm、照射光強度約1mW/cm の光をITO膜電極側から照射し順方向バイアスとしてITO膜電極に正電位、C60層側に負電位を印加することにより短絡電流2.08μA/cm 、開放電圧0.44V、変換効率0.02%が得られている(例えば、非特許文献2参照。)。





これらの知見に基づきヘテロ接合型の有機太陽電池が提案されている。一例を挙げれば、電極補強材である透明導電性基材上に有機電子供与体とフラーレンを含有する層と、n型半導体層が接合されてなるヘテロ接合型太陽電池がある(例えば、特許文献1参照。)。この太陽電池においては、有機電子供与体として例えばポリチオフェンにアルキル基置換を施したポリ(3-アルキルチオフェン)、ポリパラフェニレンビニレンにアルコキシル基置換を施したポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチエニレンビニレンにアルコキシル基置換を施したポリパラチエニレンビニレン誘導体等の、トルエン等の有機溶媒に可溶な物質からなる導電性重合体や、テトラチアフルバレン(TTF)、テトラセレナテトラセン(TST)などの有機π共役分子錯体を形成する低分子量の有機電導体等が挙げられる。これら電子供与体とフラーレンを溶媒中に混合溶解したものをスピンコートした薄膜が使用されている。

また、n型半導体としては、ナトリウム等のドナーをドープしたポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体及びリン等をドープしたシリコン等を挙げることができる。





また、活性層としてMDMO-PPV( ポリ[2-メチル,5-(3,7 ジメチルオクチロキシ)]-パラ-フェニレン ビニレン)とPCBM( [6,6] -フェニルC61ブチル酸メチルエステル)との1:4(重量比)の混合液をスピンコートした膜を使用し、有機電子供与体としてはPEDOT(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン) - ポリ(スチレンスルフォネート) )を使用したヘテロ接合型太陽電池が報告されている(例えば、非特許文献3参照。)。

これらの太陽電池では、いずれも有機電子供与体とフラーレンを溶媒中に混合溶解させたものを、スピンコートした薄膜を使用している。

フラーレンを混合した導電性重合体等の有機電子供与体を電極に用いた場合、電子供与体層で形成されるバンド曲がりによる光誘起電子-ホール対の解離確率の増加に加えて、励起状態でフラーレンに電荷移動が起こることにより更にキャリア消失を抑制する、すなわちキャリア生成が増加するとされている。

【非特許文献1】

.Smilowitz ら著 「Physical Review B47」,13385 (1993)

【非特許文献2】

.S.Sariciftciら著 「Appl.Phys.Lett.」, Vol.62, No.6, p.585-p.587, 8 Feb.1993

【非特許文献3】

.E.Shaheenら著 「Appl.Phys.Lett.」, Vol.78, No.6, p.841-p.843, 5 Feb.2001

【特許文献1】

開平8-222281号公報 (第5頁、図4)

産業上の利用分野



本発明は、導電性重合体材料及びその製造方法、並びにそれを用いた有機太陽電池に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
チオフェン環が連結してなる高分子重合体であって、シアノ化フラーレン基を側鎖に連結してなることを特徴とする導電性重合体。

【請求項2】
チオフェン環が連結してなる高分子重合体であって、メチル化フラーレン基を側鎖に連結してなることを特徴とする導電性重合体。

【請求項3】
前記チオフェン環がチオフェンオリゴマーであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の導電性重合体。

【請求項4】
前記チオフェンオリゴマーの重合度が3であることを特徴とする請求項3に記載の導電性重合体。

【請求項5】
前記導電性重合体がチオフェンオリゴマーの1付加体であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の導電性重合体。

【請求項6】
チオフェン誘導体を2,3,5-トリブロモチオフェンとカップリングさせてブロモターチオフェン誘導体を合成する工程と、該ブロモターチオフェン誘導体にトリメチルシリルアセチレンをカップリングさせてアセチレン誘導体を合成する工程と、該アセチレン誘導体をテトラブチルアンモニウムフルオライドとブチルリチウムによりリチオ化する工程と、該リチオ化した誘導体をフラーレンを加えたオルトシクロベンゼン中に溶解させてフラーレンアニオンを形成する工程と、該フラーレンアニオンにトシルシアニドもしくはメチル基を反応させることにより、ターチオフェン‐フラーレン連結化合物からなる単量体を形成する工程と、該単量体を重合反応させて重合高分子を得る工程とを有することを特徴とする導電性重合体の製造方法。

【請求項7】
導電性重合体からなる電子供与体層と請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の導電性重合体からなる活性層が接合されてなることを特徴とする有機太陽電池。

【請求項8】
透明電極とその対向電極との間に導電性重合体からなる電子供与体層と請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の導電性重合体からなる活性層とが積層されてなることを特徴とする有機太陽電池。

【請求項9】
透明基板上に透明電極を介して導電性重合体からなる電子供与体層と請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の導電性重合体からなる活性層が接合されてなることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の有機太陽電池。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
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