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リグノセルロース系植物材料の固液混合物を用いる糖化方法

国内特許コード P140010314
整理番号 1661
掲載日 2014年2月24日
出願番号 特願2007-043178
公開番号 特開2008-206400
登録番号 特許第4930939号
出願日 平成19年2月23日(2007.2.23)
公開日 平成20年9月11日(2008.9.11)
登録日 平成24年2月24日(2012.2.24)
発明者
  • 渡辺 隆司
  • 石田 悦基
  • 小峰 法子
  • 椎葉 究
出願人
  • 日清製粉株式会社
  • 国立大学法人京都大学
発明の名称 リグノセルロース系植物材料の固液混合物を用いる糖化方法
発明の概要 【課題】 難分解性のリグノセルロース系植物材料を乾燥処理することなく湿った状態のままでも用いることができて、高いエネルギー効率で、簡単に且つ安全に処理して、糖を高い収率で得る糖化方法の提供。
【解決手段】 リグノセルロース系植物材料に対して、小麦フスマ及び/又は末粉或いはそれらの水抽出物を所定の量で配合し、好ましくは更にマンガン塩及び/又は界面活性剤を配合して所定の水分含量を有するリグノセルロース系植物材料の固液混合物を調製し、当該固液混合物を粉砕処理した後、糖化酵素で処理して糖化する方法。
くとも1種の成分を添加して行う方法。
【選択図】 なし
従来技術、競合技術の概要



急激な人口増加、各国における産業発達などの種々の要因により、近年、石油、天然ガス、石炭などの化石資源の消費がますます増加しており、それに伴って化石資源の埋蔵量の減少、排出された炭酸ガスなどによる地球の温暖化や環境汚染などの問題が地球的規模で生じている。

そのような化石資源の減少や地球環境の悪化に対処するために、繰り返して生産が可能な植物を原料に用いてエタノールなどの燃料を製造することが色々行われるようになっており、より実効性の高い技術の開発が強く求められている。





植物を原料として燃料を製造する技術の代表例の1つとして、植物から糖を製造し、その得られた糖から燃料として有用なエタノールを製造する技術が知られている。その際に、糖を得るための原料植物としては、サトウキビのような糖を高濃度で含む植物やトウモロコシ、サツマイモなどのような糖化の容易な澱粉質を多く含む植物よりなる澱粉系植物材料が従来一般に使用されている。一方、リグニンなどの難分解性成分を含むリグノセルロース系植物材料(木質系植物材料および草本系植物材料)はあまり使用されていない。かかる点から、リグニンなどの難分解性成分を含むリグノセルロース系植物材料を原料とする実効性のある糖化技術の開発が求められている。





リグノセルロース系材料から糖を製造する技術は、一般に(1)リグノセルロース系植物材料に濃硫酸、希硫酸などの酸を加えてセルロースを直接糖にする酸糖化法、(2)リグノセルロース系植物材料に前処理を施してリグニンなどの難分解性成分からなる植物の細胞壁や細胞間層の分解、損傷を生じさせた後に、セルラーゼのような糖化酵素を加えてセルロースを加水分解して糖にする酵素糖化方法の2つに大別される。





上記(2)の酵素糖化方法では、その前処理方法によって、更に、(2a)リグノセルロース系植物材料を粉砕、蒸煮(蒸煮爆砕、蒸煮、熱水分解・加圧熱水処理など)、エネルギー線(電子線、γ線、マイクロウエーブ)の照射などの物理的方法で処理して植物の細胞壁に分解、損傷を生じさせる物理的前処理を行う酵素糖化法、(2b)リグノセルロース系植物材料を酸(硫酸、亜硫酸、リン酸)、アルカリ(カセイソーダ、アンモニアなど)などを用いて化学的に分解、損傷を生じさせる化学的前処理を行う酵素糖化法、および(2c)リグノセルロース系植物材料をリグニン分解菌を用いて生物的前処理を行う酵素糖化法に分類される(非特許文献1を参照)。





上記した方法のうち、上記(1)の酸糖化法および上記(2b)の化学的前処理を行う酵素糖化法は、いずれも、リグノセルロース系植物材料の糖化または前処理に当たって、酸、アルカリなどの化学薬品を用いるため、それらの薬品に耐え得る設備を使用する必要があることから設備費が高くなるという問題がある。しかも、糖化または前処理に用いた酸やアルカリの中和処理とそれによって発生する大量の中和廃棄物(例えば硫酸カルシウムなど)の処理、或いは前処理に用いた溶媒の除去を行う必要があるため、手間やコストがかかり、しかも地球環境の汚染の問題がある。





また、上記(2c)のリグニン分解菌を用いて生物的前処理を行う酵素糖化法は、リグニンを分解するための特別の菌を大量に使用する必要があるためコストがかかり、しかも菌によるリグニンの分解には時間がかかるため、リグノセルロース系植物材料の分解-糖化に長期間を要し、効率よく糖化を行うことができないという問題がある。





上記(2a)の物理的前処理を行う酵素糖化法の場合は、糖化または前処理に酸、アルカリなどの化学薬品を用いないために、安全性に優れ、地球環境の汚染の問題が少なく、また処理に用いた化学薬品の後処理やそれにより生じた廃棄物の処理などの問題がない。しかしながら、上記(2a)の物理的前処理を行う酵素糖化法のうち、物理的前処理として蒸煮(蒸煮爆砕、蒸煮、熱水分解・加圧熱水処理など)、またはエネルギー線照射を行うものでは、蒸煮のための高温・高圧装置や、電子線、γ線、マイクロウエーブなどのエネルギー線の照射装置などの高価な装置が必要なため、設備費が高くなり、しかも前処理工程の管理を厳密に行う必要がある。





それに対して、上記(2a)の物理的前処理を行う酵素糖化法のうち、リグノセルロース系植物材料を粉砕により前処理した後に糖化酵素で処理する方法は、前処理に酸、アルカリなどの特別の化学薬品を使用する必要がないばかりでなく、高価で管理を厳密に行う必要のある蒸煮装置(高温・高圧装置)やエネルギー線照射装置を使用する必要がなく、従来汎用の粉砕装置のうちから適当な粉砕装置を選択使用して粉砕するだけで、植物の細胞を形成するリグニンを分解、損傷させて、糖化酵素によるセルロースの加水分解を受け易くできることから、簡便で、地球環境の汚染が少なく、しかも設備費を低くでき、望ましい方法である。





そこで、本発明者らは、上記(2a)の物理的前処理を行う酵素糖化法のうち、リグノセルロース系植物材料を粉砕により前処理した後に糖化酵素で処理する方法について検討を行ったところ、この方法を実用価値のあるものにするためには、工程の簡素化およびエネルギー効率の向上を図りながら、リグノセルロース系植物材料の糖化率をより高くする必要があることが判明した。





【非特許文献1】

バイオエネルギー技術と応用展開」、2003年10月31日発行、シーエムシー出版発行、p.165-171

産業上の利用分野



本発明はリグノセルロース系植物材料の糖化方法に関する。より詳細には、本発明は、リグノセルロース系植物材料を環境負荷、処理に要するエネルギーやコストを低減しながら、安全に且つ効率よく処理して、リグノセルロース系植物材料から糖を高率で得ることのできる糖化方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
リグノセルロース系植物材料100質量部(乾物換算)に対して小麦フスマおよび/または末粉を1~20質量部(乾物換算)の割合で混合したものに対し、加水を行って、固形分の含有量が5~15質量%の固液混合物を調製し、当該固液混合物を粉砕処理してリグノセルロース系植物材料の水性粉砕物とし、当該リグノセルロース系植物材料の水性粉砕物を糖化酵素で処理して糖を製造することを特徴とするリグノセルロース系植物材料の糖化方法。

【請求項2】
リグノセルロース系植物材料100質量部(乾物換算)に対して、小麦フスマおよび/または末粉1~20質量部(乾物換算)をその5~40倍量の水で抽出処理して得られる小麦フスマおよび/または末粉の水抽出物を含有させ、加水するかまたは加水せずに、固形分の含有量が5~15質量%の固液混合物を調製し、当該固液混合物を粉砕処理してリグノセルロース植物材料の水性粉砕物とし、当該リグノセルロース植物材料の水性粉砕物を糖化酵素で処理して糖を製造することを特徴とするリグノセルロース植物材料の糖化方法。

【請求項3】
リグノセルロース系植物材料の固液混合物の調製、当該固液混合物の粉砕処理およびリグノセルロース系植物材料の水性粉砕物の糖化酵素による処理の少なくとも1つを、界面活性剤および/またはマンガン塩を更に添加して行う請求項1または2に記載の糖化方法。

【請求項4】
リグノセルロース系植物材料100質量部(乾物換算)に対して、界面活性剤を0.5~5質量部および/またはマンガン塩を0.05~0.5質量部の割合で添加する請求項3に記載の糖化方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
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