TOP > 国内特許検索 > 放射性セシウム汚染スラリの除染方法

放射性セシウム汚染スラリの除染方法

国内特許コード P140010288
整理番号 3833
掲載日 2014年2月21日
出願番号 特願2013-093510
公開番号 特開2013-250261
出願日 平成25年4月26日(2013.4.26)
公開日 平成25年12月12日(2013.12.12)
優先権データ
  • 特願2012-105177 (2012.5.2) JP
発明者
  • 奈良崎 則雄
  • 日下 英史
出願人
  • 株式会社湘南数理研究会
  • 国立大学法人京都大学
発明の名称 放射性セシウム汚染スラリの除染方法
発明の概要 【課題】放射性セシウムで汚染されたスラリの、除染率が高く、装置の小型化、除染時間が短い、放射性廃棄物量が相対的に少ない除染方法を提供する。
【解決手段】放射性セシウムで汚染された汚染水(B1)及び微粒子(B2)のうちの少なくとも1種を含む放射性セシウム汚染スラリ(B)22と、添加剤(C)23として少なくとも捕集剤(C1)とを浮選機(FM)11に供給すると共に、浮選機(FM)の下部からマイクロバブル13を供給する一方、浮選機(FM)の上部から放射性セシウムが濃縮された浮上物(U)16を浮上回収し、浮選機(FM)の下部から除染されたアンダーフロー水(W1)15を回収する。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要



2011年3月11日に発生した福島原子力発電所における原子力発電装置の水素爆発、圧力容器のベントの開放により多量のセシウム137、ヨウ素131等の放射性物質が大気中に放出された後に拡散されて、雨水等により広域に土壌が汚染された。特に地表層が半減期30.2年の放射性セシウム137により汚染されている。この汚染によりこの地域の住民は長期間被爆するおそれがあり、放射性物質に汚染された土壌等の早期の徐染が望まれている。





放射性セシウム137は、ウラン235に熱中性子を照射したときに核分裂によって、生成し、その半減期は前記の通り30.2年と非常に長い。セシウムは、周期律表の1族に属するアルカリ金属元素Li、Na、K、Rb、Frの仲間で、1価の陽イオンとなり、反応性に富みハロゲン族元素や酸素と強く結合する。アルカリ金属元素の融点と沸点は相対的に低く、揮発性である。セシウムの融点は28.5℃で沸点は671℃である。放射性セシウムの同位体としてセシウム135も上記核分裂で生成されるが放射能レベルは低くあまり問題にはならない。

尚、ヨウ素131も上記核分裂によって生成するが、半減期は8.02日と短い(非特許文献1)。従って、放射性物質で汚染された汚染土からセシウム137を除去する必要性は高い。





セシウム137と、ヨウ素131等の放射性物質が大気中に放出されると、大気中に微小な粒子として、また空気中に浮遊しているエアロゾルに吸着して浮遊し、降雨時に地表に降りそそがれる。エアロゾルは生成過程の相違から粉じん、フューム、ミスト、ばいじんなど、また気象学的には視程や色の違いから霧、もや、煙霧、スモッグと呼ばれることもある。エアロゾルは大気中には極微量にしか存在しない(非特許文献2)。

放射性セシウム、又はエアロゾルに吸着された放射性セシウムは土壌表面に吸着され易く、揮発性の有機化合物、放射性のストロンチウム等と比較して、汚染は土壌深部には広がりにくいと考えられている。





第34回原子力委員会資料第1号(非特許文献3)の「水洗浄による放射性セシウム汚染土壌の除染方法について」において、(i)「土壌中のセシウム137の分布を粘土、シルト、砂に分けて調べた例では、半分以上のセシウム137が粘土画分に存在して、粘土等の強固な結合体を形成していた」こと、

及び、(ii)「放射性セシウムは、校庭、庭に降った放射性セシウムは表面の粘土に吸着されて、地表表面から約5mmの厚さ部分にほとんどの放射能が分布している。従って、校庭、庭に降った放射性セシウムは表面の汚染土を取り去ることにより、空間線量を減少させることができる。」ことが報告されている。

これらのことから、放射性セシウムで汚染された粘土の殆どは、比表面積の大きいミクロンもしくはサブミクロンサイズの微粒子粘土であると考えられる。





放射性セシウムで汚染されたスラリから汚染微粒子を分離する手法として、一般的には下記(i)沈殿法、(ii)遠心分離法、及び(iii)浮上分離法が知られている。

(i)沈殿法

放射性セシウム汚染スラリの微粒子の沈殿には長時間を要するために、通常は高分子凝集剤等を添加し微粒子を凝集し沈殿させる方法が採用されている。しかしながらこのような操作で得られる凝集沈殿物は80質量%以上の水分を含み脱水工程での操作性が困難である。また排水には高い濃度の凝集剤を含む場合そのまま河川に放流することはできない。

(ii)遠心分離法

放射性セシウム汚染スラリは粒径が1μm以下の微粒子も多く含みこれら微粒子を回収するには大きな遠心加速が必要で装置が大きくなりまた高速回転が要求されそのため高強度構造になる必要があり、装置の製作コストが高くなり実用性に欠ける。

(iii)浮上分離法

スラリに凝集剤を投与してフロックを生成させ固液分離を行う方法である。主に、有機物と油分分離に開発された方法であり、比重の小さい固液分離には効果的であるが、比重の大きい鉱物微粒子等の固液分離には有効でない。また、粒子径が50μm程度以下の微粒子の固液分離にも有効ではない。





特許文献1には、種々の汚染物質、例えば重金属、放射性物質及び有機物で汚染されている土壌のような粒状物を、溶脱、洗浄、磨砕(アトリッション)、向流方式により粒径の差に従って行う分離(サイズ差分離)及び密度の差による分離(密度差分離)を併用してクリーニングするための方法及び装置が開示されている。しかし、最終の汚染物質を溶液から分離するにあたり汚染物質がコロイド状である場合、濾過操作、造粒状の形成等に困難を伴い、経済性に欠けるという問題点がある。





特許文献2には、汚染土壌をふるい分け、これと液体でスラリを形成し、該スラリを洗浄して大径粒子の表面から微粒子を洗い落とし、向流状態の液体を利用してスラリ中の大径粒子から微粒子を分粒し、それにより微粒子を廃棄物の一部として液体に同伴させ、微粒子からデブリ(屑片)を除去して汚染微粒子流を生じさせ、密度分離器、常磁性分離器又はこれらの併用により、汚染微粒子流から金属、金属化合物及び/又は放射性汚染要因物を分離する方法が開示されているが、具体的な説明はなされていない。





前記福島原子力発電所の事故で汚染された土壌や建物の除染方法として磨砕水洗浄が実施されているといわれている。汚染土壌の表面層にはセシウム等の放射性物質が収着しており一般的は水洗ではセシウムを取り除くことはできない。また、汚染土の汚染方法として、一般的には磨砕(アトリッション)により汚染土を粗粒と細粒に解泥しサイクロンにより汚染のすくない粗粒(アンダーフロー)を覆土として高汚染の細粒(オーバーフロー)を回収除去する分級操作が行われている。しかし、オーバーフローのスラリ溶液から汚染固体微粒子(粒子径が1~20μm程度の微粒子が多く含まれる)を除去することは困難である。従って、これら放射性セシウム汚染スラリ溶液から放射性セシウム137で汚染された微粒子を、簡便な操作で、エネルギー消費の少ない除染装置により、高い除去率で除去する方法の開発が求められている。

産業上の利用分野


本発明は、放射性セシウムで汚染された汚染水及び微粒子のうちの少なくとも1種を含む放射性セシウム汚染スラリの除去方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
放射性セシウムで汚染された汚染水(B1)及び微粒子(B2)のうちの少なくとも1種を含む放射性セシウム汚染スラリ(B)と、添加剤(C)として少なくとも捕集剤(C1)とを浮選機(FM)に供給すると共に、浮選機(FM)の下部からマイクロバブルを供給する一方、浮選機(FM)の上部から放射性セシウムが濃縮された浮上物(U)を浮上回収し、浮選機(FM)の下部から除染されたアンダーフロー水(W1)を回収する、浮選工程(FP)を含むことを特徴とする、放射性セシウム汚染スラリの除染方法。

【請求項2】
前記添加剤(C)が、捕集剤(C1)と吸着材(C2)、捕集剤(C1)とpH調整剤(C3)、又は捕集剤(C1)と吸着材(C2)とpH調整剤(C3)からなることを特徴とする、請求項1に記載の放射性セシウム汚染スラリの除染方法。

【請求項3】
前記放射性セシウム汚染スラリ(B)と、添加剤(C)とを予め調合タンク(TN1)で攪拌、調合する調合工程(MP)で得られた調合液(ML)を、浮選工程(FP)の浮選機(FM)に連続的に供給することを特徴とする、請求項1又は2に記載の放射性セシウム汚染スラリの除染方法。

【請求項4】
前記浮選機(FM)の外形形状が円筒形状で、マイクロバブル供給位置から液面までの高さ(L)が少なくとも100cm以上で、高さ(L)と円筒部の内径(D)の比率(L/D)が4以上であることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の放射性セシウム汚染スラリの除染方法。

【請求項5】
前記捕集剤(C1)が
(i)炭素原子数6~20の高級アルキルアミンから製造されるアルキルアミン塩型カチオン界面活性剤、
(ii)炭素数6~18の第四級アルキルアンモニウム塩型カチオン界面活性剤、
(iii)炭素数6~20のアルキル硫酸エステルの塩、
(iv)炭素数6~20の脂肪酸アルカリ金属塩、及び/又はアルカリ土類金属塩、
(v)炭素数6~20のアルキルベンゼンスルホン酸塩、
(vi)炭素数6~20のアルキルスルホン酸塩、
(vii)炭素数8以上の高級アルコール、
(viii)エステル型非イオン界面活性剤、並びに
(ix)エーテル型非イオン界面活性剤から選択される1種又は2種以上である、ことを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の放射性セシウム汚染スラリの除染方法。

【請求項6】
前記浮選工程において、
(i)捕集剤(C1)が前記高級アルキルアミンから製造されるアルキルアミン塩型カチオン界面活性剤で、かつ浮選機(FL)内のスラリ水溶液のpHが2~12、
(ii)捕集剤(C1)が炭素数6~18の第四級アルキルアンモニウム塩型カチオン界面活性剤であり、かつ浮選機(FL)内のスラリ水溶液のpHが2~12、
(iii)捕集剤(C1)が炭素数6~20のアルキル硫酸エステルの塩であり、かつ浮選機(FL)内のスラリ水溶液のpHが2~8、
(iv)捕集剤(C1)が前記炭素原子数6~20の脂肪酸アルカリ金属塩であり、かつ浮選機(FL)内のスラリ水溶液のpHが4~12、
(v)捕集剤(C1)が前記炭素数6~20のアルキルベンゼンスルホン酸塩であり、かつ浮選機(FL)内のスラリ水溶液のpHが8以下、
(vi)捕集剤(C1)が炭素数6~20のアルキルスルホン酸塩であり、かつ浮選機(FL)内のスラリ水溶液のpHが8以下、
(vii)炭素数8以上の高級アルコールであり、かつ浮選機(FL)内のスラリ水溶液のpHが2~12、
(viii)エステル型非イオン界面活性剤であり、かつ浮選機(FL)内のスラリ水溶液のpHが2~12、又は
(ix)エーテル型非イオン界面活性剤であり、かつ浮選機(FL)内のスラリ水溶液のpHが2~12であることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の放射性セシウム汚染スラリの除染方法。

【請求項7】
前記浮選工程(FP)において、使用される吸着剤(C2)が平均粒子径0.1~35μmのゼオライト微粉末、ベントナイト微粉末、及びカオリン微粉末から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項2から6のいずれかに記載の放射性セシウム汚染スラリの除染方法。

【請求項8】
前記浮選工程(FP)において、使用される吸着剤(C2)がフェロシアン化鉄、フェロシアン化ニッケル、フェロシアン化銅等のフェロシアン化金属塩の1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項2から6のいずれかに記載の放射性セシウム汚染スラリの除染方法。

【請求項9】
前記浮選工程(FP)に供給するマイクロバブルの平均気泡径が10~50μmであることを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載の放射性セシウム汚染スラリの除染方法。

【請求項10】
浮選機(FL)に供給される、放射性セシウム汚染スラリ(B)中の微粒子量(G1)に対する、吸着材(C2)の量(G2)の質量比(G2/G1)が0.005~0.5であることを特徴とする、請求項2からの9のいずれかに記載の放射性セシウム汚染スラリの除染方法。

【請求項11】
前記浮選工程(FP)において、浮選機(FM)の上部から浮上物(U)を浮上回収した後、脱水ろ過器(FI)で脱水した固形物を低レベル放射性物質(R)として保管し、該脱水により生成したろ過水(W2)は、浮選工程(FP)、又は放射性汚染微粒子を磨砕及び/もしくは分級する前処理工程にリサイクルすることを特徴とする、請求項1から10のいずれかに記載の放射性セシウム汚染スラリの除染方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2013093510thum.jpg
出願権利状態 公開
ライセンスをご希望の方、特許の内容に興味を持たれた方は、下記までご連絡ください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close