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オリゴチオフェンを用いた光記憶媒体

国内特許コード P140010302
整理番号 633
掲載日 2014年2月21日
出願番号 特願2005-342451
公開番号 特開2006-293292
登録番号 特許第4623515号
出願日 平成17年11月28日(2005.11.28)
公開日 平成18年10月26日(2006.10.26)
登録日 平成22年11月12日(2010.11.12)
優先権データ
  • 特願2005-071431 (2005.3.14) JP
発明者
  • 檜山 爲次郎
  • 清水 正毅
  • 川波 由紀夫
  • 神原 浩久
  • 森 裕平
  • 栗原 隆
  • 安達 昌文
  • 佐々木 豊
  • 秋山 誠治
出願人
  • 国立大学法人京都大学
  • 日本電信電話株式会社
発明の名称 オリゴチオフェンを用いた光記憶媒体
発明の概要 【課題】オリゴチオフェン系化合物のような一重項励起状態や三重項励起状態の生成効率が高いものの、直ちに構造変化等の化学反応は生じにくい化合物を用いた高効率な二段階励起型のホログラムメモリを始めとする光記憶媒体を提供することを目的とする。
【解決手段】第一励起光照射により、一重項励起状態に励起され、その後、項間交差により最低三重項励起状態に移行し、続いて、第二励起光照射により、より高い三重項励起状態に励起される二段階励起型のエネルギー供与体と、そのエネルギー供与体からエネルギーを受け取り、かかるエネルギーを化学反応に供与するエネルギー受容体とを有することを特徴とする有機混合体からなる光記憶媒体を用いる。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


ホログラムメモリとして、一段階励起型のホログラムメモリ、すなわち、光記憶媒体にデータを載せた物体光と参照光を同時に照射して、この2つの光の干渉縞を形成させ、この干渉縞の強度分布をデータとして保存し、次に、参照光をこの光メモリ媒体に照射することにより、回折光を生成させ、この回折光からデータを再生するホログラムメモリが知られている。



このホログラムメモリを始めとする光記憶媒体が層構造をとる場合、その記録層は、通常、単層からなり、近年の大容量化への要望に応えるには限界がある。かかる限界を打破する有力な方法の一つとして、複数の記録層を積層することがあげられる。



しかし、複数の記録層を積層した積層体を用いる場合、前記一段階励起型による場合は実現が困難である。すなわち、複数層の記録層にデータを記録する場合、まず、図7(a)に示すように、ある一つの記憶層a1に、データを記憶するべく参照光及び物体光を照射する。続いて、図7(b)に示すように、他の記憶層a2に、別のデータを記録すべく参照光及び物体光を照射する。このとき、物体光は、図7(a)(b)に示すように、物体光は層a2のみならず、層a1を含む他の層を通過する。このとき、層a1等のデータが記憶された層のデータが消去されてしまうという問題が生じる。さらに、データの再生時においても同様で、図7(c)に示すように、ある一つの層のデータを再生すると、再生光が他の層のデータを消去してしまうという問題が生じる。



この問題を解決する有望な手法として、図8に示すような、高励起三重項状態を経由する二段階励起型の光記憶媒体を適用する方法がある。ホログラムメモリの例で説明すると、図8(a)に示すように、第一励起光(=ゲート光)を照射すると、その層のみが最低三重項励起状態となって記録可能となり、ここに、第二励起光(=参照光+物体光)を照射することにより、高励起の三重項励起状態になって二光束干渉による干渉縞が媒体内に構造変化屈折率変化として定着され、その結果、光記憶が行われる。他方、図8(b)に示すように、第一励起光を照射していない層は、最低三重項励起状態になく、記憶できる状態にないので、たとえ、第二励起光(=参照光+物体光)を照射しても、三重項励起状態にならないため、二光束干渉が生じず、光記憶が行われない。このため、第一励起光を照射していない層は、既に記憶されたデータがあっても、消去されることはない。



すなわち、二段階励起型においては、光記録のためには、第一励起光及び第二励起光の両方の照射が必要であり、図8(a)に示すように、ゲート光を照射させて記録可能な最低三重項励起状態に励起させた上で、データを載せる物体光、及びこの物体光と干渉して干渉縞を生じさせる参照光とを照射させることで初めて、エネルギー供与体をより高い三重項励起状態にすることができ、光記録が可能となる。



これに対し、ゲート光を照射せずに、物体光と参照光のみを照射しても、図8(b)に示すように、エネルギー供与体は記録可能な最低三重項励起状態に励起できないため、光記録は不可能であり、また、このゲート光の照射されない層では、データが消去されることもない。



このような高励起三重項状態を経由する二段階励起型のホログラムメモリを構成する有機材料として、ビアセチル(ブタン-2,3-ジオン、非特許文献1参照)やカルバゾール(9H-カルバゾール、非特許文献2参照)が知られている。



この非特許文献1や2に記載の方法においては、ビアセチルやカルバゾールが高励起の三重項励起状態(T)に励起されると、構造変化を起し、その結果、物体光と参照光とが作る干渉縞が媒質内の屈折率変化として定着され、ホログラムの記録・再生が可能と記載されている。



しかし、これらのビアセチルやカルバゾールは、それら自体の効率が低いため、ホログラムの記憶・再生効率を示す指標となる参照光の回折効率が低く、回折効率1%を得るためには、最低でも200μm程度の厚みが必要となる。このため、ビアセチルやカルバゾールを用いる限り、実用的な膜厚とされる数μmの薄膜型の光記憶媒体の実現は難しいのが現状である。



ところで、回折効率を向上させる方法としては、光源の強度をあげる方法や、集光レンズの焦点距離を短くして光密度をあげる等の方法があげられる。しかし、これらの方法によると、前記のビアセチルやカルバゾールでは、必要なゲート光の照射強度が高くなりすぎ、光損傷が生じてしまうという問題点を有していた。



これらに対し、高励起三重項状態を生成する有機材料として、オリゴチオフェン系化合物(非特許文献3参照)が知られている。



【非特許文献1】
Opt.Lett.,7,177(1982)(Chr.Brauchle et al)
【非特許文献2】
Opt.Lett.,6,159(1981)(G.C.Bjorklund et al)
【非特許文献3】
J.Phys.Chem.,100,18683(1996)(R.S.Becker et al)

産業上の利用分野



この発明は、高励起三重項状態を経由する二段階励起型のエネルギー供与体及びこのエネルギー供与体からエネルギーを受け取るエネルギー受容体を有する有機混合体からなる光記憶媒体に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
第一励起光照射により、一重項励起状態に励起され、その後、項間交差により最低三重項励起状態に移行し、続いて、第二励起光照射により、より高い三重項励起状態に励起される二段階励起型のエネルギー供与体と、そのエネルギー供与体からエネルギーを受け取り、かかるエネルギーを化学反応に供与するエネルギー受容体とを有し、前記エネルギー供与体が、下記式(1-1)~(1-4)のいずれかに示されるオリゴチオフェン系化合物であり、前記エネルギー受容体が、下記式(3)で示されるアジド系化合物であることを特徴とする有機混合体からなる光記憶媒体。
【化1】


(式(1-1)~(1-4)において、X~X,X7a~X7b,X8a~X8d,X9a~X9fは、水素原子、アルキル基、アルキル基の一部の炭素原子をケイ素原子と置き換えた基、ハロゲン、水酸基、アルキルオキシ基若しくはアリールオキシ基を有する基、又はジアルキルアミノ基から選ばれる基を示す。また、X~X,X7a~X7b,X8a~X8d,X9a~X9fは、それぞれ同じであっても異なってもよい。)
【化2】


(式(3)中、Yは、アルキル基、ハロゲン、アジド基、スルホニル基、アリール基、水酸基及びアルコキシ基から選ばれる少なくとも1種の基を有する基、又は水素原子を示す。)

【請求項2】
前記エネルギー供与体が、下記式(2)に示されるオリゴチオフェン系化合物であることを特徴とする請求項に記載の光記憶媒体。
【化3】


(式(2)において、R~Rは、水素原子、アルキル基、ハロゲン、水酸基、アルキルオキシ基若しくはアリールオキシ基を有する基、又はジアルキルアミノ基から選ばれる基を示す。また、R~Rは、同じであっても異なってもよい。さらに、nは、4又は5を示す。)

【請求項3】
第一励起光照射により、一重項励起状態に励起され、その後、項間交差により最低三重項励起状態に移行し、続いて、第二励起光照射により、より高い三重項励起状態に励起される二段階励起型のエネルギー供与体と、そのエネルギー供与体からエネルギーを受け取り、かかるエネルギーを化学反応に供与するエネルギー受容体とを有し、前記エネルギー供与体が、下記式(2)に示されるオリゴチオフェン系化合物であり、前記エネルギー受容体が、下記式(3)で示されるアジド系化合物であることを特徴とする有機混合体からなる光記憶媒体。
【化4】


式(2)において、~Rは、炭素数1~2のアルキル基、炭素数6~10のアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、ピリジル基、チオフェン環から選ばれる基を示す。また、R~Rは、同じであっても異なってもよい。さらに、nは、4又は5を示す。
【化5】


(式(3)中、Yは、アルキル基、ハロゲン、アジド基、スルホニル基、アリール基、水酸基及びアルコキシ基から選ばれる少なくとも1種の基を有する基、又は水素原子を示す。)

【請求項4】
前記エネルギー供与体が、下記式(2-1)で示されるオリゴチオフェン系化合物であることを特徴とする請求項に記載の光記憶媒体。
【化6】



【請求項5】
前記エネルギー供与体が、下記式(2-2)で示されるオリゴチオフェン系化合物であることを特徴とする請求項3に記載の光記憶媒体
【化7】



【請求項6】
前記エネルギー供与体が、下記式(2-3)~(2-5)のいずれかに示されるオリゴチオフェン系化合物であることを特徴とする請求項2または3に記載の光記憶媒体。
【化8】


【化9】


【化10】



【請求項7】
前記エネルギー受容体が、下記式(3-1)又は(3-2)であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の光記憶媒体。
【化11】


【化12】



【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の光記憶媒体を製造する方法であって、
基板上に前記エネルギー供与体、及び前記エネルギー受容体を分散させた光記憶媒体用溶液を滴下し、その後、この基板との距離を一定に保つ刃によってこの基板上を掃引して、前記光記憶媒体用溶液を平坦化する掃引工程、さらに加圧下で加熱することにより平坦性を高める加熱工程を含む薄膜型の光記憶媒体を作製する、光記憶媒体の製造方法。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 登録
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