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融合微生物、その融合微生物を用いた発酵産物の製造方法及びその発酵産物 コモンズ 新技術説明会

国内特許コード P140010284
整理番号 968
掲載日 2014年2月21日
出願番号 特願2013-000843
公開番号 特開2014-132835
出願日 平成25年1月8日(2013.1.8)
公開日 平成26年7月24日(2014.7.24)
発明者
  • 東 慶直
  • 波多野 裕美
出願人
  • 学校法人近畿大学
発明の名称 融合微生物、その融合微生物を用いた発酵産物の製造方法及びその発酵産物 コモンズ 新技術説明会
発明の概要 【課題】高糖濃度耐性を有さないまたは低いAcetobacter属の菌株に、高糖濃度耐性の形質を導入した融合微生物を提供することを目的とする。
【解決手段】Acetobacter属の菌株の菌とAcetobacter属の菌株よりも高い高糖濃度耐性を有するAcetobacteraceae科に属するAcetobacter属以外の属の菌株の菌とを融合させることにより形成され、高濃度の糖を含む培養液に対する耐性が融合前のAcetobacter属の菌株よりも高いことを特徴とする融合微生物を得る。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要



Acetobacteraceae科に属する細菌群には、様々なアルコール,糖,糖アルコールを酸に酸化する代謝能力を有する酢酸菌が存在し、このような酢酸発酵能を有する酢酸菌は世界中で食酢醸造に使用されている。酢酸発酵能を有する代表的な酢酸菌であるAcetobacter属の菌は自然界においては、エタノール発酵を行う酵母と共棲し、エタノールを酢酸等に代謝する。工業的には、Acetobacter属の菌は、エタノールを酢酸発酵させることによる酢酸の製造に広く用いられている。





酢酸発酵能を有する酢酸菌を用いた工業的な酢酸発酵は、温度,基質濃度,pHなどの発酵環境を制御しながら行われる。酢酸菌の発酵産物である酢酸等の生産性が優位になる発酵条件は、生育限界に近いことが多い。生育限界を超える環境によるストレスは、酢酸菌の発酵能力を低下させたり、酢酸菌を死滅させたりすることがある。従って、工業的な酢酸発酵においては、通常、酢酸菌の発酵能力と生育限界とのバランスを考慮しながら、安定的に生産できる培養条件を選択している。しかしながら、培養条件が生育限界に近い場合には、適切な培養環境を維持しようとしても、意図せずに環境が変化して生育限界を超えることがあり、このような場合には酢酸菌を死滅させてしまうこともあった。





酢酸発酵においては、正確な温度管理が重要であることが知られている。例えば、Acetobacter属の酢酸菌は、通常25~30℃程度の範囲に温度管理されて培養される。しかし、夏期には気温がしばしば30℃を超え、さらに発酵熱によっても温度が上昇するために、冷却しなければ、酢酸発酵が進むにつれて発酵槽が40~45℃以上となってしまうこともあった。温度が30℃を超えた場合には、通常、発酵能力が低下するとともに生育能力も低下する。





従来、Acetobacter属の酢酸菌に高温耐性の形質を獲得させる方法はいくつか提案されている。例えば、下記特許文献1は、Acetobacter属に属する実用酢酸菌から、温度耐性に関与する新規な遺伝子をクローニングし、該遺伝子を他の酢酸菌に導入してなる形質転換株を得ることにより、顕著に高温耐性の形質を付与できたことを開示する。しかしながら、クローニングした遺伝子を酢酸菌に導入するような遺伝子工学的手法によって得られた菌株を食品産業に用いる場合にはべクターの安全性等を充分に確認する必要があるために、実用化には手間がかかる。





また、下記特許文献2は、Acetobacter pasteurianus SKU 1108を段階的に培養温度を上昇させて繰り返し培養することにより、高温適応能力を付与されたAcetobacter pasteurianusの変異株を得る方法を開示する。





また、下記非特許文献1は、高温耐性は有するが酢酸発酵能が低い酢酸菌株であるAcetobacter acetiと、酢酸発酵能は高いが高温耐性が低い酢酸菌株であるAcetobacter xylinusとを融合させる方法により、高温耐性を有し且つ酢酸発酵能を示す菌株が得られたことを開示している。





ところで、特殊なストレス環境に存在する微生物は、そのストレスに対して高い抵抗性を示すことがある。例えば、下記非特許文献2に開示されているように、オーキッドフラワーから分離された病原性のない酢酸菌の一種であるTanticharoenia属(T.)の菌は、グルコース濃度30%の培養液中でも増殖する高糖濃度耐性を有することが知られている。しかし、Tanticharoenia属の菌はエタノール耐性も酢酸発酵能も低い。

産業上の利用分野



本発明は、融合微生物及びそれを用いた発酵産物の製造方法等に関する。詳しくは、Acetobacter(A.)属の菌株を用いて得られる、高糖濃度耐性を獲得させた融合微生物及びそれを用いた発酵産物の製造方法等に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
Acetobacter属の菌株の菌と前記Acetobacter属の菌株よりも高い高糖濃度耐性を有するAcetobacteraceae科に属するAcetobacter属以外の属の菌株の菌とを融合させることにより形成され、高糖濃度耐性が融合前の前記Acetobacter属の菌株よりも高いことを特徴とする融合微生物。

【請求項2】
前記Acetobacter属以外の属の菌株が、Tanticharoenia属,Asaia属,またはGluconacetobacter属の菌株である請求項1に記載の融合微生物。

【請求項3】
高温耐性及びエタノール耐性が融合前の前記Acetobacter属以外の属の菌株よりも高い請求項1または2に記載の融合微生物。

【請求項4】
前記高糖濃度耐性が、30質量%グルコース濃度を含む環境に対する耐性である請求項1~3の何れか1項に記載の融合微生物。

【請求項5】
前記Acetobacter属の菌株がAcetobacter pasteurianusである請求項1~4の何れか1項に記載の融合微生物。

【請求項6】
前記Acetobacter属以外の属の菌株がTanticharoenia sakaeratensisである請求項1~5の何れか1項に記載の融合微生物。

【請求項7】
酢酸発酵能を有する請求項1~6の何れか1項に記載の融合微生物。

【請求項8】
糖を含む発酵原料に、請求項1~7の何れか1項に記載の融合微生物を接種して発酵環境を形成する工程と、前記発酵環境で発酵を進行させる工程とを含むことを特徴とする発酵産物の製造方法。

【請求項9】
前記糖を含む発酵原料が20質量%以上のグルコースを含む請求項8に記載の発酵産物の製造方法。

【請求項10】
請求項1~7に記載の融合微生物を用いた発酵作用により産生されることを特徴とする発酵産物。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2013000843thum.jpg
出願権利状態 公開
参考情報 (研究プロジェクト等) 科学技術振興機構(JST) ALCA
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