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非可逆伝送線路装置 新技術説明会

国内特許コード P140010327
掲載日 2014年2月25日
出願番号 特願2013-501149
登録番号 特許第5877193号
出願日 平成24年2月24日(2012.2.24)
登録日 平成28年1月29日(2016.1.29)
国際出願番号 JP2012054632
国際公開番号 WO2012115245
国際出願日 平成24年2月24日(2012.2.24)
国際公開日 平成24年8月30日(2012.8.30)
優先権データ
  • 特願2011-040383 (2011.2.25) JP
発明者
  • 上田 哲也
  • 岸本 紘幸
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 非可逆伝送線路装置 新技術説明会
発明の概要 非可逆伝送線路装置(70A)は、マイクロ波の伝送線路部分と、誘導性素子を等価的に含む並列枝の回路とを有する単位セル(60A)を、ポート(P1,P2)間で縦続接続して構成される。各単位セル(60A)は、伝送線路部分の伝搬方向とは異なる磁化方向に磁化されてジャイロ異方性を有するように自発磁化を有するか又は外部磁界により磁化される。少なくとも1つの単位セル(60A)のそれぞれにおいて、並列枝の回路は、伝搬方向と磁化方向とにより形成される面に対して一方の側に形成された第1のスタブ導体(13A)と、面に対して他方の側に形成された第2のスタブ導体(13B)とを含み、スタブ導体(13A,13B)は互いに異なる電気長を有する。
従来技術、競合技術の概要



最近、右手/左手系複合伝送線路装置(composite right/left-handed transmission line:CRLH伝送線路装置)に関する研究が行われている。従来の右手/左手系複合伝送線路装置においては、電磁波の伝送電力の向きと位相流れの向きが同じである前進波(右手系モード)伝搬と、伝送電力と位相流れの向きが互いに反対方向を向く後退波(左手系モード)伝搬を兼ね備えているが、これら伝搬特性の切り換えは、動作帯域の違いにより実現されていた。これに対して、本願発明者のうちの1人は、特許文献1及び非特許文献1~3などにおいて、単一の動作帯域で、順方向に右手系モードが伝搬し、それと同時に逆方向には左手系モードが伝搬可能な、非可逆伝送線路装置を提案した。





図117は、特許文献1に記載の、従来技術に係る非可逆伝送線路装置の構成を示す斜視図である。図117の非可逆伝送線路装置は、

(a)基板表面に対して垂直な方向の自発磁化もしくは外部磁界により生じた磁化Mを有するフェライト基板10Fと、例えばガラスエポキシ樹脂などの誘電体基板10とをそれらの側面同士で境界部分にて合体してなり、裏面に接地導体11を有する基板と、

(b)上記基板の境界部分上に形成されたマイクロストリップ線路12Aと、

(c)マイクロストリップ線路12Aを形成する複数のストリップ導体12のうちの互いに隣接する各ストリップ導体12をそれぞれ接続する複数のキャパシタCと、

(d)上記各ストリップ導体12を接地導体11にそれぞれ接続する複数の短絡スタブ導体13と

を備えて構成される。このように、図117の非可逆伝送線路装置は、伝送線路の単位セルをポートP1,P2間で縦続接続して構成され、これらの単位セルは、容量性素子を等価的に含む直列枝の回路と、誘導性素子を等価的に含む並列枝の回路とを備え、マイクロ波の伝搬方向に対して異なる磁化方向に磁化されてジャイロ異方性を有し、伝搬方向と磁化方向とにより形成される面に対して非対称な構造を有し、かつ、順方向の伝搬定数と逆方向の伝搬定数とが互いに異なる非可逆位相特性を有するように、伝搬定数と動作周波数との関係を示す分散曲線において所定の伝搬定数及び動作周波数を設定してなる。

産業上の利用分野



本発明は、順方向の伝搬定数と逆方向の伝搬定数とが互いに異なる非可逆伝送線路装置に関し、また、そのような非可逆伝送線路装置を備えたアンテナ装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
順方向の伝搬定数と逆方向の伝搬定数とが互いに異なる非可逆伝送線路装置であって、
上記非可逆伝送線路装置は、マイクロ波信号の伝送線路部分と、上記伝送線路部分からそれぞれ分岐して設けられかつ誘導性素子を等価的に含む第1及び第2の並列枝の回路とを有する少なくとも1つの単位セルを、第1及び第2のポート間で縦続接続して構成され、
上記少なくとも1つの単位セルのそれぞれは、上記伝送線路部分の伝搬方向とは異なる磁化方向に磁化されてジャイロ異方性を有するように自発磁化を有するか又は外部磁界により磁化され、
上記少なくとも1つの単位セルのそれぞれにおいて、上記第1の並列枝の回路は、上記伝搬方向と上記磁化方向とにより形成される面に対して一方の側に形成され、上記第2の並列枝の回路は、上記面に対して他方の側に形成され、上記伝送線路部分から見た上記第1の並列枝の回路のインピーダンスは、上記伝送線路部分から見た上記第2の並列枝の回路のインピーダンスとは異なることを特徴とする非可逆伝送線路装置。

【請求項2】
上記少なくとも1つの単位セルのそれぞれは、上記伝送線路部分に直列に挿入されかつ容量性素子を等価的に含む直列枝の回路をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の非可逆伝送線路装置。

【請求項3】
上記少なくとも1つの単位セルのそれぞれは、
接地導体と、
上記伝送線路部分と上記接地導体との間に設けられた棒状の磁性体とを含むことを特徴とする請求項1又は2記載の非可逆伝送線路装置。

【請求項4】
上記少なくとも1つの単位セルのそれぞれは、
第1及び第2の面を有する磁性体基板と、
上記磁性体基板の第1の面に設けられた接地導体とを含み、
上記伝送線路部分、及び上記第1及び第2の並列枝の回路は、上記磁性体基板の第2の面に設けられたことを特徴とする請求項1又は2記載の非可逆伝送線路装置。

【請求項5】
上記第1及び第2の並列枝の回路はそれぞれ、互いに異なる電気長を有するスタブ導体であることを特徴とする請求項1~4のうちのいずれか1つに記載の非可逆伝送線路装置。

【請求項6】
上記第1及び第2の並列枝の回路のそれぞれは、移相器を含むスタブ導体であり、上記移相器に印加する電圧を制御することにより上記第1及び第2の並列枝の回路のインピーダンスを変化させることを特徴とする請求項1~4のうちのいずれか1つに記載の非可逆伝送線路装置。

【請求項7】
上記少なくとも1つの単位セルのそれぞれは、
上記第1の並列枝の回路と上記接地導体との間に設けられた第1の誘電体基板と、
上記第1の誘電体基板の上記接地導体と対向する面に設けられた第1の電極と、
上記第2の並列枝の回路と上記接地導体との間に設けられた第2の誘電体基板と、
上記第2の誘電体基板の上記接地導体と対向する面に設けられた第2の電極とをさらに含み、
上記第1の電極と上記接地導体との間に印加する第1の電圧と、上記第2の電極と上記接地導体との間に印加する第2の電圧とを制御することにより、上記第1及び第2の並列枝の回路のインピーダンスを変化させることを特徴とする請求項3記載の非可逆伝送線路装置。

【請求項8】
上記第1及び第2の並列枝の回路は短絡スタブであることを特徴とする請求項1~7のうちのいずれか1つに記載の非可逆伝送線路装置。

【請求項9】
上記第1及び第2の並列枝の回路は開放スタブであることを特徴とする請求項1~7のうちのいずれか1つに記載の非可逆伝送線路装置。

【請求項10】
上記各単位セルの上記伝送線路部分はマイクロストリップ線路であることを特徴とする請求項1~9のうちのいずれか1つに記載の非可逆伝送線路装置。

【請求項11】
所定の動作周波数において、上記順方向では右手系伝送で電力伝送されかつ上記逆方向では左手系伝送で電力伝送されるように、伝搬定数と動作周波数との関係を示す分散曲線において所定の伝搬定数及び動作周波数を設定したことを特徴とする請求項1~10のうちのいずれか1つに記載の非可逆伝送線路装置。

【請求項12】
所定の動作周波数において、上記順方向では左手系伝送もしくは右手系伝送で電力伝送されかつ上記逆方向では伝搬定数がゼロで管内波長が無限大となるように電力伝送されるように、伝搬定数と動作周波数との関係を示す分散曲線において所定の伝搬定数及び動作周波数を設定したことを特徴とする請求項1~10のうちのいずれか1つに記載の非可逆伝送線路装置。

【請求項13】
上記非可逆伝送線路装置は、伝搬定数と動作周波数との関係を示す分散曲線において所定の伝搬定数及び動作周波数を設定することにより構成され、所定の移相量だけ移相するマイクロ波移相器であることを特徴とする請求項1~12のうちのいずれか1つに記載の非可逆伝送線路装置。

【請求項14】
上記非可逆伝送線路装置は、上記順方向で伝搬する第1のモードの伝搬定数をβとし、上記逆方向で伝搬する第2のモードの伝搬定数をβとしたとき、β=-β≠0を満たすように構成されたマイクロ波共振器であることを特徴とする請求項11記載の非可逆伝送線路装置。

【請求項15】
上記非可逆伝送線路装置と結合するように設けられた結合用伝送線路を備え、マイクロ波フィルタを構成したことを特徴とする請求項14記載の非可逆伝送線路装置。

【請求項16】
上記非可逆伝送線路装置と結合するように設けられた負性抵抗素子を備え、マイクロ波発振器を構成したことを特徴とする請求項14記載の非可逆伝送線路装置。

【請求項17】
上記非可逆伝送線路装置と結合するように設けられた給電用伝送線路を備え、マイクロ波アンテナ装置を構成したことを特徴とする請求項14記載の非可逆伝送線路装置。

【請求項18】
上記非可逆伝送線路装置と結合するように設けられた給電用伝送線路と、上記非可逆伝送線路装置と結合するように設けられた複数の分岐用伝送線路とを備え、マイクロ波電力分配器を構成したことを特徴とする請求項14記載の非可逆伝送線路装置。

【請求項19】
上記非可逆伝送線路装置において、上記容量性素子は当該伝送線路を伝搬する電磁波モードの実効透磁率が負であるマイクロ波素子であり、上記誘導性素子は当該伝送線路を伝搬する電磁波モードの実効誘電率が負であるマイクロ波素子であることを特徴とする請求項1~18のうちのいずれか1つに記載の非可逆伝送線路装置。

【請求項20】
請求項10記載の非可逆伝送線路装置を用いて構成されたアンテナ装置であって、
上記非可逆伝送線路装置は、所定の動作周波数において高周波信号が上記非可逆伝送線路装置を所定の伝搬方向で伝搬するとき、上記伝搬方向と実質的に同じ方向で漏れ波の主ビームを有する放射パターンの電磁波を放射するとともに、上記伝搬方向と実質的に逆の方向又は上記伝搬方向と実質的に垂直な方向で漏れ波の主ビームを有する放射パターンの電磁波を放射し、
上記アンテナ装置はさらに、
上記非可逆伝送線路装置の第1のポート及び第2のポートのうちの少なくとも一方に高周波信号を入力し、所定の動作周波数において、上記非可逆伝送線路装置を前進波伝送線路又は後退波伝送線路として動作させ、上記非可逆伝送線路装置の非可逆性を利用して、上記入力する高周波信号の振幅と位相の少なくとも一方を制御することにより、上記非可逆伝送線路装置から漏洩する漏洩波を放射波とする主ビームを形成するように制御する制御手段を備えたことを特徴とするアンテナ装置。

【請求項21】
上記制御手段は、上記非可逆伝送線路装置の第1のポート及び第2のポートにそれぞれ上記高周波信号を入力し、上記入力する各高周波信号の振幅と位相の少なくとも一方を制御することにより、放射波の主ビームを形成することを特徴とする請求項20記載のアンテナ装置。

【請求項22】
上記制御手段は、上記第1のポートに上記高周波信号を入力し、上記入力する高周波信号の振幅と位相の少なくとも一方を制御することにより、上記第2のポートにおいて前進波を反射して、放射波の主ビームを形成することを特徴とする請求項20記載のアンテナ装置。

【請求項23】
上記制御手段は、上記第2のポートに上記高周波信号を入力し、上記入力する高周波信号の振幅と位相の少なくとも一方を制御することにより、上記第1のポートにおいて後退波を反射して、放射波の主ビームを形成することを特徴とする請求項20記載のアンテナ装置。

【請求項24】
上記制御手段は、上記非可逆伝送線路装置の第1のポート及び第2のポートにそれぞれ上記高周波信号を選択的に入力し、上記入力する高周波信号の振幅と位相の少なくとも一方を制御することにより、放射波の主ビームを形成することを特徴とする請求項20記載のアンテナ装置。

【請求項25】
上記非可逆伝送線路装置はマイクロ波共振器として動作し、
上記非可逆伝送線路装置の各単位セルは、上記非可逆伝送線路装置に入力されるマイクロ波信号の動作周波数と上記非可逆伝送線路装置の位相定数との関係を示す分散曲線において上記非可逆伝送線路装置が所定の位相定数を有するように回路構成され、
上記非可逆伝送線路装置は、
上記第1のポートに接続され、所定の動作周波数において上記第1のポートから見たインピーダンスが第1のインピーダンスとなるように動作する第1の反射用インピーダンス回路と、
上記第2のポートに接続され、上記動作周波数において上記第2のポートから見たインピーダンスが第2のインピーダンスとなるように動作する第2の反射用インピーダンス回路とを備え、
上記第1のインピーダンスは実質的に実部を持たない所定の複素数であり、
上記第2のインピーダンスは、上記第1のインピーダンスと実質的に共役である実質的に実部を持たない複素数であることを特徴とする請求項1~10のうちのいずれか1つに記載の非可逆伝送線路装置。

【請求項26】
上記非可逆伝送線路装置の各単位セルは、上記動作周波数において、上記順方向では右手系伝送で電力伝送されかつ上記逆方向では左手系伝送で電力伝送されるように、上記分散曲線において上記非可逆伝送線路装置が所定の伝搬定数を有するように回路構成されたことを特徴とする請求項25記載の非可逆伝送線路装置。

【請求項27】
上記非可逆伝送線路装置の各単位セルは、上記動作周波数において、上記順方向では左手系伝送で電力伝送されかつ上記逆方向では右手系伝送で電力伝送されるように、上記分散曲線において上記非可逆伝送線路装置が所定の伝搬定数を有するように回路構成されたことを特徴とする請求項25記載の非可逆伝送線路装置。

【請求項28】
上記非可逆伝送線路装置の各単位セルは、上記動作周波数において、上記順方向及び上記逆方向の両方で上記マイクロ波信号がその位相定数がゼロの状態で電力伝送されるように、上記分散曲線において上記非可逆伝送線路装置が所定の伝搬定数を有するように回路構成されたことを特徴とする請求項25記載の非可逆伝送線路装置。

【請求項29】
上記非可逆伝送線路装置において、上記容量性素子は当該伝送線路を伝搬する電磁波モードの実効透磁率が負であるマイクロ波素子であり、上記誘導性素子は当該伝送線路を伝搬する電磁波モードの実効誘電率が負であるマイクロ波素子であることを特徴とする請求項25~28のうちのいずれか1つに記載の非可逆伝送線路装置。

【請求項30】
請求項25~29のうちのいずれか1つに記載の非可逆伝送線路装置を用いて構成されたアンテナ装置であって、
上記第1の反射用インピーダンス回路又は上記第2の反射用インピーダンス回路に接続され、マイクロ波信号を上記非可逆伝送線路装置に給電する給電回路をさらに備えたことを特徴とするアンテナ装置。

【請求項31】
請求項25~29のうちのいずれか1つに記載の非可逆伝送線路装置を用いて構成されたアンテナ装置であって、
上記第1の反射用インピーダンス回路又は上記第2の反射用インピーダンス回路に接続され、上記非可逆伝送線路装置によって受信されたマイクロ波信号を出力する給電回路をさらに備えたことを特徴とするアンテナ装置。

【請求項32】
上記第1の反射用インピーダンス回路は、上記第1のインピーダンスを変化させる第1のインピーダンス変化手段を備え、
上記第2の反射用インピーダンス回路は、上記第2のインピーダンスを変化させる第2のインピーダンス変化手段を備え、
上記アンテナ装置は、
上記出力されたマイクロ波信号の受信電力を検出する受信電力検出手段と、
上記検出された受信電力に基づいて、上記受信電力が最大になるように上記第1及び第2のインピーダンス変化手段をそれぞれ制御する制御手段とをさらに備え、
上記第1及び第2のインピーダンスが変化することにより、上記アンテナ装置の偏波面が変化することを特徴とする請求項31記載のアンテナ装置。

【請求項33】
上記第1及び第2のインピーダンスは離散的に変化することを特徴とする請求項32記載のアンテナ装置。

【請求項34】
上記第1及び第2のインピーダンスは連続的に変化することを特徴とする請求項32記載のアンテナ装置。

【請求項35】
上記第1及び第2の反射用インピーダンス回路のそれぞれは、可変容量ダイオード及びインダクタを含むことを特徴とする請求項34記載のアンテナ装置。

【請求項36】
上記第1及び第2の反射用インピーダンス回路のそれぞれは、移相器及び伝送線路を含むことを特徴とする請求項34記載のアンテナ装置。

【請求項37】
上記第1及び第2の並列枝の回路はそれぞれ移相器を含み、上記移相器に印加する電圧を制御することにより上記第1及び第2の並列枝の回路のインピーダンスを変化させ、
上記第1及び第2の並列枝の回路のインピーダンスが変化することにより、上記アンテナ装置の放射方向が変化することを特徴とする請求項31~36のうちのいずれか1つに記載のアンテナ装置。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2013501149thum.jpg
出願権利状態 登録
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