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交互積層構造を有する高分子薄膜を用いた光電素子、及び太陽電池

国内特許コード P140010275
整理番号 211
掲載日 2014年2月19日
出願番号 特願2004-138189
公開番号 特開2004-356626
登録番号 特許第4643926号
出願日 平成16年5月7日(2004.5.7)
公開日 平成16年12月16日(2004.12.16)
登録日 平成22年12月10日(2010.12.10)
優先権データ
  • 特願2003-129380 (2003.5.7) JP
発明者
  • 伊藤 紳三郎
  • 大北 英生
出願人
  • 国立大学法人京都大学
  • 日本電信電話株式会社
発明の名称 交互積層構造を有する高分子薄膜を用いた光電素子、及び太陽電池
発明の概要 【課題】 煩雑な合成あるいは操作を必要とせずに、光吸収、電子輸送(電子受
容)、正孔輸送(電子供与)の一連のプロセスを行う分子システムを有機高分子
薄膜を用いて提供する。
【解決手段】 少なくとも一部に光増感基を導入したカチオン高分子及び/また
はアニオン高分子の交互吸着膜を少なくとも1組有する多層薄膜からなり、且つ
該交互吸着膜を含む多層薄膜の各層の最高被占電子準位、あるいは最低空電子準
位に勾配があることを特徴とする高分子薄膜、これを用いた光電素子、及び太陽
電池。
【選択図】 図2
従来技術、競合技術の概要


一般に基板上に薄膜を形成する方法としては、大別してドライ方式とウエット方式との2種類がある。前者の手法としては、真空蒸着、スパッタリング、分子線ビームエピタキシーなどの方法が代表的な手法として知られている。これらの成膜方法は、膜厚の制御性に優れているが、高温、高真空を必要とするため、有機材料の薄膜化には不適である。また、大面積にわたった成膜が困難であり、製造コストが高騰するといった問題点がある。これに対して、後者の手法としては、溶液キャスト法、スピンコート法、ラングミュアブロジェット法などが代表的な手法として知られている。これらはいずれも常温、常圧で行うプロセスであるが、溶液キャスト法やスピンコート法は膜厚の制御性に欠けるという問題がある。また、スピンコート法では大面積化も困難である。ラングミュアブロジェット法は、膜厚の制御性には優れているが、扱える物質が限定され、薄膜の強度に欠けるといった別な問題点がある。このように、既存の成膜法にはそれぞれ一長一短があり、膜の用途やコストなどを考慮しながら、適宜、成膜方法を使い分けている。



近年、正の荷電粒子を含む溶液と負の荷電粒子を含む溶液とを用意し、これらの溶液に基板を交互に浸漬させることにより、基板表面に正の荷電粒子に基づく層と負の荷電粒子に基づく層とを交互に形成してゆく交互吸着法(Layer-by-Layer Electrostatic Self-Assembly Process)が、1990年代初頭に提案された。交互吸着法は、水槽内に基板を浸漬させるウエット法の範疇に属する成膜方法であり、高温を用いないため、ドライ法に比べて有機材料の薄膜化に適している。また、ドライ法で必要とされる真空設備が不要である。したがって、大面積の膜を作製する場合にも、比較的低コストの設備で足りる。



1992年にDecherらが静電引力を利用した交互吸着法を発明した。この交互吸着法は、複合有機薄膜を作製するために交互吸着(Layer-by-Layer Electrostatic Self-Assembly)を利用することに着目した方法である。(下記非特許文献1)以来、合成高分子のみならず、生物材料、無機物質、金属粒子など様々な材料が積層薄膜となることが知られるようになった。



その後、色素を担持した高分子電解質の積層体層間での電子移動やエネルギー移動が(下記非特許文献2)、またITO電極上でのフラーレン積層膜の電子移動による酸化還元が報告されている(下記非特許文献3)。また、本発明者らも、電極上に積層したルテニウム錯体又はフェロセン基の酸化還元挙動を報告している。したがって交互吸着法を用いて高分子積層膜の中に光や電子機能基を単独成分として導入した積層体や2層に異なる機能基をもつ積層体を作るということは公知技術である。
このような交互吸着膜の作製方法についての詳細は、例えば、下記特許文献1などに開示されている。



一方、高効率の光電変換膜を有機系で実現するためには、光吸収、光誘起電子移動、電荷分離、電荷輸送の一連のプロセスを行う分子システムを作りあげる必要がある。このため、SAM法(Self Assembled Monolayer)やLB法を用いて、ナノメートルスケールの配置をもつ分子系が提案されてきた。しかしながら、各プロセスを受け持つ多種多様な機能団をその機能にしたがってナノスケールで配置するには、SAM法やLB法は余りにも煩雑な合成あるいは操作を必要とされるため、実用に至る系を実現することは困難であった。



【特許文献1】
国際公開公報WO00/13806号
【非特許文献1】
Decher.G, Hong.J.D. J.Schmit: Thin Solid Films, 210/211, p.831(1992)
【非特許文献2】
Mallouk: J.Am.Chem.Soc., 121, 3435(1999)
【非特許文献3】
Han, Langmuir, 16, 6777(2000)
【非特許文献4】
P. Bertrand, A. Jonas, A. Laschewsky, R. Legras, Macromol. Rapid Commun., 21, 319-348 (2000)
【非特許文献5】
堀江一之, 谷口彬雄, 光・電子機能有機材料ハンドブック, 朝倉出版(1995)

産業上の利用分野



本発明は、交互積層構造を有する高分子薄膜を用いた光電素子、及び太陽電池に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
薄膜層と、この薄膜層の両面に配置した第1の電極層および第2の電極層とを有する光電素子であって、
前記薄膜層は、
光エネルギを光吸収して活性化し、電子と正孔を発生する光増感基を有する光吸収層と、
子を供与すること、前記光吸収により前記光吸収層にて発生した正孔を前記第1の電極層に引き渡す第1電子供与性基を有する正孔輸送層と、
電子を受容することで、前記光吸収により前記光吸収層にて発生した電子を前記第2の電極層に引き渡す電子受容性基を有する電子輸送層と、を少なくとも含み、
前記正孔輸送層と前記光吸収層との界面には、電子を供与することで、前記光吸収により前記光吸収層にて発生した正孔を前記正孔輸送層に引き渡す、前記第1電子供与性基よりも電子供与性の高い第2電子供与性基を有する電子供与層が設けられ、
前記光吸収層は、
前記光増感基を導入されたカチオン高分子とアニオン高分子との交互吸着膜、または、前記光増感基を導入されたアニオン高分子とカチオン高分子との交互吸着膜で形成される
ことを特徴とする光電素子。

【請求項2】
薄膜層と、この薄膜層の両面に配置した第1の電極層および第2の電極層とを有する光電素子であって、
前記薄膜層は、
光エネルギを光吸収して活性化し、電子と正孔を発生する光増感基を有する光吸収層と、
子を供与すること、前記光吸収により前記光吸収層にて発生した正孔を前記第1の電極層に引き渡す第1電子供与性基を有する正孔輸送層と、を少なくとも含み、
前記正孔輸送層と前記光吸収層との界面には、電子を供与することで、前記光吸収により前記光吸収層にて発生した正孔を前記正孔輸送層に引き渡す、前記第1電子供与性基よりも電子供与性の高い第2電子供与性基を有する電子供与層が設けられ、
前記光吸収層は、
前記光増感基を導入されたカチオン高分子とアニオン高分子との交互吸着膜、または、前記光増感基を導入されたアニオン高分子とカチオン高分子との交互吸着膜で形成される
ことを特徴とする光電素子。

【請求項3】
請求項1に記載の光電素子において、
前記電子輸送層は、
前記電子受容性基を導入されたカチオン高分子とアニオン高分子との交互吸着膜、または、前記電子受容性基を導入されたアニオン高分子とカチオン高分子との交互吸着膜で形成される
ことを特徴とする光電素子。

【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の光電素子において、
前記正孔輸送層は、
前記第1電子供与性基を導入されたカチオン高分子とアニオン高分子との交互吸着膜、または、前記第1電子供与性基を導入されたアニオン高分子とカチオン高分子との交互吸着膜で形成される
ことを特徴とする光電素子。

【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の光電素子において、
前記電子供与層は、
前記第2電子供与性基を導入されたカチオン高分子とアニオン高分子との交互吸着膜、または、前記第2電子供与性基を導入されたアニオン高分子とカチオン高分子との交互吸着膜で形成される
ことを特徴とする光電素子。

【請求項6】
請求項1または請求項3に記載の光電素子において、
前記電子受容性基がフラーレン誘導体からなることを特徴とする光電素子。

【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の光電素子において、
前記光増感基がルテニウム錯体系化合物からなることを特徴とする光電素子。

【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の光電素子において、
前記第1電子供与性基がチオフェン系化合物からなり、前記第2電子供与性基がフェロセン系化合物からなることを特徴とする光電素子。

【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の光電素子において、
前記光吸収層は、膜厚が1nmから30nmであることを特徴とする光電素子。

【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の光電素子を用い、光エネルギを電気エネルギに変換し、電力として外部に取り出す機能を有することを特徴とする太陽電池。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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