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汚染土の除染方法

国内特許コード P140010293
整理番号 3600
掲載日 2014年2月21日
出願番号 特願2011-204449
公開番号 特開2013-064690
登録番号 特許第5834272号
出願日 平成23年9月20日(2011.9.20)
公開日 平成25年4月11日(2013.4.11)
登録日 平成27年11月13日(2015.11.13)
発明者
  • 奈良崎 則雄
  • 日下 英史
出願人
  • 株式会社湘南数理研究会
  • 国立大学法人京都大学
発明の名称 汚染土の除染方法
発明の概要 【課題】放射性セシウム137で汚染された汚染土を除染して、放射性セシウムの除染率が高く、かつ高い回収率の除染土を得る除染方法を提供する。
【解決手段】放射性セシウム137で汚染された汚染土から放射性セシウムを除去する、汚染土の除染方法であって、(i)汚染土を磨砕機で半自生・自生湿式磨砕して、磨砕土のスラリーを得、(ii)前記磨砕土のスラリーを、液体サイクロンに連続的に供給して、汚染土のスラリーを液体サイクロンからオーバーフローさせる一方、除染土のスラリーを液体サイクロンからアンダーフローさせて分級し、(iii)前記汚染土のスラリーに、捕収剤を含む浮選剤を添加して浮選機に連続的に供給することにより、浮選機の上部から放射性セシウムが濃縮された浮上物を浮上回収する一方、下部からアンダーフロー水(W1)を回収する。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要



2011年3月11日に発生した福島原子力発電所における原子力発電装置の水素爆発、圧力容器のベントの開放により多量のセシウム137、ヨウ素131等の放射性物質が大気中に放出された後に拡散されて、雨水等により広域に土壌が汚染された。特に地表層が半減期30.2年の放射性セシウム137により汚染されている。この汚染によりこの地域の住民は長期間被爆するおそれがあり、放射性物質に汚染された土壌の早期の徐染が望まれている。





放射性セシウム137は、ウラン235に熱中性子を照射したときに核分裂によって、生成し、その半減期は前記の通り30.2年と非常に長い。セシウムは、周期律表の1族に属するアルカリ金属元素Li、Na、K、Rb、Frの仲間で、1価の陽イオンとなり、反応性に富みハロゲン族元素や酸素と強く結合する。アルカリ金属元素の融点と沸点は相対的に低く、揮発性である。セシウムの融点は28.5℃で沸点は671℃である。放射性セシウムの同位体としてセシウム135も上記核分裂で生成されるが放射能レベルは低くあまり問題にはならない。

尚、ヨウ素131も上記核分裂によって生成するが、半減期は8.02日と短い(非特許文献1)。従って、放射性物質で汚染された汚染土からセシウム137を除去する必要性は高い。





セシウム137と、ヨウ素131等の放射性物質が大気中に放出されると、大気中に微小な粒子として、また空気中に浮遊しているエアロゾルに吸着して浮遊し、降雨時に地表に降りそそがれる。エアロゾルは生成過程の相違から粉じん、フューム、ミスト、ばいじんなど、また気象学的には視程や色の違いから霧、もや、煙霧、スモッグと呼ばれることもある。エアロゾルは大気中には極微量にしか存在しない(非特許文献2)。

放射性セシウム、又はエアロゾルに吸着された放射性セシウムは土壌表面に吸着され易く、揮発性の有機化合物、放射性のストロンチウム等と比較して、汚染は土壌深部には広がりにくいと考えられている。





特許文献1には、種々の汚染物質、例えば重金属、放射性物質及び有機物で汚染されている土壌のような粒状物を、溶脱、洗浄、アトリション研磨、向流方式により粒径の差に従って行う分離(サイズ差分離)及び密度の差による分離(以下、「密度差分離」ともいう。)を併用してクリーニングするための方法及び装置が開示されている。

しかし、汚染土壌を水洗後分級により汚染物質を取り除いているがスラリーの溶液中に溶けているセシウムは除去することが困難である。また最終の汚染物質を溶液から分離するにあたり汚染物質がコロイド状である場合、濾過をしたり、造粒にするには困難を伴い、経済性に欠けるという問題点がある。





特許文献2には、汚染土壌をふるい分け、これと液体でスラリーを形成し、該スラリーを洗浄して大径粒子の表面から微粒子を洗い落とし、向流状態の液体を利用してスラリー中の大径粒子から微粒子を分粒し、それにより微粒子を廃棄物の一部として液体に同伴させ、微粒子からデブリ(屑片)を除去して汚染微粒子流を生じさせ、密度分離器、常磁性分離器又はこれらの併用により、汚染微粒子流から金属、金属化合物及び/又は放射性汚染要因物を分離する方法が開示されている。

しかし、放射性物質を洗い落とし段階で、グリズリ、ドラムウッシャ、分級機、フロス浮選機、アトリクションスクラバ、あるいはこれらの組み合わせ使用可能であることが記載されているが、具体的な説明はなされていない。

放射性セシウム137等の放射性物質で汚染された土壌を早期に、操作が複雑でなく、エネルギー消費が少なく、徐染して早期に元の自然状態の放射能濃度に戻すことが求められている。

しかしながら、放射性セシウム137で汚染された汚染土を除染して、放射性セシウムの除染率が高く、かつ高い回収率の除染土を得る方法は知られていない。

産業上の利用分野



本発明は、放射性物質、特に放射性セシウムで汚染された汚染土の除染方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
放射性セシウムで汚染された汚染土(S)から放射性セシウムを除去する、汚染土の除染方法であって、
(i)汚染土(S)に水もしくは酸性水溶液を添加して得た、汚染土(S)のスラリーを磨砕機(AT)の供給口に供給して、半自生・自生湿式磨砕によって汚染土(S)の粒子表面を磨砕して該表面から放射性セシウムが付着している微粒子を削り取り、磨砕機(AT)の吐出口から磨砕土のスラリー(B)を取り出す、もしくは磨砕機(AT)の吐出口から排出された磨砕土をスクリーン(SC)で礫(G1)を取り除いた後に磨砕土のスラリー(B)を取り出す、
又は、汚染土(S)を磨砕機(AT)の供給口に供給して、半自生・自生乾式磨砕によって汚染土(S)の粒子表面を磨砕して該表面から放射性セシウムが付着している微粒子を削り取り、磨砕機(AT)の吐出口から排出される磨砕土を水もしくは酸性水溶液と混合して磨砕土のスラリー(B)を取り出す、もしくは磨砕機(AT)の吐出口から排出された磨砕土と水もしくは酸性水溶液を混合しスクリーン(SC)で礫(G1)を取り除いた後に磨砕土のスラリー(B)を取り出す、アトリッション工程(工程1)
(ii)前記磨砕土のスラリー(B)を、液体サイクロン(CY)に連続的に供給して、放射性セシウムが濃縮された微粒子状の汚染土のスラリー(B1)を該装置(CY)からオーバーフローさせる一方、放射性セシウム濃度が低減された、前記汚染土より粒径の大きい粒子状の除染土のスラリー(B2)を該装置(CY)からアンダーフローさせて分級する分級工程(工程2)、
(iii)前記微粒子状の汚染土のスラリー(B1)に、少なくとも捕収剤(C1)を含む浮選剤(C)を添加して浮選機(FL)に供給すると共に、浮選機(FL)の下部から気泡を供給することにより、浮選機(FL)の上部から放射性セシウムが濃縮された浮上物(U)を浮上回収する一方、下部からアンダーフロー水(W1)を回収する、浮選工程(工程3)、
を含む、ことを特徴とする汚染土の除染方法。

【請求項2】
前記アトリッション工程(工程1)と分級工程(工程2)間、及び/又は分級工程(工程2)と浮選工程(工程3)間に中間タンク(TN)を設けて、アトリッション工程(工程1)、分級工程(工程2)、及び浮選工程(工程3)から選択される1又は2以上の工程を連続運転する、ことを特徴とする請求項1に記載の汚染土の除染方法。

【請求項3】
前記工程1のアトリッション工程において、磨砕土のスラリー(B)中の磨砕土濃度が5~30質量%である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の汚染土の除染方法。

【請求項4】
前記工程1のアトリッション工程において、酸性水溶液を添加した場合のスラリーのpHが0~6.5である、ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の汚染土の除染方法。

【請求項5】
記磨砕機(AT)において、汚染土(S)又は磨砕土のスラリーが流通する部分の外形形状が円筒状であり、当該部分の内面壁に磨砕効果を高めるための突起物が設けられている、ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の汚染土の除染方法。

【請求項6】
前記工程2の分級工程において、液体サイクロンの磨砕土の分級点が30μmであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の汚染土の除染方法。

【請求項7】
前記工程2の分級工程において、液体サイクロン(CY)からアンダーフローさせた除染土のスラリー(B2)を脱水・ろ過器(DH1)で脱水した後、除染土(G2)を回収すると共に、ろ過水(W2)を液体サイクロン(CY)からオーバーフローしたスラリー中にリサイクルするか、又はアトリッション工程(工程1)における磨砕機(AT)もしくはスクリーン(SC)にリサイクルする、ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の汚染土の除染方法。

【請求項8】
前記工程3の浮選工程において、使用される捕収剤(C1)が炭素原子数6~20の高級アルキルアミンから製造されるアルキルアミン塩型カチオン界面活性剤、炭素数6~18の第四級アルキルアンモニウム塩型カチオン界面活性剤、炭素数6~20のアルキル硫酸エステルの塩、炭素数6~20の脂肪酸アルカリ金属塩、炭素数6~20のアルキルベンゼンスルホン酸塩、及び炭素数6~20のアルキルスルホン酸塩から選択される1種又は2種以上である、ことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の汚染土の除染方法。

【請求項9】
前記工程3の浮選工程において、(i)捕収剤(C1)が前記炭素原子数6~20のアルキルアミン塩カチオン界面活性剤でかつ浮選機(FL)内のスラリー水溶液が酸性域(pH0~6)、(ii)捕収剤(C1)が前記炭素原子数6~20の脂肪酸アルカリ金属塩でありかつ浮選機(FL)内のスラリー水溶液が中性~アルカリ性域(pH6~12)、(iii)捕収剤(C1)が前記炭素数6~20のアルキルベンゼンスルホン酸塩でありかつ浮選機(FL)内のスラリー水溶液が強酸性~酸性域(pH3以下)、又は(iv)捕収剤(C1)が炭素数6~20のアルキルスルホン酸塩でありかつ浮選機(FL)内のスラリー水溶液が強酸性~酸性域(pH3以下)である、ことを特徴とする請求項8に記載の汚染土の除染方法。

【請求項10】
前記工程3の浮選工程において、浮選剤(C)に捕収剤(C1)と、pH調整剤(C2)、吸着剤(C3)、及び共沈剤(C4)から選択される1種又は2種以上とが含まれる、ことを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の汚染土の除染方法。

【請求項11】
前記工程3の浮選工程において、使用される吸着剤(C3)がゼオライト微粉末、ベントナイト微粉末、及びカオリン微粉末から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする請求項10に記載の汚染土の除染方法。

【請求項12】
前記工程3の浮選工程において、使用される共沈剤(C4)がフェロシアン化鉄、フェロシアン化銅、フェロシアン化ニッケル、フェロシアン化コバルト、水酸化第2鉄、塩化第2鉄、硫酸第2鉄、水酸化コバルト、及びリン酸カルシュウムから選択される1種又は2種以上である、ことを特徴とする請求項10又は11に記載の汚染土の除染方法。

【請求項13】
前記工程3の浮選工程において、浮選剤(C)として、捕収剤(C1)、pH調整剤(C2)、及び吸着剤(C3)を使用する、ことを特徴とする請求項10又は11に記載の汚染土の除染方法。

【請求項14】
前記工程3の浮選工程において、浮選機(FL)の下部に供給される気泡がマイクロバブルである、ことを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の汚染土の除染方法。

【請求項15】
前記工程3の浮選工程において、浮選機(FL)の上部から浮上物(U)を浮上回収した後、脱水ろ過器(DH2)で脱水した固形物を低レベル放射性物質(R)として保管し、該脱水により生成したろ過水(W3)はアトリッション工程(工程1)における磨砕機(AT)、又はスクリーン(SC)にリサイクルする、ことを特徴とする請求項1から14のいずれかに記載の汚染土の除染方法。

【請求項16】
前記工程3の浮選工程において、浮選機(FL)の下部から取り出されたアンダーフロー水(W1)をアトリッション工程(工程1)における磨砕機(AT)、又はスクリーン(SC)にリサイクルする、ことを特徴とする請求項1から15のいずれかに記載の汚染土の除染方法。

【請求項17】
前記アトリッション工程(工程1)において汚染土(S)のスラリーを汚染土(S)に酸水溶液を添加もしくは酸水溶液で洗浄により得るか、
又は前記工程2で得られる前記微粒子状の汚染土のスラリー(B1)に更に酸水溶液を添加撹拌して磨砕土に付着している放射性セシウムを水溶液中に溶解後、
工程3の浮選工程において、浮選機(FL)に捕収剤(C1)、もしくは捕収剤(C1)とpH調整剤(C2)を添加して、浮選機(FL)の上部から浮上物(U)を浮上回収する一方、下部から放射性セシウムを含むアンダーフロー水(W1)を回収し、
更に、アンダーフロー水(W1)に少なくとも吸着剤(C3)又は共沈剤(C4)を添加して第2の浮選機(FL2)に供給する一方、該浮選機(FL2)の下部から気泡を供給することにより、浮選機(FL)の上部から放射性セシウムが濃縮された浮上物(U2)を浮上回収する一方、下部から放射性セシウムが除去されたアンダーフロー水を回収する、ことを特徴とする請求項1に記載の汚染土の除染方法。
産業区分
  • 放射性物質処理
国際特許分類(IPC)
出願権利状態 登録
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