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デジタルホログラフィ装置、及びデジタルホログラフィによる3次元像再生方法

国内特許コード P140010328
掲載日 2014年2月25日
出願番号 特願2013-501027
登録番号 特許第5891567号
出願日 平成24年2月20日(2012.2.20)
登録日 平成28年3月4日(2016.3.4)
国際出願番号 JP2012053985
国際公開番号 WO2012115042
国際出願日 平成24年2月20日(2012.2.20)
国際公開日 平成24年8月30日(2012.8.30)
優先権データ
  • 特願2011-040812 (2011.2.25) JP
発明者
  • 粟辻 安浩
  • 田原 樹
  • 下里 祐輝
  • 夏 鵬
出願人
  • 国立大学法人京都工芸繊維大学
発明の名称 デジタルホログラフィ装置、及びデジタルホログラフィによる3次元像再生方法
発明の概要 視野範囲を広くして計測範囲を広げるためのデジタルホログラフィ装置(1A)は、撮像素子(6)の画素に記録されて、参照光の位相量シフトが異なる2種類のホログラム情報を含む並列位相シフトホログラムを生成する撮像素子(6)と、並列位相シフトホログラムから抽出した第1及び第2ホログラムに主補間を施して複数の主補間領域を有する主補間複素振幅を生成し、第1及び第2ホログラムに副補間を施して複数の副補間領域を有する副補間複素振幅を生成する複素振幅生成部(3)と、主補間複素振幅の主補間領域と副補間複素振幅の副補間領域とを抽出して空間周波数分布を生成し、空間周波数分布に基づいて被写体の3次元像を再生する空間周波数分布生成部(4)とを備える。
従来技術、競合技術の概要



以後の文章中で位相、角度の単位はラジアンで表す。加工技術の精密化や多様化に伴い、物体の3次元形状等の高度な計測や解析が求められ、様々な測定法が開発されている。該測定法のうち、光の干渉を利用した干渉計測技術、特にデジタルホログラフィは、非接触かつ非破壊で、物体の3次元情報を得ることができるため、近年、注目を集めている測定法の一つとなっている。





デジタルホログラフィは、3次元物体への光照射によって得られる干渉パターン(干渉縞)から、コンピュータを用いて3次元物体の像を再生する技術である。具体的には例えば、3次元物体への光照射によって得られる物体光と、該物体光に対して可干渉である参照光とが作る干渉パターンを、CCD(charge coupled device)等の撮像素子を用いて記録する。記録された干渉パターンに基づいて、コンピュータで回折を計算し、3次元物体の像を再生する。





本発明者らは、光源から出射された光をその進行方向に垂直な平面上において互いに位相が異なる4種類の参照光に分割する、位相シフトアレイ素子の位相分布を、CCDカメラなどの撮像面に結像させる等の構成を備え、1回の撮影により、被写体の再生画像の画質を向上させたデジタルホログラフィ装置を提案している(特許文献1)。





また、本発明者らは、光源から出射された光を、その進行方向に垂直な平面上において互いに位相が異なる2種類の参照光に分割する偏光子アレイを、CCDカメラの撮像面に貼り付ける等して装備する構成を備え、1回の撮影により、被写体の再生画像の画質を向上させたデジタルホログラフィ装置を提案している(特許文献2)。





また本発明者らは、物体光を互いに偏光方向が異なる2種類の物体光に分割し、それぞれの伝播方向に角度差を生じさせる偏光分割部と、第1偏光子領域および第2偏光子領域が複数配置され、参照光と、被写体を介して到達する物体光とを透過させる偏光子アレイ部とを設けることにより、1回の撮像でその瞬間の深い奥行き範囲の高精度3次元情報を得ることができるデジタルホログラフィ装置を提案している(特許文献3)。





デジタルホログラフィ(非特許文献1)は瞬時3次元計測が可能な技術であるが、0次回折光や共役像が不要な像として所望の像に重畳する問題を抱えている。この問題を解決するために,位相シフトデジタルホログラフィ(非特許文献2)が提案されている。しかしながら,この技術は複数枚のホログラムの逐次記録が必要であるため,瞬時計測が不可能である。





この従来のデジタルホログラフィの問題を解決するために、並列位相シフトデジタルホログラフィ(非特許文献3~6)が提案されている。この技術では,位相シフト法に必要な複数のホログラムの情報を一回の撮像で記録するため,高精度瞬時3次元計測が可能である。





図23は、従来のデジタルホログラフィ装置による像再生アルゴリズムを説明するための図である。並列位相シフトデジタルホログラフィの原理は、位相シフト法に必要な複数枚のホログラムの情報を単一の撮像素子を用いて1回の撮影で記録する構成にある。記録したホログラムに対してコンピュータを用いて像再生アルゴリズムに基づき処理を行い、被写体の3次元像を再生する。図23では、2枚のホログラムの情報を単一の撮像素子を用いて1回の撮影で記録する並列2段階位相シフトデジタルホログラフィを並列位相シフトデジタルホログラフィの一例として挙げている。





図23を参照すると、従来の像再生アルゴリズムの手順では、記録された2枚のホログラムに対応する並列位相シフトホログラム97から参照光の位相シフト量が同じホログラム98A・98Bをそれぞれ抽出する。ここで本明細書において、並列位相シフトホログラムとは、並列位相シフトデジタルホログラフィ(特許文献1,非特許文献3)で得られる参照光の位相シフト量が異なる複数のホログラム情報を含むホログラムを指し、以後同様の意味で用いる。





そして、値の欠落した画素に対して、近傍(4-neighboring)画素を用いて補間した2枚のホログラム98A・98Bを得る。次に、得られたホログラム98A・98Bと参照光25とを用いて2段階位相シフト法で計算処理する。その後、計算によって得られた被写体の複素振幅分布(振幅と位相の分布の情報であり、物体波面情報を意味する)に回折計算を行うことにより、再生像を得る。





一方,並列位相シフトデジタルホログラフィの他に、1回の撮像で位相シフト法に必要な複数枚分のホログラム情報を取得可能な空間キャリア位相シフトデジタルホログラフィが提案されている(非特許文献7~9)。これら2つの方式は、シングルショット位相シフトデジタルホログラフィと呼ばれる。空間キャリア位相シフトデジタルホログラフィでは、一般的に、補間を用いない方がより広範囲を計測可能である(非特許文献8)。また、並列位相シフトデジタルホログラフィにおいても、補間を用いずに位相シフト法の計算を行う方式が提案されている(非特許文献4)。





図24は、従来の他のデジタルホログラフィ装置による空間キャリア位相シフト法を説明するための図である。補間を用いないシングルショット位相シフトデジタルホログラフィの一例として、空間キャリア位相シフトデジタルホログラフィを説明する。図24は、空間キャリア位相シフトデジタルホログラフィの概略を示している。本方式では、撮像素子96に形成された撮像素子面と垂直な方向から入射する物体光(物体からの回折光または散乱光を意味する)に対して、参照光を角度θ傾けて入射させ、参照光を傾けた方向に沿った撮像素子96の各画素において、参照光の位相をシフトさせる。この参照光と物体光が干渉することで、図24に示すように、撮像素子面上に空間的に位相シフトしたホログラムが形成される。このようにして得られたホログラムを、以後空間キャリア位相シフトホログラムと呼ぶ。この空間的に位相シフトしたホログラムを記録することで、シングルショットにより空間キャリア位相シフトホログラムを取得することができる。





空間キャリア位相シフトデジタルホログラフィでは、補間処理を用いない方が広範囲な計測が可能である。そこで、シングルショット位相シフトデジタルホログラフィの分野において、補間を用いずに、隣り合う画素を直接用いて位相シフト法の計算を行う方式が提案され、盛んに研究されている(非特許文献4及び9)。ここでは当該方式を説明する。





図25は、従来の他のデジタルホログラフィ装置により補間を用いずに位相シフト法の計算を行う方法を説明するための図である。





被写体の複素振幅分布を求めるために、記録したホログラムのうち、位相シフト量が異なる隣り合う画素を用いて位相シフト法の計算を行う。例を挙げると、図25に示される領域R5に配置された画素における被写体の複素振幅を求めるためには、図25に示される領域R2に配置された-π/2、0、-3π/2の位相シフト量のホログラムを用いて位相シフト法の計算を行えば良い。領域R4に配置された画素における被写体の複素振幅を求めるためには、領域R1に配置された0、-3π/2、-πの位相シフト量のホログラムを用いて位相シフト法の計算を行う。領域R6に配置された画素における被写体の複素振幅は、領域R3に配置された-π、-π/2、0の位相シフト量のホログラムを用いて位相シフト法の計算を行う。この様な位相シフト法の計算により被写体の複素振幅分布を求めることができ,この複素振幅分布に回折積分の計算を施すことにより被写体の3次元像を再生することができる。

産業上の利用分野



本発明は、3次元物体への光照射によって得られる干渉パターン(干渉縞)から、コンピュータを用いて3次元物体の像を再生するデジタルホログラフィ装置、及びデジタルホログラフィによる3次元像再生方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
撮像素子の画素に記録されて、参照光の位相量シフトが異なるN種類(Nは2以上の整数)のホログラム情報を含むホログラムを生成するホログラム生成部と、
前記ホログラムから抽出した第1及び第2ホログラムに主補間を施して複数の主補間領域を有する主補間複素振幅を生成し、前記第1及び第2ホログラムに副補間を施して複数の副補間領域を有する副補間複素振幅を生成する複素振幅生成部と、
前記主補間複素振幅の前記主補間領域と前記副補間複素振幅の前記副補間領域とを抽出して空間周波数分布を生成し、前記空間周波数分布に基づいて被写体の3次元像を再生する空間周波数分布生成部とを備えたことを特徴とするデジタルホログラフィ装置。

【請求項2】
前記主補間は、縦方向に隣接する画素及び横方向に隣接する画素に基づく4方向補間であり、
前記副補間は、横方向に隣接する画素に基づく横補間と、縦方向に隣接する画素に基づく縦補間とを含む請求項1記載のデジタルホログラフィ装置。

【請求項3】
前記副補間複素振幅は、前記第1及び第2ホログラムに横補間を施して生成されて3行×3列の横補間領域を有する横補間複素振幅と、前記第1及び第2ホログラムに縦補間を施して生成されて3行×3列の縦補間領域を有する縦補間複素振幅とを含み、
前記空間周波数分布は、3行×3列の空間周波数領域を有し、
1行2列目及び3行2列目の空間周波数領域には、対応する横補間領域における横補間複素振幅が配置されており、
2行1列目及び2行3列目の空間周波数領域には、対応する縦補間領域における縦補間複素振幅が配置されている請求項2記載のデジタルホログラフィ装置。

【請求項4】
前記副補間複素振幅は、前記第1及び第2ホログラムに横補間を施して生成されて3行×3列の横補間領域を有する横補間複素振幅と、前記第1及び第2ホログラムに縦補間を施して生成されて3行×3列の縦補間領域を有する縦補間複素振幅とを含み、
前記空間周波数分布は、3行×3列の空間周波数領域を有し、
前記被写体の形状は、横方向に長く、
1列目及び3列目の空間周波数領域には、対応する縦補間領域における縦補間複素振幅が配置されている請求項2記載のデジタルホログラフィ装置。

【請求項5】
前記副補間複素振幅は、前記第1及び第2ホログラムに横補間を施して生成されて3行×3列の横補間領域を有する横補間複素振幅と、前記第1及び第2ホログラムに縦補間を施して生成されて3行×3列の縦補間領域を有する縦補間複素振幅とを含み、
前記空間周波数分布は、3行×3列の空間周波数領域を有し、
前記被写体の形状は、縦方向に長く、
1行目及び3行目の空間周波数領域には、対応する横補間領域における横補間複素振幅が配置されている請求項2記載のデジタルホログラフィ装置。

【請求項6】
前記主補間は、+45度方向に隣接する画素及び-45度方向に隣接する画素に基づく±45度方向補間であり、
前記副補間は、+45度方向に隣接する画素に基づく+45度方向補間と、-45度方向に隣接する画素に基づく-45度方向補間とを含む請求項1記載のデジタルホログラフィ装置。

【請求項7】
前記副補間複素振幅は、前記第1及び第2ホログラムに+45度方向補間を施して生成されて3行×3列の+45度方向補間領域を有する+45度方向補間複素振幅と、前記第1及び第2ホログラムに-45度方向補間を施して生成されて3行×3列の-45度方向補間領域を有する-45度方向補間複素振幅とを含み、
前記空間周波数分布は、3行×3列の空間周波数領域を有し、
1行1列目及び3行3列目の空間周波数領域には、対応する+45度方向補間領域における+45度方向補間複素振幅が配置されており、
1行3列目及び3行1列目の空間周波数領域には、対応する-45度方向補間領域における-45度方向補間複素振幅が配置されている請求項6記載のデジタルホログラフィ装置。

【請求項8】
撮像素子面に入射する物体光に対して参照光を傾けて入射させて、ある方向から入射する物体光に対する参照光の位相差が隣り合う画素間において所定の値となる空間キャリア位相シフトホログラムを生成する空間キャリア位相シフトホログラム生成部と、
第1位相シフト量による位相シフト法の計算に基づいて前記空間キャリア位相シフトホログラムから第1空間スペクトルを生成し、第2位相シフト量による位相シフト法の計算に基づいて前記空間キャリア位相シフトホログラムから第2空間スペクトルを生成する空間スペクトル分布生成部と、
前記第1位相シフト量に応じて前記第1空間スペクトルから切り出した第1空間スペクトル成分と、前記第2位相シフト量に応じて前記第2空間スペクトルから切り出した第2空間スペクトル成分とを再配置して位相シフト誤差を低減した誤差低減空間スペクトル分布を生成する切り出し部とを備えたことを特徴とするデジタルホログラフィ装置。

【請求項9】
前記ある方向から入射する物体光に対する参照光の位相差は、隣り合う画素間においてπ/2あるいは3π/2である請求項8記載のデジタルホログラフィ装置。

【請求項10】
前記空間スペクトル分布生成部は、第1位相シフト量による位相シフト法の計算に基づいて前記空間キャリア位相シフトホログラムから第1複素振幅を抽出し、前記第1複素振幅をフーリエ変換して前記第1空間スペクトルを生成し、第2位相シフト量による位相シフト法の計算に基づいて前記空間キャリア位相シフトホログラムから第2複素振幅を抽出し、前記第2複素振幅をフーリエ変換して前記第2空間スペクトルを生成する請求項8記載のデジタルホログラフィ装置。

【請求項11】
前記誤差低減空間スペクトル分布を逆フーリエ変換し、回折積分の計算を施して被写体の3次元像を再生する再生部をさらに備える請求項8記載のデジタルホログラフィ装置。

【請求項12】
前記空間スペクトル分布生成部における位相シフト量の数と複素振幅の数は、空間スペクトル面における行数または列数の半分である請求項8記載のデジタルホログラフィ装置。

【請求項13】
撮像素子の画素に記録されて、参照光の位相量シフトが異なるN種類(Nは2以上の整数)のホログラム情報を含むホログラムを生成するホログラム生成工程と、
前記ホログラムから抽出した第1及び第2ホログラムに主補間を施して複数の主補間領域を有する主補間複素振幅を生成し、前記第1及び第2ホログラムに副補間を施して複数の副補間領域を有する副補間複素振幅を生成する複素振幅生成工程と、
前記主補間複素振幅の前記主補間領域と前記副補間複素振幅の前記副補間領域とを抽出して空間周波数分布を生成し、前記空間周波数分布に基づいて被写体の3次元像を再生する空間周波数分布生成工程とを備えたことを特徴とするデジタルホログラフィによる3次元像再生方法。

【請求項14】
撮像素子面に入射する物体光に対して参照光を傾けて入射させて、ある方向から入射する物体光に対する参照光の位相差が隣り合う画素間において所定値となる空間キャリア位相シフトホログラムを生成する空間キャリア位相シフトホログラム生成工程と、
第1位相シフト量による位相シフト法の計算に基づいて前記空間キャリア位相シフトホログラムから第1空間スペクトルを生成し、第2位相シフト量による位相シフト法の計算に基づいて前記空間キャリア位相シフトホログラムから第2空間スペクトルを生成する空間スペクトル分布生成工程と、
前記第1位相シフト量に応じて前記第1空間スペクトルから切り出した第1空間スペクトル成分と、前記第2位相シフト量に応じて前記第2空間スペクトルから切り出した第2空間スペクトル成分とを再配置して位相シフト誤差を低減した誤差低減空間スペクトル分布を生成する切り出し工程とを備えたことを特徴とするデジタルホログラフィによる3次元像再生方法。
国際特許分類(IPC)
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